神戸学校

神戸学校はフェリシモが主催する「神戸発 生活デザイン学校」です。

  • スチュアート バクスターさん(Jリーグ ヴィッセル神戸監督)
  • スチュアート バクスターさん(Jリーグ ヴィッセル神戸監督)

プロフィールを読む

現在表示しているページ
フェリシモ
> 神戸学校
> スチュアート バクスターさん(Jリーグ ヴィッセル神戸監督)レポート

「INTO THE FUTURE ~INGREDIENTS FOR CHANGING TIMES~」



<第1部>

神戸学校の講師にお招きいただき光栄に思います。私は日本語があまり上手に話せないので英語で話させてください。



何を変革していくのか? の認識を持とう。
小区分の考えを捨てて、大きく全体を見よう。

私は「日本と、日本人の未来に何が必要か?」をこの場を借りて考えてみたいと思います。その前にまずは、昔を振り返ってみましょう。日本人のルーツをたどっていけば、侍のいた時代から続く文化や価値観に至ります。この時代の価値観を持ち続けている日本人が、強固な「日本株式会社」を築いてきました。しかしバブルがはじけた今、新たな日本人としての価値観を模索しているところです。そこで、何かを変えるために、どのようなステップが必要かをお話ししていきましょう。
第1ステップは認識です。日本で、会社で、またはサッカーチームで、今何が問題なのか? 何がうまくいってないのか? を認識することから始まります。サッカーを例にお話ししましょう。私はスウェーデンで数年過ごしました。スウェーデンも日本と同じく規律と敬愛を重んじる勤勉な国民です。しかし、違いもあります。日本ではチームがよければ自分にとってもよいことだと考えます。

PHOTO

つまり、社会の規律に合わせなければ、監督やファン、先生や親の期待にこたえなければとまず、考えてしまうのです。だから私は日本の選手にプレッシャーを与えないために「ガンバッテ」とは言いません。スウェーデンの選手はそんなことを考えないので、のびのびとプレーをします。日本のシステムは小さなセクションに分かれており、大きなものごとを考えるときも、担当している自分の小さなエリアに置き換えて考えるようです。なので、社会全体を見渡して、その中で大きな視野で自分が何をすべきかを考えるのは日本人には苦手なようです。大きな枠組みの中で、自分の担当エリアだけをコントロールするという考え方を変えなければなりません。小さなセクションの考え方を捨てて、ズームアップして周りの風景も見渡してみましょう。日本の選手には「まずチームの全体像を描いてほしい。それから選手として自分のすべきことを考えてほしい」と言います。自分のポジションから全体像を描いてほしいと言うのはむずかしいようです。それを変えていくには、豊かな創造性と柔軟性が必要です。

ページのトップへ

現状をどう変えたいか?
「変革」のため失敗を恐れず飛んでみよう。

第2ステップは「受け入れる」ことです。問題が何かを「認識」したら、変革の必要性を自分自身で「受け入れる」ことです。ここで私の言う「受け入れる」とは、現状をありのまま受け入れることではなく、自分は今こうなのだ、本当の自分はどうありたいのか、だったらどうすれば変われるか、を受け入れることです。あるアメリカ人のグループがラオスの僧院に行き、禅の高僧に会い「禅とは何か」をたずねました。すると老師はひとつの大きなグラスを掲げ「これは大変貴重なグラスです。水は漏れないし、七色に美しく輝きます。しかしこのグラスは私にとってはすでに割れてるグラスです」と言われました。「いまこの美しいグラスが割れてるというのは、どういう意味でしょうか?」とたずねると「机の上において置けば、未来のどこかの時点で粉々に壊れてしまう。それがわかっているから毎秒毎秒大切に使っています。これが禅の心です」とおっしゃったそうです。禅においては、天と地の差は紙一重です。まず認識することにより、心理的に何を変えるかの方向性とリストが見えて来ます。「現状」と「したい方向」が見えて来ると「現状の調整」が必要になります。

PHOTO

サッカーチームであれば、新しい監督を迎えて選手起用や作戦の調整をする。国であれば、新しい首相を選出して政策などを調整する、ということになるでしょう。では私たち個人の場合は、何を大切にするのか? 批評してくれる人々に出会い、第三者の助言を大きな気持ちで受け入れることです。他人の批評を受け入れて、日本人も本音と建前の社会から脱皮しなければなりません。これまでの日本のよい資質(敬愛・規律・勤勉)を安全ネットに、創造性に富んだアイデアをプラスして、失敗を恐れず飛んでみましょう。

ページのトップへ

あなたのガーデン(心)に
バラを咲かせましょう
プラスのエネルギーをいっぱいに

庭にバラを咲かせるには、太陽と水のエネルギーが必要です。私たちの心の庭にもエネルギーは必要で、そのエネルギーにはプラスとマイナスがあります。変化するためには、プラスのエネルギーが必要です。心のバラに水を与えるには心の中の声をプラスに変えなければなりません。マイナスの雑草はすぐに抜かないといけません。私は「もっとハンサムだったら……」とか「高級車に乗りたい」と考えることがあります。マイナス思考が浮かんだら頭の中にサーカスのメロディーを思い浮かべてマイナスの雑音をかき消すか、息子の顔を思い浮かべることにします。そうすることにより、高価な物はないけれど、私には大切な物がたくさんあるじゃないかと思えてきます。マイナスの雑音はエネルギーを無駄にします。400mのトラックをふたりの選手が200mの差で自転車で走っています。コンディションが全く同じだとすると、差は200mのままのはずですが、前の選手が後ろを振り返ったらマイナスの力が働きふたりの差は縮まります。

PHOTO

これはハンターと獲物の差です。常にハンターであることが大切です。私たちにも同じことが言えます。変革しようとして、障がいをどう乗り越えるか? それを考え達成したとき、人は成長したと言えます。今のレベルで満足してはいけません。自分の仕事を繰り返しやっていると、何も考えなくてもうまくできるようになります。これを「ゾーンに入る」と言います。私自身は自分の仕事をつらいと思ったことはありません。常にゾーンの中に生きているからです。無意識でもものごとを完全にできるこの境地を楽しんでください。そうすればマスターの段階に入ることができます。今の状態に満足する心も大切ですが、変革の必要性を認識し、受け入れ、日本のよい面である規律・勤勉さ・礼儀正しさを安全ネットにして、可能性を信じて新たな「日本株式会社」に変革してください。

ページのトップへ

<第2部>

お客さまとのQ&A

お客さま:
日本のプロスポーツの監督には元スター選手が起用されますが、海外ではスター選手でなかった監督やコーチが多いと聞きます。この点についてどうお考えですか?

バクスターさん:
日本人はビッグネームを持つ人がいい仕事をすると考えていて、あまり有名ではない人をチームの監督やコーチとして雇うことを不安に思うようです。海外では、その人の活躍の経歴より、本当に監督にふさわしいかどうかで判断して雇うものだと考えています。

お客さま:
バクスター監督は、神戸のどこが好きですか?

バクスターさん:
私はジェームス山に住んでいますが、とてもいい所です。ハーバーランドやモザイクには、よく食事やショッピングに出かけます。それ以外にも、神戸にはたくさん好きな所があります。

お客さま:
試合前やハーフタイムには、選手にどんな話をしていますか?

バクスターさん:
試合前には楽天的に、リラックスできて神経質にならないように言葉を掛けています。ハーフタイムでは、前半がうまくいっているときには「このままがんばれ」と言います。前半があまりよくなかったときには戦術的なことと、気分転換になるようなことを、シンプルでわかりやすい言葉遣いで効果的に伝えるようにしています。試合前には、選手だけでなく私自身もナーバスになるので、気持ちを切り替えて平静になるようにしています。

お客さま:
バクスター監督の、心の中のバラの花は、どのくらい咲きましたか?

バクスターさん:
バラの花はたくさん咲きました。大切なのは日常的に咲かせ続けることです。常にすべての事柄にプラスの面を見つけようと考えています。例えば、昨日の試合は負けてしまいましたが、反省するだけでなく、その他にもプラス面を見つけるようにしています。1980年当時、私は何かしっかりとした基盤を求めていました。 “こういうふうに生きたい”とか、“自分という人間をこういうふうに他人に見てもらいたい”とそれを探していました。そのときに私のポジティブなプラスの第1ステップとして作ったのがこの詩です。神戸のみなさまは未来に向かって素晴らしい環境におられ、チャンスに恵まれていると思います。つまり、これからまさにジャンプしていくからです。神戸に生まれ、神戸に生きることは素晴らしいことです。

PHOTO

『ザ・グリード』
私の力は以下の資質の中にある
私の責任を引き受けるという力
私自身の道を進むという力
私の望むものを追求していく決心
質の高いクオリティを求める直感力
ダイナミックなイメージを威厳を持って表現してゆく私の能力
卓越を求める旅の中でリスクをあえておかす気持ち
妥協しないという気持ち
そしてフレキシビリティの力
夢を見るという決意
すべてを得ることができるという信念
賢明な人が言っていた
「夢と現実を隔てているのはアクションだけだ」

私は今日の講演の中でリスナーのアイデアやドリームに刺激を与えましたが、それを実現させるのはみなさまのアクション次第です。

ページのトップへ

Profile

スチュワート バクスターさん<サッカーJリーグ ヴィッセル神戸監督>

スチュワート バクスターさん
<サッカーJリーグ ヴィッセル神戸監督>
*プロフィールは、ご講演当時のものです。
1953年8月16日生まれ 。イングランド・バーミンガム出身。1971年18歳の時にイングランドのプレストン ノースエンドでDFとしてプロデビュー。以後、ダンディー ユナイテッド(スコットランド)をはじめ、スウェーデン、オーストラリア、アメリカの4ヵ国でプレー。オーストラリアでは、代表チームのキャプテンも務める。29歳で引退した後、1985年スウェーデンのオーレブロの監督に就任。ノルウェー、ポルトガルのチームを経て、1988年にはスウェーデンのハルムスタードを1部リーグ昇格に導く。1992年サンフィレッチェ広島の監督として来日。1994年Jリーグ第一ステージ(サントリーシリーズ)優勝に導き、その手腕を高く評価される。1995年1月からはJリーグ昇格を狙うJFLのヴィッセル神戸の監督を務める。
1998年ヴィッセル神戸を、見事Jリーグ昇格に導いた。

ページのトップへ

その他のゲスト

ページのトップへ