神戸学校

神戸学校はフェリシモが主催する「神戸発 生活デザイン学校」です。

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「ヒーリング クッキング ~コミュニケーションのための料理~」



<第1部>

今日はフードコーディネーターとしてヒーリングクッキングというお話をさせていただこうと思います。ヒーリングというのは「いやし」と訳されています。私はフードコーディネーターの仕事の他にもマスコミの写真で料理を表現していくこともしていますし、食べ物でヒーリングを行うこととか、いろいろしているのですが、みなさまの興味のあり方がわかりませんので、自分なりに進めていきたいと思います。私は普段、料理をする仕事をしていますので話すのがすっごく苦手なんです。もちろん、いまも緊張していますし、話が前後しちゃって、なんだかわからないところもあるかもしれませんが、途中で何かあったら、何でもいいですから声をかけてくださったらいいなと思ってます。
今日はここにお皿がありまして、この上にスパイスが並んでいます(中略)
また触ったり、においをかいだりしてみて欲しいなと思ってます。

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で、ヒーリングっていうことなんですけれども、近頃すごくヒーリングって言葉聞きませんか? 聞きますよね。フードコーディネーターっていう仕事は、雑誌とか広告とかポスターとかで、例えば夏だったら「冷たいシャブシャブサラダ」とかっていう特集があって、その料理写真が載ってる料理をつくるというような、写真のための料理をつくる仕事でもあります。よく、写真撮影用の料理って食べれないじゃないですかと言われますが、食べられます。ただし、アイスクリームはライトにあたって溶けてしまうので、マッシュポテトに着色して作ったりすることもありますが、基本的には全てちゃんと食べられるお料理です。
先ほどのヒーリングの話に戻りますけれど、いまヒーリングってすごくホットな言葉だと思うんですけれど、それはもう少し前なら、「○○療法」とか「セラピー」とかいう言葉で言われていたと思います。ヒーリングとは「いやし」のことなんです。私は今度、雑誌と広告の仕事をするんですが、ふたつともテーマは「ヒーリング」です。ごまを使った料理で、オードブルからデザートまでというコースをつくりました。もうひとつは製薬会社のポスターのイラストを描いてたんですけれども、製薬会社の薬自体はビタミンB2とB6をオフィスでストレスを感じてる若い女性の方に飲んでいただきたいというテーマでした。また、ジャスミン茶のイラストも描いています。「ヒーリング」という言葉で要求されるんですが、ヒーリングっていう言葉に対して自分はどうしていこうかな、皆さんどういうことを要求されるのかなとか、いろいろ考えちゃうんですけれど、マスコミで仕事をする時は、潔く出して言い切ることが大切なんですが、今日は生身の人間として、疑問に思っていることもぶつけていきたいと思います。

「ヒーリング=いやし」なんですが、若い女性たちの間から流行ってきた言葉なんですが「自分がいやされたい! いやされたい!」と言うのだけれど、じゃあいやしてくれるのは誰なんですか? と。で、私の思ってる疑問っていうのが、例えば、ヒーリングっていう言葉自体を求めるっていうことで言うと、わりあいと若い女性から浸透していった言葉だと思うんですけれど、若い女性がみんなで、いやし、いやし、ヒーリング、ヒーリングって言ってると、何かみんなで慰めあってるみたいでイヤだなあ、ほかに楽しみないのかなあとか、つい思っちゃったりするんですね。で、じゃ、自分がいやされたいなら、それをいやすのはいったい誰なんだろうなとか、そういう疑問も持ちますし、例えば、こどもを育ててる立場だったら、自分がいやされたいっていうよりは、こどもをいやしてあげたいって思うんじゃないかなと想像するんですね。では、私のようなひとり者が「いやされたい」って言うと、いったい誰のこと言ってんだろうみたいな感じがしまして「ちょっとわがままな言葉かな?」っていう気がして、最初、あんまり言いたくない言葉だと思ってたんです。
東京でいうとバブルがはじけた後で、何となくヒーリングっていう気持ちはわかるんですけれど、ヒーリングって言いあってたら何も経済発展がないのではないか? 経済なんか発展しないだろうっていう気もして、みんなでトーンダウンしちゃうのも嫌だなあっていう気持ちもあるんですね。みんなが本当に自然な色でくつろいじゃうような生活していったら、経済って沈むんじゃないかなみたいな心配もしたりもするんです。また、ヒーリングという言葉自体を商品として、流行の言葉として使うのもつまらないなぁと思ったりします。実際に仕事をする時に、いい食品を食べたいし、いい食べ方をしたいと思います。で、もうひとつあるのは、そう言いながら実際に仕事をするときに、ヒーリングって考えると、私はヒーリングってね、食べ物で自分の体が健康になったらいいなって思いますよね。いい食品って食べたいし、いい食べ方をしたいし、いい時期時間とか、タイミングを合ったもので、いい食べ方をしていたいと思うんですけれども。そう思うと、しょっちゅう食品成分表とか栄養の本ばっかり読んでるんですね。

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で、そうすると先ほど薬でも出ましたようにビタミンBとか、ミネラルとか、タンパク質とか、炭水化物とかじゃなくて、直接、血となり、肉となりっていうものじゃなくて、何かを助けていくような栄養素を摂ろうとすると、わりあいと本来の和食がいいんですね。季節に合わせて季節のものを食べるということが大切だと私は思うんですけれども、人と食事をするときって、あんまり知らない食べ物とか知らない調理法だったり、慣れない味だったりするのって嫌じゃないですか? やたら自慢げに「これは○○風味の○○でございます」みたいに出されても、それはくつろいで食べるっていうのとちょっと違うんじゃないかなって考えてます。安心できる調理法で料理されたもの、私が思うヒーリングの食事は、和食だと思っています。
例えば、豆腐とわかめの味噌汁っていうのは体にいいですよね。朝ごはんに飲まれると体にいいですよって提案したくても、そのままだと、雑誌にドンと、豆腐とわかめの味噌汁が載ってても「あら、知ってるわ。そんなもの、わざわざ見るもんじゃないわ」って思われちゃうんですね。何か変えてみようと、そこに新しい情報提供をしていく工夫が必要になってくるんです。例えばそれが同じ豆腐とわかめでも、イタリア風にするとか、みそ汁の中にハーブを加えるとか、サラダにしてその上にトマトとか赤ピーマンなどの色を効かせないことには、人が見ても「今日これ作ってみたいわ」って思う写真にならないですね。この点が、いつも疑問に感じている点なんです。地味な色使いの料理をわざわざ作って食べたいとは思わないかもしれないと思います。やっぱり人って、くすんだような色の料理っていうのは、わざわざ食べたいと思わないかもしれないって思う部分です。スポーツをした時にはクールダウンをしますが、料理でもクールダウン的な料理も作ってみたいなと思います。クールダウンを料理に求める必要はないとも思いますが、外向きにならなくてもよい料理というのも考えてみるとおもしろいのではないかと思っています。で、スポーツするときなどに、スポーツします。で、いまします。スポーツする前っていうのは、準備体操、ウォーミングアップをします。スポーツしたあとっていうのは整理体操っていいまして、からだを普通の状態に戻していくんです。激しい運動をしたあとで、そのままズバンと運動を止めちゃうんじゃなくて、クールダウンっていう整理体操を必ずすると思うんですね。で、いま求められてる、自分はできないですけれど、これからやるとしたら、そのクールダウンという部分の料理っていうのがつくってみたいなっていう気はします。クールダウンっていうのは、もしかして外向きの料理じゃない、だから、外でレストランに行って食べることはできないんじゃないかな、どんな料理になるかわからないけれども、クールダウンっていう料理だったらば、いままでない考えかも知れないし、自分としてはそのことも考えながら、外向きになんなくてもいい料理っていうのがあるなら、ちょっと考えてつくってみたいなっていう気もしてます。ちょっと分かりにくいでしょうかね。

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ヒーリングっていう言葉の正反対になるんじゃないかなっていうスライドを持って来たんですが、だいたい10年から15年前ぐらいにつくった料理写真です。そのころの私は20~30代で「人と同じにはならないぞ!」と思っていて、パワーに満ちている時のものです。 私は「優等生にはならないぞ!」と脇道にそれるとパワーが出てくるんです。なぜかというと、私は高校生ぐらいの時から味覚音痴と言われていたんです。小学校や中学校では給食とか弁当を食べていたので何も問題はなかったんですが、高校生になると他人と食事をする機会が増えてくると、自分の家の食生活が他人とは違うということがわかってきたんです。「こんなものが食べられないの?」とばかにされたりしました。いわゆる世間で言う料理の本というのは「女ならこれができないといけない」というような良妻賢母を作り出す内容のものばかりでした。これじゃあ私の生きる道はないぞ! というような気持ちになり、私はそれに反発しました。そのころの私は20代の後半から30代前半で、もう、元気がよくて、元気がよくてしょうがなかったんですね。で、元気がいいっていうのはなんだっていうと、優等生には絶対にならないぞっていう宣言したような感じの元気のよさなんです。もちろん人と一緒に同じ道を努力していくと一所懸命努力しなきゃいけない方向が決まってくるんで、どうしても競争のなかに入ってくるから大変じゃないですか。でもちょっとわき道へ出ちゃうと、ちょっとの努力でもピンと出るような気がして、ちょっと間違った方向かもしれないですけれど、すごいパワーがあった時期なんですね。で、なんで優等生にならないぞって思ったかというと、それももしかしてヒーリングなんかと関係あるのかなあと思って、今日は全然違いそうなスライドを持って来たんですが。ずっと高校生ぐらいから味覚オンチっていわれてたんですよ。実際、偏食も激しくて食べれないものだらけだったんですけれども、小学校とか中学校とかっていうのは、人とごはんって、お弁当食べたり、給食食べたり、あんまり自分の地っていうものを人に出さないですんだんですけれど、高校ぐらいになると付き合いが親密になるので、夕飯を友だちと一緒に食べちゃう機会とか出てくると、人の家と自分の家が、何か食べてるものが違うなってわかり始めたり、自分の食べ方どうも変だなあと思ったり、そういうことがわかってくるとしんどくなっちゃって。

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うちでは食べてなかったから、それが自然だと思って来たんだけれど、人と比べるとこんなに違うんだとか、こんなものは食べれないってバカにされるんだっていうのか、ちょっとしんどくなっちゃって。で、引っ込み思案になっちゃったんですね、食べることに対して。で、次に思いついたのは、じゃあ優等生になんないだって、良妻賢母になってたまるかみたいな感じで、だんだんまともな家庭科教育みたいなものに反抗し始めまして、だいぶ前ですよ、だいぶ前ですけれども、そのころ、世間でいう料理の本っていうのは、ほんとに良妻賢母をすすめるような料理だったんですね。(何となく思いあたるでしょ。オムレツのおいしいつくり方とか。あたり前ですけどね。)あたり前なんですけれども、自分に呪縛みたいなもの? 女の人はこういうことはできなくちゃいけないっていう、型にはめられちゃうような気がして、それだと自分の生きる道はないぞって思いながら、じゃあもっと違うところがあるんじゃないかって思い始めたようなスライドをたくさん持って来ました。前触れが長いですけれども、見ていただきたいと思います。

(スライド)
これは古いんですけれど、最近よくありますけれど、百貨店の小冊子のための料理写真なんですけれども、百貨店に売ってるものしか使っちゃいけないから、限られた状況なんですけれども、これは、「クレーマークレーマー」というビデオの1シーンから。

(スライド)
フレンチトーストをつくりました。

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これは、「誰がために鐘は鳴る」っていう。神奈川県にある油壺で写真を撮ったんですけれども、こんな洞穴みたいなところでピクニックしたら楽しいだろうなって考えながら料理しました。

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スペインの豆料理をつくってます。

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これは、「シェルブールの雨傘」で、冗談みたいなんですけれども、百貨店にはブラウス、いっぱい売ってますから、ブラウスと同じ色のパフェをつくりたいなと思って。パフェをつくりました。

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レモンシャーベット。これは写真の技術ですけれども傘の間からシャーベットが覗いてるようになってます。

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これは、「スティング」。「スティング」のポール ニューマンが食べる料理。そのころ、ポール ニューマンのフレンチドレッシグとか、トマトソースとかが売り出されて、俳優がトマトソースつくっちゃたりするんだって。料理に明るい夢を見たような気がしました。

(スライド)
これは、「ゴッド・ファーザー」。マフィアの親分みたいな帽子を手前に置いて、向こうに食卓が見えるようにしました。

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五感を使って……

人間って、感覚っていうものを生まれつき持っています。見たり、食べたり、聞いたり、においかいだり、触ったり、五感っていうのは、やっぱり使っていったほうがいいんじゃないかっていう、あたり前かもしれないですけれども思います。使える機能は使っていくっていうのも大事じゃないかなって、使っていくと健康になると思うんですね。耳をふさいじゃうよりは、何でも聞いとこうっていうほうが、おのずと音の違いがわかったりするんじゃんないかな。味だって食べもの好きって言ってる人と、食べること自体あんまり好きじゃない人とは楽しさが違う、食べものから得る情報ってのが、ずいぶん違ってくると思うんですね。
同じ食べるということでも、味覚など五感を使って食べる料理というのは、流行の影響を受けやすいんです。マスコミの中で仕事をしているので直に流行の影響は受けますが、その中で変わらずにやっていくためには、五感を使っていくことが大切だと思います。立派な何とか料理長っていう人だったら、自分の料理って言ってポンと出していくこともできるかもしれないですけれども、私はマスコミのなかで仕事をさせてもらってる以上やっぱり流行をじかに受ける気がするんです。で、そういうなかで変わらずにやってることっていうのは、五感を使っていく、常にやっていくのは五感を使っていきたいなって気がしてるんで、今日はスパイスを持って来ました。

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去年から今年にかけてはハーブが流行っています。女性からの質問もハーブについてが多くなりました。ハーブは女性の間では人気があるのですが、だんなさんにはあまりうけないことが多いんです。男性というのは女性より保守的な人が多いようで「こんなもの食べたくない」ということになるんですが、最近はガーデニングが流行ってきて、草花を育てることがこんなに楽しかったのかと、男性が自宅でトマトを育てたりする機会が増えてきました。バジルとかイタリアンパセリでも、買ってきたものは嫌でも、自分の庭で育てたものには愛着があって食べるということがあるんです。そんなふうに今はハーブがブームです。一時期スパイスの本もたくさん出たりしたんですが、スパイスのブームは少し落ち着いてきたようです。6種類の「ワールド七味」を作ってみました。昨日ブレンドしたものです。
考えたのは若い時で、食生活をどう楽しむかを考えて作ったので、これは何に効くとかという効能はありませんが、結構何にでも効くように思います。今日お持ち帰りになっていただくのは、本当にちょっとの量なんですけれども、自分のスパイスを見ながら何々に効くなって読んでください。またこういうところから、持ち帰っていただいて、ご自分でミックスしていくこともできるんじゃないでしょうかね。スパイスって、なんとなく刺激されるようなもんだと思うんですね。それがどんなふうに体に作用していくのか、私はわからないんですけれども、漢方の効用があるものというのは、ヒーリングにつながっていると思います。

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食べ物と色について

もうひとつ今日ね、サマープティングのレシピを書いてきました。食べものって、やっぱり色ってすごく影響するんじゃないかと思うんです。元気のいい赤とか、黄色が入ってる料理っていうのは元気を付けようっていうときに食べると思いますし、青とか紫っていうは内面に引きこもる色なんです。紫色が気になってしょうがないっていう方は、いま私は休みたいって考えてるんじゃないかって、思ってみてもいいんじゃないかなと思うんです。黄色を身につけたいなって思ってるようなときは、社会に関わりたいと思ってるようなときだと思います。だから朝ごはんに玉子料理なんかいいのかもしれない「さあ、会社行くぞ!」みたいな。普段料理って自然に色合いっていうのも取り入れてますけれど、意識してみると納得いく部分があります。人工着色料を使った料理というのもこれからは使わなくなってくると思います。冷や麦の中に1~2本赤や緑のものが入っていることや、みつ豆の中にピンク色の寒天が入っていることも、料理をさらに引き立てる役割をしていて、天然の素材で色がついているということは生活の中でメリハリをつける役割をしていると思います。

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祭りの日の料理は派手な色がついているものが多いのですが、ナチュラル思考のおかげでその色がなくなってしまうのがはたしていいことなのだろうかと考えたりもします。例えば、ミツマメでピンクの寒天入ってたり、そういった楽しみって、あったと思うんですけれども、それを人工でやっちゃこれからダメだろう、何とか天然の、いい素材で味も無理しないで、色が付いてたら、生活のなかにメリハリをつけていけるんじゃないかなって思って、サマープティングのレシピを書いてきました。簡単に説明しちゃうと、容器の内側にサンドウィッチ用の薄いパンを貼り付けるんです。形をきれいに整えて、そのなかにブルーベリーのよく煮たのを押し付けて、パンにしみ込ませるんです。だからジャムパンなんです。これはイギリスの伝統的なお菓子で、意外と食べにくいものだと思うんですけれども、でもすごくきれいな色なんです。で、私はジャムパンのままじゃ嫌だなと思うから、レシピにはマスカルポーネ、ティラミスで有名になったイタリアのチーズなんですけれども、マスカルポーネを入れたレシピにしました。こんなふうなきれいな色の料理っていうのは覚えておいてもいいのかな、また着色の仕方も覚えておいてもいいのかなって思うのは、日本だって外国だって、お祭りの日の料理っていうのは結構派手な色が付いてるんですよね。そんなものが、本当になくなってもいいのかなっていう疑問、本当になくなっても、みんな楽しいんだろうか、そう思うと何か別の方法で考えていけたらいいなって思います。

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<第2部>

お客さまとのQ&A

お客さま:
今回のボーナスでタコ焼き器を買おうと思っています。身近な好きな食べ物のなかでヒーリングを感じられるようなスパイスがあれば素敵なことだと思います。タコ焼きに合うスパイスはございますか?
(会場:笑)

ハギワラさん:
タコは入れるんですか? 大きいタコが入ってて、タコに対して、どんなスパイスを使うかってことですか?

お客さま:
タコ焼き全体のコーディネートとして。
(会場:笑)

ハギワラさん:
タコがあるかないかで違ってくると思うんですけど。私は変なこと好きですから、たいてい変なものってやってみるんですけど。青海苔がいちばんいいとして、あえて別のスパイスにはしないですね。もしやるとすれば、タコの部分から替えていく。例えば、ウナギを入れたとします。そしたら、フェンネルと山椒と一緒に混ぜて入れたりしますけど。大阪のタコ焼きだったら、手を出さないほうがいいですよって言います。
(会場:笑)
(関西のタコ焼きは本当においしいですもの。それをいかに口あたりよく、レベルアップさせていくかのほうに勢力を注いだほうがいいんじゃないでしょうかね。

お客さま:
敬老の日に祖母を家に招待して、京都の料亭風の料理を味わってもらおうと考えています。よりその場が盛り上がるようなアイデアや簡単で料亭気分が味わえるような、お料理を教えてください。

ハギワラさん:
私はそういう場合は、面倒くさいですけれど食器の数を増やします。何でもかんでも分けて、小さく小さく食器の数を増すようにします。そうすると、手間が京都風っていう感じにもなったりするんじゃないかと思うんです。あと、京都のハーブをあしらってみてはどうでしょうか? それと、京都の柑橘類とか。それもくり抜いて器に使ったり。料理以外のところで手間をかけるっていうのも、京都の粋さじゃないかなと思いますけれど。あと調味料なんかは、現地のものを使うようにします。いかがでしょうか?

お客さま:
私はすごい偏食で、どちらかというと虚弱体質です。体にいいという食べもの、レバーであったり、生玉子であったりを食べたいんですが、食べられる工夫を教えてください。レバーのにおいを消したり、食感を変えたりするのは邪道なんでしょうか?

ハギワラさん:
いいえ。
(会場:笑)
マルサラっていう赤ワイン系の料理用のお酒があるのですが、このお酒っていうのが好き嫌いがある人には「持って来い」。料理に使うと、味がわからなくなるってのも変ですけれど、食べやすくなります。レバーなんか特に使っていただけるといいかなと思うんです。偏食っていうのは、なくしたほうが人付き合いは楽になるような気がします。何でも食べれるほうが楽は楽です。マルサラワインで克服してください。

お客さま:
もう少し詳しく、クールダウン料理について、お聞かせください。

ハギワラさん:
私たちの生活の中には、クールダウンっていう料理はないって考えていいんじゃないかなって思っています。入院したとか、自宅で療養してるとか、そういう人が召し上がる料理を一応クールダウンと考えていいんじゃないかなと思うんですね。私たちが食べるっていうのは、痛んだところから平常に戻すっていう役割ではないですから、病人食っていうふうにとらえていいんじゃないかなと思います。病人食って、見ておいしそうに思ったことないじゃないですか? もうちょっと何かできるんじゃないかなって思っています。

お客さま:
甘いものは思考回路を麻痺させるっていうことを聞いたことがあります。悩みやストレスがあるときに欲しくなると聞きますが、実際はどうなんでしょうか?

ハギワラさん:
本当です。甘いものとか、太るから避けたい気持ちってありますよね。砂糖って、ただ甘いだけのものなんだって考えることもありますけれども、イライラを静めたり、という効果があるんですね。ギスギスした気持ちになったら、砂糖だって食べたっていいんじゃないですか。と思います。

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お客さま:
ウナギと梅干っていうのは食べあわせが悪いと言われています。スパイスでこれだけはしてはいけないっていう組み合わせがあったら教えてください。

ハギワラさん:
ウナギと梅干とかも、言い伝えだから違うって言う人もいるんですね。実際には人それぞれじゃないかな、みたいに思ってるんです。私たちは常時50種類ぐらいのスパイスを混ぜて使うんですけれど、スパイスも合わないっていうのはないような気がしますね。

お客さま:
貧乏人のキャビア、悪人のソース。ネーミングに魅かれました。どんな味ですか?
(会場:笑)

ハギワラさん:
貧乏人のキャビアはリッチだけれども、超リッチじゃないない味。オリーブオイルとかニンニクとか、味はしっかりきいているから、ある程度リッチなんです。でものけぞっちゃうほどリッチな味じゃないっていう感じですかね。悪人のソースはビリビリカラカラです。とり肉なんかに付けて焼いたりするときに刺激的な味になるようなソースの味なんです。ちょっとも答えになってないのかなあ。いじめられたような味って言わなきゃいけないんですかね。

お客さま:
はい、ありがとうございました。イメージがふくらみました。

お客さま:
今回のお話の内容、構成も決して優等生にならないぞというポリシィが感じられました。
(会場:笑)
そこで好きな芸術家、あるいは影響を受けた人はいますか?

ハギワラさん:
いっぱいいます。学校の教科書に載ってるような人みんな好きだったり、真似して書いたりするのも好きです。私だけがこの人のよさを発見したんだっていうような人は全然知らないんです。教科書に載ってるような人から影響を受けてます。ピカソなんか好きです。

お客さま:
毎日のお食事は、どんなことに気をつけて摂られていますか?

ハギワラさん:
私はひとり暮らしなんですね。自分のために時間を使わないっていうのに、気をつけてますから、仕事で手間かかる料理つくっても、自分のためにはいかに早くできるか、早い時間で食べようとします。仕事に手間ひまかけて、自分に手間ひまかけて、それが仕事につながって、それが人に伝わっていくんだっていうこともチラッと思うんですけれども、いまはそんなことやってる時期じゃないっていう気もしますんで、時間をおしんで時間を貯めとけば、人に食べさせてあげるときに、手間がかけれるんじゃないかと思っています。

お客さま:
フードコーディネーターになるには、どうしたらなれますか? いままでの経緯をまじえてお話くださるとうれしいです。

ハギワラさん:
みんながみんな同じじゃないかも知れないですけど、美術大学で学んだんですけれども、学校にいるときから劣等性で、こりゃダメだ、っていう気がして、デザインの仕事に就けないような気がしまして、デパートにアルバイトとして入ったんですけれど、そこで布団を売ってたんですね。そしたら、布団も奥が深くて。この布団に対して、このカバーは合うのか、縮み率とか、いろいろな座布団とか、たくさん勉強するものがありました。商品とお客さまの意見が違ってる部分があるんじゃないかと思いまして、メーカーさんに、こうお客さまから言われたんですけれどって言ってみたんですけど、一介のアルバイターのいうことなんか聞いてくれないもんですから、毎日日記につけてまして、それをインテリアの雑誌に持って行ったのがきっかけで、インテリアの原稿書いたり、スタイリストになりました。そうしていくうちに、寝ることだけだと、すぐ仕事がなくなっちゃうと思いまして、何でもやりますって頭下げてるうちにテーブルの上まで、そうしてるうちにフードコーディネーターになりました。

お客さま:
いちばん大切なものは何だとお考えになりますか?

ハギワラさん:
愛です。
(会場:笑)
みたいな。違うか。フードコーディネーターになる上では、なりたいって思うことじゃないかなと思います。

フェリシモ:
ありがとうございます。最後に神戸へのメッセージをお願いします。

ハギワラさん:
去年1回仕事の買出しで神戸へ来させてもらったんですけれども、車に乗せてもらって走ってたんです。いろいろな所を回って、戻ってきたら気持ち悪くなっちゃったんですね。普段、車に酔うなんてことないからどうしたんだろうって思ったら、表面はきれいな道路に見えるけれど、本当はガタガタだったんだとって思ったら、痛みをすごく感じました。表面から見ただけではわからないこともたくさんあると思います。元気いっぱい、いいものいっぱいつくっていって欲しいなと思います。神戸はいい街です。

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Profile

ハギワラ トシコさん(フードコーディネーター/イラストレーター>

ハギワラ トシコさん
<フードコーディネーター/イラストレーター>
*プロフィールは、ご講演当時のものです。
東京生まれ。1977年、武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科卒業。1981年、ケータリングサービスとフードコーディネイトのスタジオ『CUEL』を始める。現在は広告、出版のフードコーディネーター、イラストレーターとしても活躍。著書に『ワンダフルバースディーズ』(マガジンハウス)『フードコーディネーターになりたい』(同文書院)の他、共著に『勝手におやつ』(文化出版局)などがある。

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