神戸学校

神戸学校はフェリシモが主催する「神戸発 生活デザイン学校」です。

  • 喜納 昌吉さん(歌手)
  • 喜納 昌吉さん(歌手)

プロフィールを読む

現在表示しているページ
フェリシモ
> 神戸学校
> 喜納 昌吉さん(歌手)レポート

「神戸は、「神のとびら」 ~未来へのドアをあけよう~」



<第1部>

争いのない世界を

(蛇皮線を手に「いつか必ず金網の無い世界を」というメッセージの歌を歌唱)

PHOTO

私は非常に大和という言葉が好きなんですね。大きい和と書きますからね。大和がテーマなんです。まず平和ということを考えた時、僕らは経済的にも生活する上でも自衛隊は仕方ないだろうという風潮になっています。だから、日米ガイドラインであるとか、有事立法であるとか、だんだん憲法改正になると徴兵制になったり、不況を乗り越えるために軍隊に頼るようになっています。
沖縄に生まれ、沖縄の現状を歌う自分の立場から、大和の人とどういう21世紀を迎えたらいいのかを考えると、やはり答えは争いのない世界ですね。全世界が武器を持たないことを理想とすることから出発し、人種や宗教が争わないためにできることとして自分は音楽や、創作活動をしようと思います。
今日神戸に来るまでにいろいろなことを考えました。神戸は神の戸で、ここから大和へ広がる。淡路島にはイザナギ神社がありますよね。イザナギ、イザナミと日本史とはどういう関係があるのか。かつて平安時代、京都、沖縄の神話と大和の神話との関係。大和民族はどこから来たんだろう。日本人とどういう関係があるのか、日本人のDNAをみると、アイヌが8%、それから琉球系が19%、固有の人種の日本人周辺固有は4%しかないんです。中国系30%、朝鮮系24%という、この数字はどういうことを表すのか、有史以前から形成されてきた固有4%はどこから来たのか、などです。

ページのトップへ

すべての人の心に花を

チグリス・ユーフラテス、旧約聖書や仏教、ヒンズー教的考え方、日本には神道もあるし、そういう心を持った民族がどこかで和合することができると平和がつくれるのです。日清戦争や、日中戦争などその歴史をたどっていくと、黒船が来たり、それを元にして八紘一宇、右翼や左翼の台頭、子が親を親が子を殺し、兄弟が兄弟を殺す時代背景がある。無限のカルマがあって私たちはここまでたどり着きました。しかし、人類は過去3000年の間に5000回もの戦争をしてきたといいます。日本は50年間平和だった。これは何なのでしょうか。

PHOTO

現在この地球上には、地球を7回以上破壊する核兵器と2500回人類を殺傷できる量の化学兵器が存在すると言われています。70万人の学者が気象兵器やプラズマ兵器、化学兵器を作るために働いている。一回滅ぼせばおしまいになるのに2500回も滅ぼせる兵器を作っている。破壊兵器を作るのは愚かしいことです。私はおかしいということを言っているのです。「すべての武器を楽器に、すべての基地を花園に、すべての人の心に花を、そして戦争より祭りを」と言っているのです。日本は沖縄を世界にプレゼントしなさい。日本の50年間の平和は何だろう? と思います。

ページのトップへ

人の理想と現実のギャップ

人は死んだ平和運動よりも生きた戦争の方にひきつけられると確信しています。なぜかと言いますと、人が興味を持つのは人間の不幸で、悲劇が話題になるのは人間の心理として他人の不幸を喜ぶことからきているのです。そういう人間の心の一面を認めないと前へ歩けないのです。

PHOTO

神戸の震災は完全に復興していないと思います。PKF(国際連合平和維持活動)で外国には80億も使うのに、どうして国民に大盤振る舞いできないのか。人々がしあわせになると困る人がいるのでしょうか。本当の平等とか生命の満足度は不完全です。地球の資源、鉱物、食料などの恵みが何に変わるかを考えると、全部軍隊に変わって、武器と経済の社会を作り、最後は破壊に行ってしまうのです。アメとムチで沖縄は飢えて、豊かさと日本の平和の代償に米軍基地を抱えるという運命を背負って立つ場所になった。物質的に豊かにはなったが、輝きがなくなります。生活空間が人質になっているのです。サミットではっきりしたメッセージを出し、理想を持つことが大切です。

ページのトップへ

和合するということ

我々は水も空気も無限で永遠のものと、母の愛は無限だと思っている。自然という当たり前の物を大事にし、無限の物と永遠に付き合い、人類が和合する為にはチャンネルを変える必要があります。それは決して革命を起こすということではありません。
ノーベルが実用したニトログリセリンから生まれてしまった爆弾によって何億もの人が亡くなりました。ノーベルは平和賞を出してそういう亡くなった人たちの供養をしました。 原爆と太陽、太陽も核融合しているという相互関係があります。水と緑と空気は我々の生命を育むバランスがあるのです。太陽、惑星、宇宙の法則がどうなっているか自ら答えが引き出せるというわけです。
人間の理性が和合のヒントを与えます。数字の概念は実験的に証明できますが、倫理的には証明できません。0(ゼロ)という概念。0(ゼロ)は「ナッシング」と「オール」という考えがあります。ないという概念。ベクトルでマイナスになるがゼロということではありません。お金がなくなる。そうはならない。借金がゼロになったらプラスになる。バランスという概念になる。人間の理性、心と物質のバランス。無限の時間を凝縮すると瞬間になる。

PHOTO

日本人って何なのでしょうか。日本が和合すると、日本に住みたい人をひとつにすることができます。人類は東洋と西洋を和合させる時期が迫っています。世界は宇宙の情報を手に入れてしまいました。禁断の木の実を食べてしまいました。心の変容を遂げる時期が来たのです。
日本が選ぶ道は平和の道を選択して諸外国と堂々と付き合うことです。 ますらおのための文化だけでなく、アイヌの新法が成立しました。沖縄はお金をあげると満足するんじゃないのです。どういうところで満足するかというと、観光は「光を観る」と書きますが、そこに住んでる人々が生きてきた命の輝きとその歴史の中に蓄積されてきた文化や芸能の輝き、それを見守ってあげることです。アイヌや沖縄、さまざまな文化に輝きを与え、その輝きの融合体が日本になるのです。
皆が手を取って生きるためには、先祖を登場させて和合させることです。生きた人の心が、亡くなった人の供養をする。長崎の原爆で亡くなった人の供養をすることで心が和む。鎮魂を考える。僕は音楽で和ませる。シリアスなレベルです。

ページのトップへ

植民地沖縄

沖縄の住民運動、沖縄は鹿児島の植民地でした。
土地をだまし取られ、出稼ぎに行った神戸で発狂して沖縄に帰った宗山事件。明治維新のヒーロー西郷 隆盛は奄美大島に流され、許せないことをしました。奄美の人はとても大事にもてなし、琉球王朝の血を引くあいがな(愛加那)と結婚してこどもをふたりもうけました。奄美の人が島津藩に人頭税がきびしいので緩和してくださいと申請に行くと、西南戦争に駆り出され40名のうち6名しか帰って来なかった。こどもを引き取りに来た島津藩は奄美人あいがな(愛加那)を嫁と認めず、あいがな(愛加那)は発狂して亡くなってしまいました。
現在の官僚制度は大政奉還から続いていますが、本来民族主義というのは国家に根を置く、民族性は地球に根差しているのです。民族性に目覚めてこそ地球はひとつ。人類はひとつなのです。

PHOTO

戦争が始まったらいちばん危険なのは沖縄であると、野呂田長官(講演当時)が発言しました。正直な人だと思いました。今こそ本当の民族性に目覚めた人が出てこなければいけません。というのはオゾン層の破壊や熱帯雨林の消滅など、ヒトが国境を越えて地球規模で破壊してしまい、今や人類存続の質まで問われる時代になったからです。これでは戦争がなくても人類は滅びるだろうと思います。これを越える方法は民族性に目覚めたヒトが地球に根を置いて新しいシステムを考え出さなければ21世紀の地球に未来はありません。
「猿も木から下りる」という言葉があります。えさを得るために木から降りて、だんだんと歩くようになって人類の歩みに繋がって行く。文化、主義主張、その他生きる営みのあらゆるものが木にぶら下がっていると考えることができます。
人は人に愛されるより、自分が他を愛する方がはるかに楽です。でも、一方的な愛からは本当の愛は生まれないでしょう。それと同じで、今ある一方通行の社会通念は間違っています。それを乗り越えたところで新しい文明の木を植えるときです。それができたら日本から本当の光を出すことができるでしょう。

ページのトップへ

<第2部>

お客さまとのQ&A

お客さま:
喜納さんのご自信の音楽活動をインスパイヤしたものや、コラボレーションで生まれる新たな可能性について語ってください。

喜納さん:
コラボレーションっていうのは、あらゆるものが出会っていくということだと思うんですね。あらゆる物が出会ってミックスしてまったく新しい次元に物をおこしてジャンプしていくという、創造のエントロピーというんですけどね。ただミックスしただけではダメですから、創造性を秘めなくちゃいけないと思っています。

お客さま:
小さいころから蛇皮線を弾かれていたのですか?

喜納さん:
小さいころからです。父が伝統音楽の出身ですからね。沖縄の伝統音楽は古典といわれるものと、民謡といわれるものがあります。武家社会がやる音楽と庶民がやる音楽はたくさんあって、父は元々は武家社会の世界からきたんです。しかし貧乏でしたから免許がとれなくて、貧乏人に免許を出したら困るっていうのがあったのか、それで父は憤慨して民謡をやるようになりました。それから弟子たちがたくさん集まってきました。私は習わなかったんですけど、父を尊敬していまして、誰もいないときに鏡を見ながら父の真似をしていました。

お客さま:
三味線を習っているのですが、三味線と蛇皮線はかなり違うものなのですか?

喜納さん:
沖縄では三味線という言葉は使わず、三線といいます。蛇皮線は、三を蛇に、味を脱皮の皮に置き換えた遊び用語ですね。それが100年後には三線と書いて蛇皮線と読むようになったりするのではないでしょうか。だから正当な名前ではないですね。

お客さま:
私はダイビングをするのですが、沖縄の方たちはどう思っているのでしょうか? ダイビングをすることによるサンゴの破壊、経済的なうるおい、そのことについて教えてください。

PHOTO

喜納さん:
最近エコツアーという概念がありますね。しかしまだ文明のエゴで言葉の域を出ていない。動物保護運動でも、人々は動物を守るが、ネイティブのことは守らないんですよ。我々は動物でも人間でもないです。それはネイティブですからね。人権運動家ってのは、動物保護運動はやるんですけど、絶対ネイティブの先住民の権利を守ろうとしない。そこに文明のひとつの正義の仮面が剥がれますね。だから要は行くことが問題ではないんです。沖縄を好きならば、自分の住んでいる土地、東京の方なら東京、神戸の方ならば本当の神戸を愛して沖縄に来てくださいということです。神戸を愛することができる人が沖縄を愛することができるんです。だから「東京が嫌だから私は沖縄が好き」っていうのは嫌いです。それは逃げてるのに過ぎないんですね。地球上どこでも同じように考えなくちゃいけないんです。責任を持ち、義務を果たしたところではじめて、我々は権利というものを主張することができる。やはり義務なき権利というものは不毛なんです。そういう気持ちがあればいいのではないでしょうか。神戸の愛を持って沖縄に来てください。

お客さま:
経済活動と自然破壊は相互関係にあるので、倹約の心を持って質素な生活を喜納さんにもっと訴えていただきたいです。

喜納さん:
倹約というのはよくないんですね。ぜいたくというのも必ずしも悪ではない。本当のぜいたくというのは、決して貪ることではないんです。風を感じ、花を慈しみ、人々の心を受け入れる、これが本当のぜいたくなんですね。だから本当のぜいたくを知った者は、きっと質素でもあるはずなんです。ただ欲望という快楽に流れてしまった者が、ぜいたくという表現をされてるんですけどね。我々は本当のぜいたくとは何かということを考えなくちゃいけないんです。その時、本当の質素の美も感じることができる、物を大切にすることができると思うんです。例えば、水を飲みます。H2Oだけ飲む人もいる。しかし、あなたが運んできた、あなたの運んできた気持ちも、このコップを作った人の心も、雨や風の恵もすべて飲み干すこともできる。「一切飲み干す」っていう概念が日本の文化にあるんですけど、そういうことを取り戻せばいいのではないでしょうか。

ページのトップへ

神戸へのメッセージ

神戸はいちばん日本の中で新しい物好きが集まっている。地震によって被害を被ってしまったけれども、これからの街づくりに自然との共生、歴史と歩調を合わせるという見本を示し、人類のひな型になる街になってほしいです。

ページのトップへ

Profile

喜納 昌吉(きな しょうきち)さん<歌手>

喜納 昌吉(きな しょうきち)さん
<歌手>
*プロフィールは、ご講演当時のものです。
1948年、沖縄県・コザ市生まれ。1968年「喜納昌吉&チャンプルーズ」を結成。1977年、同名タイトルのファーストアルバムをリリースし、全国ツアー開始。1980年、セカンドアルバム『BLOOD LINE』をリリース。ここに収録された「花(すべての人の心に花を)」は、国内では石川 さゆり、河内屋 菊水丸など、また海外ではエミール チョウ(台湾)、デビッド リンドレイ(米国)など世界中のアーティストによってカバーされ、各地でヒット。ロングセラーとなり、発売以来13年を経た1993年、この楽曲の国際版コンピレーションアルバムを発売する。翌94年、『花』が中国でヒット、中国でのコンサートが実現。また同年、ユネスコが主宰し、奈良・東大寺で開催された「グレート・ミュージック・エクスペリエンス」でボン ジョビ、ボブ ディランら世界のトップアーティストと共演。またアルバム「ペパーミント・ティーハウス」を15ヵ国でリリース。1996年、レコード大賞特別賞受賞。

ページのトップへ

その他のゲスト

ページのトップへ