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神戸学校はフェリシモが主催する「神戸発 生活デザイン学校」です。

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「美しくなるために~自分に恋する方法見つけたい~」



<第1部>

宮森 隆行さんの最近のお仕事
そして忘れられない出会い

フェリシモ:
宮森さんはメイクを手掛けられる方と仲よくなられたりするのですか?

宮森さん:
プライベートまで仲よくしないようにはしてるんですが。「他人にさわる」っていうのは大変なことだと思っているので、言葉ではなく行動、態度をきちっとすることで仲よくしていきたいなと思っています。

フェリシモ:
いろいろな女優さんやタレントさんに公私に渡って信頼を得られていて、宮森さんにプライベートな髪型とかメイクもしてほしいとおっしゃる女優さんがすごく多いと伺いました。

宮森さん:
メイクはあまり言われないんですが「髪の毛切ってほしい」ということは多々あります。光栄なので、なるべくさせていただいています。脚本家の北川 悦吏子さんはヘアメイクとか美容師を男の人がやってるのは「いかがなものかな」と思ってたらしいんですよ。僕と会って、いろいろ話することによって「美容師のドラマをつくってみようかな」と思ったそうです。

フェリシモ:
北川さんも、宮森さんにメイクをされて変わられましたか?

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宮森さん:
髪の毛をいつも切らせていただいてるんですが、北川さんは「自分は『このくらいなんだろう』とか『こういうタイプなんだろう』」っていう想いがあったと思うんです。それを大胆に髪の毛を切ってあげることによって「こういうのもありなんだろう」と変わってこられたと思います。僕は普通の人もメイクする機会も多いんですが、自分で「自分はこのくらいだ」と限界を決めない方がいいだろうなと思っています。やっぱり「もっとかわいくなりたい」「もっときれいになりたい」という想いがあってこそ、少しずつ変わっていけるんじゃないかなと思います。

フェリシモ:
今までいろいろなお仕事をされてきた中で、忘れられない出会いはありますか?

宮森さん:
以前こちらの神戸学校にいらしたひびのこづえさんとの出会いも忘れられない出会いです。いまではひびのさんの作品ほとんど一緒に、ヘアメイクとして参加させていただいています。「ものをつくる」ということが「飽きさせない」って言うんですかね。ふだん僕らがこうやって着てるものっていうのは商品ですから、次新しいもの買って、飽きる時もないとサイクルがまわっていかない。でもこづえさんの服は作品なんで、時代が変わっても、時間が経っても、古びていかない。それでメイクする時には、普通のファッションの時とは変えて、ひびのさんの作品に「これは95年くらいのものだな」っていうのを、僕のメイクやヘアで特定されたら困るので、それはものすごく注意しています。同じように古びないようなことを考えたり、人が見たことないようなことを意識してするようにしています。要請されてるわけではないんですけど、ひびのさんのものをつくる姿勢とか立ち振る舞いで、そうせざるを得なくなって……。それが、すごく楽しいです。

フェリシモ:
ひびのさんの作品のヘアメイクはほとんど宮森さんが手がけていらっしゃる。すごく強い信頼関係があるんですね。

宮森さん:
がんばらないとな、という感じですかね。あとはマガジンハウスの淀川さんという偉い方がいらっしゃるんですが、その方が昔雑誌『Olive』の編集長をやっていて、僕もメイクの仕事を始めたばっかりで、ヘアメイクの仕事が自分が向いてるのかどうかっていう時に、その方が「宮森さんのメイク、大好き」って言ってくれて。「これならやってけれるな」って……。

フェリシモ:
メイクというのは日常に溶け込んでする場合と、何かのコレクションの時のように非常にアーティスティックなものが求められるのと、それ以外にもあるかと思うんですけれども、大きく分けてふたつくらいあるのではないかなと思うのですが、宮森さんご自身の中で、そういうことを意識されることはありますか?

宮森さん:
仕事の場合は意識してやっています。ファッションであれば、2001年は「こういうスタイルだろうな」ということを踏まえて、少しだけ先にいくようにしてます。ひびのさんとやる時は、2001年につくったものであっても何年も経っても時代が特定されないように、例えば「1950年代ってこういう髪型よね」とか「1970年代のメイクはこうだったわ」っていう、そういうことと別なところでお手伝いしたいなと思っています。

フェリシモ:
それは感覚的に対応されているという感じでしょうか?

宮森さん:
そういう欲求が湧くということですかね。

フェリシモ:
それとモデルによってもメイクって変わりますよね? プロのモデルさんにされる場合と、素人の方にされる場合といろいろと違いがあると思うんですけれど、そのあたりいかがですか?

宮森さん:
プロの方は毎日、毎日ではなくてもしょっちゅういろいろな方にメイクされたりとかしてるので、とりあえずその人が「今日は新鮮だな」と思えることとか「今日がいちばんかわいいんじゃないか」「新しいんじゃないか」というふうに感じれることを意識してやります。例えば会場のみなさんとメイクをする機会、髪の毛を切る機会があったら、まずは「どうしたらいちばん似合うか」ということと、なるべく自分なりに「こういうことをしたらきっと楽しいだろうな」っていうふうに考えます。普通の人を何度もメイクすることってかつてなかったので、雑誌なり、広告なりで、普通の方をメイクする時って「この人はきっと今日は最初で最後だろう」と思うんです。そしたら「ただかわいくする」とか「ただきれいにする」んじゃなく「こういう私もあったんだ」っていう、思い出に残るような記念になるようなことをしてあげたいとは思います。

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『an・an』編集部からお借りしたスライドで
宮森 隆行さんのお仕事をご紹介

(スライド)
宮森さん:
1996年くらい。スーパーモデルのトニスさんがL'Orealのキャンペーンでいらした4泊6日の滞在の間に、これは『an・an』だったんですが、L'Orealの広告とファッションショーと、それからいくつかの雑誌のヘアメイクを担当させていただいた、その時の1枚です。

フェリシモ:
意識されたことはありますか?

宮森さん:
素材がすごく強くていいものだったので「自分の気持ちが負けないようにしなきゃな」と思って仕事に臨みました。

フェリシモ:
「素材が強い」とは、どういうことですか?

宮森さん:
この人の持っているオーラみたいなものがすごく強くて、多分それが世界中で評価されてることだと思うんですけど。そういうものに臆せず、きちっと感じたことを、例えば口紅をひくのも「オーラに負けないでしっかりアウトラインを大きくしてあげよう」という、そういう気持ちですかね。

(スライド)
これは中のページの撮影だったんで、少しアバンギャルドに。自分がちょっと楽しみたかった、というか。口紅もすごく変わった色をつけてますね。

(中略)

宮森さん:
僕は人見知りしたり、またみなさんの前に出たりするのは苦手なんですが。髪の毛を切ったり、メイクしたりする時は、どうも大胆なようで。思いっきり遠慮せずに「ここはいちばんいいだろう」っていうところを最短距離でいくようにしてる、というか、してしまいます。

(スライド)
宮森さん:
パリで活躍してるデザイナーの方です。日本に来た時に、その方の洋服で少しヘアメイクをして「どうなるかやってみませんか」ということでやったんです。

(スライド)
宮森さん:
その方のつくった洋服をモデルさんが着ています。

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フェリシモ:
この時に雰囲気づくりの為に、何か心がけられたことは?

宮森さん:
服の素材が変わってたんで、髪形とかメイクもバランスをくずそうと……。最近ボリューム感のある左右非対称の頭がはやってますよね。それをちょっと早くやりすぎたかもしれないんですけど……。

フェリシモ:
「早くやりすぎた」というのは「次にこれがくる(はやる)」というのは宮森さんがご自身でわかってらっしゃるんですか?

宮森さん:
次にはやるかどうかはわからないんですが、「こういうことをしたら楽しいだろうな」と思うことが、たまたま「流行より先だったりする」ということですかね。僕は「こういうふうにメイクってしなきゃいけない」とか「こういうふうに髪型って切らなきゃいけない」とか、あまりそういうことに捕らわれない、基本がない人間だと思うんです。それで、その結果ちょっと変わった形になる、ということがあるみたいです。

(スライド)
宮森さん:
これもさきほどのもののバリエーションです。さっきのは髪の毛下りてたんですけど、これはアップにしたんですが。少しわかりづらいかもしれないですが、さきほどの髪型と少し変わった形になってます。

(スライド)
宮森さん:
これは『an・an』のビューティの撮影。ちょうどこのくらいの時から、あまり「きれい」とか「かわいい」じゃなくて、街角にいる普通にの女の子の感じっていうんですかね、そういうメイク、ヘアがはやりつつある頃ですね。だからちょっとイメージが違うかもしれないですが……。

(スライド)
宮森さん:
その流れで髪型を変えた写真です。

(スライド)
宮森さん:
これも同じ時の写真です。

フェリシモ:
これはどういう特集だったんですか?

宮森さん:
髪型の特集だと思います。ひとつの髪型でどんだけいろんなことができるかという特集です。見てわかるように、髪形変える時は必ずメイクも変えるようにしてます。

(中略)

宮森さん:
髪の毛は最初に前の方から切るんです。切られてる本人から見えるところから切った方が、安心と、自信と、度胸がつくので、前から切るようにしてます。

フェリシモ:
切ってらっしゃる途中で、その人の表情が変わっていくのって感じられます?

宮森さん:
心の動きが伝わってきますね。特に人に見られる職業の方っていうのは、そういうのがものすごく大きいので。目を瞑られていても伝わってきます。

(中略)

フェリシモ:
写真を撮られる時、メイクとか、ヘアスタイルとか、衣装で、写真ごとに何かコンセプトとか決められますか?

宮森さん:
ビューティ特集の時は、僕の方から「こういうヘアにする、メイクにするから、こういうふうにしてほしい」と言うんですが、ふだんの撮影の時はカメラマンが「こういうふうに撮りたい」っておっしゃられたのに合わせて提案します。

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(スライド)
宮森さん:
これはメイクのページの撮影でした。まだ光るメイクていうのがはやる前で、顔が光るとどうなるんだろうということでやりました。せっかく光るんだから大きいおでこを出したあげようと思い、おでこも光ってもらいました(笑)。

フェリシモ:
この方の顔の形が生かされていますよね。こういった顔立ちの方というのは、それまでにあまりモデルさんに多くはなかったですよね?

宮森さん:
僕自身「きれい」とか「美人」がいちばんとは思っていません。それぞれが持ってる魅力を本人がうまく使ってくれてる、生かしてくれてる人が好きです。逆に、自分自身に自信がなくて一歩引いてるような人には、何となく手を貸したいなって……。女の子の「切ない」みたいなところ、ギュッと引っ張ってあげたいなと……。

フェリシモ:
個性的な人が評価され始めたのも、宮森さんのメイクていうのがすごく影響を与えた、というふうに伺いました。

宮森さん:
それは僕が「行為としてのメイク」とか「手段としての髪形」とかじゃなくて、好みがちょっと違ってたということだと思うんです。雑誌だったりすると、募集された方ってきれいな人が多い中にそういう人がいると「きれいな人はほかの雑誌にきっと出れるだろうな」と思うんですけど「この人がかわいくなったら、きっとこの人は最初で最後だろうけど楽しいんだろうな」って……。そういう楽しいことを一緒に味わうっていうことですかね。

フェリシモ:
まさに個人個人の方に向き合ってメイクをしたいっていうことなんですね。

宮森さん:
せっかく出会えたんであれば、いい時間を一緒に過ごせたらなと思ってます。

フェリシモ:
宮森さんの手にかかったからその人自身の個性が生かされて、すごくステキになったモデルさんを、よその雑誌の方が見つけられてメイクをされたらすごく普通だった、ていう、そういうこともあるんですよね?

宮森さん:
そういう話もよく聞きますが、逆に普通の人をメイクすることによってその人たちがモデルになったり、タレントになったりも多かったんで。だからすごくうれしいですね。

フェリシモ:
一昔前は本当に顔立ちが美しい人はきれいっていうのが一般的でしたが、最近街を見回してみても、みんなそれぞれにすごくステキだし、自信を持っている人が多いですよね。

宮森さん:
昔は「女の子はこうじゃなきゃいけない」っていうのがあったのかもしれないんですけど、今そういうのは一般的な考えから外れましたから、いろいろな女の子がいろいろなかわいさでいたらいいなと思います。

フェリシモ:
宮森さんがそういう世の中の流れのきっかけをつくられたような気がします。

(スライド)
宮森さん:
ヘア特集の写真です。普通にするのも何なんで、髪の毛の分けた形を、針金を使って後ろに回して結わえてる、ていうそういう髪型です。そうすると風が吹いてもくずれない髪形ができます。あとシルエットがかわいくなります。僕ギターが趣味だったもんで、ギターの弦でつくりました。

(中略)

(スライド)
宮森さん:
これはメイク特集の号です。「口紅の色を赤でやってほしい」という依頼がありました。日本人って実は、特に艶がある赤い口紅ってむずかしいんですよね。黄色い肌と赤ですから、あまり上手くフィットしなくて、ちょっと苦労しました。コンサバな感じにならないように、ということがひとつと、メイクだけだときびしいので髪型で少し髪型の印象を強くすることによって、赤い口紅と全体のバランスが負けないようにしました。

(スライド)
宮森さん:
やっぱり赤い口紅ってむずかしいですね、こうやって見ても。この方はふだんすごくクールな、清楚な感じがしますけど、赤い口紅をつけると情熱的な感じになるので、その分髪型を抑えてバランスをとりました。

フェリシモ:
宮森さんは常に新しいものを心がけているとおっしゃっていますけど……。

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宮森さん:
そう言うとすごくよく聞こえるんですが、飽きっぽいんですよね。昔からそうなんですけど、同じことを繰り返していくのが苦痛であったりするので、同じモデルさんだったりすると「何とか違うことしてみたいな」っていうのがひとつと、あと「こういうことがしたい」っていうことがわりとあるので、それを我慢せずにやってみるっていうことですね。

フェリシモ:
青山にサロンを持ってらっしゃいますが、コンセプトが「なりたいかわいいに協力するために、高い技術はもちろんだけれども、すぐれた感性を得るために結成した」と伺いました。「すぐれた感性を得る」のは、宮森さんではなくて「お客さまがすぐれた感性を得る」ということなんですか?

宮森さん:
「なりたいかわいい」って、多分みんなあると思うんです。「こうなりたい」って、それを一方通行に思っているだけだと違うものになってしまうので、お互い協力して要望にこたえられるように、僕らも勉強したいし、お客さまもそういう気持ちで来ていただけると、いいことができるんじゃないかなと思います。そういう要請も多かったんですよ。ずっと10代対象の雑誌の仕事を長くやっていたので「自分が変わりたい」とか「違う自分を見てみたい」っていう人が多かったんです。こういう仕事をしてると普通の人の髪の毛をさわる機会がなかったので、思い切ってサロンをやってみようと店を構えました。気持ちとしては「誰かひとりの女の子がかわいくなる」ことを思っていて、その後ろに繋がるたくさんの人がいたらいいなという感じです。

フェリシモ:
まさに個人個人のプロデューサーという感じですね。単刀直入に伺います。どうすればきれいになれるでしょうか?

宮森さん:
まず「肯定から入る」ということですね、それと誰かになぞらえない方がいいですね。自分が今はやっている誰かみたいな顔じゃないと、比べることは止めた方がいい。もしそういうふうになれるとしても、その人になろうとするよりは、もう少し自分自身を好きになってあげるといいんじゃないかなと思います。その辺の葛藤とか切なさとかっていうのはすごく好きで、髪の毛切ってあげる時も、ためらうところなんですが……。今みんなの前髪が「こういう前髪だから」っていうんじゃなくて「自分だったら」っていうところを執着持って、もっともっと自分を好きになって、鏡いっぱい見てあげて、したらいいだろうなと思います。

フェリシモ:
誰のマネでもなく、自分自身に目を向けようということなんですよね。プロの方と普通の人の違いは、どこからくるのでしょうか。

宮森さん:
その一線を越えない方がいいと思います。そういうプロの美しさもありますが、その人たちはかなりの時間そこに時間を割いて、自分の顔を見ることとか、自分の姿を見ることとか、1日のほとんどをそうやって過ごしてると思うんです。常に「人の目」で自分を見ることと、「自分の目」で自分を見ることを両立させてやってます。その執着がオーラみたいなものをつくり上げていると思うんですが、普通の人はもっとほかにも楽しいことがいっぱいありますから(笑)。

フェリシモ:
日々、志しを高めていきたいと思うんですけど、それはどういうふうにすればいいのでしょうか?

宮森さん:
まず興味を持つことですよね。化粧品、洋服、あとは男性でもいいですし、街行く人でもいいです。または人に興味を持ってもらうことが、自分をそういう気分にさせてくれるんじゃないですかね。気分をうまく変えて、いろいろなことに興味を持つと……。それがかわいくなれる一歩なんだろうな。あと「私はこんなことしたらダメだろうな」とか踏み出せない一歩がありますよね。それは、そんなことないので。昨日とは違う顔になるかもしれませんが、それがダメなことは絶対ないですから、とりあえず「やってみる」。やってみて、例えばきれいな長い髪の毛をしている人も、僕みたいに髪の毛を短く切っちゃったとしますよね。その時に「どうやってメイクしたら上手くいくんだろう」っていうきっかけになったりしますから。だから、まず一歩何かで踏み出すといいんだろうな。

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お待ちかね!
宮森さんによるメイクの実演

フェリシモ:
お待ちかねのメイクの実演の時間に移りたいと思います。お客さまの中からモデルの募集をしましたところ、たくさんのお申込みがありました。その中から1名、宮森さんに選んでいただきました。

(メイクの実演)

●化粧水をつける
宮森さん:
はじめに化粧水。肌の鎮静効果と引き締めの効果があります。

●下地クリームを塗る
宮森さん:
下地クリームを塗ります。なるべく大きく、しっかりと塗ってください。顔洗うみたいに塗った方がいいと思います。よく細かく塗る方がいますけど、ムラが出やすいので、そのムラがファンデーションのムラにつながる場合があるので、なるべく大きく塗ってください。

●コンシーラーを塗る
宮森さん:
コンシーラーを塗ります。

フェリシモ:
化粧水や乳液はどのくらいが適量ですか?

宮森さん:
基本的に化粧水はたっぷりした方がいいです。垂れるくらいの量をつけて、ティッシュでおさえてあげるくらい。高いものを使う必要はないので、肌に合ったものをたくさん使うといいです。

フェリシモ:
化粧水とか下地クリームのつけるタイミングは?

宮森さん:
基本的には下地クリームは化粧水が乾く前に手早く塗ります。

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●ファンデーションを塗る

フェリシモ:
そして下地クリームが乾く前に手早くファンデーションを塗る、と。ファンデーションを選ぶコツを教えていただけますか?

宮森さん:
僕はおでこ、光がいちばん当たるところに色を置いてあげて「明るいかな、暗いかな」と色味を見るんですが、基本的には、その人の持ってる肌の色よりは若干明るめな色のファンデーションを塗ってあげた方が肌自体がイキイキと透明感を持って見えると思います。

フェリシモ:
塗り方のポイントはありますか?

宮森さん:
僕は手全体で、なるべく大きく、理想は1回で顔全体を一気に塗れるといいなと思っています(笑)。

フェリシモ:
指でファンデーションを部分、部分、押さえられたりしているのは、どういう意味で?

宮森さん:
小鼻の脇とか目尻は、よく動く場所じゃないですか。だから動いて化粧がくずれやすいので、しっかり押さえて定着させてあげます。皮膚には割線が走ってますから、表面にのせるだけじゃなく、その中に埋め込んであげるような気持ちで……。

●コンシーラーを塗る
宮森さん:
コンシーラーは、最初にたくさん塗りすぎてファンデーション塗ると化粧が厚くなる場合があるので、ある程度目立つところだけカバーしてからファンデーションを塗って、それでも「まだちょっと気になるな」というところに塗ってあげると、厚化粧にならないです。

●パウダーでマットに仕上げる
宮森さん:
最近はメイクも艶とか光った感じがあったんですが、今回は少しマットにいってみたいと思います。

●アイシャドウを入れる
宮森さん:
アイシャドウを入れます。僕がやる場合は、眉骨だったり、頬骨だったり、骨のある高い部分に、顔立ちを見て必要がある人は先にハイライトの部分をしっかりつくってあげます。(中略)
眉骨っていうのがあって、その骨に沿って思い切ってアイシャドウを入れてあげるとその人らしい顔になります。だから自分の顔にガイドがありますから、自分らしいアイシャドウの入り方というのは、骨に沿って入れると自然に自分らしさが出ます。

フェリシモ:
やはりメイクのポイントは目でしょうか?

宮森さん:
「目は口ほどにものを言う」と言いますので(笑)。

フェリシモ:
筆の選び方のポイントはありますか?

宮森さん:
毛先が長くて柔らかいものが肌にいいです。

フェリシモ:
ピンクのアイシャドウを入れられましたけど、ピンクは一重の人だとちょっと腫れぼったく見えたりしますよね。

宮森さん:
腫れぼったいのが好きなんです(笑)。さきほど言った、マガジンハウスの淀川さんが「宮森さんは日本人のメイクがいちばんうまい」っておっしゃってくれるんです、お世辞でも。多分それは「腫れぼったい」とか「横に広い」とか、そういうことが好きだからうまくできるんだろうなと思います。

●アイラインを引く
宮森さん:
イラインを引く時、怖いからどうしても目を瞑りますよね。思い切ってちょっと半目にして引くと、目が開いた状態で「アイラインがどう入るか」っていうのが確認できます。全部目が開いてれば、なおさらいいんですが(笑)。目尻のところの角度とかがわからないということがあるんですが、目を瞑ってたらいつまで経ってもわからないですから。開いた時の状態でどう入るのかを理解すればうまく書けるようになります。雑誌には「目尻の3分の1から5ミリほど上げ気味に書く」とか、いろいろなことが書いてありますよね。でも、人によって目の角度が違いますから、やっぱり自分の目で実際見て、確認して書くと間違いないです。

●チークを入れる
宮森さん:
チークって「どこに入れていいかわからない」ということありますよね。そういう時は、照明があれば自分の手でほおに影をつくってあげて「私、この辺が似合うだろうな」って見てあげるとうまくいくと思います。基本的に高い位置に入れれば大人っぽくなるし、低く入れればこどもっぽくなる、中央に寄せればこどもっぽくなるし、外にいけば大人っぽくなる。自分の手の影で確認してあげると簡単です。

●眉を整える
宮森さん:
本当はここまで眉の形をいじんなくていいと思うよ。細い眉が好きなんだと思うんですが、いじりすぎると不自然さも出てきます。ある程度自然なものを生かして、どういう形にしてくか、ということを考えた方が、より本人らしさが出やすいと思います。

●口紅を塗る
宮森さん:
今グロスの口紅がはやっています。唇の平面なところにいくら入れても光らないので、山のちょっと上側にはみ出るくらいにして塗ると少量でもすごく効果が出ます。

●マスカラを塗る

●髪の毛をセットする
宮森さん:
これで完成です。

フェリシモ:
今回のメイクのコンセプトは何ですか?

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宮森さん:
まず目の切れ長がすごく際立ってたのと、顔の骨格がしっかりしてるので、それを協調させてあげたいなと思いました。切れ長の目は本当に細く長くしたい、というのと。あと骨格がせっかくしっかりしてるんで、ハイライトとチークの入れ方に気をつけて、しっかりした輪郭を協調したいと。丸顔や卵形、三角形の顔の人ができない、この方だけにしかできない骨格を生かしたメイクです。

フェリシモ:
いかがでしたか?

お客さま:
私はモデルになることが夢なんですけど、宮森さんにこんなにていねいにメイクをしていただいたことも初めてだったし、感動もあり、すごくうれしいです。ありがとうございました。

宮森さん:
とんでもないです。メイク時間はたったの30分ですから。

フェリシモ:
宮森さん、みなさまにアドバイスをしていただけますか。

宮森さん:
いろいろな色を使ってすごく色がついたり、変になったり……てことってよくあると思うんですが。それは必要なところに使ってないからだと思うんです。例えば、目を切れ長に見せるためにアイシャドウのピンクを幅広に塗るっていうのは、目的があるからそこにその色をのせてるんです。そうじゃないところにその色をのせると、顔の中でズレが出るんでおかしく見えたりすると思うんです。今回チークもかなりのせてるんですけど、それは骨格を際立たせるためのチーク、だからたくさん塗っても不自然に見えない、そういうことだと思うんです。だからみなさんも、自分の目がつぶらでクリッとしてたら、それをどうしたら効果的に見せられるかを考えてみてください。せっかくの自分の大事な顔なんで、塗り絵にしないで、目的と手段を考えてやれるといいなと思います。

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<第2部>

お客さまとのQ&A

お客さま:
年齢が増すと肌もくすみがちになり、シンプルなメイクアップをしたいと思うのですが、肌がキレイに見えない分ポイントメイクに力が入ってしまいます。年齢が増していくと、どういうメイクをすればいいでしょう?

宮森さん:
どうしても避けられない問題です。とりあえず基本的なベースという、ファンデーションを塗る以前の肌、例えば寝る前に水分を補給させてあげる、体にも補給させてあげる、そういう行為を続けることによって、人よりも時間の経つのが遅い肌をつくることができるんじゃないかな。いい状況の肌であれば、自分が思ったようなメイクに近づくことができると思います。年を取ることが悪いことだと思わないですし、年を取った中でステキに見えるメイクを考えられたら……。多分40歳の人が20歳の人と同じことを上手にできたとしても、それはいいメイクとは思えません。その人の世代の中で輝くメイクをしたら、若い人たちが「ステキだな」「なりたいな」っていうメイクができるんじゃないかと思います。その世代間の中でいちばん若くなったらいいと思います。

お客さま:
全員が全く同じ服装をしている群集の中で、自分だけオーラを発するにはどうしたらいいですか?

宮森さん:
やっぱり自信を持ってその場にいるってことじゃないですかね。ひょっとしたらメイクが自信を持つことの手助けになるのかもしれないし、髪形が手助けになるのかもしれない。やっぱり「自身を持ってイキイキ」と! 表面に中身が出ますから、きっと。

お客さま:
口紅やアイシャドウの色をどのように選べばいいのかわかりません。

宮森さん:
一概に言えないんですが、とりあえずいろいろ試してみる機会をつくるということですね。洋服っていうのは試着があるように、自分自身で「これを使ってみたい」とか「この色はどうですか」って、メイクも試せるといいなと思います。

お客さま:
「いいな」と思うメイクと「似合う」メイクは違うと思います。それを見分けて、よりステキに見えるメイクはどういうものか教えてください。

宮森さん:
好きな色が自分に似合わないということもあるだろうし、メイクの入れ方が自分に似合わないということもあります。好きな色が使いこなせるようになるか、アイラインを引いて「似合わない」と思ったら、引き方を変えてみるとか。方法を自分に合うように変えていけば、絶対似合わないことはないと思います。例えばメイクだけじゃなくて髪の毛でも「私はショートカットが絶対似合わない」、それは似合わないようなショートカットにされたことがあるからだと思うんです。似合うショートカットにすれば、きっとショートカットにもできると思います。また、その人に合った、似合う髪型があると思います。例えば「衿足が浮いてるから、そんなこと言ってもその髪型になんてならないわよ」という人もいらっしゃるかもしれないけど、その浮いて衿足がかわいく見えるようなカットもあるはずです。

お客さま:
モデルの魅力を最大限に引き出す上で、大切なことは何ですか?

宮森さん:
ひとつは先入観で接しないということ。「今こういうことがはやってるから、やったら喜ぶかな」ってことも十分あるんですが、その人がどういう人か、どういう顔を持ってるか、ていうことをしっかり見て、その人に合わせてものを考えるということが大切です。

お客さま:
どのようなところから宮森さんはインスピレーションを湧かせてるんですか?

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宮森さん:
逆に教えてもらいたいんですが、どっからきてるのか(笑)。ただ仕事をたくさんしてると、たくさん違うことが考えられて、楽しい制作が上手くいく方なんですよ。基本的に自信がないので、やったことに対して「あれは上手くいったかもな」っていう自信は持てるんですけど。明日の撮影にメイクしに行く時に、自信を持って行けたことって今まで一度もないんです。「明日はちゃんとできるかな」と、いつも不安で……。そういう意味では現場の中で相手をよく見て、慎重にものを考えて、新しい手段を探ってやっています。

お客さま:
特に顔の特徴がなく、メイクをすると浮いてしまう気がするのですが、そういう人でもスタイリッシュに見えるメイクや髪型はありますか?

宮森さん:
特徴がない顔は、すごく特徴がある顔だと思います。個人的に好きなのは、平坦で凹凸がない顔。そういう昔の日本人が持っていたような骨格が大好きです。年配の人とか、考え方が違う人だと、そういう顔を「田舎くさい」って言います。でも、逆にそれがいちばんモダンな顔になりえます。

お客さま:
どうしても嫌いなとこを直すメイクになりがちですが「嫌い」を「好き」にするにはどうしたらいいですか?

宮森さん:
嫌いなとこが直せるメイクができれば、すごくいいですよね。それで好きになるんだったら、それは大賛成です。他に好きなところがあれば、そこをもっと工夫すると、もっと好きになるでしょう。
時代が変われば小さい目が持て囃されたり、一重が可愛いって言われたり、四角い顔がいいぞ、ていうこともありますし。とりあえず自分のことは自分が好きにならないと。他人に「好きになって」と言う前に。

お客さま:
「メイクは自分の骨格に沿って、必要なところに必要な色を入れる」と、おっしゃっていましたが、自分の顔をよく知り、よい部分を見つけるにはどうしたらいいのでしょうか?

宮森さん:
鏡を見た時に、自分の骨格を触って確かめる人が、果たしてみなさんの中に何人いるか……。やっぱり見るだけじゃだめで、自分の顔がどうなってるかよく触って、骨の角度とか肉のつき方とか鏡で見ながら、よく見てあげると、そうすると「自分の眉骨って、ここで下りてきてるんだ。だからこういう顔なんだ」って。眉骨が下りてきてて影になるから嫌であれば、そこを少し白くしてあげよう、とか。そうやって工夫していくと骨格と上手くつきあえて、自分らしいいい顔になっていくと思います。

お客さま:
私はほおが赤くなりやすいので、緑色のカラーコントロールを使っています。でもあまりカバーできないのですが、どうしたら上手にカバーできるのでしょうか。またチークを塗っても自分のほおの赤さに負けてあまり意味がないので、何かいい色はあるのでしょうか。

宮森さん:
すごくほっぺの赤い人と会うこともあるんですが、そのときはそこをどう生かすか、どう残すかを考えます。ファンデーションの使い方で全体をカバーすることなしに、その赤みがどれだけ残ってチークの代わりを果たすかというものの考え方をして、上手く利用してあげます。そうすると、その赤が後から塗ったチークよりずっとかわいく見えることがあります。大事に使ってあげてください。

お客さま:
「モデルから波動のようなものが伝わる」とおっしゃいましたが、そういった目に見えないものに対して何か独特のお考えをお持ちでしょうか?

宮森さん:
モデルさんと接する機会は、自分がヘアメイクする時。モデルさんたちは普通の人より「かわいくなりたい」「きれいになりたい」という思いが強く、その思いが切々と伝わってきます。それに200%こたえたい、そういう感じですかね。モデルさんたちに、家に帰って見て、髪の毛洗ってみて、もしくは違う場所に行って鏡で見た時に「今日私、よかった」「かわいかった」って思ってもらいたいんで、集中していろいろなことを受取るように、感じ取るようにしてます。

お客さま:
夢を実現させること、そしてその夢を諦めることなく持ち続けていられることに必要だと思っていらっしゃることは何でしょうか?

宮森さん:
僕の場合は、諦めないってことですかね。「しつこい」ということと、それから「好きだ」ということですね。

お客さま:
宮森さんが、この世界に入るきっかけは何ですか?

宮森さん:
恥ずかしいんですけど、人にすすめられてです(笑)。絵を描いたりすることが好きだったんですが、なかなか仕事に結びつきにくかったんで「どうしたもんかな」と思ってる時に、知り合いの人が「こういう仕事をやってみたら」と……。

お客さま:
「他人にさわるのは大変」とおっしゃっていましたが、どういう時にそれを感じますか?

宮森さん:
元々自信を持ってさわるタイプではないので、いろいろなことを考えながらでもあるし、やっぱり初対面の人にさわるのは大変だなというのは感じています。普通はすぐ技術の練習に入りますよね。パーマ巻いたりとか、カットしたりとか。自分のサロンではその前にマッサージしてあげて、相手にさわる練習をします。たださわるのではなくて、相手の嫌なこととか楽しんでることを指の先から感じ取ってほしいなという想いがあります。

フェリシモ:
最後に神戸学校事務局からの質問です。世代は関係なく美しくありたいと思う人に対してメッセージをいただけますか?

宮森さん:
自信のない自分が言うのも何ですけど、自分を好きになって自信を持ってほしいです。

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Profile

宮森 隆行(みやもり たかゆき)さん<ヘア&メイクアップアーティスト>

宮森 隆行(みやもり たかゆき)さん
<ヘア&メイクアップアーティスト>
*プロフィールは、ご講演当時のものです。
1957年、東京生まれ。美容学校卒業後、サロン、ヘア&メイク事務所を経て独立。1988年、hair and make-up「esper.」を設立。1999年、青山にヘアサロンをオープン。サロンコンセプトは「なりたい かわいい」。女性の「こうありたい」という願いに協力するため、高い技術はもとより、より優れた感性を提供している。主な仕事として、『anan』『olive』『Ginza』『FIGARO』『ハイファッション』など多数のファッション誌のカバーや“宮森隆行が提案するヘア&メーク”の特集ページがある。そのほか、エンポリオアルマーニ、シンシアローリーなどの海外ブランドのカタログにも携わる。アーティストや女優の信頼も厚く、ドリームズカムトゥルー、江角マキコ、大塚寧々、中谷美紀、吉川ひなの、永作博美、ビビアン・スーなどのヘア&メークも手がけている。また、コステュームデザイナー ひびのこづえとのコラボレーションや、野田秀樹率いるNODA・MAP舞台のデザインも行うなど、常に新しいものを創造することを心がけている。

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その他のゲスト

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