神戸学校

神戸学校はフェリシモが主催する「神戸発 生活デザイン学校」です。

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「毎日を新鮮な気持ちでくらす『生活』のくふう」



<第1部>

常に新しいアイデアを求めて
「グッドシングス=いいもの」を発見し続ける
マーサさんのライフスタイルをご紹介

私が初めて日本に来たのは27年前のこと。夫とそして娘と一緒に初めて日本を訪れました。私の夫もアート関係の本を日本で印刷し刊行しました。私の本も日本で印刷をしてもらっております。27年前初めて私が日本に来たときに、大変おもしろいことが起こりました。離婚してしまったのですが、私の夫は大変背の高い男性です。いまもおそらく背の高いままだと思いますけれど(笑)。京都で行った先にあったお風呂の中に私の夫が入りました。その途端にお風呂のお湯が全部あふれ出てしまったんです。1インチ(約2、5センチ)しかバスタブの中にお湯が残りませんでした(笑)。それを見た私たちはゲラゲラ笑いました。背が高い人間ですからお湯があふれてしまったんですね。夫は歩くときは大体ほかの人よりも頭ひとつ私たちを抜きん出ているわけです。しかしながら、この27年間でひとつのできごとが起こりました。それはいまの日本人は背が高くなりました。このようにアメリカと日本、そして欧州と日本、つまり世界中の人々の考え方がだんだんと同じような方向に向いていってると思うんです。関心事、私たちが望むこと、そしていろいろなたくさんの事柄を理解し合いたいという気持ち、そういう観点から見ると日本もアメリカもヨーロッパも、私たちは同じ方向を向いていると思います。

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私はニューヨークに住んで仕事をしています。そして1週間に2~4回日本食を食べています。日本人の友人もたくさんいます。そして日本に関して、伝統、美術、芸術、文化、そういったことに私たちは大変大きな関心を持っています。2、3年前、私は日本の会社とパートナーを組んで仕事をしたいということで、いままでお会いした日本の方々のことを考えてみました。15年前に、私が最初に出版したウェディングに関する本やクリスマスに関する本を翻訳してくださった方は、私のやっていること、考え方を理解しようと努力してくれました。彼女はいわば日本における私の“ 秘密兵器 ”。彼女を通じて私は、私が仕事をしていく上で会うべき人たちに会うことができました。ですから日本に関して私が疑問を持ったときには、彼女に聞くわけです。例えば「MUJI(無印良品)を展開しているのはどこの会社ですか?」と聞くと「西友です」と教えてくれます。また日本の家屋の日本らしい壁の塗り方を見たとき「ああいう壁はどういうふうにしたらいいの? あの風合いはどうやったら出るんですか。ああいうペイントの塗料は缶に入って売っているんですか。それともあれは砂を使うんでしょうか、砂糖なのでしょうか」と彼女に聞きます(笑)。
このように私は常に新しいアイデアを求めています。そしてその新しいアイデアを私は「グッドシングス=いいもの」と呼んでいます。「グッドシングス=いいもの」という英語の言葉は、私がつくった言葉ではありません。しかし私は、この「グッドシングス」という言葉を私の生活の中でよく使っています。例えばテレビ番組に出演して、ガーデンツールをひとつ手に持って「これはグッドシングスです」と言うわけですね。そうすると見ている人は「これがグッドシングスなのか」と思ってしまうわけです。
いまからスライドで、私がやっている「グッドシングス」をいくつかお見せしましょう。

(スライド)
『マーサ スチュワート リビング ニューヨーク』。この本は、少し前に私が書いたものです。タイトルは『GOOD THINGS FOR ORGANIZING(整理整とんのためのちょっとしたいいもの)』です。

(スライド)
整理するということは秩序だててきちんとするということです。私たちの身の回りには限られたスペースしかありません。しかしながら私たちには、たくさんのものが必要です。それらのものを、すぐ手近なところに置いておくためには整理整とんしなければいけません。

(スライド)
ですから美しく透明な容器を私は集めるのが好きです。容器の中に乾燥したものを私は全部置いておきます。パッと見て中身がわかる場合はいいんですけれど、そうじゃない場合は必ずラベルを貼ります。例えばパンづくりために3、4種類の小麦粉を保管しておく場合、どういうタイプの小麦粉なのかラベルを貼ります。
(略)

(スライド)
もし家の中であなた自身が整理整とんすれば、周りの人もきっと整理整とんすると思います。それは希望的観測かもしれませんが……(笑)。

(スライド)
コネチカット州にある私の自宅のキッチンです。このキッチンを改装したときに、私は収納場所をできる限りたくさんつくりたいと計画しました。そのためにつくったこの引き出し部分は大変整理整とんされています。

(スライド)
平型食器、スプーン、ナイフ、フォーク類です。こういうふうに、きっちりと整理されてますよ。私はアンティークのものをコレクションするのが好きなんです。昨日、京都では古い時代の美しい日本の食器を見ていました。お茶のときに使う木のトレイに乗った食器セットが気に入りました。

(スライド)
私がコレクションしているアンティークのものは、雑誌に載せるための写真撮影のときに小道具として使っています。これは、フェルト。丸く切って、食器と食器の間に挟み込んでいきます。この丸いフェルトをいろいろな色でつくって、お母さんとか友だちにプレゼントしてあげるのは、いいアイデアだと思います。私はこの丸く切ったフェルトも「グッドシングス」と呼んでいます。

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(スライド)
これはメディスンキャビネットという薬を保管しておく場所です。この中をいつも整とんしておくというのは大切だと思います。古くなった薬は捨てる、汚くなったチューブは捨てる。そういうふうに常に整理整とんしてメディスンキャビネットをきれいな状態しておくのは大切だと思います。通常はおしょうゆの下に使うようなトレイ、あるいは小皿、そういったものをメディスンキャビネットの中でもうまく使っていけばいいと思います。

(スライド)
東急ハンズに行って、木 (ベニヤ板)を買ってきて、自分で日曜大工をしてこういうオリジナルの保管のための棚をつくる、というのはどうでしょう。こういう箱をつくって壁に取りつければ、中にもものが置けるし、またその上にもものを置くことができます。スペースを節約することになります。

(スライド)
布を筒状に縫って使う、タオルのアイデアも考えました。タオルを下に引っ張ればしわも伸びますよね。

(スライド)
ディッシュタオルでもいいですし、ハンドタオルでもいいと思うんですれど、このように 使う人のイニシャルをタオルに刺しゅうするのもいいアイデアだと思います。誰がどのタオルを使えばいいのか、すぐわかりますね。こういう使い方をしなくても娘さんに刺しゅうを教えてあげるために、やってみてもいいですよね。
(略)

(スライド)
このような透明プラスチックケースの中にものを保管するのが流行していますよね。中身は当然整理整とん。そしてラベルを貼って、中身を示しておくことが大切です。

(スライド)
人にプレゼントするときに「自分でラッピングして渡したい」という方は、たくさんいると思うんですけれども、スライドはそのときに使うリボンの収納の仕方です。この箱自身も手づくりでつくることができると思います。そして箱のサイドに穴を開けて棒を通すことによってリボンをスムーズに使うことができますし、箱に穴を開けて、そこからリボンを引き出しておけば、リボンの柄がすぐにわかります。このように使いやすくリボンを整理整とんしておきましょう。

(スライド)
私は裁縫が好きなんですけれど、いつも困るのが糸なんですね。必要な糸がなかなか見つからない。その糸をうまく整理整とんするために、角材に穴を開けて、小さな棒を穴に突き刺しています。(略)

(スライド)
同じ考え方で、かぎも整理整とんしています。車のかぎ、家のかぎ、たくさんかぎがありますね。このようなキーボードをきちっとつけておけば、かぎを探すときに大変時間の節約にもなります。それから誰かがかぎを返していないということもわかりますよね。

(スライド)
洗濯をする場所は汚くなりがちな場所。洗濯に必要な柔軟材、洗剤だとか、そういったものを一同に集めておく、ということはいいアイデアだと思います。

(スライド)
常にものを保管するときには、箱にきちっと入れておくわけなんですけれど、箱自身は例えば文房具を扱っているところに行って買ってくることができると思います。もっと大切なのは箱の中身。中に何が入っているか、それを表示しておくことだと思います。私はポラロイドやデジタルカメラで写真を撮って、その写真を箱の側面に貼っておきます。

(スライド)
ディスプレイなんですけれども、スライドのようにきれいに飾る方法として、棚の上の白いところをハサミで紙をカットします。これはカットアウトという方法です。棚の板のところにカットした紙を貼りつけていく、このような方法を、私はベルギー、オランダ、フランス、エジプトで見ました。とても美しくてきれいな装飾方法だなと思いました。ハサミひとつあれば、クリエイティブにこういうことができるわけです。

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(スライド)
これは私が大変気に入っている「グッドシングス」のひとつです。例えば食器を洗うときに使う洗剤、そういったものは中身だけボトルに移して、バーで使うようなトップをつけておきます。美しいボトルに中身を移しかえて使う、という考え方です。これは環境問題においても、いいアイデアだと思います。大量に入った大きな容器で買ってくる、そしてそれを小分けして美しいびんに入れて使います。

(スライド)
私たちの会社ではお客さまをもてなすことにも大変力を入れています。例えばみんなで集まるときに、友人や家族のひとりひとりを特別なおもてなしで迎えます。このおもてなしをしたとき、季節はちょうど春でした。この花はアジサイです。花につけた紙に席に座る人の名前を書いています。

(スライド)
このように葉っぱにアイロンをかけてのばして、お招きする人の名前を書くというのもひとつのアイデアでしょう。紅葉が赤くなる秋にやっても美しいですね。

(スライド)
例えば、さまざまなフルーツのお酒をつくりたい場合には美しいデカンタの入れ物に入れましょう。そしてびんのふたはフルーツそのものを使います。

(スライド)
これは夏のおもてなしのアイデア。この氷でできた器はスープを入れたり、デザートを入れたり、ディスプレイとして使ったりできます。つくり方をご説明しましょう。まず大きさの違うふたつのボウルをテープで4箇所止めます。ふたつのボウルの隙間に水を流し込んで、そのときに花びらも一緒に流し込みます。そして、それを冷凍しアイスボウルにします。
(略)

(スライド)
イースター(復活祭)がもうすぐ来ます。これは卵を使ったピラミッド型の装飾。このつくり方をご説明します。ピラミッドの中心部分は発泡スチロールです。そのまわりに卵をホットグルーガンで留めつけていきます。卵の中身は空っぽにしてください。

(スライド)
次は色のついた卵のつくり方です。通常のテープを使うだけで、チェック柄の卵をつくることができます。色のついた液体の中にテープを貼った状態で卵を浸けるだけです。

(スライド)
砂糖でつくった花びらです。これは何ヵ月も保つ、大変素晴らしいものです。つくり方は、食用の花びらを、卵白と水を1:1の割合で混ぜたものの中に浸けます。そしてその上に大変粒子の細かい砂糖をまぶします。本当に細かい粒子の砂糖を選ぶということを忘れないでください。
(略)

(スライド)
そして次はパンケーキづくり。パンケーキも好んでよくつくります。いまの季節だったら、ニンジンと大根とカブとジャガイモを全部細かく刻んで、そしてそこに卵と塩こしょう、そしてビールを少し、小麦粉も繋ぎのために使って、混ぜてみましょう。(中略)
私が好きな組み合わせは、ポテトのパンケーキの上にアップルソースをかけたものです。

(スライド)
デザートにアイスクリームサンドイッチはどうでしょうか。ワッフルとアイスクリーム、あるいはシャーベットをサンドしていきます。ラズベリーのシャーベットとウエハースでサンドイッチをつくったらおいしいですよ。神戸にもおいしいウエハースをつくっている会社がありますよね。お土産に買って帰ろうと思います。

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(スライド)
トウモロコシにバターを塗る、もしくは魚に何かを塗る、そういうときにハーブをブラシの代わりに使ったらどうでしょうか。パセリ、コリアンダー、ローズマリー、タイム、こういったハーブがありますよね。

(スライド)
これは特別なカボチャを使って、つくっています。実はこれ、日本のクッキーカッターを使っているんです。

(スライド)
できあがったらこうなります。中にキャンドルを入れて……。素晴らしいものができるでしょ。1日、2日くらいは作業にかかりそうですけれど(笑)。特別なパーティーをするとき、これを使ってディスプレイすればきれいですね。陶器の置物のような感じ。

(スライド)
私たちは作品をつくるときコンピューターをよく使います。イメージをダウンロードして、生地の上にプリントします。普通の生地だけじゃなく裏面に接着芯がついてるような生地など、さまざまな種類の紙にプリントします。
(略)

(スライド)
これもシンプルで単純で小さなアイデアなんですけれども、とってもいいアイデアだと思います。シンプルに氷の上にフルーツをおいて、そしてそれをお客さまに出す、それだけ。

(スライド)
ロブスターを調理して食卓に出すときには、必ず爪の先を切って、爪の中の水を全部出してからお皿に出してください。そうしないとすごくみずみずしいロブスターになってしまいます。

(スライド)
コーヒーや紅茶を飲んだ後に残ったものは、夏なら氷にしてしまいます。そして、次飲むときにそれを使う、と。こうすれば残ったものが無駄なこともありません。
(略)

(スライド)
これは私が大変重宝しているピータッチラベルライターです。どんなサイズのテープにでも、文字を印刷することができます。テープなので、引き出しに貼ったりとかファイルに貼ったりするときに重宝します。

(スライド)
ピータッチラベルライターでつくったラベルをコンセントにつけています。いろいろな電気器具のコードがありますよね。そのコードを整理するためにラベルをつけています。
(略)

(スライド)
自分の持っているコレクションが何点あるのか、またそれぞれひとつひとつの価格や値打ちなどの情報をすべてコンピューターで管理しています。家事、家政学をやっていらっしゃる方々にコンピューターを使っていただきたいのは、コンピューターをうまく活用することによって家事に割かれる時間を節約することができるからです。コンピューターはもちろんコミュニケーションの場として使うことができますし、それとともに記録を保管しておくという意味でも使えますし、簡単な調べものをするときにも使うことができると思います。そしてもちろんコンピューターを使ってものを注文することができます。
(略)

(スライド)
台所なんですけれども、このように棚の上に台所で必要なすべてのものを目で見えるようにディスプレイすることは大変モダンだと思います。しかしその際には必ずものを入れるのに使っている容器が清潔で美しい状態にある、そして全体がきっちりと整理整とんされていることが大切です。
(略)

(スライド)
ベッドの下も収納場所として使ってしまいましょう。その際にはスライドのような箱を使います。美しい箱が手もとにある場合は、それを使って整理整とんすればいいでしょうし、壁紙のような片面が接着面になっている美しい紙を手持ちの箱に貼ってもいいでしょう。
(略)

(スライド)
私の家の勝手口の外側です。写っているのは黒板なんですけれど、私が留守をしているときに誰かが来た際にメッセージを書いていったり、私が出かける際に誰かのためにメッセージを書たり……という使い方をしています。黒板も買わなくても自分でつくることができるんですよ。木の板の上に黒板用の塗料を塗るとできあがりです。

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(スライド)
もし家庭菜園をするような方々には、これはどうでしょうか。いいアイデアだと思います。木の板には切れ込みが入っていて、それによって長さがわかるようになっています。「この作物だったら10センチ刻みに種をまいていけばいい」とか「この作物だったら15センチくらい間隔をあけて種をまかなければいけない」と決まっていますので、板の切れ込みに沿って種をまいていきます。作物の種類によって種をまく間隔が違いますので、切れ込みの間隔の違う木の板が何種類もあります。
(略)

(スライド)
メイン州にある私の家の近くにある、私が大変気に入っている庭です。この庭を見れば、私は日本のことを思い出します。たくさんの苔が生えています。

(スライド)
美しいシダ植物も生えています。後ろに写っている壁は京都のような感じがします。

(スライド)
これが苔の庭園です。そして松林もあります。

(スライド)
松林の中を散歩することができる遊歩道があります。この庭園は100年くらい経つ大変 古いものなんですけれども、私自身は5年くらい作業 (研究)をここでしています。

(スライド)
この階段を上がっていくと私の家にたどり着きます。

(スライド)
ここはいまは探索中の場所です。昔ここは水が溜まっていたところなんですけれど、それを掘り起こして探索している最中です。

(スライド)
これはキャンプファイアをしていることころ。私の甥と、その友だちが夜に集まってキャンプファイアを囲んでミーティングをするすばらしい場所です。

(スライド)
これは私の家から海の方を見た景色です。この景色も日本をちょっと想定させますよね (笑)。

(スライド)
これが日本版の『マーサ スチュワート マーサ』の最新号です。私がこの雑誌の中でしようとしてることは、簡単に言えば、家のことに携わっている人達のためにできるだけたくさん役立つ情報を詰めた内容にしていきたいと思っています。言い換えれば、家族の1人ひとりが「グッドリビング=いい暮らし方」への理解を深めることができる、そういう手助けになるような内容にしたいと思っています。家をうまく整理整頓することは、最初の段階は大変だと思うんですよね。さまざまなことをしないとなかなか整理整頓できないわけです。しかしながら一旦整理整頓された状態に達すれば、その後は自由な時間がたくさんできるわけです。その自由な時間を使って、生活をもっともっと楽しむことができるわけです。

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<第2部>

お客さまとのQ&A

お客さま:
マーサさんが出演しているテレビ番組をどういう方々がご覧になっていると思われますか?

マーサ スチュワートさん:
私はテレビの向こう側の視聴者も、きっと私と同じような人たちなんだろうなといつも思ってテレビ番組に出演しています。つまり私と同じように、「いろいろな事柄を知りたいと思っているだろう」と。「どういうふうにしてこういうことをするんだろうか」、あるいは「どういうふうにしたらこういうものをつくることができるんだろうか」、それを「理解したい」、「知りたい」、そういうふうに好奇心、学習意欲に溢れた人達がテレビの向こう側にいらっしゃると思っています。ですから、私は常に自分が知りたいことをテレビ番組で教えるようにしています。

お客さま:
つらいとき、悲しいとき、落ち込むときなどあると思うのですが、そういうときにマーサさんはどういうふうに気分転換されますか?

マーサさん:
まず雪が降っているときだったら、家の前の雪かきをします。あるいはケーキを焼いたり、友人に電話をかけて家に招待したり、本当に楽しめる本を1冊選んで読書に没頭します。でも1人でいるのは好きではありませんから、誰かと一緒にいたいわけです。そういうときは何かを知るために外に出ていくと思います。例えばいままでずっと見たかった庭園に行くとか、美術館に行くとか……。私はショッピングにはあまり出かけません。ショッピングよりも私が何か学ぶことができる、そういう場所に出かけていきます。

お客さま:
日本文化とアメリカ文化、マーサさんはどういうふうにして2つの違う文化を融合されていますか?

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マーサさん:
私は日本に進出してくることで、むしろ日本における主婦達にこれまで知らなかった新しい事柄を教えてあげたいと思います。つまり私のやっていることは1つのティーチングツールとして考えてほしいと思っているわけです。
私がアメリカ人として日本の文化のことも知りたいと思っているのと同じように、みなさま方も私達の文化のことを知りたいと思っているでしょう。だから私はそれに協力したいと思っています。つまり私達は1種類の人間であるということではないと思うんですよね。いろいろな側面を持っている人間になりたいと思ってます。言い換えれば、私は主婦の役割を高めていきたいと思っています。ちょうど私がこのようなことを考え出したのが20年ほど前なんですけれど、その頃アメリカでも主婦業とか家庭に入って家のことをすることはみんながやりたいと思うようなことではなかったんですよね。「なんだ家庭に入っているのか」あるいは「主婦なのか」っていう考え方がありました。それと同じことがいまの日本で起こっていると思います。
いま、主婦になりたがらない。それよりもキャリアを持って仕事をしたいという女性が増えていると思うんです。そういう人達に対して、私が20年かけてやっと気がついたことなんですけれど、家庭のことというのは大変レベルの高い仕事だと思うんですね。ですから私は、家庭のことをする人たちの役割、レベルを一段階 高めたい、つまり、すべての人が主婦を尊敬するような、敬愛するような仕事なんだということを知らしめたい、そういうふうに思っています。夕食においしい料理を出すことができる、おいしい料理をつくるというのはすばらしいことだと思いませんか。

お客さま:
部屋の壁の色はやはり白がいいですか? いろんな色のものを買ってしまって部屋に統一感がなくなってしまうので、統一感を持たせるための色の組み合わせについて教えてください。

マーサさん:
色は私にとって大変重要な意味を持っています。ですから色のことに関しては私は常に考えています。私としては「朝にはこういう色」、そして「日中太陽があがれば、こういう色合い」、そして「夜キャンドルライトのもとでは、こういう色合い」、そういうふうにいろいろな色を考えています。
そのために私の家の中で用いられている色というのは、どれ1つとして単純な色はありません。私は「白をよく使われているようだ」と言われますが、それは間違いです。私の部屋の中で使っている色は、すべてとても複雑な色味を持った色です。白に近いように見えるものもあるかもしれませんけれども、白という色は単色では使っておりません。
壁の色が白がいいだなんて全然思っていません。私は色については常に考えて、自分自身の「マーサの色」というものを生み出していっています。そのためにすごく時間をかけて調査して色を決めるわけなんですけれど、最初に私が「マーサの色」として生み出した色は456色。そのためには自分の飼っている猫の毛をジッと見て「この色がいい」とか、猫の目を見て「こんな色」。あるいは庭にいって「こんな色」というふうに探して、犬の毛の中まで色を探しました(笑)。そしてそういうふうにして私は最初に456色生み出しました。第2回目は500色の色を生み出そうとしているんですけれどもこれもすべて新しい色ということで、とても時間をかけて特別な色を探しています。
統一感を持たせるためには、ベーシックな色を基本に組み合わせを考えてはいかがでしょうか?例えばシーツなんかはベーシックなベージュとか黄色でまとめたらきれいだと思います。その場合、部屋全体をベージュにまとめて天井だけは薄いブルー、水色、そしてベッドも薄い水色でまとめるとか、はいかがでしょうか。

お客さま:
マーサさんも何もせずに1日ボーっとしていたいと思う日はありますか?

マーサさん:
怠けたいなと思うときはあるんですけれど、実際は怠ける時間はありません(笑)。実際は時間がないんですけれど、今回日本に発つ前日だけはずっと家にいました。それで、すべてのクローゼットをきれいに掃除して、そして家中を整理整頓しました (笑) 。終わったときは、すごくいい気持ちでしたよ。

お客さま:
限られた時間の中で「 素敵な暮らし:グッドリビング 」を実践するいちばん大切なことは何だと思われますか?

マーサさん:
いちばん大切なものは家族 だと思います。ですから、もし働いて家に帰ってくる、そこに自分の家族がいたなら、まず家族に自分の心を向けてください。言葉をかけてください。それよりも先に掃除したり、洗濯したりする必要はありません。妻であり、母であり、そして働く女性である、この3つを成り立たせるということは大変難しいことだと思います。しかし一旦やると決めたからには、そのための努力をしてほしいと思います。

お客さま:
マーサさんの番組を拝見していると、お母さまの影響が非常に強いように思われます。お母さまがどのようにマーサさんをお育てになられたか教えていただけますか。

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マーサさん:
私の母は、今年で87歳。大変行動的な女性で、私のテレビ番組にもたびたび出演して人気があります。私を離れてテレビのタレントになりつつあります。もうすぐ母の最初の本になる料理本も出版予定です。6人の子供を持った母は、その6人の子供全員に大きな影響を与えました。いまも母と6人の子供達とは大変いい友人関係にあります。振り返ってみると、母は私達子供1人ひとりに公平に接してくれました。それともう1つ、私達子供達も、母を大変尊敬していました。母の言ってくれたことに対しては、耳を傾けて頷いていました。それは父に対しても同じ。父も私達子供達にとって大変いい教師役だったと思います。母も父も、両方がいろいろな事柄を私達に教えてくれた、というのが私の両親に対する思い出です。
やはりこどもたちに親が教えてやること、こどもたちは何も知らないわけですから、それをすべて教えてやるのが親の務めだと思います。学校などに任せるのではなくて、親が教える。私達親が50歳くらいになったとき、自分の子供達に「あまり教えてやらなかったな 」と後悔しないように、いろいろなことを教えてあげましょう。いまの社会にはいろいろな犯罪がいっぱいありますよね。それはなぜかと思ったら、親から何にも教えられていない子供達が多すぎるんです。知らないから犯罪が起きるんです。それがいまの私達が抱えているいちばん大きな病理だと思います。

フェリシモ:
最後に神戸学校事務局より質問です。マーサさんにとって自分らしく生活をデザインするために大切になさっていることは何でしょうか?

マーサさん:
私にとって最も重要なことは、好奇心を持つことだと思います。好奇心を持ち疑問が湧いてきたら、それを質問して、そして「どうしてこうなっているのか」、その答えを探るようにしたいと思っています。常にすべてのことに対して、しっかりと目を配っていきたいと思っています。前も横も後ろも、いろんなとこを見ながら好奇心をいっぱいに生きていきたいと思っています。

フェリシモ:
どうもありがとうございました。昨年の12月創刊された『マーサ スチュワート マーサ』の中にマーサさんのこんな言葉があります。「家と家族が私達の人生の中心であり、生活をベースとした新しい家族の伝統をつくるのだ 」。本日お話を伺って、普通の毎日こそが本当はとても素敵なことで、ちょっとした工夫から私たちひとりひとりが我が家の文化、伝統の担い手になるのだと改めて勇気づけられたような気がします。

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Profile

マーサ スチュワートさん<MSO社CEO兼会長>

マーサ スチュワートさん
<MSO社CEO兼会長>
*プロフィールは、ご講演当時のものです。
米国ニュージャージー州生まれ。バーナードカレッジで歴史と建築史を専攻。証券会社での勤務を経て、1976年コネティカット州にてケータリングビジネスを開始。1982年「エンターテイニング」(おもてなし)を執筆し、ベストセラーになって注目を集める。以来執筆の単行本は34冊に及ぶ。料理やインテリア、ガーデニング、クラフト等、「生活を楽しむ家事」を提案。彼女の生活におけるアイデアを紹介した月刊誌「マーサ スチュワート リビング」の発行部数は240万部を誇り、マーサ スチュワートは社会現象とも言われる。

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