神戸学校

神戸学校はフェリシモが主催する「神戸発 生活デザイン学校」です。

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「みがこうワタシ」



<第1部>

小さいころからおしゃれが大好き!
雑誌の中の服を母に
「つくって」とせがんでいました

フェリシモ:
東京コレクションで新人デザイナー賞を受賞されたこと、本当におめでとうございます。

宇津木さん:
ありがとうございます。

フェリシモ:
ファッションに興味を持たれたきっかけをお話いただけますか。

宇津木さん:
小さいころから洋服はすごく好き。おしゃれとかファッションとかが好きで、母にいつも洋服をつくってもらっていました。いつも家の中に生地がいっぱい、こども服の雑誌とかがあって、その中で「この服買ってほしい」って言っても「うちにはそんなお金がない」って言って買ってもらえなくて……。いつも「じゃあ、この生地でこういう形をつくってほしい」って……。いつもそういうことをお願いしてました。ただうちの母も家のこともあったりしてできる余裕がなかったので、なかなかそれもつくってもらえず「いつか自分で好きな服をつくれるようになりたいなー」って思ってましたね。それがきっかけかな。

フェリシモ:
ほかにこども時代のエピソードはありますか。

宇津木さん:
ミシンも早く踏みたかったんですけど「危ないから、だめよ」って言われて、最初は手縫いしたりとか「編み物くらいだったら」って、編み物は教えてもらったりとかしていました。初めて「ミシンもそろそろいいんじゃない」って言われたころには、自分で見よう見まねですごく変なスカートつくっちゃったりして(笑)。早く学校に行って教わりたいなって気持ちはありましたね。

フェリシモ:
中学、高校のころも服に対して興味を?

宇津木さん:
そのころはそんなに「つくりたい」っていう気持ちが多かったわけじゃないんですけど、ファッションは好きだったし、ただお金がなかったので、安いものを切ってちょっと繋げてみたりとか、重ね着したりとかして……。雑誌とか見て勉強してましたし、あとは工夫してやってましたね。本当にファッションのことを目指そうとか、そういうことはあまり考えてなかったんですけれど、高校卒業して、進学してどうしようっていうときに「何かやりたいな」っていう気持ちはずっと昔からあって……。
笑っちゃうんですけれど、私は若いときから「なんか男運がないな」って思ってて(苦笑)。「こんな人生ってすごく嫌だな。何かやらないとなんか情けない人生になっちゃうかな」って(笑)。そうなってくるとやっぱり「洋服の仕事かな。ファッションの道に進もうかな」って思って、それで女子美(女子美術短期大学衣服デザイン教室)に進みました。

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フェリシモ:
服が好きっていう気持ちを持っている人はたくさんいらっしゃると思うんですけど、そこからクリエーターになるっていうふうになったきっかけとか動機とか、大きなできごとはありましたか?

宇津木さん:
学校に行き始めて、同じものを目指す人たちと一緒にいていろいろな刺激を受けたりとか、やっぱり同じ気持ちにどんどんなっていきました。

フェリシモ:
突然なんですけど、ダイエットがファッションのことに関連していくっていうことをお聞きしたんですけれど……。

宇津木さん:
高校時代にちょっと太っちゃって、母親が「こういうダイエットのなんかプランがあるけどやってみる?」みたいな感じから「じゃあやってみようかなー」って。やり始めたらはまっちゃって「8kg痩せるぞ!」みたいになって。すごい大変だったんですけど、2、3ヵ月で、8kg痩せました。もう飢え飢え状態だったんですけど(苦笑)、痩せていったときに、だんだん自分自身に自信が持てるようになったんですね。自分も世の中を見る目が変わってきたっていうか……。洋服も、いろいろ重ね着してもおしゃれに着れるようになったし、痩せたことをきっかけに、余計やる気が出てきたっていうのは自分でも不思議です。

フェリシモ:
短大のほかの友人にも影響を受けたっておっしゃってたんですけれど、ほかに、先生とか例えばその時期に見ていた本とか音楽とか、影響を受けたものはありますか?

宇津木さん:
そうですね、そのころ、みんなでいろいろな色を出し合って刺激しあってたっていうのはあります。着ている服のコーディネートだったり、つくるものっていうのもそうだったり……。「どんな色の組み合わせがかわいいのかな」とか「どんなのが好きなのかな」って自分でやってみたりとかしていたことって、いまに繋がっているなって思います。どんな映画とかはあまり印象には残ってないんですけど、よくいろいろなところを見に行ってはいましたね。

フェリシモ:
映画だけに限らず、絵を見に行ったりとか?

宇津木さん:
そうですね。そのころはすごくやる気満々で、いろいろなものを見て吸収したいなっていう気持ちがありました。ただそれが自分の中で具体的に何がどうこうでっていうのはないんですけど。若いうちにいろいろなことを吸収したっていうことだけでしたが、いまに繋がっているな、と感じます。

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宇津木さんのパリ留学時代
デザインだけでなく、さまざまなことを
肌で吸収した1年間

フェリシモ:
パリへ留学されていたときのことをお聞きしたいと思います。留学を決めたときの気持ちはどういうものでしたか。

宇津木さん:
海外には絶対行きたいなーって高校生くらいから思っていて、ただ理由もなしにはちょっと行けないな、と思っていました。エスモードジャポンに行ったときに、パリへの留学っていうシステムがあることを知りました。それで、行きやすいっていうところに入って、で、本当に行きたいんだけど、行けるのかな、行かせてもらえるのかなって……。
自分で言うのもなんですけど、学校に行っててもそうだし、家でもやっぱり目指すものがあって努力してたというか、がんばっていました。で、やっぱり「行きたいなー」って思っていたら、エスモードの先生が「絶対行って来た方がいい」って言ってくださって、「迷うよりも行くことだな」って思えて、親を説得したら意外にすんなり……。

フェリシモ:
気持ちが伝わったんですね。

宇津木さん:
1年だけっていう約束で。その先生のすすめで、エスモードパリではなくてステュディオ・ベルソーを紹介していただいて1年行ってきました。

フェリシモ:
フランス語を勉強されたけど、そんなに完璧でないまま行かれた?

宇津木さん:
行けばなんとかなるだろうって思って。本当に行けばなんとかなるもので、行って、結局帰ってきてから、フランス語を覚えたっていう感じ。全くわからなかったわけじゃないんですけど。授業の中でファッション雑誌を見ながら「このブランドはどうだ、こうだ」っていう話を先生がしているんですけれど、片言しかわからないフランス語でも、なんていうんだろう……。やっぱり同じ好きなものに対しての感性というか、ものの見方をしていると言っていることがわかるんですね。それが不思議だなーって思ったんですけど。そういう意味では言葉の障がいはありませんでした。
ただ、明日持ってくる用意っていうのが、何を言っているかわからなくて……(苦笑)。でも、外国の人の生徒がすごく多くて、隣の人に「明日何持って来るの?」って書いてもらって、家で辞書で調べて「あーこれ持って来るんだ」っていう……。結構みんなやさしいので、絶対誰か助けてくれるし、そういう心配は本当に全然なかったですね。

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フェリシモ:
留学されているときに身についたこととか、友だち、先生から学んだことはありますか?

宇津木さん:
いちばん自分が印象に残っているのは、自分が薄緑色のスカーフをしてたんですね。自分の中では「これは肌の白い人や、髪の色や目の色が薄い人が、このスカーフをしてたらすっごいかわいいのになー」っていつも思っていたんですね。でも、ある日、その学校の尊敬する先生が私のところに来て「あなたのこの薄緑色のスカーフがあなたの髪の色と肌ですごく素敵、かわいい! すごくきれい」って言われて……。そのときにすごくびっくりしたんですよ。私はそうは思ってなかったことが、彼女たちにはそう見えて……。
向こうの人たちの見る目も違うし、こっちの感覚も違うし、見方が全然違うということがインターナショナルなんだなっていうことをすごく感じました。自分だけの見方じゃないってことをもっと勉強したいなと思ったのと、そういう見方ってあるんだなっていうことがすごく勉強になって、そういう意味で、日本だけじゃなくて、世界的なことっていうのは大事だなって思いました。

フェリシモ:
海外に出たら日本のよさをまた改めて感じる。新しい見方がいまのお仕事にも?

宇津木さん:
はい。自分は結構、コンプレックスがあったと思うし、だけどそうじゃないんだっていうことを思えた自分に対する自信もそう。やっぱり日本のいいところと、向こうのいいところと……、いまはそれが私にとってはプラスだったなって思います。

フェリシモ:
またパリでお仕事したいという気持ちは?

宇津木さん:
そうですね。日本が拠点でいいと思っているんですけど、したいですね。

フェリシモ:
「芸術のパリ」とも言われているだけあっていろいろなものがまわりにあると思うんですけど、何かはまったものとか、見に行かれてたものとか?

宇津木さん:
1年しかいないから、できるだけフランス語も話せるようになりたいなーと思って、わかりもしないのに、フランス人の友人たちと一緒にお茶を飲んでるんですけど(笑)。

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フェリシモ:
みなさんはフランス語をしゃべってるけども?

宇津木さん:
そうそう、私はわからない。でも「あなたわかんなくていいわよ」って感じで。でも、それはそれでいいやって思って、なるべくそういう環境に自分をおいたりして、ファッションのことだけじゃなくって、フランス人だけじゃなく、ほかの外国の人たちもいろいろ来てたので、その子たちの考え方だったり価値観だったり、そういうものを吸収したいなーって思っていました。
あとは、バスやメトロに乗れる定期を持っていたで「今日は何番線のバスに乗って、ここで降りて」みたいなことをしていました。庶民の生活が好きなので、アパートのまわりを探検してみたりとか、カメラ持ってちょっとおもしろいなってところを撮ってみたりとか。

フェリシモ:
そういうことがファッションのデザインにリンクしてきたりとか?

宇津木さん:
そうですねー。じゃあ、どれが具体的にっていうものを必ず形にするタイプでもないので、わからないんですけど。でもニュアンス的なよさってものは、多分いまの時点ではお店をつくるときにプラスになったりとか素材感だったりとか、シルエットだったりとか、そういうのには出てるかなとは思います。パリって、曲線が多いんですよね。それが日本とは違うというか、簡単なデザインにはしてないんですよね。何か必ず工夫してあるっていうか、デザイン心があるというか、やっぱりそれが「芸術の都・パリ」って言われるのかなと思いました。

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帰国後、初めての就職『zucca』、
それから『tsumori chisato』へ。
紆余曲折を経て、独立へ…

フェリシモ:
帰国されてからのことをお聞かせいただけますか。

宇津木さん:
本当はもう少し、なんとかしていようかなって思ったりもしていたんです。やっと慣れて友だちもできて言葉も少しわかるようになってきたときだったんで、そう思ってたんです。でも、ステュディオ ベルソーを紹介してくれた先生が「小野塚さんの『zucca』がスタートします。自分も誘われ、一緒に仕事をします。私はあなたを一緒に誘いたい」って言ってくれたんです。パリにいることもすごく楽しいんだけど、自分の中で早く仕事がしたいなっていう気持ちもあったので、やっぱり日本に帰ろうと思いました。
で、帰ってきて、パリでやってきた作品を小野塚さんに見せて「じゃあ一緒に仕事をしましょう」っていうことで参加させていただきました。私にとって初めての就職で、右も左もわからない状態で、苦しいこともあり、1から教わることもありました。それから2年半、ただ紙上でデザインして、ただ自分の作品をつくってっていうこととは違って、物としてかわいく見えるには、どこをどうこだわってどうつくっていくのか、それは自分でつくるわけじゃなく、人を通して、どう人に伝えてそのものをつくり上げていくかっていう人との関係だったり、どう自分のやりたいことを伝えるのか、伝えてどうかわいいものをつくるのかっていうことを教えてもらいました。すごく勉強になったんです。けれど、『zucca』はあくまでも小野塚さんのブランドであり、私はアシスタント。やっぱり、自分のやりたいことばかりじゃなくて、むしろそうじゃないことの方がほとんど。そのころにもうちょっと具体的に実践した仕事がしたいなー、ちょっと区切りをつけたいなーっていうのがあって……。あと、テイスト的にも『zucca』が自分にかなり近いなーって思ってた部分があったので、自分を見失ってしまいそうな不安もあったり……。いま思えば、もうちょっとがんばってもよかったなって思ったんですけど(笑)。

フェリシモ:
それがすごくいい方向に?

宇津木さん:
いいのか悪いのかわかんないんですけど。初めて人のいうことを聞かなかったかも知れない。いろいろな人に「もうちょっとがんばったら」とか言われたんですけど、そうは思えなくて……。
そのころは自分の中で人生の曲がり角みたいなのがいろいろあって、ファッションを自分がやっていくのか、本当にそれが自分はやりたいのか、本当にファッションをやってどうなるのかとか、そういうふうに迷ったことも、斜めの角度から見たりとかして、いろいろな意味で自分が満たされていなかったっていうのがあって……。次の就職も決めないで辞めてしまいました。
一応次にはもうちょっと自分が実践できるところに行こうと思いながらも、いま思えばちゃんとけじめがついてなかったんだと思うんですけど、もう就職活動しても落ちまくり(苦笑)。なかなか決まらなくて「何でなんだろう」って本当に悔しかったし、そうなっていくうちに「もう洋服やめようかな」って思い始めたりして……。
車の運転が好きだったので、軽い出来心からトラックの運転手でも……と(笑)。トラックの運転手募集ってところに行って、1週間やったんです。デパートの納品とかあって、すごい狭いところをギアつきのトラックで車庫入れしなきゃいけないんですよ。細い商店街とかも行かなきゃいけないんですよ(笑)。もう人を轢いちゃうんじゃないかと……(苦笑)、本当に怖くて、そのときにやっぱりこんな軽い気持ちではだめだ、ふと我に返って、1週間で「辞めます」って。その後も冷凍食品のバイトとかもやったんですけど、何をやってもやっぱり続けられないんですね。
というのは、自分の好きな仕事じゃないからだと思うんです。
そんなことをやっているうちに、結局お金もなく、遊びに行きたくてもなかなか行けないような状態になりました。いろいろなもの全てを失ってしまったような状態になっちゃったんですね。そうなったときに、自分が昔毛糸でつくったカーディガンがあって、それを「ほどこう」って思って「ほどいて何かつくろう」って思って編み始めたんですよ。そしたら、自分で感激してきちゃって「私はものづくりしているときがいちばんしあわせなんだ」っていうことをすごく実感して、私はほかに何もなくても、これさえあれば生きていけるなって、そこで初めて、自分のものづくりの好きっていう気持ちと、大切さっていうものを自分の宝なんだなってことを本当に実感しました。
それでまた就職活動を始めました。

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フェリシモ:
やっぱり気持ちが表れるんですね。

宇津木さん:
今回は「こういうところで、こういう仕事をするために、こういう会社にいきたい」っていう気持ちが出てきました。自分の自覚ができてきたんでしょうね。
そのときには自分のテイストと違う会社だったんですけれど、いろいろなものづくりに携われるということで、納得して入社し、結局5年いました。そこで売るっていうことと、現実っていうことと、あとテイストが違うってことのつらさを経験しました。自分の力を出せるのはやっぱり自分と同じようなテイストのところじゃないと……。あと、ものづくりをすることは自分にとって宝、大切であっても、それを生かせない自分っていうのがつらくて、ものづくりをして、より多くの人と分かち合いたいとすごく感じました。それが私がやりたいことであって、私がしあわせだなって感じること、そこの会社でそう思えたんですね。

フェリシモ:
クリエーターとしての自分と、でも売っていかないといけない現実の部分と、両方あるんですね。

宇津木さん:
その会社にいたときには「このままがんばっていこうかな」とは思ってたんですけど、ほかを探し、、次の会社は8ヵ月って形でちょっと短かったんですけど、その後「今度は夢もあり、現実的にもちゃんとできるようなところに行きたいな」って思ったときに「やっぱりツモリさんのところだな。彼女のところで勉強したいな」って。ちょうど募集してたところだったので、縁があったのかなーっていうところで、一緒にお仕事させてもらいました。彼女と一緒に仕事をして、どうして夢をつくりながらこういうことができるのかなってすごく勉強になりましたね。小野塚さんもそうだし、ツモリさんもそうなんですけど、すごいパワフルというか、がんばっている人なんだなって勉強になりました。

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宇津木さんのブランド『FRABOIS』について

フェリシモ:
フラボアについてお聞きしたいと思います。フラボアのコンセプトは? 大事にされていることはありますか。

宇津木さん:
例えば人と人ともそうですけど、お互いリラックスして話すとお互いのことわかり合えるし、もっとわかりやすいというか、バリアをはっちゃうっていうのは私はすごく嫌なので、リラックスというか肩の力を抜いてやることって大事じゃないかなって思えて、自分もそういうふうにしていきたいし、っていう希望もあるので、そういう意味で、完璧じゃなく、どこかこう抜けてるというか、そこが愛きょうというか……。それが私の感じる美感であって、完璧なものに対する美感も私の中では、おなかいっぱいっていう感じで、抜けてるからこそいいっていうか、抜ける強さっていうか、そこに美を感じるので、そこが永遠のテーマですね。

フェリシモ:
いつもリラックスさせていただいて……。それが服にも表れてるなって思っています。服づくりをされるときに、アイデアはどういうところから沸いてきますか。

宇津木さん:
あえて何かをするっていうことは、そんなにないですね。日常の中から、例えば洗濯物干してても思うし、あとは電車の中だったりとか、道をすれ違う人たちだったりとか、若い人もいますけど、おじさんおばさんだったりとか……。わざわざどこかに行かなくてもいろいろなところにアイデアや発想のもとはあるって思っています。もちろん探すこともありますけど「どうしたらいいかな」とか、「次どうしようかな」って常に思っていると、インスピレーションというものは来るって思っていて、だから自分はいつも敏感でいたいなって思います。
それは洋服だけのインスピレーションだけじゃなく、悩んでたときとか、本気で「どうしよ」って思っていると、誰かがぽっと言ってくれたりとか、テレビで気になっていることをやっていたりとか絶対何かがあるはずなんですよね。

フェリシモ:
導かれるように、思っていたらいつかはかなっていくってことがあったりして。その強さを宇津木さんから感じます。

宇津木さん:
いやいや。本当にわがままなんで、こうしたいって思ったそうせざるを得ない……。私の場合はやってみないとわからない人なので(笑)。若いうちには何回失敗してもいいと思うので、思ったことは突き進んでやって、それでダメならすぐ切り替えてじゃあまた次のことをしようって思って、行動した方がいいと思うんですね。そこでつらい思いをしても、自分がやりたいって思ったんだからっていう責任の下で納得して次に進めばいいんじゃないかなって思うし、その方がしあわせだったりするんですよね。

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フェリシモ:
後悔するよりも……。

宇津木さん:
経験して、そのときにはそれしか見えなくてそれがやりたかったと思っても、やっぱりこっちの方が楽しかったとか、この方がなんて自分はしあわせなんだろうって本当の部分が見えたり。そういうことを若いうちにしてほしいです。

フェリシモ:
『FRABOIS』の人気、ご自身ではどう感じていますか?

宇津木さん:
本当にありがたいです。もちろん、私はファッションはビジネスだと思っているので、ビジネスとして成功させようって思っています。そういう意味では人気が出ないといけないし、時代性もあるなあと思っています。これを5年前にやってもダメだったと思うし、いまの時代と全てがあわさったとしか思えません。

フェリシモ:
アイデアは日常からポッと浮かんでくることが多いですか? それともその時代の背景とかをいろいろ研究されてとか?

宇津木さん:
アイデアとかは日常的なところからっていうのもあります。時代に最先端であろうとは思わないですね。知らないことがいっぱいあるんですよ(笑)。どんな音楽がはやっているのかとか、知らないことばかり。ただ自分を世の中の基準に合わせていようっていうのはあって、それは大事なことだなって思っています。特別なことをする時間があまりないので、普通の人と同じ、テレビを見、ラジオを聴き、いま世の中では、どんな番組が受け入れられてて、どんな人たちが受け入れられててっていうのを勉強しています。いまはこういう時代だよなっていうことを感じることはいつもしていますし、そういうことを考えているのが好きですね。
(中略)

フェリシモ:
今日着られている服も『FRABOIS』ですよね。会場にも何人かお見かけしますが、着られている人を見てどんなふうに感じますか。

宇津木さん:
全身『FRABOIS』を着ていても、その人の個性が前面に出て「え? 全身フラボアなの?」っていう方が好きですね。服が前面というよりも、服と合わさったその人の個性っていうものが、素敵だな、おしゃれだなって思うので、そういうふうに着てもらえるとうれしい。別に全身『FRABOIS』じゃなくても、コーディネイトの中で、その人のひとつになって、バランスが取れ、その人の個性が出ているとうれしいですね。
本当は、自分はただポロシャツ&ジーンズで、自分の個性が前面に出て、素敵に見える人間だったら、それがいちばんおしゃれだなっては思うんです。それを、自分においてみたら、イメージ的にそれでは無理で「自分だったらこうしか表現できないな」っていうところでいつもやっているので、みなさん個々にあると思うんですけど、それでうまく表現できればいいんじゃないかな。

フェリシモ:
自分自身を育てるっていうテーマのもと宇津木さんのお話を伺ってまいりましたが、宇津木さん自身、ゆるい感じもあるんだけれど強さとかおおらかさとかもお持ちで、とても素敵だなって思いました。今日、さらに素敵な宇津木さんを拝見できたかなと思っています。ご自身が意識していらっしゃることもそうでないこともあると思いますが、今日来られているお客さまに自分を育てて磨いていくということについてアドバイスをお願いできますか。

宇津木さん:
そうですね。やっぱり自分がこうしたいなって思ったことをできるだけ若いうちに行動して、経験してほしいです。もしダメだったとしても、若ければ、やり直しができます。年をとればとるほど勇気もなくなってくるし、守りに入ってしまう。私は若いころはそれをわかってなかったんですけど、いまどんどんそうなっていく自分を感じています。

フェリシモ:
日々の暮らしで、いちばん大切にしている時間は?

宇津木さん:
大切にしたいのはひとりの時間です(笑)。

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フェリシモ:
今は?

宇津木さん:
ひとりの時間は通勤電車の中と、仕事終わって家に帰ってきて深夜番組を30分くらい見ているそのひとときですね。

フェリシモ:
宇津木さんの夢は?

宇津木さん:
世界の人たちとインターナショナルに仕事ができるようになりたいですね。

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<第2部>

お客さまとのQ&A

お客さま:
洋服が大好きでパタンナーの勉強をしています。デザインの勉強もしたいと思っていますが、私はいま25歳。いまからでも間に合うかとかいろいろ考えると行動に移せません。宇津木さんは迷いはなかったですか。あと、デザイナーの楽しさは何だとお考えですか。

宇津木さん:
デザインをしたいっていう思いがあるのならば、会社を探してみるとか、そういうことはやってみた方がいいと思います。まだ25歳だし。
デザイナーとしてやることの迷いはなかったです。迷いというよりも、やりたいっていう気持ちの方が強くて、デザイナーのよさっていうのは、自分の伝えたいことを物を通して表現できることだと思います。ただそれは会社によっても違うし、クリエーターとしてやっていくのか、そうじゃない仕事としてやっていくのかとの違いもあります。自己表現することが楽しいって思う人はそれが楽しいと思うんですけれど……。

お客さま:
デザインにおいてもっとも重視しておられるポイント、またご自身の中の普遍的なテーマがありましたらお聞かせください。

宇津木さん:
やっぱり、どれがいちばん、いまの自分の中で感じていることなのかなってことを考えながらデザインしています。あとは、実際に着れる服をつくろうと思っているので、例えば少しデザインしたというか、ちょっと奇抜であってでも着れるかっていうことをリアルに考えながらやっています。

お客さま:
自分のやりたい事をする行動力のパワーの源になっているものはなんですか。

宇津木さん:
わがまま(笑)。絶対みんなあると思うんですけど、なんか満たされない部分っていうものがあって、それに対してじゃあ自分はこうするって、それが逆に前向きに出れば、前向きに行きたいっていう方ですかね。

お客さま:
生涯現役で働きたいですか、それともいつか隠居したいですか。

宇津木さん:
自分の中では一生働きたいなと思っています。一生こういう仕事ができたらそれは本望だなって思っているんですけど、お呼びでないのにやっているっていうのはちょっとやっぱりいやなんで、そのときにはさっさと隠居したいです。
(会場:笑)
続けられるようにがんばります。

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お客さま:
宇津木さんの好きな言葉、がんばれる言葉があったら聞かせてください。

宇津木さん:
恥ずかしいですけど、やっぱり「努力」ですかね。大事かなーって思うし、素敵な言葉だなって思います。

お客さま:
将来について迷っています。宇津木さんは自分の行くべき方向性をいつ見つけたのでしょうか。

宇津木さん:
:第一段階としては、洋服の仕事をやりたいって思ったのが19歳くらいのとき。それから自分が「こういうことをやっていきたい」って思ったのは7年前くらいですね。細かな方向性があるのでまた変わるかもしれない。洋服のデザイナーという意味では変わらないですけど、その中でももっと自分が表現していきたいこと、やっていきたいことっていうのはまた変わってくると思います。

お客さま:
『FRABOIS』は肩の力を抜いて着られる服が多いのですが、、宇津木さんご自身、他のブランドやきちっとした服を着たり、ヒールを履いたりされますか。

宇津木さん:
ヒールは最近ちょっと買ったんですけど(笑)。でもきちっとした服は着ないですね。こどもの入学式とかでも『FRABOIS』の服とか着ちゃいます。ただその環境に合わせた服装はしなきゃいけないなって、マナーかなと思っているんですけど……。ヒールもちょっとチャレンジしたいですね。ただ立ってられないかも(笑)。

お客さま:
あこがれのモデルさん、女優さん、デザイナーの人はいますか。

宇津木さん:
カール ラガーフェルドを尊敬しています。自分のブランドとシャネルというブランドもやり、その中で長い間あれだけのものを持続しているっていう精神性の高さと根性。すごい人なんだなーと改めて最近感じています。あと、同じ女性として川久保さんはすごく強い人だなって思って私もいつも励みになります。

フェリシモ:
最後にこの会場のお客さまにメッセージをお願いいたします。

宇津木さん:
私自身こんなんでいいのかなって思う部分が多く、全然強い人間ではなくて、いつも悩んでしまったりとか迷い道に入ってしまいそうな自分がいます。一度迷い道に入ってしまった5年間というのがあって、そこへは二度と戻りたくないなっていうのがあって、道からはずれそうなときは、その経験を思い出し、自分を保とうとしています。失敗したなってことがあったらそれを土台にして、もう二度とそういうふうになりたくないっていう気持ちを大切にすれば、いろいろなことを渡っていけるんじゃないかなと思っています。

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Profile

宇津木 えり(うつき えり)さん<『FRABOIS』ファッションデザイナー>

宇津木 えり(うつき えり)さん
<『FRABOIS』ファッションデザイナー>
*プロフィールは、ご講演当時のものです。
1966年東京生まれ。女子美術短期大学衣服デザイン教室卒業後、エスモードジャポン入学。その1年後渡仏。パリのステュディオベルソーにて学ぶ。帰国後、「Zucca」「TSUMORI CHISATO」などさまざまなファッションブランドのデザイナーを経て2000年株式会社ビギ入社。その後2001年に現在の「FRAPBOIS」のデザイナーとなり、現在にいたる。

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