神戸学校

神戸学校はフェリシモが主催する「神戸発 生活デザイン学校」です。

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「私たちも自然の一部 ~海からのメッセージ~」



<第1部>

海の中も、野生の世界
海の仲間たちに私たちが学ぶこととは……。

こんにちは。みなさん、夏休み、たくさん遊びました? 僕はこども時代、夏休みは1日中外で遊んでました。何をやったかというと、昆虫とか虫を捕まえては、残酷なことをしてました、いまだから言うけど。それを思い起こせばこどもっていうのはもともと残酷なものなんだな、と。でも、それを経験してこないと、ちょっとまずいかなという気にもなっています。どういうことかというと、こどもはいろいろなものに興味を持って、その興味を満たすために、まず自分の手でいろいろなものを捕まえて、そしていじめて……。でも、こどもってやっぱりそうなのかなっとも思うんですね。だから、生き物の痛みっていうのかな、どこまでやれば「この子はもう死んじゃうんだよ」ってこと、その加減が、ずいぶんわかったような気がするんですよ。そうやっていろいろな体験をしてこどもは、だんだん大きくなっていくじゃないかなって思うんです。
いまは運動会も順位を決めちゃいけない、ゴールのときはみんな手を繋いで一斉にゴールなんて、そういう学校が多いんですよね。大事な教育の時期にそういうふうに保護されてしまって……。いじめのないようにみんな平等に仲よくって言うかもしれないけど、社会に一歩出たらどうなります。社会人になったら、もう野性の世界でしょ。ちょっとでも甘やかされてる人はすぐ恐喝される、そういう時代です。そういう免疫のないこどもたちはどうなるんですか。あまりにも無責任のような気がするんですよね。やはり「2位なった、悔しい!」「1位なった、うれしい! がんばったもんね 」って言って褒められ、どんなに頭が悪くても「駆けたらあいつにはかなわない」っていう子がいたと思うんですよね。そういうところを伸ばしてあげるべきじゃないかなって思うんですよね。

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なぜこういう話になったかというと、これまで38年間日本を含めて世界各地の海を旅してきたんだけど「いやあ、海の中っていうのは半端な世界じゃないわ」って感じなんです。それこそ、ものすごい野性の世界。海の中にひとたび潜れば、そこにはいろいろな自然の世界が展開している。もう甘やかされた人間の入り込む余地なんかまるでない。例えばまずイカの卵が産み落とされますね、その卵が日にちをかけてだんだん成長して、赤ちゃんが中でクルクルもう回ってるんですよ。「誕生は今日か、明日か」と思ってると、いつの間にか周りにはそれを食べようと魚がジッと待ってる。で、ポンッと殻を破って小指の爪くらいの赤ちゃんがピュッと出た瞬間、パクッて食われてもう終わり。1秒もないですね。これが野性の世界なんです。100匹生まれれば100匹ほとんど食われちゃいます。そういうことを毎日のようにこうやって見てると、人間は本当に甘やかされて生きてきてんだなあって思うんですよね。おとなになってもまだ、親の保護を受けながら生きたりしてるわけでしょ。しかし、この自然界ってのは、すさまじいものなんです。ただそういう残酷な世界ばかりじゃなく、こどもを思う親の気持ちとか、カップルの仲よさとか、あと自分の家を守るために父ちゃん母ちゃんがどれほど戦って家族を守ってるかとか……。我々人間もかなわないくらいの愛情があり、家族を守る気持ちもある。そういう生活を見てると、海の生き物たちに学ぶことって多々あるなって思います。
では、まずスライドでいろいろな海の中のドラマをご覧いただきたいと思います。

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珊瑚や珊瑚と共生する生き物……
ドラマチックな海の世界

(スライド)
これはフィリピンの南シナ海の珊瑚礁。テーブルサンゴ、枝サンゴ、これらがびっしり、地上に這い上がっていくくらいの勢いで広がってます。そこにこの写真の右手、約100メートルくらいのところにリゾートをつくるってことになって、この自然の美しさを守るために、桟橋も部屋もみんな手づくりしたんですね。ところが1年も経たないうちに、珊瑚礁は全滅。それだけこの海の生き物たち、とりわけ珊瑚たちは非常に脆いところがあるんですね。この珊瑚たちは何をしてくれるかというと、一応固い骨格を持っているので、どんな波がきても波が珊瑚にぶつかって珊瑚が壊れるけれど、ガチッと波から人を守ってくれるんです。だから、南の島の人たちは珊瑚に守られていると言っても過言じゃないわけです。

(スライド)
珊瑚礁には人間にはまず見ることができないちっちゃなプランクトンがたくさん浮遊してます。これは“グルクマ”という魚。口をパクッと開けてね、もう僕らの周りをグルグル泳いでいます。これはプランクトンを食べてる最中。顎が外れるんじゃないかなって思うくらいの大きな口を開けてます。海面下には、植物性・動物性プランクトンがたくさんあります。そういうプランクトンがこの海の中の食物連鎖のいちばん底辺にあるわけですね。その食物連鎖の底辺にある、要となるプランクトンがきちんとこの沿岸域に川などから通じて流れ込まないと生態系がどんどん壊れ、海が死んでいくわけです。

(スライド)
これは沖縄の珊瑚礁。丸いのがテーブルサンゴ、枝状に見えるのが枝サンゴ。この枝サンゴとテーブル珊瑚が密集してます。みなさん、死んだ珊瑚を見たことありますか? 真っ白なんですよ。お土産屋さんで売ってる珊瑚も真っ白でしょ。あれは死んだ珊瑚。珊瑚ってのは海の中の炭酸カルシウムを取り込んで自分の骨格をつくっていくから、元々は真っ白なんです。ところが珊瑚は緑色とか、褐色とかに見えます。これは本当の珊瑚の色じゃないんですよ。実は海の生き物は、みんないろいろな形で助け合ってるんです。この前の写真にプランクトンを食べてる魚がいたけども、あの魚に食べられてるプランクトン、その中に植物性プランクトンの褐虫藻っていうプランクトンがいます。

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これは海中に漂ってるんだけど、ほとんど魚に食べられちゃうので、その褐虫藻は何億年も前に、珊瑚のからだの組織の中に潜り込んで自分の身を守ることを考えちゃったんですね。たった1センチくらいの珊瑚の中にも何万という褐虫藻が潜り込んでるから、緑色に見えてるわけです。珊瑚は、褐虫藻の色なの。褐虫藻がだから全部逃げ出してしまえば、あのテーブルサンゴが真っ白になるんですよ。こうやって珊瑚礁を見てると、海草の森を見てるのと同じなんですよね。珊瑚は褐虫藻を受け入れてくれました、からだの中に。そのために褐虫藻というプランクトンは魚に食べられなくてすんだ。「じゃあ、珊瑚に何をしてあげてるの」と思うでしょ。ここが大事なんです。褐虫藻は海草だから太陽の光をもらって、光合成をして酸素を出すんです、陸上の植物と一緒。その酸素を珊瑚がもらってるんですよ、生きるために。その褐虫藻が珊瑚と一緒につくり出す有機物を珊瑚が食べてるんです。そういう共生関係にあるんですね。だから褐虫藻がいなくなれば珊瑚は死んじゃうし、珊瑚が死んじゃえば褐虫藻もいなくなっちゃう、そういうことになるわけです。そうやって珊瑚は海草から酸素をたくさんもらって、珊瑚が呼吸して二酸化炭素を吐き出す。それを褐虫藻がもらってるんです。そういう助け合いをしています。

(スライド)
沖縄の珊瑚礁。太陽の光がないと褐虫藻も生きていけないから、だから珊瑚礁ってのは必ず浅いところにあります。みなさんが想像してる珊瑚というのはピンクとか桃色の宝石になる珊瑚かと思いますが、あれはこの写真の珊瑚とは違うんです。あの珊瑚は深い海の中にある、また別のもの。これは珊瑚の大陸をつくる、大きく広がって珊瑚の都市をつくる、そういう珊瑚。造礁珊瑚といって、この珊瑚が自分で酸素をもらって骨格をどんどん広げて、そこにちっちゃな1ミリ2ミリの触手、“ポリプ”ってのが生まれます。その触手で流れてくる小さなプランクトンを食べてます。でも栄養の9割くらいが、この褐虫藻っていう海草からもらってるんですね。褐虫藻がいなくなると、自分でプランクトンは食べられるんだけれども、いつプランクトンが流れてくるかわからないから、だから褐虫藻がいなくなるとほとんど死んでしまいます。珊瑚礁ってのは固い骨格を持ってるので、必ずその周りには小魚がいます。ブルーの魚はデバスズメ。僕が近づいて行ったので、みんなパアッと珊瑚の上に集まってきました。離れると、もう少し上に上がっていって流れてくるプランクトンを食べるんだけど。危険が迫るとパアッと下に下りていって、いつでも珊瑚に隠れられるように段取ります。

(スライド)
南の島なんかを潜ると、この危なっかしいガンガゼというトゲの長いウニがいます。夜行性だから夜は岩の奥からいっぱい出てきて、もう周り中このガンガゼだらけっていうこともあります。ガンガゼは下に口があるんです、それで上の方に点と赤いでしょ、あれが肛門です、おしりです。下に口があって、このガンガゼたちはいろいろな低生生物をガリガリ食べてくれるの。珊瑚の小さな幼虫、幼生なんかも食べちゃいます。ということは、このガンガゼたちは、間引きしてるということなんです。彼らがいないと全部珊瑚礁になっちゃったり、砂地がなくなったり、藻場がなくなったりします。全部珊瑚に覆われてもいけないわけ。砂地には砂地の生物、海草のある藻場には藻場の生物がいなくちゃいけない。そういう意味ではいろいろなものをガンガゼが間引きしてくれてるんですね。無駄なものっていうのは海の中にはひとつもないんです。

(スライド)
さっきの珊瑚に群がってる青いスズメダイに近づいてみました。すると、みんな一斉に珊瑚の中に隠れちゃって、手を入れてももう捕まえられない。離れるとバアッと出てくるけれども、パッと脅かすと、目にも留まらぬ速さで一斉にバッと中に入るの。1匹も頭ぶつける子いないよ。すごいよ、何回やっても同じ。こうやって小魚たちを守ってくれてるのが珊瑚礁なんですね。

(スライド)
温暖化によって発火現象が起きました。最大の発火現象が1998年。これは沖縄の久米島。久米島の海のテーブルサンゴ、枝サンゴがほぼ壊滅状態。どういうことかというと、水温がどんどん上昇してしまって、そうすると海の温度が温水のプールのようになっちゃうわけです。珊瑚は暖かい南の島で発達するけれど、30度以上水温が上がっちゃうともう生きていけない。どうなるかっていうと、まず中に隠れていた褐虫藻ってのが暑くてみんな逃げ出しちゃうんです。それで、もぬけの殻で真っ白になっちゃうんですね。こうなると珊瑚は自分で触手を開いて一所懸命プランクトンを食べるしかないけれど、この栄養は1割くらいしか満たないから、このまま3週間発火現象のままだと全滅になっちゃいます。この発火現象の珊瑚を助ける道はただひとつ、それが台風です。台風が来れば、深い冷たい水と温かい上の水とが混ざって、攪拌(かくはん)されて水温が下がるんです。そうすると褐虫藻がまた戻ってくるんですね。

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あるいは珊瑚の一部、ほんのちょっと残ってるであろう褐虫藻が増殖するんですね。それでみるみる緑色になったりして、褐色になったりして、生き返るんだけれど、1998年っていうのは沖縄に台風がひとつも上陸しなかったんですね。それで沖縄本島の珊瑚もほぼ全滅でしょう。さらに久米島、モルジブが全滅ですね、テーブルサンゴと枝サンゴが。もう見る影もない。あとオーストラリアのグレートバリアリーフっていう世界最大の珊瑚礁が、やっぱり大打撃を受けてます。あとマレーシア、インドネシアなど世界中の珊瑚がこの温暖化によって真っ白くなって、それで3週間後にはこの上に褐虫藻じゃなくて他の汚い藻がはびこってしまって、幽霊屋敷みたいになっちゃって、真っ暗な海になっちゃって、全部珊瑚が死んでしまいます。そういう海域が続いてるんですよね。いまこの場所に行ってもまだ珊瑚は蘇っていないと思います。ただ、テーブルサンゴ、枝サンゴがいちばん弱いんだけども、そういう脆い珊瑚ってのはまた成長も早いんです。海の条件さえよければ1年間に5センチとか10センチは伸びるから、またみるみる元の珊瑚礁に蘇る可能性もあるわけです。そういう蘇られるような海の環境に我々人間が持っていってあげなくちゃいけないわけですよね。

(スライド)
これはテーブルサンゴ。50メートル以上向こうまで真っ白。船で現場へ向かうと海の中が、珊瑚が真っ白。蛍光色を発光してるみたいで、実にきれいに見えるんですよ。海に飛び込むと蔵王の樹氷の合間を泳いでいるような、そんな錯覚さえ覚えてしまうくらい、きれいなんですね。でも、珊瑚たちにとっては「助けて」とSOSを発してる状態なんです。

(スライド)
この写真の左下にある大きな岩はテーブルサンゴの倒れたものです、死んでしまって。その死んでしまったテーブルサンゴの下に、アオリイカが2匹いました。オスとメスです。カップルで次々に潜っては出てきて、メスが入っていくと、次はオスが入っていって、それを何回も繰り返して、「何してるんだろう?」って覗いてみたら、このように 卵が産みつけてられてました。新しい生命ですね。何でこういうところに産むのかなって思ったんです、酸素も少ないだろうに。そこで僕が感じたのは、死んだ珊瑚礁にはまず敵がいないってことです。だから生まれた赤ちゃんが生き延びる確率が高いと踏んだんですね、この親たちは。本当はもっと健康的な、魚がいっぱいいる酸素の豊富なところに産みたいだろうけども、それじゃああまりにも敵が多くて、生まれた瞬間から食われていくだろうと。多分ここで産んだ親も、こういうところで生まれたんじゃないかなと。そういう遺伝子がアオリイカに代々受け継がれてきてるんじゃないかなという気がしました。死んだ珊瑚の下、と言っても背が立つくらいの深さだから、波がくればそこにまた酸素ができるわけですから。この珊瑚の下に隠れながら、夜行性なので夜になると赤ちゃんがチョコチョコッと怖い魚たちがみんな寝てるときに出て行って、ちっちゃなプランクトンを食べては明るくなると、またこの下に戻ってきて隠れるという暮らしをしてるのかなと思いました。だから海は珊瑚が死んでもまだ他の生物たちの役に立ってるな、と強く強く感じました。

(スライド)
これは珊瑚の産卵です。こうして死んだ珊瑚でも、ごく一部の珊瑚が年に1回産卵を起こします。これによって何十万、何百万、何億個という卵がパーッと珊瑚から誕生します。だいたい、これ(両腕で円をつくったサイズ)くらいの珊瑚から何億っていう卵が産まれるわけです。きれいでしょ。卵というよりもカプセルですね、あのカプセルの中に精子と卵子が約10個ずつくらい入ってます。そして油分を含んでるので、全部上に浮いてくわけ。それで全員水面まで行くと、そこで漂いながらカプセルがパチンと弾けて、精子と卵子が放出されるわけです。そこで受精が始まります。こうやって珊瑚は、自分で炭酸カルシウムを取り込んでちっちゃなポリプ、触手をつくりながら自分の骨格を広げて大きく成長していく方法と、年に1回大産卵を行って、その卵がまた新しい生命となって成長していく方法と、ふたつの方法で珊瑚は大きくなっていくんですね。

(スライド)
数年前に撮った沖縄の竹富島沖の珊瑚の大産卵です。もうこういう産卵はほとんど見られません。夜の9時過ぎ、満月の夜ですね、産卵します。周り中の珊瑚が全員一斉にですよ。そこを泳ぐと、珊瑚の卵の吹雪にあってるような感じ。最初はパラパラ、パラパラッと出てくるんだよね。ところがそのうち、どんどん、どんどん最盛期になると、ものすごい数の卵が全部触手からポンッポンッと吐き出されます。
すごいのは、珊瑚ってのは、例えばこのテーブルくらいの珊瑚から何億っていう卵が産まれますね。それで精子と卵子が水面でばら撒かれます。ところが、ここの珊瑚から産まれた珊瑚はね、絶対に受精しないんですよ。近親相姦になるから。だから隣の珊瑚と受精するんです。でなければ、向こうから流れてきた精子と卵子と受精する。そういうことが何億年の昔からわかってるんですよ、珊瑚は。驚きますね。そのために一斉産卵が行われるわけです。1個の珊瑚だけ産まれるってことはまず、ないです。隣の珊瑚が産んだら「うちも早くしなくちゃ」って一斉に産むんです。それで潮に流されながら受精するんです。そんなことを昔から珊瑚たちがしてたってことが、すごいなあって思うんですよ。

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更にこの珊瑚、受精して数ミリのプラヌラ幼生っていう幼生になります。そして大海原を漂うわけです。最初のうちは漂ってます。それがジンベイザメとか、マンタとか、巨大な魚に一口でガバッと食べられちゃうわけです。そのごく一部、残ったプラヌラ幼生が大海原をどんどん潮に流されて、自分の生まれ故郷を離れながら、自分がどこで生活したらいいか、探してるわけです。そして「ここがいいか」「ここは潜ったらだめだよ」「ここは下は砂地だよ」とか「ここは海草の藻場だよ」とか、みんなわかってるそうです、この幼生が。そして最後に下りて底に着いちゃったら、もうそこで一生動けないわけだから。そりゃ慎重でしょうね。やがて「ここだ! 俺はここで一生過ごそう」って思ったら、細長い数ミリの幼生が潜ってくるんだって。深いところでは10メートルくらいあるでしょう。「どうやって潜れるの」と思って顕微鏡で見ると、細長い赤ちゃんの回りが全部、細い繊毛に覆われてて、その毛をパーッと動かして潜ってる。すごいですね。珊瑚は光合成のために太陽の光が必要なんだけど、幼生は全部魚に食べられちゃうから、食べられないように、まずは光のない岩の下にくっつくわけ。そこに着床して、ジッとして自分で炭酸カルシウムを取り込んで、骨格をちょっとずつ大きくしていって、今度はそこにポリプをつくっていくわけです。そのポリプがどんどん広がっていって、3ヵ月から4ヵ月になるとだんだんポリプが発達して外に出てくるようになるんですね。珊瑚ひとつとっても、ものすごいドラマがありますね。

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これはナポレオン。こんなのがいるんですよね、海には。これ、エジプトのシナイ半島の先端の紅海っていうところ。この魚、やたらゆで卵が好きでね。世界中のダイバーがここに何百人っていつも潜るんです。ダイバーのお弁当には、いつもゆで卵がふたつ入ってるんですよ。1個は自分が食べて、1個は海へ持っていって、この子たちにあげてるんです。だから海へ潜ると、このナポレオンが数匹、ダイバーのまわりにやってきます餌をあげてコミュニケーション取れたと思ったら大間違いだと思うんです。野生の生き物は餌をあげれば食うけど、なくなったらさっさと行っちゃいますからね。つれないもんですよ。

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カンムリベラ。この歯で、珊瑚をガリガリ食べるんですよ。珊瑚の中には自分の大好きな海藻が入ってるでしょ。あれを食べたいから、珊瑚ごとガリガリ食っちゃう。

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ブダイ。かわいいでしょ。寝てるんですよ。でもこの子、こんな寝方してたらサメに一発で食われます。夜行性のウツボやタコにも食われるかも知んない。「食べてください」って言わんばかりですよ。僕が撮影してると、よっぽど疲れたみたいでフラフラーって来てコテッと横になっちゃった。穴の奥に入らないと、絶対食われちゃうんだから。こういう寝方をするような親は駄目なんです。この子がどんどん子孫を増やすと、子孫も全部食われちゃうからね。遺伝子がそのまま組み込まれていくと、危ないんですよ。

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海の中ではいろいろな方法で自分の身を守ってます。猛毒を持ったり、逃げ足が速いとか、集団で生活するとか、いろいろな方法で見を守ります。いちばん多く見られるのが、この写真のような“擬態”ってやつね。珊瑚の色とそっくりの色で珊瑚に住むっていう、これによって自分の身が誤魔化される。模様がタータンチェックみたいでおしゃれです。クダゴンベっていう気の弱い魚です。

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ここにも擬態している魚がいます。どこに何匹いるか分かりますか? オニカサゴが2匹います。彼らは泳いで魚を追いかけて食べることができないくらい、泳ぎが苦手なんです。だからジッと岩なり、石になってまわりに溶け込んで、前に来た魚に飛びつくという擬態の名人なんですね。

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ここにもいますね、真ん中の下側。オニダルマオコゼ。これも、やっぱり泳ぎが苦手で、痒くてもかいちゃいけないし、他の魚にバレちゃいけないから、ジッと何があっても動かない。そして魚が来たらパッと飛びついて食べるの。

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目がどこにあるかわかりますか? 口が上に裂けてるのがわかりますか? なんかビラビラっていろいろなのがあるけど、あれは皮弁っていう皮膚の一部で、あれがあるから紛らわしくなってるんですよね。擬態の得意な魚はああいうのをみんな持ってるんですね。

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これはアンコウです。いま、砂の中にすっかり潜ってるから、肉眼では、まずわかりません。からだのまわりにあるのが皮弁っていって、砂に潜ったとき、これがあるから微妙に魚と砂との境目がわからない。皮弁を引っ張ると怖がるんだよ「痛い!」って言います。チョウチンアンコウって知ってますか。あれは、メスの側に必ずオスがいるんだけど、オスが目に付かないくらい小さいの。オスは、メスのからだに噛みついて体内の中に潜り込んで、一生ヒモ生活してんの。チョウチンアンコウに「オスがいない」って調べたら、メスを解剖したらメスのヒレの中かどっかに潜り込んで寄生生活してる、そういう生態もありますね。

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ミノカサゴ。背ビレに猛毒を持ってます。自分の毒を知ってるのかなって思って、長いカメラの一部を背ビレの上にかざしたんです。そしたら、これ以上逃げられないと思ったのか、背ビレを立てて下からカメラに向かってトントントンって突いてきましたよ。こっちは真っ青。あんなの刺さったら、もうイチコロですね。手だって足だって腫れちゃいますよ。ミノカサゴは、自分の毒がどこにあるか全部わかってました。だた何もしなければ、決して何もしないのが海の生き物、野生の生き物。危害を加えなければ何もしないです、いくら側にいても。そういうもんです。

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イザリウオの赤ちゃん。小指の爪くらいの大きさですよ。黄色いってのは生き物にとっては警戒の色だから「私には毒がありますよ 。私は怖いですよ」という色なんです。赤ちゃんのときは黄色だけども、大きくなるに従って黄色がどんどんなくなったりするのもいます。潮の流れが早くて、まわりにある石ころがビュンビュン流れてきてるの。で、この子のからだ、揺れてんの。潮の流れにさらわれたら、あっという間に食われますよ。だから何があっても、腕で踏ん張って それを離しちゃいけないわけ。そのうち頭に石ころがコンコン当たってんだよ。でもがんばってふんばってるよ。

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怪我をしたサザナミフグの
生きるための親子愛を見た瞬間

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これはエジプトのシナイ半島の突端。世界中のカメラマンが来てて、一緒に潜ったんです。僕はくっついた2匹のサザナミフグを見つけました。「何だろう、くっついて、おっぱい飲んでるかな? 親子だな?」って思ったの。模様も大きさも違うし。「あれ? でも、このフグにはおっぱいはないぞ。なんで?」って思って、下まで舞い降りました。船から大体6メートルくらい下が砂地のところ、回り込んでこどもの口元を見ようと思ったら、この2匹が全身のヒレを一所懸命動かして、くっついたまま泳いでいって、また同じように背中を向けるわけ。今度は反対側から回り込んだら、また泳いで回って、何があっても口元を見せないんです。「これは重大なことがあるな」って思って。何回やってもだめだから、近くを通ってた僕の仲間がいたんで呼んで「この2匹をこっちに向けてちょうだい」って頼んだの。そしたら彼は2匹に手を伸ばしちゃったの。その瞬間、2匹がパッと離れっちゃったんですよ。でも、メスの裏側を見ることができました。なんと3箇所、ガブッと噛まれた痕があるんですよ、大怪我してたの。どういうことかというと、海の中はちょっとした油断で、あっという間に命を落とす世界です。それほど、容赦のないのが海の世界。

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だから自分が病気してるとか、弱ってるとか、そういうことは絶対に見せちゃいけないんですね。ましてや怪我してたら、もう一発です。そしてこの子は、お母さんのお腹の傷を見破られないように、ピタッと顔をくっつけて、さらに口からフーフーっと息を吹きかけてると思います。それは親が卵を産んで、だんだんこどもが目ができてきて、もうすぐ誕生かなっていうときは口からフーフーっと息を吹きかけたり、ヒレでバーッと水をはたいて、新鮮な空気を送るんですよ。それによって産卵が促される、誕生が促されるってことがあります。だからこの子も、傷が早く治るようにってフーフーって、息を吹きかけると思うんですよ。犬や猫が怪我をするとね、舐めるでしょ。あれと同じです。だから、この写真を撮ってよかったなって思ったの。「たかがフグか」とか「たかが魚か」と思う人も多いでしょうけども「そうじゃないんですよ」って。こんなに親を思う気持ちもあるしね、そして怪我をしたときには「こどもはこういうふうに親を守るんですよ」と、そういう遺伝子がちゃんとサザナミフグの生態の頭脳の中には組み込まれてるのかなって僕は思うんですよ。だから、このこどもがいる限り、この親の傷はすぐ治るんじゃないかなと思います。離れてしまった親子は、また2匹寄り添って珊瑚の方にスーッと泳いでいきました。すぐくっつきました。やっぱり完全に親の傷を隠してるんだね。
生き物の世界は、ただ何となく自然が広がってるんじゃなくて、そこには珊瑚を始めとするいろいろな生き物たちが住んでいて、たくさんのドラマがあるんですよ。こういうドラマを少しでも見つけて、伝えていくのが僕の仕事かなって思っています。

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<第2部>

タマちゃんについて
我々人間はどうすべきか。

アザラシの話にしましょう。いまタマちゃん、東京湾に現れて、それから多摩川の方に行ってます。白装束集団の人たちが「タマちゃんを捕まえて、北海道のオホーツク海に帰してあげるべきだ」と捕獲作戦をやったところが、タマちゃんが怖がって逃げちゃって……。一旦、いなくなってしまったんだけど、その後埼玉県の荒川に現れて、いまはまたのんびりとし始めました。去年の夏にタマちゃんが東京湾に現れて、こんな暑いときに北の海の生き物が来るんじゃない、と僕は思ったんですね。「何を迷ったの?」っていう感じだったんだけど、川の方に遡上していくと、川の水の方が冷たいですから何とか生きられたのかな。一時ちょっと痩せてましたが、また最近はふっくらとしてきました。多分東京湾の江戸前魚貝類をたらふく食ってんじゃないかと思います。僕は、東京湾を28年くらいずっと取材し続け、いまでも潜っています。
そしてタマちゃんのふるさとのオホーツク海の取材もしてます。運よく両方の海を知ってるので、こういうことを言えるんだけれど、タマちゃんは本当にどうしたらいいかなと考えると、タマちゃんは、あのまましておくのがいちばんなんです。あれこれ我々人間が手を加えるべきじゃないってのが僕の意見。歴史的にみても、200年、300年くらい前から東京湾の文献にもタマちゃんらしきイラストはもう載ってるんですよね。アザラシは昔から紛れ込んで、東京湾に来てたんだろうなと思います。なぜ東京湾に北のオホーツク海の生き物が来てしまったのか、っていうことをまず考えなくちゃいけない。ただオホーツク海のアザラシが東京湾に紛れ込むってことは、自然界では決してあってはいけないことで、自殺行為です。来てはいけないとこに来てしまったってことは、きびしいことを言えば野性の中で生きていく強い遺伝子が失われてるということなんです。さらにもっときびしく言えば、そういう自然界の生き物は、淘汰されていかなくちゃいけないものなんです。冷たい言い方ですが、死んでしまわなくちゃいけないんです。それを我々人間がかわいそうだとか、助けてあげるべきだと言います。でも、タマちゃんをオホーツク海に連れて帰ったところで絶対だめ。なぜかというと、東京湾に紛れ込んでしまうような、来てはいけないとこに来てしまうような、遺伝子の弱いアザラシをオホーツクの海へ放して、結婚して子孫が増えたらどうなります? どんどん遺伝子の弱い子孫が増えていくだけで、それはサメとかシャチとかのかっこうの餌となって、500年後オホーツクのゴマヒゲアザラシが全滅になっちゃう、絶滅するってことを意味してるわけです。そういうことを何も知らない人間が知ったかぶりをして、保護しちゃいけないよっていうことなんです。

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もうひとつ、タマちゃんはサメやシャチに囲まれながら、集団で追われながら、何とか東京湾に紛れ込んで逃げてきた、ということも考えられますね。サメとかシャチはアザラシ大好物なんですよ。タマちゃんは大パニックだったんだろうと思います。なんとか東京湾に紛れ込んで助かった。でも、もうサメやシャチに対して、トラウマになってる、そういうことも考えられます。オホーツク海、みなさん潜ったことあります? 潜る度にシャチの泣き声がビンビン聞こえてきます。僕ら人間にも聞こえるくらいだから、近いところにいるんです。そんなシャチのいるオホーツクにタマちゃんをわざわざ連れ戻したら、タマちゃんは、においを嗅いだだけでパニックになっちゃうね。シャチもサメも、タマちゃんを「ガブッ」で終わりですよね。人間たちは、自分たちがいいことしたと思っても、そういう結果になるわけですよ。そういうお節介も止めるべきでしょって僕は思うのね。人間が思うほど、野性の世界は甘っちょろくはない。人間の愛情とか温情とか思いやりとかが通じる世界じゃないんですよ。遥かにもっときびしいところで生きてる。だから、何にもしないのがいちばん、自然に淘汰されてくのがいちばんなんです。だからタマちゃんはいま、ぬくぬくと東京湾で生きてますけども、しあわせだと思うんですね。寂しいんじゃないかっていうのはお節介で、寂しかったら自分で出て行きます、においを辿って北海道まで泳いでいきますよ。(中略)
我々人間がいいと思ってやってることが、自然界に対しては非常に酷なことをしてることも多々あるんですよ。本当にやさしいと思ってる気持ちが、よくよく考えてみると、実は実害があってかわいそうなことをしてるということもあります。だから本当に守りたければ、目をつぶるときも必要です。生き物たちが育っていけるくらいの環境であれば、ちゃんと強いものが残って子孫を増やしていきます。自然界に対する意見として、これは言いたいなっと思いました。

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お客さまとのQ&A

お客さま:
固い珊瑚とやわらかい珊瑚がいると思います。その住処の違いとか、生態の違いを教えていただけますか?

中村さん:
珊瑚自体が日本の沖縄だけで400種以上います。珊瑚は南の島だけじゃなくて、北の方にもいます。そこに骨格を持つ造礁珊瑚、カリフラワーみたいにやわらかい珊瑚も多い。もとをただせば同じ世界のものなんだけれど、ただ種が違うっていうのかな。珊瑚のポリプの触手の数が8本だったり、6本だったり、そういう違いもあります。餌としては、みんな同じ動物性プランクトンを食べてるんだけどね。イソギンチャクとか、そういう刺胞動物も、珊瑚の仲間ですね。やわらかい珊瑚の中には、土の中に潜ってるウミエラのようなものもいるし、移動する珊瑚もいるしね。固い骨格を持つ珊瑚でもクサビライシっていう丸い石のような珊瑚なんかは、昼間見るとただの石なんだけども、夜になると長い触手が出てきて歩くことができるんですよ。

お客さま:
中村さんがこの仕事をするきっかけ、海の虜になったきっかけを教えていただけますか?

中村さん:
僕がこの仕事になるきっかけは、いま思えば、小学校時代にひょっとしたら決まっていたのかな。なぜかというと、大自然の中で生まれ育ったものですから、さっき言ったようにいろんな動物をいじめたり、あるいはフナを釣って食べたりとか。いじめた分ね、やっぱりその後植物を栽培したりとか、ナスやキュウリやトマトやそういうものを自分で木箱の中に土を入れて、そこにビニールを張ってビニールハウスにして、芽が出て、双葉になってってことがやけに感動したりして。だから命の尊さみたいなのを感じるのが、人一倍強かったのかもしれない。自分でも「あれだけ殺したのに?」って思うわけ。その反動が返ってきたのかなってくらい命が尊く思えるようになったんですよね。それで18歳で上京したときに、海岸の方に素潜りにいって、またそこでも魚介類を捕りに行ったんだよね。で、だんだんいままで見たこともない、潜ったことのない海の魅力に、怖さも含めてひかれていきました。「海ってこんなに透明度がいいのか」「こんなに生き物がたくさんいるのか」って。それこそ目の前にすごい魚の群れが来たりとか。そうこうしている内に、だんだん海の中に引きずり込まれていったっていうか……。何で海だったのかっていうと、小学校1年か2年のとき、裸潜りで八郎潟を1メートルくらい潜ったことがあるんです。水の中に水草があって、そこに太陽の光がサーッと差し込んでるんですよ。そこをコブナが逃げるんですよ、僕に追いかけられて。そのとき「わー!きれい」って思ったの。おとなになっても、その印象がずっと残ってるんですね。“原風景”っていうんでしょうか。だから上京して都会へ行っても、何か自然に身をおきたいなって思ったとき、迷わずそれが海だったんです。そうしてるうちに、だんだん海の魅力にハマっていっちゃった。
ある日、目の前に潜水艦が浮上してきてね。「何でこんな所に潜水艦があがってくんだ?」って思ったら、首から小さなカメラを提げた3人のダイバーだったんですよ。「これ、何ですか?」って聞くと「水中カメラだよ」って。「海の中で写真写るんですか?」って言ったら「写りますよ」って教えてくれて「すげえもんだな」って。(中略)
「これだ!」って思ったんですよね。それで迷わずわずかな貯金をはたいてカメラを買いました。そのころまだ勤めてたんだけど、一生の仕事は何かわかんなくて……。でも、ダイバーたちに出会って「やってみるか!」って感じでやったら、あっという間に30何年やってきてしまっていました。

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お客さま:
私もダイバーです。水中写真を撮っていても図鑑のような写真ばかりになってしまいます。魚の表情とかおもしろい写真を撮るようなコツはありますか?

中村さん:
まず、図鑑の写真でなぜ悪いんですか? 図鑑の大家の増田先生っていう方がいまして、何冊も図鑑の写真を出してますね。その方にはいつも言われます「図鑑に使える写真撮ってよ。征夫さんの写真、正面が多くて横の写真を撮ってよ」って(笑)。横じゃないとやっぱり図鑑に載らないんですよ。僕は、自分で感じたように撮ればいいと思います。新種の魚でも、尻尾だけ撮ったり、目玉だけ撮ったりっていうこともあるわけですよ。でも、図鑑の写真でいいんじゃないですかね。

フェリシモ:
最後に神戸学校事務局より質問させていただきます。中村さんのように自分が自然の一部である、と感じるために私たちができることを教えてください。

中村さん:
僕は、自然の中に生きている人間は総て自然の一部だと思ってます。だから、自然とどう関わったらいいのかな、と。自然がなくなると本当に我々人間もそこの恵みを受けられないから。野生動物と人間と同じ土俵の上に乗っかって同じように自然からの恵みが受けられない場合、どっちか先に参っちゃうかなと思うと、僕は人間だと思うんですよ。人間には自然の中で生きる知恵も、忍耐も、体力も備わってないと思うんです。やはりそれには自然の中の生き物たちに学ぶべきところは多々あると思います。僕が生まれてからこのかた、いまも自然の中で育てられてて、いろいろなもの見せつけられてて、つくづくそう思うんです。計算すると、僕は30年以上潜ってるんですよ。これほど海の中へ潜ってても、こんな10センチくらいの小魚1匹に馬鹿にされるもんね。それほど海の中に入ったら、自然界の生き物たちはみんな知らんふりですよ、何万といるイワシ1匹捕まえられないんだもん。
で、潮の流れがくると流される。生き物たちは潮の流れに向かってどこもからだを動かさずに、上昇気流を飛ぶ鳥のように、平気でどんどん上昇していく。こっちはどんどん流されていくだけよ。それだけ自然を語るには、本当にむずかしい。ということは、それだけ自然は大物なんです。その大物の中に住むには、それだけの覚悟が必要なのね。もちろん心構え、それから知恵も必要ですよ。そういう知恵なんかはね、そこに住んでる人の知恵には敵わないのと同じように、そこに住んでる動物にも学ぶべきところは多々ある。その動物がバタバタ倒れるような自然の中で、どうして我々が生きていかれるのって思うのね。だから自然にもっと学びましょう、自然に対して本当に真摯な気持ちになりましょう、と。そう思えば、やたら壊すことも出来ないでしょ? だから、自然には敵わないんだっていう真摯な気持ち。でも僕らはその中で生きていかなくちゃいけないんだ、じゃあどうしようかというと、もう少し自然の中に身を置いてみよう、と。それで風に吹かれて、そして水辺に立っていろいろなものを観察して、そしてまた自然の恵みをたくさん受けましょう。養殖じゃなくて天然物を食べて生きていきましょう。それは野生の生き物たちと一緒ですよね。これがいちばん体にいいのかな、いちばん自然にやさしいのかな。そうやって僕はいつも自然の恵みに感謝し、自然の生き物たちに感謝しています。自然派、最高の僕の教師。そういう気持ちで生きてます。

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Profile

中村 征夫(なかむら まさお)さん<写真家>

中村 征夫(なかむら まさお)さん
<写真家>
*プロフィールは、ご講演当時のものです。
1945年、秋田県生まれ。20歳のときから水中写真を始め、専門誌のカメラマンを経てフリーランスとなる。現在、海を専門とする撮影プロダクション(株)スコール代表。ライフワークの東京湾をはじめ、水俣病、石垣島の白保、奥尻、諫早湾など社会性のあるテーマに取り組む。また、コマーシャルや劇映画、ハイビジョン映像など幅広く活動を続けている。主な著書・写真集に『海も天才である』『全・東京湾』『海中顔面博覧会』『白保』(情報センター出版局)『ガラパゴス』(集英社)、『カムイの海』(朝日新聞社)、『海のなかへ』『熱帯夜』(小学館)、『沖縄珊瑚海道』(アスペクト)、『僕が帰る場所』(本の雑誌社)、『海の夜間飛行』(TBSブリタニカ)、『水中の賢者たち』(集英社)などがある。第13回木村伊兵衛写真賞、第12回東川写真賞特別賞、第28回講談社出版文化賞写真賞などを受賞。

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