神戸学校

神戸学校はフェリシモが主催する「神戸発 生活デザイン学校」です。

  • 小泉 武夫さん(東京農業大学教授・農学博士)
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> 小泉 武夫さん(東京農業大学教授・農学博士)レポート

「環境について考えよう ~家庭だからこそできる大切なこと~」



<第1部>

日本人が直していかないといけないこと
1、食べるということの本質を見直す
2、環境問題とスローフード
3、子供の教育とスローフード

こんにちは。以前は「味覚人飛行物体」というニックネームだったのですが、最近は「未確認肥満物体」と言われています。ちっちゃいころからもう食べることが何よりの楽しみ。このまんま育ってきたものですから、おとなになっても相変わらず食べることばかり……。今日は我々の生活の中にいかに無駄が多いかということ、そういうものを全部通してその環境がおかしくなっているということを、私の体験も話しながら進めたいと思います。
私はイタリアに本部のある「日本東京スローフード協会」の会長をしております。私がなぜ会長を引き受けたかというと、1986年にアメリカ資本のマクドナルドというハンバーガーの会社が、ローマに1号店をつくりました。で、その1号店をつくったのを見て、イタリアの知識人が「こんなものはだめだ」ということで、協会ができたみたいです。だけど、それくらいからどんどん考え方が変わって、スローフード運動はむしろ田舎からおこそうということで、いろいろなスローフード運動がおきてきました。協会は、決してファーストフードをぶっ潰せということではないんです。
私は、日本人がこれから直していかないといけないことは3つあると思っています。そのひとつが食の本質、食べるということの本質です。これをみんな忘れかけていて、非常に軽々しく思っています。例えば学校で「食育」と言いますが「食育」なんていとも簡単にいうから間違いなんです。この間も文部科学省主催の食育に関するシンポジウムがあり、基調講演をお願いされたので「食育ってなんだか知ってますか? 食育なんて言葉が出てくるからおかしいんで、食なんてそんな簡単に出てくるもんじゃない。食の前に土があり、農がある。そういうところから教えなかったら食は始まらない。いきなり食なんて言うからみんな軽々しく考えるんだ」と話しました。また「『給食』なんて言葉はおかしいんだ」とも言いました。「学校給食」と言うこと自体が、何だか同じ物をみんな餌のように食わせてるようなもんじゃない。そういうもんじゃない。そういうところから「食育」を考え直さないといけない。つまり、食べるということ自体に、みんな軽率になって、他人任せになっている。他人任せにしてるから、いま我々の食生活が不安なんです。

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日本の食料自給率はいま39%。もうほとんどの食料を外国に委ねてるわけです。なぜそうなったかっていうと、自分たちで作らなくなったからです。日本農業は崩壊寸前です。食とは一体何なんだろうと。ただ食べればいいって言うことじゃないんです。ある面では自分のからだも守らなきゃいかんし、次世代のこどもたちの食の環境をつくって、再構築しないといけない。おとなは反省しながらそれをつくり上げていかなきゃならないんです。ところが、それを誰もやってないでしょ。食べることの本来は一体何かっていうことです。
2番目。私がスローフード運動をやっている背景に非常に重要なことがいまひとつあるのが環境。環境問題なくしてスローフードやってるやつは、そりゃいい加減だと思いますよ。スローフードと環境は一体化させないと絶対におかしいです。
3番目は教育問題。いまのこどもたちの食べ方には、凄まじい悪さがございます。礼儀作法でもひどいもんです。そこに持ってきて、果たしてこんなもの食べてていいのかなと思うようなものが非常に多いんですよ。それから食べるときの心構えがこどもたちにはできてません。スローフードっていうのはそういうことまでいかなきゃいかん。つまり、食べるということの本質を考え直そうということ、そういうものを次世代に伝えようということがひとつ。2番目は環境問題とスローフード。3番目はこどもの教育とスローフード。この3つを展開していこうといまやってるわけです。

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生ごみの問題は
まだまだ大きな課題です。

もうひとつの課題は、生ごみを燃やしてはいけないということ。私のこれはもう全くの基本、私の最大の考え方です。それをいま全国に向けて発信しております。生ごみなんてものは燃やすことは愚の骨頂であって、これほどくだらないことはありません。我々は次世代にとんでもないものを残してます。日本という国はずるい。京都議定書を考えたらわかりますよ。日本の生ごみを燃やしてるのはだいたい92%です。これは世界でいちばん多いんですけど、それだけじゃなく、あれはものすごい二酸化炭素も出ますし、温暖化に貢献しているわけですよ。アメリカでは生ごみは17%しか燃やしてない。アメリカの方がむしろ生ごみは燃やさないで自然に返している。生ごみを燃やすっていうところは、京都議定書には「産業」として入ってないからあれは排出基準に入らないのです。とんでもないことだって私は思っています。燃やすことよりも醸すこと。「生ごみを燃やす罪、生ごみを醸す益」まさしくそういう時代になってきてるんです。昔の人たちは物を捨てるなんてことがなく、みんなリサイクルしました。素晴らしいことですね。(中略)

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「捨てる」ということのなかった
完璧リサイクルの江戸時代。
しかし、明治以降……

リサイクル、捨てないことというのは、日本人もやってたんですね。江戸時代なんて、糞尿は絶対捨てません。売れたんです。お金になったんです。江戸の町には、素晴らしいさまざまな市が立ちました。どんな市かって言ったらひとつは「灰の市」と言いまして、物を燃やした後の灰。この灰は非常に高く売れたんです。ですから「灰買い人」と言うのが出てね、その「灰買い人」が江戸にだいたい3000人いたと言われています。街の角にむしろを敷いて、灰をみんな持ってくる。そうすると灰の量に応じて、布団の中に入れる綿、または菜種油を灰と交換したんです。(中略)

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そのようにリサイクルを各家庭でしてたんですね。その灰はどこへ行ったかというと、まずひとつは農家に行って重要な飼料、土壌改良剤に。それから染物屋に持って行ったり……。染物屋は染物をするときには、灰によって色を変えますから。それからあと造り酒屋へ持って行きました。酒はあの時代、随分腐ったんです。微生物学的によく知らなかったから。腐った酒はすっぱくて飲めない。ところが腐ってすっぱくなった酒の中に灰を入れると、灰はアルカリ性だから中和されて酸味が取れる。そういうところにも灰の需要はあったんです。
そういうようなことで、何でも全部灰にして売った。それから、残飯。残飯ってあまりなかったですよ、江戸時代は。それでも大根の尻尾やなんかいっぱい出てきたりなんかするんです。それから稲藁、こういうのは農産廃棄物。それから籾殻が出てきたり。それから落ち葉がいっぱい庭に降ってきたり。そんなものを全部集めて重ねておいて、仕切りで畳2畳分の大きさの枠を木でつくりました。そこに生ごみを入れて、いっぱいになったらどんどん枠を増やしていくんです。ちょうどセイロを重ねていくみたいに。で、これを5年くらい置いておく、そうすると完璧にこの中で発酵して堆肥ができる。これが昔の全ての有機肥料だったんです。これがないと作物ができないんだから、捨てるものなんてひとつもなかったんです。灰はお金になったし、農家から出てくる糞尿、それも発酵の堆肥にぶっかけて発酵助剤にしたし、捨てるもの何にもなかったから、江戸時代ほど完璧リサイクルはなかったんですよ。ところが明治大正昭和になって、どんどん生活が変わってきて、特に昭和になって、戦争が終わってからなお変わっちゃって……という遍歴を辿りました。
ここで私が言いたいのは、堆肥はなぜなくなったかと言うこと。堆肥をつくるのは実は大変なんです。いま言ったように5年かかるんですよ。
だからみんな、昭和25、6年ごろから堆肥もいっぱいつくってたんですよ、日本は豊かじゃなかったから、化学肥料の工場なんてなかったんです。堆肥を大量につくらないと農業生産できないから。昭和28年くらいまでは日本は完璧な堆肥農業だったんですよ。ところが、昭和30年に入ったころから急激に日本の農業は変わっちゃった。それは何かって言うと堆肥農業から一変して化学肥料の農業に変わった。なぜ変わったのかと言うと、5年もかかってつくるのが大変だと言うことがひとつあったでしょうね。大量に生産するには大量の堆肥が必要だけど、5年もかかるんじゃあ……と言うことがひとつ。
2番目はですね、ちょうどそのころからアメリカがいろいろなものを日本に売りつけてきた。そのころ、アメリカは世界ではもう最大の農業国。飛行機で農薬を撒いたりしだしたのはそのころ。だから日本にそういう化学肥料の農業をすすめた。それに日本にちょうどそのころから「農業協同組合」ができました。その組合が資金を得るためには、農家にいっぱい化学肥料を売って利益を稼ぐことが大切だ、ということになったわけです。だからもう堆肥なんて馬鹿らしいと、窒素とリン酸とカリウムがあれば植物は育つんだよ、三大栄養素つってね。で「じゃ、これで行こう」と、ふたつの化学肥料を考えました。ひとつはリン酸カリウム、もうひとつは硫酸アンモニウムですね。これ全部N(窒素)P(リン酸)K(カリウム)がそろものですから、これを撒けば、トマトでも稲でも何でもできるというわけ。植物の三大栄養素ですから。できないはずはないわけです。もう堆肥つくるなんて時間がかかる、これを撒けばいいんだってことになって、それでいままで来てるんです。日本の農産物のほとんどはリン酸カリウムと、硫酸アンモニウムを撒いてつくってるというのが現状です。

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我々は土の力を再認識すべきなのです。

それまでの堆肥でつくったものとどこが違うかっていうこと、そこが最近になってやっと省みられるようになりました。「有機トマトっていうのが手に入ったんだけど、これうまいなあ」「どうしてこれこんなに真っ赤で味が濃いんだ」と気づいた人、いっぱいいると思います。みずみずしくて甘い、それは土の力。ここが大切なんですよ。堆肥というのは、全て生命体が原料になってるんです。生物が全部関わっているんです。なぜでしょう。いまの堆肥、生ごみ考えてみましょう。生ごみは何だろう。卵の殻、魚の頭、骨、大根の尻尾、先っちょ、葉っぱ。なんだ、生ごみはみんな生き物じゃないか。紙も繊維だから生き物だね。ということ考をえ始めると、生ごみ、堆肥の原料は、みんな生命体。あと糞尿。これだって動物起源の糞尿。堆肥っていうのはすべて生命体なんですよ。

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その生命体の中で発酵させること、有機物が全部なくなって無機物になるわけです。生命体を構成していた無機物です。そうするともちろん窒素・リン酸・カリウムはもう、NPKは生命体の根源になっていますから、必ず堆肥の中に豊富に入っていますが、その他に非常に重要なものが入っているんです。それはこの窒素・リン酸・カリウムと同じくらい植物にとって大切なもの、健康に育つために。それは無機成分、ミネラル。マグネシウム、マンガン、カルシウム、鉄、亜鉛、アルミニウム、銅、ニッケルなんてものが、これがいまの農業みたいな窒素・リン酸・カリウムだと、リン酸カリウムと硫酸アンモニウムだけでつくってるから元素としてはNとPとKしかいまの野菜たちは食べられないんです。野菜には口がない、手もない、我々が口の中に入れて食べるふうにならない。野菜は何を食べているかって言うと、根っこからミネラルという物質を吸い取ってこれを栄養源にしているわけ。そうしたらどう考えたって、NとPとKだけを食べてるのと、NとPとKの他にこれだけの微量成分が食べ物として入っているもの、どっちが植物にとって健全かって言ったら、後者ですよね。(中略)
土の力はすごいですよね。そういう環境を考えながら我々の食生活に入れていくことも大切であって、私はある面では農学栄えて農業滅ぶことにも通ずる、そんなふうに感じます。

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見直すべきは、
生ごみの処理方法

今日のテーマ「わが家庭でもできる」ということですが、生ごみを出さないということは当たり前のことです。みなさんのところに「コンポスト置け」なんたって、そんなのは無理ですよ。私、実は通産省のコンポストが正しいコンポストであるかどうかというのの実証委員会の委員をしています。私はコンポストを非常に問題化しました。あれ、本当に発酵していると思いますか。あれは全部腐敗です。「素人が微生物を取り扱うのはいちばん危険なんです。発酵なんてそんな簡単なもんじゃない、あれは危険だ。もしコンポストからすごい悪性菌が漏れて、食卓に来た場合はどうする気だ、そんなの通産省で責任持つの」って発言しました。そう発言してからコンポストは随分下火になってきました。あれは、発酵じゃなくて生ごみを乾燥しているに過ぎない、私はこう考えていいと思います。家庭から生ごみを少なくするっていう気持ちは大切ですが、わざわざ危ないことをやる必要もないんじゃないかと思います。

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そして、さっきも言いましたが、生ごみを燃やすということ。神戸にも巨大な生ごみの焼却場があります。私もずいぶんあちこち見てきました。びっくりしたのは、渋谷区の代官山のど真ん中にいま焼却場がつくられます。総工費400億円。東京のひとつの区ではできないから目黒区とかあちこちの自治体みんなでお金を出し合ってやっているわけです。生ごみを燃やすということに私がなぜ反対しているかと言うと、これは莫大な金がかかるということと環境問題なんです。もう何百億かかるでしょ。それだけじゃなくて、もっとすごいことは、メンテナンスもすごいですよ、人件費もすごいですよ。また、生ごみはしけってるからそのまま燃やせない、そのために燃料かけて、重油をかけて燃やしてる。その燃料代もすごい。それから二酸化炭素もたくさん出る。それと同時に大変なことが起こってる。最も厄介なものが出てきますね。焼却灰ですよ。焼却灰は怖いですよ。例えば、機械で分析すると何だかわからない成分が出てきますから。わざわざお金かけてあんな危険なもの出して、それで燃やした灰はどこへ行くんでしょう。海洋汚染になるから海には捨てられない。東京都の場合は、茨城県、福島県、栃木県、山梨県、長野県など東京周辺の山の多い町にトン当たりいくらで引き取ってもらっています。それがいま大変大きな問題を起こしているんです。例えば茨城県のある町は、東京都から自治体が持って行った10年間に渡る焼却灰を、お金を全部返すから10年前に遡って地面を掘り起こしてみんな持っていってくれという住民運動が起こっています。また人口45万人の福島県いわき市は、毎日埼玉県から大量の焼却灰をトン当たりいくらで買って、巨大な穴を掘って埋めています。で、この間そこの最終処分場の地下水がもれてきて、それを測ったらダイオキシンが出たって言うんです。それが45万の人たちの取水口だって言うことで、いまいわき市とそのある町とでいま訴訟が起きています。そんなことがいっぱいあるんですよ。
行政の話を少しします。生ごみを燃やすってことになるとそれだけ大きなデメリットがあるわけです。環境が破壊されたり、それから金がかかったり……。焼却場ひとつつくったからっていってそれで終わりじゃないでしょ。それから毎年毎年、維持費とか燃料代とか焼却灰の処分のお金だとかものすごいお金がかかってきます。
それを発酵してごらんなさい。北海道別海町で、すばらしい発酵で堆肥をつくっていました。何と発酵にお金が全くかからない、本当ですよ。シート被せて積んでおくだけ。大学で分析しても完璧な堆肥です。有機物ほとんどないです。もうみみずがうようよいて、そこの上に堆肥が入って歩くとふかふかして、まるでスポンジです。すばらしい堆肥なんですね。それをつくるのに金がかからない。そして、その酪農家はその堆肥を畑作農家にあげてるんです。畑作農家は喜んでいます。なぜかいうと、化学肥料農薬使わないで、その土だけですばらしいアスパラガス、とうもろこしをつくれるんです。ところがいまから数年前に、北海道別海町で大雨が降りました。たまたま、堆肥を発酵させているところにも大雨が降りました。そしたら、雨とともにまだ発酵が終わらない糞尿が川に流れて、川を汚染して野付湾まで汚染した、ということがあったんです。そこに北海道は目をつけてきました。いま別海町にいる400頭の牛。その牛の糞尿を処理するために380億円かけて、北海道農政部、国が、糞尿処理センターをつくると決めたんです。それに対して猛烈に反対しているのが、地元の酪農家と農家なんです。「我々はもう二度と大雨が来たって川に流さないようなつくり方をしてるから、もう大丈夫だ、その後一切事故はない。そしてその発酵させたすばらしい糞尿で、農家はすばらしい農作物をつくってそれを消費者がみんな喜んでくれる」と。ところが、国と北海道は「あなたたちのために380億円という莫大な金を使ってるんだから、これからは自分のところで堆肥なんてつくらないで、みんなここの処理センターに持って来て、糞尿を処理しろ」って言うんですよ。農家は怒って「俺たちは素晴らしい農業をしていきたいし、糞尿は宝物だ。素晴らしい資源だ」と。で、私も実際そこを検証しました。380億円金かけたって、うまくいかないと思いますよ。そんなもんじゃない。その糞尿処理した後のかすはどうするんだと、こういうことになっちゃう。液体で完全に処理することはむずかしいんです。国の380億円、1頭の牛にね、1億円近くかけてるんですよ。そんな馬鹿なことする必要はないんですよ。でも国は「あなたたちの農家のためにやってるんだから」と。そして「だいたい産業廃棄物なんだから、業者の免許を持っていなければああいうものは自由にできない」とかわけのわからないこと言ってきたんです。

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私はそのときこう言いました。「行政がそうなら、もう酪農家、畑作農家、消費者、行政をそこにおいて、よーいドンでかけてばーっと行っちゃえ」と。「慌てて行政が後ろを追いかけてくる。それが21世紀だよ」と。「自分たちの主張が正しかったらそれをほんとに正しくやらないとだめだ」と。私たちの仲間で「北海道の糞尿を全部処理するのに80億円あったら完璧に素晴らしい堆肥を全部各農家でできる。1箇所だけの別海町のために何で380億円を出すのか、そんな無駄なことやめた方がいい」って言う農家もいます。
例えば、生ごみを焼却している自治体に行くでしょ。「生ごみ燃やすと、これだけ無駄で、環境汚染で、問題があるんだから、堆肥センターをつくって堆肥にしなさいよ」こう言いますと、行政は必ず言ってきます。「いやいやいや。そんな必要ないよ」と。
日本人がいちばん重要なところを忘れているのは、一度立ち止まらなきゃいけないということ。後ろを振り返って、元に戻りながら、みんなのために前進するような姿勢をとらないといけないと思います。
北海道の人口は560万です。フィンランドの人口は450万です。100万人多い北海道が毎年3000億円の赤字で累計4兆円近い赤字になって北海道の経済は死に瀕しています。100万人少ないフィンランドが毎年2兆円の黒字。ひどい国だと僕は思う。100万人少ないフィンランドが2兆円の黒字で、100万人多い北海道が3000億円の赤字。私はね、フィンランドに6度行きました。行って来ましてね、いやあすごい国だな日本はって思いましたね。これだけ無駄をしているんですね。フィンランドは北海道より北極ですよ。なんでフィンランドは2兆円も黒字なのか。世界の携帯電話の6割はフィンランドです。それから精密機械の部品やなんかも全部フィンランド。ルアーもそうです。フィンランドへ行ってごらんなさい。驚くべきことに、環境行政はものすごくしっかりしてるんです。アシッカラって町にパイエンネ湖があります。その湖の端に行きますと、取水口にコップが置いてある。そのコップで湖の水をすくって飲みなさいって言うんです。「こんな国あるんだ」って思いました。琵琶湖より大きい湖の水を殺菌しないで飲んでいいって言うわけですよ。その水を持ってきて、大学で分析させたら、バクテリアほとんどないって言うんですね。有機物はないって言うんです。びっくりしました。これは環境行政なんです。湖の周りにある小学校、中学校、高等学校、ヘルシンキ大学、ヘルシンキ工科大学、これが全部縦の線を構築していて、ネットを持っているんです。湖を浄化するためのネットを。そしてパイエンネ湖ホテルがあります。4階建てのホテル。そこの1階はパイエンネ湖自然センターといって、ホテルの経営者がパイエンネ湖をきれいにするための施設を無償で提供。2階は、パイエンネ湖環境浄化センター。あちこちから流れてくる湖の情報をコンピュータで見ることができます。ホテルは3階と4階だけ。
フィンランドは、それだけ経済力がすごいんですね。2兆円の黒字、使いどころないですから。そのために、60歳以上になった希望者はほとんどホテル並みのうちを国が提供してくれます。それから国内旅行タダ、病院もタダ、薬もタダ。若い人たちは老後の心配がないから非常にまた楽しく働くんです。そういう夢のような国があるんですよ。

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<第2部>

土づくりのおかげで
罹病率の下がった西会津町

いまの土づくりの世界を少し拡大してみますと、大変おもしろい世界が見えてきます。福島県に西会津町という町があるんですが、ここが実はいまから5年前までは全国でもっとも財政的にも豊かでなく、罹病率が高い町でした。それが、5年間のうちに町の経済情勢ががらっと変わったんです。病気になる人は本当に少なくなってきた。「何をしたんだろう?」と、みんなが驚きました。それは、熊本の中島 常充(とどむ)先生が指導してすばらしい土づくりをみんなに教えたからなんです。やはりここも、いわゆるスローフードと言いますか、土づくりから農作物を考えて、それで素晴らしい農作物をつくってきたんです。農家のみんなが堆肥づくりを始めました。そして、できた堆肥を農作物に使い、それを食べた人たちの罹病率が少なくなったんです。それは当然なんです。「有機野菜で病気が防げるか」なんて言うかもしれませんが……。いまの病気の多いところは、堆肥で根っこから吸収した重要なミネラルが結局不足してるんですよ。窒素リン酸カリしかないから。

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堆肥だと全部見事にミネラルが吸収されています。例えば最近の16歳から25歳までの成年男子の精液1cc中の精子の数が激減しているのは日本の若者だけだそうです。韓国の若者も中国の若者もそんな現象はないと言われています。なぜなんだろうと調べたら、その原因のひとつに亜鉛不足があげられると思います。亜鉛はセックスミネラルと言います。ねずみのこどもを人工飼育して、それでそのネズミのこどもをふたつの群に分け、片方は食べ物から亜鉛を抜いちゃう、片方は亜鉛を入れておく。それで40日間くらい育てて大人にします。亜鉛を抜いた群のネズミの睾丸は発達しなくてほとんど無精子症になっています。そういう現象が人間にもやっぱり出てくるわけです。ミネラルは体に対して、非常に重要な働きをするんです。最近の人たちはどうもずいぶんミネラル不足であると言うことがわかりました。
西会津町の例は非常におもしろい。ミネラルという世界の中から、病気を防いできてるというのは大変おもしろいことだと思います。

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アグレッシブ!
大分県大山町の地産地消

次に大分県大山町の話をします。これは私の毎日新聞の連載「美味巡礼の旅」の明後日の全国版に書いてあります。大山町の山の中にある町は、この4年間、大分県でつくった食べ物はみんな大分県で食べようという「地産地消スローフード推進協議会」というのをつくり活動していました。学校給食もみんな大分県の食べ物を食べよう、県庁の食堂も大分県の食べ物、町のレストランも食堂も大分県のもので……。そうすると海外からの食料なんて入れる必要ない、だから、安心安全、不安を感じなくていいんじゃないかと。それと同時に大分県の農家は、つくったものはみんな県が買ってくれるんだから。地元のものがいちばんいいんじゃないかということで、やりました。大変な影響が出てます。
と言いますのは、長い間アメリカの経済に引っ張られてるから、アメリカの経済がくしゃみすりゃあ日本は風邪ひくというような構図ができてしまっている。そうじゃないんですよ、この国を不況から救えるのは、環境問題と食糧問題なんです。なぜか? それが大山町です。地産地消は農家をすごく活性化するんです。実践的に申し上げますから、お金が入ってくるんです。そのお金は、どこに行くと思います? 町に流れていくんですよ。例えば大分県の場合には大山町の農民に大量のお金が入ってきます。そのお金は大山町の町に流れ、大分銀行に流れ、大分銀行はそのお金を融資して中小企業を活性化してさせます。それを「地方経済循環システム」って名づけてるんですが、日本という国が経済的に強かったのは、みんな昔からこれだったからなんです。
それは環境問題も含んでるんです。肥沃な土をつくることによって、素晴らしい農作物をつくって、それで地産地消して農家が活性化して、そして経済が動き出して……。農家から逃げて行った若者たちが「これはおもしろい」って言って帰ってきて。地元のこどもたちはいままでは地元の食べ物だかわからないものを食ってたから郷土愛なんてなかったけど、今度は地元のものを食べられるから、やはり地元って素晴らしいってことで、そういう教育までできる。これを僕は構築しているんですよ。
JA大山は、組合員624人で、昨年の売り上げ84億円です。普通のその辺の農協の売り上げって言ったら10億円あったらいい方でしょうね。農家1軒の平均収入が2000万円超しています。農家に非常にお金が入ってくるもんだから、そのお金が大山町に流れる。近くの大きな町・日田市に流れる、大分市に流れる。そうすると町が活性化してくる。銀行が融資することができてみんな活性化する。
この日本の経済の仕組みをどう活性化したらこの国は豊かになるのか、これは地方から活性化しなきゃだめだ。それで私のこの大分方式を全国でやってご覧なさい。みんな豊かになりますよ。

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では、JA大山はなんでそんなに儲けているかというと……。まず他の町、他の村と違った農作物を作んなきゃだめだと……。おいしいものをつくらなきゃだめだ、そのためにはまず土づくりからやらないとだめだと……。ここもやっぱり土づくり。各農家で昔の堆肥づくりから始まりました。そしてその堆肥を使って素晴らしい果物、梅、それから野菜。みんなつくって、それが他のところよりもおいしく、高く売れるからすごく活性化してきた。それだけじゃない、驚くべき話をしましょう。彼らは「これからハーブの時代だ」ということを10年位前にわかりました。そして大山町の人たちは、がっちりとスクラム組んで「スペインとフランスに飛んで来い」「イギリス行って来い」って、若い農協の組合員が、ドーッと飛んでいって、3ヵ月ぐらいハーブの種をあちこち見て、日本人にどれが合うか、こーだあーだってもって、直接外国種を買い込んできて、それを自分たちの肥沃な土でハーブをつくって……。そして、そのハーブは東京の帝国ホテルとか、プリンスホテルとか一流ホテルとしか取引しないんです。
それからもっとすごいことがあります。彼らは絶対的な自信を持ってるんです、彼らは大山町でできた土は最高だって思ってるんです。それでまず、小麦をつくりました。大分県っていうのは麦の国。そして、素晴らしい土の小麦畑で「大山麦」をいっぱいつくりました。さてそこからが、最高なんです。彼らが麦を栽培している間、農家の奥さん方は徹底してパン作りの研究をしました。それで一昨年ついに大山町でパンを作るのにいちばん適した小麦ができました。大山の土からつくった小麦、それを粉にして発酵してパンにして焼いたんです。ここからがすごい。焼きたてのホカホカのパンを車に積んで、福岡まで売りに行くんですよ。福岡市内の一流どころではもう「大山パンが来た」って待つわけですよね。福岡という人口200万人も住んでる町に行って売って、ものすごい収入を上げるわけです。
そして、私の言った地産地消、スローフード。彼らは84億円の売り上げのうち20数億円は、なんとこれから言う方法で売り上げを出しています。。大山町の郊外に組合が持っている大きな畑と田んぼがあります。そこに組合員が提供して、レストランをつくっています。そのレストランのやり方が、まあ驚くべきやり方で、利益を上げています。そこに、朝6時くらいからおばあちゃんたちがレストランの厨房に来るんです。杖ついてる人もいるし、四つ車持ってくる人も。そしてお母さん方も来ます。そして、全てそこで出すものは、大山で取れたものだけなんです。トマトもなすもきゅうりもキャベツも、鶏も、豚もそうです。全てが大山産です。土づくりから勉強して。福岡まで売りに行くパンの焼きたてもあれば、昔風の豚汁、きんぴらごぼう、芋の煮っころがし、梅ジュースなどが80種類あるんですよ。あのおばあちゃんたちの作った、昔のおふくろの味って言うのかな、それを農協の婦人部がやってんですよ。そこは午前11時に開店。お昼だけですが、全てバイキングです。入り口で1900円払うんです。本当に天然の物、本物ってこんなにうまいのかっていうくらい実においしい。平日で2時間待ちです。そして彼らはしたたかですから、2時間じっと待たせません。そのレストランの脇には野菜市場、盆栽市場が並んでいるわけです。地下には梅の博物館をつくって、焼き物を焼きたい人はそこに焼き場もあって……。農協の組合員の中の焼き物好きなおじいちゃんたちが集まって焼き物を指導しているんですよ。何から何までもうすごいんです。そしてね、あのハーブを専門に飲ませる喫茶店があるんですね。そこがすごい山のような人なんですね。実においしいんです。ハーブを飲んだだけでからだの疲れが取れるような……。「効くなあ」という感じになっちゃうんですね。そういう不思議なもの、みんなあそこで編み出してるんです。JA大山、奇妙な農業集団ですね。

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お客さまとのQ&A

お客さま:
臭豆腐についてのご見解をお聞かせください。

小泉さん:
中国の臭豆腐、これはいいですねぇ。臭豆腐を好きな人は非常に教養が高いと思います。実は風下にいても、臭豆腐っていうのは大変ににおいがかかります。特に台湾に行くと、私はよく食べます。これは、日本のくさやと同じだと思っていいですね。豆腐を、ものすごく発酵したどぶ汁みたいな中にボーンと漬けてそこで発酵させたものです。この臭豆腐を引き上げたときのくさみといったら……。あの手のにおいの嫌いな人は走って逃げます。ところがそれを油で揚げると一転してくささが芳香に変わります。食欲の湧く素晴らしいにおいに変わっちゃう。それが臭豆腐のすごいところですね。
臭豆腐にもいろいろな種類があります。また臭豆腐を作っている店一軒一軒のにおいがみんな違います。臭豆腐を手に取ったら、ちょっと爪楊枝で端っこを取って、手の平に塗って回してにおいを嗅いで楽しむことですね。

お客さま:
生ごみを燃やさないようにするためには、家庭で出たごみはどう処分したらよいのでしょうか。

小泉さん:
さっき私が燃やすんじゃない、ということと同時に、自分の所で生ごみを発酵をしてるというは、あれは発酵じゃなく、腐敗だと申しました。やっぱり私どもは、生ごみそのものを台所の中に持ち込むこと自体、特に暖かくなったときに非常に危険だと思います。まあ、なるべく生ごみを出さないというのがいちばんいいことなんでしょうが……。できることなら屋外に置いて、それでもってどっちみち堆肥というのは一回腐ってからそこに発酵菌が来て発酵が始まるんですから、発酵が最初でそれから腐るって言うことはないんですよ。
だから近くや自分の家に庭などあれば、そこの中にボンボン入れて、自然の中で発酵させていくってことがいいと思います。これは非常にいいことだと思います。できることなら、ごみを回収するそういう専門家に頼んで、自分のところで無理に生ごみを処理するよりは、その方が安全だって言うことを私は言っておきます。それと同時に、生ごみを燃やすと言うことに対して、自治体に堆肥センターをつくってほしいと言うことをみんなでやることが重要です。だからなるべく生ごみはあまり出さないということですね。
「無駄を出さない」っていうのは日本料理の中では真髄なんですよ。私は、大根1本買って来ましたら、葉っぱをよく洗って油揚げと一緒に油炒めにして、尻尾の細いところまで全部味噌汁の中に入れちゃうんですよ。よく考えてみたら捨てるものないですね。さんまなんて焼いたら頭からみんな食っちゃいますから。だから全く無駄がないんですよ。

お客さま:
家庭でカスピ海ヨーグルトを作るのもやめた方がいいと思いますか?

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小泉さん:
カスピ海ヨーグルトの場合、ご存知のように乳酸菌が主体になってますから、発酵している間に非常に乳酸を出してPHを低くしてます。これはヨーグルトが腐らないのと同じ。発酵食品は一般に腐りません。これはむしろ雑菌を、腐敗菌をやっつけてしまってます。カスピ海ヨーグルトは、マニュアル通りに作れば楽しいものだと思います。

お客さま:
素朴な疑問です。化学肥料「N」「P」「K」、先ほど先生がおっしゃったことなんですけれども、それに加えて、カルシウムであるとか鉄などの微量元素を加えれば、有機肥料並みの味の野菜ができますか。またできないとしたらなぜでしょう。

小泉さん:
素晴らしい質問ですね。これは、結論から言うとあんまりできません、そういうもの入れても。灘の宮水ってあるのを知っていますか? 日本酒を造るときに。宮水を全部、成分を測りまして、リン、鉄、カルシウム、マグネシウムがどのくらいって、宮水の構成されている成分を完璧に合成して、物理的にもPHまで同じにして、宮水を合成してつくったんです。それで酒をつくっても、宮水と同じ酒はできませんでした。それと同じことですね。いまの質問のいちばん重要な手がかりは、土を堆肥で発酵するときに、そこに必ず生命体が存在しているっていうことです。発酵菌、土壌微生物って言うんです。その土壌微生物っていう菌がいて、その菌が発酵して、有機物を無くして無機物だけにします。そうすると、その土壌微生物という微生物がそこに大量にいて肥沃な土になってるんです。その微生物が大切なんです。発酵した微生物が1グラムの中に、肥沃な土っていうのは非常に多くの微生物がいる。それが作物をつくるときにミネラルだけじゃなくて、今度はその微生物自体が植物に活性化を与えてそれで物ができてくるから、全く加えただけではできないんです。

お客さま:
“本当の食育”についてお話いただけますか?

小泉さん:
こどもたちに何を食べさせるかというものは本当の食育じゃないと思います。まず本当の食育っていうのは「食べる」っていうことの目的はなんだってことをこどもたちに言わなきゃいかんのです。ただお腹空いたから食べる。それじゃだめなんです。そうじゃない。食べる目的とは何なんだっていうことを教えなきゃいけない。
それともうひとつは、目に見えない世界が本当の食育だって言うことを教えなきゃいけないと思いますよ。どういうことかと言うと、礼儀とか作法とかいろいろなこと、そういうことがあって……。1日三度食事っていうのは、それを通してこどもたちの興味とか行儀とか倫理観、こういうものを覚えていきます。「恥ずかしい」ってどういうことだとか「社会の中の一員」ってこういうことだとかいうこと。日本には、食に対する感謝の気持ちがないですね。そういうような目に見えないことも、食育として非常に重要。食に対する大切さを教えていかなきゃいかんでしょう。
食べ物っていうものを、やっぱり非常に簡単に目の前に来てるってことを、こんなものじゃないわけで。食べ物がここに来るまでの相当、その農家の人たちの苦労から土づくりからそういうようなもの。それから環境問題まで含めた食育をこどもたちに小さいうちから教えないと上辺だけの食育になってしまうんではないかっていう感じがしますね。それともうひとつは、できれば小さいときからなるべく包丁持たせて料理をさせることです。私はそれも食育のひとつだと思っています。「こどもに包丁を持たせるなんて、怪我するからだめだ」と言う学校の先生もいますが、それは親の責任としてどんどんやったら、こどもは非常に喜びますよ。それとなんと言っても大人が本当の食ということを見せてあげるのが食育だと思います。大人が、いい加減な食をしているからだめなんです。私、この間学生を連れてものすごく安い居酒屋に行ったんですね。「これはいいなあ。学生が15人もいて私が払うんだったらこんな安い店がいちばんいいわ」と思って喜んでたんです。そしたらね、私のそばのテーブルに、20代のお父さんとお母さんがこどもを2人連れて居酒屋に夕飯を食べに来てました。自分たちはビールといろいろな料理を食べて、こどもたちも喜んでご飯を食べてるわけです。(中略)
これを見て、食育の前に親を教育しなきゃだめだなということを感じました。
小説新潮2月号に「我が師の恩」と言うコラムがあります。そこに、私の親父のことを書きました。親父は造り酒屋の10何代目だったんですが、かなり軍人で偉かったんです。酒屋の親父でありながら大学も陸軍学校に行って、それで帰って来るときにはベトナムで捕虜になりまして、それでしばらく帰って来れなかった……。そんな親父でした。帰って来たときには昭和23年。家には神棚があるんですが、その下に正座させられまして、親父からすごい暴力的な食のしつけを受けました。もう大変でしたよ。小学校6年生になったときに、ある日「おい。ちょっとノート持って来い」って言うんですよね。そして「俺の言うことこれから書け」って言うんですよ。「ひとつ。お前はいま誰に食べさせてもらってる?」と言うから「お父さんだ」って言うと「じゃあ、俺に感謝しろ。どんなことでも食べ物を与えてくれた人に感謝しろ。もう一生そうだ」。2番目は「これから三度三度食事するときには、必ず農家に感謝しろ。農家の汗水、骨折りがあってこそ、我々は食べることができるんだ。農家に感謝しなきゃだめだ」。3番目は「これだけ農家の人が汗水たらして作ってくれた貴重な食べ物だから、1滴も1粒も残すな」と。
この教えはいまでもです。例えばある料理屋に行ったとするでしょ、余ったものは全部持って帰りますよ、本当に。これはもう僕の鉄則。それで持って帰ってうちの冷蔵庫に入れて、翌朝学校に行って学生たちに食わせちゃう。

(会場:笑)
そういう残さないってこと、残させない。これが大切なことですね。それで4番目は「人の食べてるものうらやましがっちゃだめだ」と。自分の食べてるものは、いちばん素晴らしいし、いちばんおいしいと思うって。私の場合C級グルメですから、どんぶりにご飯を7分目まで入れて、サンマの缶詰かなんかをご飯の上にぶっかけて食うのが最高においしい。これは誰にも負けない自分のいちばんの世界ですよ。それから納豆ひとつあればもういいですね。というような自分の世界をつくることができました。最後の5番目は「俺が言ったこのよっつをお前のこどもにも教えろ」と言われました。とりあえずそういうようなことがひとつの食育教育の見本じゃないかなと思っております。

フェリシモ:
最後に神戸学校事務局からの質問です。これからの環境や食文化のために私たちが今日の夕飯の食卓から始められるような簡単なご提案をひとついただけますか。

小泉さん:
それは今日のお話をどれぐらい聞いて理解するかというみなさんの判断におまかせします。

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Profile

小泉 武夫(こいずみ たけお)さん<東京農業大学教授・農学博士>

小泉 武夫(こいずみ たけお)さん
<東京農業大学教授・農学博士>
*プロフィールは、ご講演当時のものです。
東京農業大学教授。1943年福島県の酒造家に生まれる。食品やアルコール類の醸造と発酵研究の第一人者。実家は福島県で370年以上続く造り酒屋。近著『食の堕落と日本人』は、この国の食の現状を憂い、憂国の情に駆られて書いたもの。ほか『発酵食品礼賛』など著書多数。国立民俗学博物館共同研究員、東都大学野球連盟理事、ニッポン東京スローフード協会理事。

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