神戸学校

神戸学校はフェリシモが主催する「神戸発 生活デザイン学校」です。

  • 明和電機 / 土佐 信道さん(明和電機(アーティスト)代表取締役社長)
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「夢ははてしなく ~発想を自由に~」



<第1部>

土佐社長が語る
非常に変わった会社「明和電機」とは?

明和電機 代表取締役社長 土佐 信道です。今日は「明和電機」という非常に変わった会社について説明したいと思います。まず、「明和電機」の話を始めるために、うちのパパの話から始めたいと思います。
(飛行場をバックに人が立っている写真)
僕は神戸の生まれです。神戸に「新明和工業」という会社がありますが、そこにうちの親父が勤めていました。これがその風景です、これがパパです。「新明和工業」は昔、飛行艇を造ってまして、パパは尾翼の設計をしているエンジニアでした。
(海上をジェットボートが走っている写真)
飛行機だけではなく水中翼船も開発しておりました。後ろに帽子をまわしているのがパパです。これはジェットボートですね。前から水を吸って後ろに吐き出す、ジェットボートを造ってたらしいんですが、あのポンプは、アメリカの航空母艦のエンタープライズ号の払い下げでもらった消火器のポンプらしいんですね(笑)。リサイクルですね。前から吸って後ろから吐き出す、ジェットボート。いまで言うと、ジェットボートって非常にレジャー産業でかっこいいんですが、これは全くカッコよくありません。名前も“どん亀1号”という名前だったそうです。
(会場:笑)
(工場の前に人が立っている写真)
そして、その「新明和工業」を脱サラして兵庫県の赤穂市につくったのが「明和電機」。これは当時の風景です。非常に懐かしい……。最初は「東芝」の下請け工場から始まりました。真空管やテレビのボリュームなんかを作る会社でした。
(工場内の写真)
ちょうど景気が良くなってきた1969年に会社を創りました。非常に景気がよくなったころは従業員を100人くらい抱える大きな会社でした。ところが、オイルショックの影響で1979年、僕が小学校6年生のときに、父さんの会社は倒産してしまうんですね(笑)。会社が潰れまして、一家離散になり、中学、高校と僕は広島県で過ごしました。
小さいころからの僕の夢はずっと変わらず絵描きになること。美術をやりたかったので、筑波大学の芸術のコースに行きました。入ってから気がついたんですが、そこに機械を使って芸術を作るというコースがあったんです。そこには、コンピュータとかフライスやセンバンっていう金属を削る機械なんかがあったりして、それを使っていろいろなものを作り始めました。いま思えば、それが昔の「明和電機」に似た環境だったということとかあると思います。そこでいろいろな変な機械をたくさん作り始めました。これが「明和電機」の出発点になりました。

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いま、ちまたで売られているもので「明和電機」の製品として知られているのがこの魚の骨の延長コード。こっちがメスプラグ、こっちがオスプラグになっています。中途半端な長さの延長コードです。「魚」と書きまして『な』って読むんです。魚のコードとかきまして、『ナコード』というんですが、これがいま「明和電機」の製品で世の中に出ているものですね。5万本以上売れましたので、繋ぐと富士山より高くなる! それがどうした!?(笑) 非常に邪魔です、踏んだら怪我しますからね。
「なんで魚?」っていう疑問を持たれたと思うんですが、僕自身もよくわかっていません(笑)。ただ、「明和電機」の製品には魚をモチーフにしたものが非常に多いです。
「明和電機」には3つ大きな製品テーマがあります。ひとつは魚をモチーフにした機械。それから、電気で動くばかばかしい楽器のシリーズ。それから、花をモチーフにしたシリーズという3本柱です。魚のシリーズについてまずご説明したいと思います。魚のシリーズ、いったいどういうものがあるのかを見ていただきたいと思います。

『ハンマーヘッド』
上に「パンチングカード」というものがあり、下にホルマリン漬けの鯉がいます。で、上の「パンチングカード」が動いて、そこのデータを読み込みます。そして、電磁石を動かして、死んだ鯉の尻尾をピクピクと動かすという装置です。
『ハリセンボンブ』
日本には「ハリセン」という特殊な武器がございます(笑)。関西の方はおなじみだと思いますが、この「ハリセン」を「明和電機」ふうにアレンジしたのがこの『ハリセンボンブ』。グリップを握ると飛び出ます。で、殴りますとカウンターが付いておりましてカウントされるようになっています。どこが魚かというとハリセンと爆弾のボムで『ハリセンボンブ』(笑)。
『コイ・ビート』
えー、日本には「鯉のぼり」という特殊な旗がございます。この鯉のぼりの形をしたリズムマシーン。それが、この『コイ・ビート』。並んでるのはおなじみのナショナルのスイッチ。このスイッチを入れて、リズムパターンをつくります。ナショナリズムというやつですね(笑)。ハンドルを回すと、打ち込んだリズムパターンが100ボルトの電気で出てくるんです。ビッビビ、ビッビビ、ビビビって出てくるんですね。これに、グラインダーを繋いでいます。そうするとグラインダーが、ガッガガ、ガッガガ、ガガガって動くんですね。もしご家庭の洗濯機を差し込めば洗濯機がゴッゴゴ、ゴッゴゴ、ゴゴゴと動くという、家電製品をリズム楽器にしようという楽器ですね。
『ウオノメ』
人間は前しか見えませんが、魚は魚眼ですので非常に広い視野を持っています。こう、周りが見えますね。それをシミュレーションするのがこのメガネ。魚眼レンズが左右についていますので魚と同じように世界が見えるというメガネです。

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このシリーズを魚の機械と書いて『魚機シリーズ』と言います。
これも、その『魚機シリーズ』のひとつ。これはですね、13週目の胎児の顔をした腹話術人形で『サバオ』と言います(笑)。体がピストルの形をしていて、引き金を引くと、「イエーイ! サバオでーす! 子宮から来ましたー!」と、しゃべるんですね。なんでこれを作ろうかと思ったかと言いますと、今日のテーマが“自分探し”ですが、自分とは何だろうと考え始めたときに、「人間ってものを考えるときにいろいろな道具を使うなぁ」って思ったんですね。紙と鉛筆を使ってものを書いたり、考えたり、そろばんを使って計算したり、最近だとコンピュータを使ったりもします。人間はもの考えるとき道具を使う。思考の補助の道具を自分も作ってみたいと思い、考えたときに「あ、腹話術人形だ。あれなら自分と対話しながらこう、アイデアをまとめられる」と思いました。「ねぇ、サバオくん?」「僕はA案がいいと思うんだー」「僕はB案の方がいいと思うなぁ」「なんで?」と……。こういうのができると思ったんですね。
(中略)

もうひとつの「明和電機」の柱が、電気で動くばかばかしい楽器のシリーズ。これを『ツクバシリーズ』と言います。僕は筑波大学に行ってまして、シリーズ名をつけるとき、その名前をいただきました。そのひとつがこちら『指パッチン木魚』略して『パチモク』と言います。指パッチンで木魚を鳴らす装置。どういうものか実際に演奏してみたいと思います。
(演奏)

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中指に付けたのが100ボルトのスイッチです。指を曲げると電気が流れて、背中の木魚が「ぽくっ」と鳴るというキュートな楽器です。「明和電機」の楽器の特徴は、このように電気を使って音を出すばかばかしい楽器。日々、開発続けて10年になるんですが、いろいろ作って参りました。実際ほかにどういうものがあるのかを説明したいと思います。
(ビデオ)
電気で動く楽器と言うと、いま電子楽器が主流です。「明和電機」の楽器は、電子楽器ではありません。電気楽器、電動楽器ですね。電気で動く楽器というのは、19世紀末にも作られておりました。みなさんご存じのオルゴールです。19世紀末というのは、非常に産業が発達しましていろいろな機械が作られました。その機械の技術を使って、自動的に楽器を鳴らす装置。それが、オルゴール。ところが、電子テクノロジーが発達してくると電子楽器の時代になってきます。現在はコンピュータミュージックの時代で、コンピュータ1台で音楽ができてしまう、そういう時代になっています。それに対して、明和電機の『ツクバシリーズ』は、もう一度電動楽器、電気で音を出す楽器をつくろう、そして、コンピュータ制御ででも、電気で動く楽器を動かして音楽をつくろうというシリーズです。
つまり、新しい電子楽器ではなくて、メカニカルミュージック、電動楽器を目指しております。どういうものがあるかと言いますと、大きくふたつに分けます。ひとつは手動で動かすもの。そしてコンピュータで動かすものです。
これは、素人でもタップが踏める装置、『タラプター』。だれでもタップが踏めます。
これが先ほどの、『ちっコイビート』。このようにスイッチでリズムを入れて、ハンドルを回します。「明和電機」のライブでは、この先に電磁石をつけて、叩いてリズムをつくったりしますね。
これは声を震わす装置、『ボイスビブラッター』。誰でも、こういうビブラートがかかるという……。「あ゛―――――――」
(会場:笑)
これは、足踏みオルガンを弾くとギターが鳴る装置、『ギターラ』。
これは『ホウデンナー』。非常に危険な楽器なんですが、鉄琴をたたくバチの先端に100ボルトが来てるんです。叩くと電気が流れますね。で、鉄筋にそれぞれ電球が付いていますので、電気が流れて光ると……。
続いてのこぎり。のこぎり2枚を引っ張って音を変える楽器。『ソウウツボウ』と言います。
続いてコンピュータで動く楽器のシリーズ。これは「明和電機」のドラムマシーン。非常ベルとか、発泡スチロール、それから木の板、鉄板なんかをコンピュータ制御で動かして、リズムをつくる。
同様に、これは「明和電機」のベース。やはりコンピュータ制御でベースの弦を叩いて、ベースのメロディをつくります。
これは、花の形の木琴『マリンカ』。1枚1枚が木琴になってるんです。演奏しながら開いたり、閉じたりします。
これは『メタフォーク』と言います。4台ありますが、それぞれ役割が違います。これがギター、これがドラムです、本体を叩くのみ(笑)。これがベース。で、真ん中の手前が実はマンドリンの音だったんです。
これが全身ラテン楽器でできた『ロボ・ブラジル』。頭が大太鼓で耳がアゴーという楽器、鼻がトライアングル、手がボンゴという楽器です。
これがうちのダンサーの『パンチくん&レモンちゃん』。
これが『メイワクン』。サンダーバード目指したんですが、ドリフの人形のようになってしまいました(笑)。
(会場:笑)

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実際どういうふうに作っているかと言いますと、「明和電機」の工場は、東京の品川にあります。これが、工場の風景です。ここで日々開発をしております。工場の2階が簡単なスタジオになっていて、そこで楽器を作れば音撮りなんかもします。作詞作曲も自分でします。曲ができたら、これは、今度はプロモーションビデオですね(笑)。監督も自分でやります。もう、全部やっちゃいます。やらないと気が済まない!!
これがそのときに撮ったプロモーションビデオ。「飛び出せロマンス」という曲ですね。これ、自分の中でフォークが大ブームでですね、もう、白いギターだろ! と、思いまして作りました。CDはタワーレコードで売っています。「明和電機」は積極的にテレビメディアも使ってそういうプロモーションもしている次第です。
(中略)
「明和電機」は芸術家として出発したんですが、製品というのは実は1個しか僕は作りません。普通の芸術家というのは、これを売って生活していくんですが、「明和電機」はそうではなくて、それをおもちゃにしたりCDにしたりして、裾野を広げていって、それを売って生活してるというちょっと変わった芸術家です。
これは楽器のノウハウを使って作ったおもちゃ『ノックマン』。こうやって左手を下げるとゼンマイが巻かれ、手を離すと頭を叩く。現在『ノックマン』はいろいろシリーズを増やしておりまして、ギター、シンバル……、それからこれは、赤ちゃんのガラガラ。特徴は、楽器を作ったときと同じように、ひとつの音に対してひとつのキャラクターを与えて楽しいものを作っていきたいなと……、日々開発をしております。これは楽器ではありませんが、『ビットマン』と言います。
(中略)

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最後になりますが、いま現在「明和電機」は花をモチーフにした製品を開発中です。これはいままでとは毛色が違って、テーマは『ラブ』です。恋とか愛とか染色とかオスとかメスとかをテーマに作っています。ちょっとアダルトです。最初のころにペンダントを作ったんです。エーデルワイスという花のシリーズでつくったペンダント。小瓶があって中に液体が入ってます。で、この液体は何かというと、マツモトキヨシで買った150種類の化粧品を混ぜた液体なんです。“末京(マツキョウ)液”と言います。僕は、化粧をする女性を「不思議だなー」と日ごろから思ってて、「化粧とは何だろう?女性とはなんだろう?」と、グルグル考えてたらこれを作ってしまったという……。すごいですよ、150種類ですからね。買いに行くのもすごかった! カバンをこう、カゴを下げて『その棚から、その棚までゼーンブちょうだい』っていうのをやりました。レシートはこんなに長かったですからね。30万円分くらいバーっと買いまして、で、混ぜてつくった究極の香水“末京液”。どうやってつくったかと言うと、買ってきた化粧品をガラスの弾丸に詰めました。その弾丸を一気に発射するマシンガンをつくったんですよ。“末京銃”と言います。で、バーっと発射すると、向こうの壁に当たって、バンバンって破裂しますね。そこでこう、グチャグチャになって混ざる。そうやって作ったのがこれですね(笑)。ビデオがありますのでちょっと見ていただきたいと思います。
(映像)
これが現在進行形で、また開発をしております。来年にはまた新しい花のシリーズをつくりたいと思っております。
(中略)
説明の足りなかったところは、今日、こちら、思いのたけを書いた本がありますのでぜひ、読んでみてください。

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「やわらか頭」をつくる
「土佐 信道式発想法」をみなさんも体験!

さて、会社説明会ということで思いっきり説明して参りましたが、これからちょっとみなさんに頭のトレーニングをしていただきます。僕がこういうものを作っているときに、頭をやわらかくするために、発想法をいろいろやってるんですが、そのひとつを一緒に体験していただきたいと思います。
これからやる発想法は、とにかくみなさんに頭を柔らかくしてもらうトレーニングになります。発想法をするときにいちばん大事なことは、固定概念にとらわれないこと。何かをやってくださいって言ったときにいろいろなことが頭に浮かびます。「これはやっちゃいけないんじゃないか」と思うことがいちばんダメなんですね。発想法の世界は非常に自由な世界ですので、自分に絶対規制をつけない。いろいろな常識が頭に入ってますから、「あ、これはやめとこうかな」って思ったりするんですが、それを取り払うこと。何でもアリの世界だと思って、やってもらいたいと思います。
紙を配りましたが、上に②と書いてある縦の欄があります。そこにマス目がたくさんあります。②と書いてあるマス目、上から12番目までに、今朝みなさんが目が覚めて、触ったもの、パッと目が覚めて布団を触ったら、布団ですね。トイレ行ったらドア開けた。犬を飼っている方なら犬とか……、朝目が覚めて触ったものを12個書いてください。

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とにかく、悩まず思いついたらすぐ書いてください。そしたら、そこに「おかしな」という言葉を12個入れてください。例えば、1番上に何て入りました? 「おかしな」の次は何ですか? 「『おかしな』ノブ?」、はい。
次に③の欄が空いてます。そこに12個マス目がありますが、この方はノブというふうに②番に入れたんですが、「おかしなノブ」といったときに、今度「『おかしなノブ』ってどんなノブ?」と想像してください。
どんなノブですか?
「豆腐のノブ」
はい、この方は、「おかしなノブ」といったら「豆腐のノブ」がパッと浮かんだんですね。じゃあ、豆腐のノブっていうのを③の欄に書いてください。
このように、例えば「おかしな布団」と書いたときに、思いつくもの。ビショビショな布団とか、思いついたものを書いていってください。
(中略)
いろいろ書いていただいたと思うんですが、ここからさらに発想をとばします。③の欄には、上からおかしなものを12個書いたと思うんですが、それをふたつずつ上からペアにしていきます。そのふたつを組み合わせて、さらに思いつくものを④の欄に書いてください。
(略)
イメージがポッと浮かばないのは、とばしてくださいね。無理やり作ることはないです。または、浮かばないものは言葉を繋げるだけでもいいかもしれないです。さて、最後です。
(略)
最後、⑤の欄に絵を描いてください。あまり考えずに④の欄に書いたものの中から、自分でお気に入りのものをひとつだけ⑤の欄に絵に描いてください。 (略)
見せてもらっていいですか?(笑)何これ?
“この先マイケル注意”(笑)。“ネバーランドの近くに立っているマイケル・ジャクソン注意を呼び掛ける標識”。すばらしい! いい発想してるね。売れるかも。

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こちら、お父さんが描いたんですね。ものすごい味わいのある絵ですね。下に“飛べたり小さくなったり、ぶつかっても壊れないゾー!!”って書いてますね。車とスライム、車スライムですね。これいいですね。いいけど、ゴミが付きそうですね(笑)。
いろいろやってきたんですが。とにかく、発想っていうのは、何か毎日の中で常識的になってるものをちょっと壊すっていうところから始まって、生まれてくる。僕はそういうことが非常に多いです。だから、常識的に世の中を見るってことは大事なことですが、どこかでちょっと待てよと、気づかないことに気づくことが大事だなぁと思っています。(中略)世の中の見方を自分で変えてしまうという楽しみ方もあるんじゃないかなと思っています。

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<第2部>

お客さまとのQ&A

お客さま:
いま、人生の壁にぶつかっています。スランプから脱出するために日夜努力をしていますが、社長はこの世界に入られる前に、スランプに陥ったことはありますか? ある場合、そこからどうやって脱却したかを教えてください。

土佐 信道さん:
まず、僕は自分がダメと思ったことがないんですね。「サイコーサイコー!」って自分で思ってますから。「なんて自分はすごいんだろう」って……。ただ、作品制作で行き詰ったことはあって……。ものを作ることが大好きで、大学に入るまで何の迷いもなくずーっとやってたんですが、ふと「なんでこれをやってるんだろう?」ってスランプになっちゃったんですね。それで、大学4年生のときにものが一切作れなくなっちゃって、どうしようかなって思ったとき、旅に出ました。“奈良・京都巡礼の旅”って呼んでるんですが。奈良、京都の辺りを泊まり歩き、お寺とか博物館とか見てまわったんですね。そこでいろいろなものを見て、自分が豊かになったのがひとつ。それから、生物学の勉強もちょっとガーッとやりました。本当は芸術家になりたかったんだけども、それは1回置いといて、全く別のことをやって自分に栄養をあげたんですね。だから、壁にぶつかって進めなくなったときには、一歩こう横にずれたらスッといけるじゃんってことがあるかもしれない。視点を変えるというか、違うところに自分を置いてみる。旅に出るとか、新しい男をつくるとかですね(笑)。

お客さま:
前社長は35歳で定年退職されてしまったんですけれども、現社長は?

土佐さん:
もうすでに、36歳なんですね(笑)。で、社長になったのが33歳なので……。社長は方針を変えていいので、「辞めません」って宣言して、そのまま続けることにしています。もう10年は続けようかなーって思ってます。

お客さま:
前社長はいまどうされてるのかなーって(笑)。あと、もうひとつ、いろいろなたくさんのおもしろいものを作られていますが、ふだんはどうやって過ごされていますか?

土佐さん:
前社長のお兄ちゃんは35歳で、2年前に定年退職したんです。前社長が、いま何をやっているか、僕もよくわかっていません(笑)。「ヤスコアンドマサビッチオーケストラ」、略して「YMO」っていう(笑)ユニットを組んでいるらしく、こないだそのイベントを見に行きました。銀髪、銀のカツラをかぶり、なんか、銀色の服を着て、頭にくるくるねじが回ってて、おもちゃのギターで、タカハシユキヒロの歌を歌ってました(笑)。
僕のふだんの生活は、ものすごい地味です。朝は、7時半に起きて、ご飯を食べ、シャワーを浴びて、工場に11時に着き、で、だいたい9時ぐらい、10時ぐらいまでいて、帰って、寝るという生活ですね。趣味は…… 何でしょう。趣味が仕事のようになってしまっているので、うーん、ないですね。

お客さま:
関西と関東の発表会でうけ方は違いますか?

土佐さん:
うけ方は違いますね。やっぱり関西の人は、笑いに対する厳しさもあるとして、温かいというか「よく私たちのフィールドにやってきたね、君」みたいな感じがあります。4年前になんばグランド花月でなぜかタップやったことがあるんですよ。もう、おばさま方ばっかりでしたけど、うけましたね。そのときはお兄ちゃんもいたので、「いい兄弟やねー」みたいな感じで、うけました。

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フェリシモ:
製品の発想とかはどこで思いつかれるんですか?

土佐さん:
うるさい所じゃないとだめなんです。だから、車を運転したり、シャワーを浴びてたりとか、喫茶店でガーッとうるさいとか。そういう所へわざと行ったりしますね。

お客さま:
理想の女性像を教えてください。

土佐さん:
社長の理想の女性像?(笑) むずかしいなぁ。えっと、心理テストをされたんです。「あなたの目の前に理想の女性が現れました。その女性はなぜあなたにとって理想的なんですか。3つ答えてください」って言われたんです。僕は「ウソをつかない。おもしろい。心がきれい、魂がきれい」って言ったんですね。そしたら、質問した方が「じゃあ、3つの条件を備えた方がもうひとり出てきた。目の前におもしろくて、心がきれいでウソをつかない女性がふたりでてきちゃった。もうひとつ条件があったらどっちにするか」って言われて、悩んで「ご飯がうまい」って答えたんですね。そしたら「それが、ホントの条件」って言われました。なので、理想の女性は、ご飯がうまい人。

お客さま:
結婚のご予定は?

土佐さん:
結婚はもうしてます。

お客さま:
では、理想の女性は見つかったということ?

土佐さん:
それがね、男性の方はわかると思うんですが、それは別なんですよ。(笑)。

お客さま:
社長はよく感電するそうですが、「これは!」と思ったときはどんなとき?

土佐さん:
感電はすごいするんですよ。最近は、「ワ! 感電! 92ボルト」とか、わかるようになってきた……、なーんちゃって(笑)。
「これは!」と思うのはですね、『指パッチン木魚』を配線を間違えたまま、ポクッ! ってやったら、舞台でブオーって燃えたことがありました。「うわー」って思って足で揉み消して、お客さん大笑い! 僕も「やったー」って思いましたけど……(笑)。それがいちばん衝撃的な感電でしたねぇ。

お客さま:
「明和電機」の社員になるために、必要な条件は何ですか?

土佐さん:
昔は中卒とか言ってたんですけど(笑)。ひとつの能力に優れていることかなー。いま現実的に工員さんを募集してて……。具体的な条件は、機械加工ができる人、そして、コンピュータデザイン作業ができて、あとダンスが踊れる、ですね(笑)。前ふたつまでだったらなんとかなるんですが、「明和電機」って、工員さんもステージで踊らなきゃいけないんですね(笑)。25歳以下の成年男子、募集しております!

お客さま:
人生を楽しく過ごすため、ふだんから心がけてることはありますか?

土佐さん:
当たり前ですが、クヨクヨしないこと。世界中にはおもしろいものがゴロゴロ転がってると思うんですね。で、人生をおもしろくないって言ってる人たちはそれを見てないんだと思うんですよ。だって、重力を発見した人とかこんなおもしろいことはないですし。絶対その辺にゴロゴロ転がってて、何か見方を変えるだけで、ドンっとそれを引っ張ってこれるものなので、だから、ひとつ、好奇心ですよね。それを失わないように、えーっと、ものをよく見たりしてますね、自分の人生ですからね。

フェリシモ:
最後に私たち神戸学校事務局からの質問です。今回のテーマは、「夢は果てしなく」ということで、土佐さんにはそんな夢を持つことの大切さや素敵さ、それを毎日の生活の中でどのように意識していくのか、お話を伺いたいと思います。

土佐さん:
いま、夢を持ちにくい時代だと思うんですね。で、うちの親父のスライドを見ていただいたんですが、親父の世代っていうのは、戦争が終わって何もなくて……。で、故にユートピアをみんな持って、そういう国にしていこう、そういう世界をつくろうと思って、会社を創ったりしたと思うんです。僕はその親父を見てて、甘すぎるところ、ドクター中松さんに通じる胡散臭さもあるんだけども、やっぱりこう、ユートピアを持ってて。ただ、僕らの世代に言われても、ユートピアは持てない。そのあと公害があったり、いろいろな経済が行き詰まったりしたのを見て、僕らはそういうのを見せつけられて……。しかも、ちっちゃいころは、アニメーションも、ロボット、ロケット、コンピュータの時代なんですよ。そういうものが、大活躍して素晴らしかったんだけど。いま、ロボット、ロケット、コンピュータがことごとくダメになってて。「それが21世紀ダー!」って育ってきたのに、僕らは夢を語れなくなってしまったんですね。
じゃあ、どうするかってところで、親父世代が描いたユートピアを、形は違うにしろ、次の世代に向けて自分が描かなきゃいけないなと思っています。「明和電機」の活動が、そういう流れになればいいかなと思ってます。どういうものかわからないけれども、新しい未来は僕らがつくらなきゃダメだと僕は思っています。そして、多分もっとちっちゃいこどもたちは、なんとなくそういうことを本能的にわかってると思うし、次の時代をつくっていくと思います。それが僕自身にとっての夢なんです。
僕の大好きな言葉で、「イメージは世界を変える」という言葉があって、これは、デビッド・ボウイが言ってたんですけどね(笑)。「イメージは世界を変える」ビシッ。「ワ―!キター!」みたいな、「感電した!」みたいな……。ちょっと変な話ですが、僕の友だちのスプーン曲げのエスパー・キヨタさんに、「どうやってスプーンを曲げるの?」って聞いたら、「イメージで曲げるんだ」って言うんです。「どういうこと」って聞くと、スプーンを曲げようと思って、そのスプーンがクニュって曲ってポタンと落ちて、周りの人が「ワ―」って言ってるところを完璧にイメージするんですって。そして、曲げるらしいんです。で、それと、デビッド・ボウイが言ったことは全く一緒だと思ってて。世界を変えようと思ったら、やっぱりまずイメージ力だと思うんですね。僕もものを作るときには、まず完璧にイメージをしますから。それを外に出して、みんなが見て、ワッとびっくりして、それが広がっていってということがあるんです。イメージを持つことは、夢を持つこととイコールだと思います。空想する人間は動物なので、夢を持つこと、イメージを持つこと、それをとことんイメージをして、理想のイメージに自分の生活を変えていくってことが、大事なんじゃないかなーと思いますね。

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Profile

土佐 信道(とさ のぶみち)さん<アーティスト・明和電機 代表取締役社長>

土佐 信道(とさ のぶみち)さん
<アーティスト・明和電機 代表取締役社長>

*プロフィールは、ご講演当時のものです。
1967年 4月 兵庫県生まれ
1992年 3月 筑波大学大学院芸術研究科修士課程修了
1993年 5月 兄・正道とともに明和電機結成 代表取締役副社長就任
2001年 4月 前社長・正道の定年退職に伴い代表取締役就任。

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