神戸学校

神戸学校はフェリシモが主催する「神戸発 生活デザイン学校」です。

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「うるおそう食生活」



<第1部>

私の職業はイラストレーターです。それから文章も書いています。主に、雑誌、本などを書いています。食いしん坊のせいなのか、食事に関するテーマの仕事が多く、最近は、家とかインテリアとか、そういう仕事も少しずつ増えています。
生活をうるおすという手立ては、人によって、いろいろな方法があると思います。例えば、ガーデニングをしたり、緑の山を見たりするとうるおうと感じる人、たまには旅に行かないと気持ちがうるおわないという人、洋服に気を遣うとうるおうという人とか、いろいろいると思います。

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私の場合、日常に食べるものが、おいしいもの、食べたいものであること。そういうものをきちんと食べていると、私自身がうるおったなあという気持ちになります。そんなわけで、どんどん食べることが好きになってしまいました。と言っても、決しておいしいもの、上等なものばかりを食べたいというわけではありません。そのとき、食べたいものをなるべく食べたい、その程度の食いしん坊です。今日は、私のそういう食事を中心にしたお話をさせていただきます。

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こぐれひでこさんの
育ってきた食環境とは……

まず、私が育ってきた、食環境についてお話をします。私は、昭和22年2月に埼玉県で生まれました。太平洋戦争が終わって、1年半しか経っていないころです。そのころは、日本中が食糧難の時代。まだ小さくて記憶がなかったのか、それとも農村部で食料は結構あったのか、ひもじい思いをした経験はありません。ただ、思い出してみると、こどものころ食べていたものは、粗末なものでした。おやつと言えば、さつま芋、おにぎり、ぬか漬け。学校から帰ってくると、ぬか味噌の樽の中に手をつっこんで、よく漬かっているナスを洗って食べました。あとは荒川がすぐそばを流れていたので、川魚は結構食べました。ドジョウもよく食べました。そして、うちは農家ではなかったんですけど、裏に畑があり、うちで食べるための野菜を祖母がつくっていたので、新鮮な野菜が豊富にありました。近所の方からも、ずいぶん野菜はいただいたし、ほとんど野菜で育ったと言っても過言ではない食生活を送っていました。
それから、18歳で上京。4年間学校に行きます。なにしろお金がないので、4年間自炊生活。入学したてのころは、あまり料理ができなかったんだけど「背に腹は変えられぬ」と、少しずつ覚えていきました。卒業して、すぐ結婚。2年後ぐらいに、パリに住みます。パリに行くまでの25歳までの食事スタイルは、こどものころからあまり変わってなかったと思います。
そのスタイルが大きく変ったのは、パリに住み始めてから。パリでは、例えば、前菜を食べて、主菜を食べて、デザートを食べます。これがいちばんシンプルなごはんの食べ方。もちろん、サンドウィッチだけですます方もたくさんいますから、一概にそうとも言えないんですけど。一般的なごはんの食べ方は、前菜、主菜、デザート、そしてコーヒーかお茶を飲むというスタイル。それを、わりとすぐ真似して、以来いままで、その食事スタイルが定着しています。

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帰国後、洋服のデザイナーになり、自分で小さな会社をしました。洋服の仕事というのは、なかなか大変で、ほぼ連日、朝9時から夜10時まで仕事というハードな生活でした。お昼は、みんなと出前を食べ、夜は10時を過ぎてから、開いているお店もそうそうないので、居酒屋的なところに行き、おつまみを食べながら、お酒を飲んで、寝る……、そういう生活を10年間していました。あんまり、食生活のうるおっていなかった時代ですね。日曜日は休みでしたから、その日だけは、パリで仕入れた食事スタイルで過ごしていました。
10年後、洋服の仕事を辞め、現在の職業になりました。洋服を辞めたときに、何も考えずに、辞めてしまったもんですから、時間があり余って、暇で暇でしょうがなかったんですね。その時間を埋めるために、キッチンに立つようになったんです。
それがきっかけで、いろいろなものを食べ、食べるものをつくるって楽しいなとか、やりがいがあるなと思い始めました。そうこうするうちに、いまのようなお仕事をするようになりました。私が、ごはんをつくっているのを雑誌の編集者が見て「連載をやらないか」と持ちかけてくださったのが始まりで『流行通信』(INFASパブリケーションズ)に連載が始まり、それが1冊の本になったのが、『まあるいごはん』です。その『まあるいごはん』を食べ過ぎて太ってしまい、次に『やせたいごはん』を出しました。洋服屋時代には、よくひとり旅に行ってたんですが、その旅先での「ご飯日記」も、20年以上前からつけていました。そういうのが、どんどんまとまって、5年前に毎日のご飯をポラロイドで撮ってまとめた『ごはん日誌』も出ました。いまインターネットでも「ごはん日記」というタイトルで、毎日のごはんを更新しています。

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こぐれひでこさんの食生活
2ヵ月分、一挙大公開!

去年の4月と5月に、私が食べたものを紹介いたします。

(スライド)
(4~5月の食事の紹介)

以上、これがうちの偽りのない2ヵ月間の食事です。
次に、イラストをご紹介します。これは、実は『クロワッサン』(マガジンハウス発行)で3年半、連載されていたものです。
その連載は、覆面で、お店側に連絡もせずに行き、勝手に写真を撮って帰ってきて、それを元にイラストを描き、原稿をつけて載せるというページでした。店へはあとで連絡を差し上げます。だいたいのお店は喜んでくれるんですが、中にはひどく怒ったりする店もあって……。「連絡もせずに取材に来るなんていうのは失礼だ」と言って、ボツになった店も2~3軒あります。非常においしかった店だったりするので、とても残念でした。連載ページのタイトルが「高級料理店のランチ」というなんだか鼻持ちならないタイトルだったものですから、安くておいしい所に行けなかったんですね。それが、返す返すも残念です。今度出るのは、『お昼ごはん、何にする』というタイトルの本。ほとんどの店が、かなり高い。お昼でだいたい5000円以上という店ばかりです。でも、番外編で安い店も出てますので、ぜひ。

(中略)

いつも自分で撮った写真とコメントを書いて編集部に出します。そうすると、1日1日更新してくれるわけなんです。だから、いまみたいに続けざまに見たことが、一度もなかったんですが、見てみると、あんまりバリエーションないですね。実は、もっとあると思ってたの。「うちのごはんは自信あるよ」って思ってたんですが、なんだか麺ばかり食べてるし、それから、朝ごはんみたいなごはんを朝じゃないのに食べてたり……。なんかクセがありましたね。これを見る前までは、私はちゃんと気合を入れて、ごはんを食べているぞと思っていたので、日々の、その食べるものに満足している私の食生活は、結構うるおってんじゃないだろうかと思ってたんですけど。ちょっと自信がうすれちゃいました。残念(笑)。これを反省点に、もうちょっとマシな人になりたいと思います。

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ただ、わりと食べたいものを、その日に冷蔵庫から物を出して「これで、何つくれるかな」と思って、無理矢理つくったらおいしかった、なんていうときはすごくうれしいですね。材料をそれ用に買い込んでつくって、おいしくできたときよりもうれしいです。
いま、私は基本的にうちでつくって食べることが多いですけど、外食することも多いんです。外食では、自分でつくれないもの、手の込んだものとかを食べに行く、うちはそういう掟になっています。すごく繊細で高度な技術がないとできない料理は、うちではつくらず、奮発して食べに行きます。そういう外食先で食べておいしかった料理で、自分で真似できそうなものは、積極的にしてみることにしています。例えば、さっき出てきたマンディーブ・オ・ジャンボンとかトマトファルシとかは、食べておいしかったんで真似してみたものです。日本料理の中にも、そういうものは結構あり、真似してみたら、形は変わったけれど、とてもおいしかったってのもあります。パエージャも、私は、とあるスペイン料理屋のシェフが書いた本を元に、あの料理はつくりました。その人のお店に行ったけど、あんまりおいしくなかったのね(苦笑)。その人の書いた本を手本にしてつくっている私のパエージャの方がおいしかったんですよ。そういうこともあるので、何でもやってみるもんだな、と思っております。

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<第2部>

お客さまとのQ&A

お客さま:
トマトファルシのつくり方を教えていただけますか?

こぐれさん:
あれは多分、いろんなバリエーションあると思います。私が真似するきっかけになったレストランのものは、私がいまつくっているものとは全く形が違います。
一般的なトマトファルシは、中に詰めるものがほとんどがお肉。ハンバーグをつくるみたいな感じの肉を、くりぬいたトマトの中に入れ、オーブンで焼く。そしてトマトソースをその下に敷いて出すのが一般的なトマトファルシ。
私の場合は、何と言っても野菜好きなもんですから、みじん切りのタマネギとくりぬいたトマト、それから少々の挽き肉を混ぜ合わせて塩胡椒し、それをトマトの中に入れてオーブンで焼くんです。そうするとトマトからお汁がたくさん出て、そのスープがすごくおいしいんです。非常にあっさりしたトマトファルシです。超簡単でから、ぜひ、おつくりください。

お客さま:
クリームを使わないカルボナーラって、どうやってつくるんですか?

こぐれさん:
バターを結構使います。千切りにしたベーコンをバターでカリカリに焼きます。そして、スパゲティを茹でますね。ちょっと太目のスパゲティが合うみたい。茹で上がったら水を切って、バターで炒めたベーコンの中に入れます。塩胡椒でちょっと味をつけたら、そこに卵の黄身(1人前1個)を入れて和えます。そしてパルメジャーノをふります。黄身を入れたときに火をかけると、玉子焼きになっちゃうので、火はかけない。だから、生の卵黄を食べるという感じですね。

お客さま:
カマンベールチーズは、日本にもいろいろ入ってきてるんですが、高いです。どれがいちばんおいしいか教えてください。

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こぐれさん:
お店に人に嫌がられると思うんですが……。フランスではみんな、箱を開けて、指で押します。私は日本でもやってます(笑)。あれ、固いと塩っぱいんですよ。カマンベールって熟してないと固いんです。でも、熟しすぎても塩っぱいんですよ。こう、ホッペぐらいな感じ? 紙の上から押してみると、ホッペぐらいな感じの熟し具合がおいしい。
あと、油分が書いてありますよね、50%とか40%とか。あれは多い方がやっぱり、トロミがあります。まあ、好き好きですけど、私はトローッとしたチーズが好きなので、ちょっとやわらかめのものを買います。

お客さま:
今日もお着物が似合ってらっしゃって、ステキだなと思いました。そして、こぐれさんの生活の中には、桜の絵とか、竹で編んだランチョンマットとかもあり、食事も和食、野菜中心でおいしそうだなって思いました。もともと洋服の仕事をされていましたし、フランスへ行かれたりもして、わりと洋のものの存在も大きい気はするんですが。こぐれさんの中で和という、お着物を含めて、ライフスタイルで大事にしていることがあったら教えていただけますか。

こぐれさん:
和のものって、そんなに興味はなかったんです。和服を着ようと思ったのは、実は、ここ1年ぐらい。まだ、着慣れてないかもしれないんですけど、着ているうちに慣れるんではないかと思って。ただ、うちには、和のテイストが一滴もないんです。そういう中で和服を着る、ミスマッチな生活も、いかがなものかと思いつつ……。まあ日本人と生まれたからには、一度は和の生活もしてみたいなと思って、着物ぐらいは着ましょうと、ここんとこ、思ってるとこなんです。
食事も年をとるに従って、さすがに和のものが多くなってきました。しかも一汁一菜的なシンプルな和のものが増えていっているのは事実。意識してではないんです。ただ食べたいものを食べようとすると、そういう形になっています。

お客さま:
スライドの中にアボガドのシンプルな料理がありまして、その下にあったが気になったのですが、教えていただけますか?

こぐれさん:
うーん、ちょっと、忘れちゃった。アボガドの食べ方の話でいいですか(笑)。いちばんおいしいと思うのは、スライスして、のり巻いて、ワサビしょうゆで食べる。それからアボガドと納豆を混ぜて食べる。すごいおいしいですよ。うちの場合は、ネギを刻んで入れますけど、それは入れても入れなくても……。あと、ノリも入れます。アボガドとのりはすごく合うみたい。それからちょっとニンニクと玉ねぎのみじん切りを入れて、塩胡椒して、あとレモン。それで野菜のディップみたいにして食べる。さっぱり系ですけど、メキシコ料理のワカモーレっていう料理のちょっとさっぱり版みたいな感じ。それもおいしいです。

お客さま:
2年前にミリピレネーに1ヶ月ぐらいホームステイしました。行くまで、実は、フランス料理は油っこいというイメージがあって、嫌いだったんです。でも実際行ってみたら、使うのはアーモンドオイルとかオリーブオイルとか、そういう植物性の油中心で、非常に軽くて……。みなさん、一食一食、神経質じゃないけど、真剣に全力投球っていうか、食べることを楽しんでて……。いっぱい真似できるような料理もありました。パリだったら、もっといろんな料理があると思うんですが、材料が手に入って、簡単で、何で広まらないんだろうという料理があったら教えてください。

こぐれさん:
さきほどもお話したトマトファルシです。あれは、そんなにおいしいトマトを使わなくても、おいしくできるので、ぜひ広まってほしい。それから、ムール貝。ムール貝をちょこっと白ワイン入れて蒸して、最後にパセリの刻んだやつを入れるだけ。これ、ベルギー料理ですけどね。すごく簡単にできておいしいので、広まってほしいな。ムール貝、日本では高いので、私もあんまり買えないんですけど、もっと安く手に入ったらつくって食べたいですね。

お客さま:
ひとり暮らしだと、食べてくれる人がいないので、食事を抜くようになってしまいました。ひとりでも楽しいごはんはどんなものだと思われますか?

こぐれさん:
分からないでもないです。ひとりだと、どうしてもいい加減になってしまう。でも、例えば、お惣菜屋で買って来たとしても、それを自分の好きなお皿に盛りつけて食べる。これ、いちばん簡単な方法ね。それからひとりだと、どうしても、いろんなものが残ってしまいますが、今度はそれを、形を変えて、例えば、雑炊が残っちゃった場合、オリーブオイルを入れて、パルメジャーノをかけると、イタリア風に変身とか。そういう工夫をやってくと、だんだんそれが趣味のように、おもしろくなっていきます。「私って、結構頭いいな」とか思ったりすると、しめたもの。そういうふうに楽しんでいくと、おもしろいですよ。

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お客さま:
パリに行かれてから、食事のスタイルが変化したとおっしゃられていましたが、日本人とは違う、フランス人の真似したい食事に対する考え方や方法あれば教えてください。

こぐれさん:
フランス人だからといって、いつも高級フランス料理屋さんで食べてるわけではありません。いちばん多いのはステーキですかね。ステーキにサラダ、パン、そして最後にデザート。これがいちばん多い食事スタイルだと思います。一般の人は、そんなに豊かな食生活はしてません。チーズとパンだけで夜とか。せいぜい、ハムついてるとかね。サンドウィッチ買って、食べながら歩いて、家帰って終わりっていう若い子もいっぱいいますから。フランス人、特にパリの人が、いつもみんなおいしいもの食べてるというのは、間違いです。意外でしょ? 私はおととしまで、パリにアパートを持っていたんですけど、下のおばあさんというのがいましてね、その人がよく食事に呼んでくれたのね。だいたいね、サラダと、何かお料理、デザート、そんなもんですよ。実はシンプルなんです。
私たち日本人古来のふつうの家庭の食べ方だと、一度に、ドンと出して、いろんなものを食べますよね。そうじゃなくて、フランスではシーン別にものが出てきて、食べていく、これが日本と違う点だと思いますね。中華なんかも、いっぱいあって、あれ取って、これ取ってという食事スタイル。全体的にアジアってそういう所なのかもしれない。私が人を食事に招待したら、例えばラディシュとか生野菜出しておいて、アぺリティフを飲みながら、いろんなものつまんだあと、ちょこっと前菜を出して、次、主菜を出して、そのあとサラダ食べて、あとデザート。だいたい私は、和でも、洋でもこんなふうに出します。何か、ひとつのお皿に集中して食べたいし、集中して食べてほしいのね。1つのお皿に集中する、精神統一するみたいな、そういう感じは、フランス人の食事にはあると思います。

お客さま:
最近のこぐれさんのおうちのブームは何ですか? あと、こぐれさんにとって食べることって、どんなことだと思われますか?

こぐれさん:
ただいまの、うちのブームは豆乳です。というのは、豆乳メーカーを買ったから。できたての豆乳って、すごくおいしいの。ただ大豆が高いんですね。だから豆乳買った方が安いかもしれない。でもね、おいしいの。それでね、豆乳にお塩を入れて飲むんです。すごく、おいしいスープになる。それから、シラスとネギのみじん切りを入れて、豆乳を入れて、少しお塩を入れて、お酢をちょっと垂らすの。すると固まるんですね。ものすごく、おいしい。もっかのところ、うちは豆乳ですね。
もう1つ。食べることは、生きることですよね。食べるの、好きなのかもね。朝、目覚めると、何食べようかなと思うしね。朝ご飯終わると、お昼何食べようかなと思うし。ときどき、ちょっとうちで、ごはんが長く続きすぎたから、人がつくったごはんを食べたいなあとか思うし、食べることが好きなのかも。いちばん、しあわせを実感することですね。

フェリシモ:
最後に神戸学校事務局からの質問です。食生活がうるおうことによって、生活や人生、社会は、どのように変わっていくと思われますか?

こぐれさん:
大いに変わると思います。例えば、いちばん小さな単位は“ひとり“。ひとりで暮らすという単位ですけど、ずっとひとりでごはんをちゃんとつくるのも、いやになっちゃうみたいなことよりは、なんとかおいしく、楽しく、食べたいものを食べてみようとすると、食べることだけに限らず、そのほかのこと、例えば仕事などにも、それは派生していくと思うんです。
今度、それがふたりになったとしたら、誰だって、食べずには生きていけないんですから、人間が生きる上で、とても重要な核だと思うんです。そうすると、食べることの会話をふたりですることによって、ふたりの関係もスムーズになっていくし、「同じ釜の飯を食べる」っていうのは、素晴らしい言葉だなと思うんですけど、すごく気心が知れてくると思うんですよね。
そして、どんどん輪が広がり、友だちに「うちにごはん食べに来ない」って、食べて、何かベチャベチャしゃべっている。友だちって、グループいるとたいてい趣味が似てるんですよね。食事って、そういうところにも影響を及ぼすんです。
暮らしの中のいちばんの中心は、私はやっぱり食べることだと思います。そのあと、2番目や3番目は、家だったり、人の関係だったり、洋服だったり……。根幹にあるのは、食べること。ここんところ、しっかりしとかないと……。しっかりっていうのは、いつもパーフェクトにやるっていうんじゃないですよ。適当に。いい加減なごはんを食べたとしても、自分で許せるような、「ああ楽しかった、まずかった、まずくて楽しかった」みたいな。自分のやったことを許せるような、そういう食事を続けていってくれたら、もっと余裕のある人になっていけると思います。
私、まずいものをつくっちゃったりすると、笑っちゃったりして。あるいは、まずいものをどっかで食べたりして「なんか良かったな、まずくて」って、思ったりすることあるしね(笑)。わざわざ、まずいもの食べに行く時、ありますしね。わかってて食べに行く。なんかね、そういうのね、遊び、楽しいですよ。食べるということをひとつとってみても、なかなか遊べますので、ぜひともみなさん、それをきっかけに、うるおいのある食生活をしてください。パーフェクトではないんですが、じゃないところが、ちょっとかわいいところです。

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Profile

こぐれ ひでこさん<イラストレーター>

こぐれ ひでこさん
<イラストレーター>
*プロフィールは、ご講演当時のものです。
1947年埼玉県生まれ。大学卒業後3年間パリに住む。10年間既製服会社・2CVで婦人服のデザイナーとして活躍後の1985年『流行通信』の連載を機にイラストレーターに転職、現在に至る。食及び暮らしに関するイラストレーションと文章を中心に活躍中。著書は『ごはん日誌』(SSコミュニケーションズ)、『ベトナム334028歩』(立風書房)、『私んちにくる?』(扶桑社)、『小泉今日子・こぐれひでこ・往復書簡』(SSコミュニケーションズ)ほか多数。

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