神戸学校

神戸学校はフェリシモが主催する「神戸発 生活デザイン学校」です。

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「私の生活をデザインする」



<第1部>

みんなどこかで目にしている!?
セキさんのこれまでのお仕事

セキさん:
今日は前半に、映像でふだん私がつくっているものを見ていただき、後半で「十五夜」をテーマにワークショップをさせていただきたいます。明日、十五夜なんですよね。
(ステージに飾れた赤と白の月とススキのミチーフを見ながら)これはお月さまとススキを組み合わせてつくったモチーフです。いまから、手元にあるススキをご覧になって、自分がどんなパターン、柄をつくりたいかをなんとなく考えていただきながら、進めていただけるといいな、と思います。

フェリシモ:
今日、「サルビア」の洋服をお召しになっていらっしゃいますが、その柄ついて、お聞かせいただけますか。

セキさん:
着ているのは、この秋冬に向けてつくったサルビアの洋服です。わざとこう、ここが分かれたパターンになっているんですけど、この柄はずーっと(ウエスト部分のデザインの切り返しを指して)繋がっているんです。柄の名前は「つなぎ」と言います。
私たちが「サルビア」を始めて5年くらい経つんですけど、今年、人が増えたり、最近はグラフィックデザインだけじゃなくて、フードケータリングとか、あと畑を耕したり、ときには音楽をつくったり、空間をつくったりすることもあって、どんどん人が増えてきたんですね。その仲間たちの繋がりを大事にしたいなと思って「つなぎ」という柄を考えました。

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フェリシモ:
柄をいろいろと見せていただくと、自然界からのモチーフ、草や木だとか、花鳥風月というようなものが多いですね。

セキさん:
そうですね。この間、いままでつくったパターンを一覧にして見てみたんです。草木をテーマにしているものもたくさんあるんですけど“概念”というか“思い”というものを、柄にしている図案というものも結構ありました。

フェリシモ:
例えば、どんな“思い”を?

セキさん:
旅の思い出が、柄になっていたり……。

フェリシモ:
ロシアに旅に行かれたときのシリーズが、おもしろいなと思いました。日本の伝統的な布にプリントされたりもしていると思うんですけど、日本というものとロシアという異国の情景がデザインとして出てくるものが融合されたときに、何とも言えない感じが出るなと思っていました。最初から意図されて……?

セキさん:
全然なくて……。やっぱり日本人だから、どうしても日本人らしさというのは隠せないと思うんですよ。というか、それは私の中で大事にしている部分でもあるんですね。そういう部分と、外国に行ったときに感じたインスピレーションをうまく組み合わせることによって、いままでに見たことがないものができてくるといいなと思ってつくっています。

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セキさんの所属する「エア」は
さまざまな職種の人が集う集団
その仲間とつくった仕事を紹介します

私は、「エア」いう会社に所属しています。「エア」は、グラフィックデザイナー、洋服のデザイナー、建築、空間、食べ物、いろいろな職種の人たちが集まっている集団なんですね。
そこで行われている仕事から、紹介させていただきたいなと思います。

(スライド)
竹久夢二のポストカードブック。私の著書『サルビア東京案内』(ピエ・ブックス)の取材で竹久夢二の美術館に行きました。いままで竹久夢二のことは“美人画”という、いわゆる“大正モダン”みたいな女の人の絵しか知らなかったんですが、この人はグラフィックデザイナーとしても、素晴らしく、こんなパターン集をハガキにしたものですね。これは、本の企画から参加させていただいたもので、とても心に残っています。

(スライド)
雑誌『みづゑ』(美術出版社)です。これは80年代に休刊した雑誌ですが、3~4年前くらいに復刊。以来、私がアートディレクターとして参加させてもらっています。

(スライド)
書籍のデザインや、CDのジャケット、ツアーパンフレットなどもいろいろやります。

(スライド)
デオドラント剤「do&be」といいます。缶のデザインって、いままですることがなくて、こういう材質にデザインすることができたのは、すごくおもしろかったです。

(スライド)
これは「パルコ」で一時期販売されていたパッケージですね。ハンバーガーのボックスを型取ったものやピザボックスの形をちょっと展開したもので、いつも見慣れている形に柄をのせることによって、また違う表情になるというのが新鮮でした。

(スライド)
セレクトショップ「VIS」のお土産、販売物もつくっています。

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(スライド)
幼稚園の体操服。自分がつくったものをこどもが着ているのは、夢があっていいな。これを身につけていたことを、大人になって思い出してくれるといいなと思いました。

(スライド)
同じ幼稚園のバッグ。あと、器も。右側がマグカップで、左側がボウル。年少さんから、年中さん、年中さんから年長さんになる誕生日にもらえるんだって。

(スライド)
学芸大学の「Baden Baden」というショップでは、看板のデザインから、ショップカード、タグ、名刺など小型グラフィックのデザインとか、ホームページのデザインもやっています。こういうことは、いろいろな職種の人が集まっている集団だからこそ、できることですね。

(スライド)
フリーペーパー「dictionary」。このマザーという、若いお母さま向けの企画のとき、参加させていただいています。

(スライド)
これはフリーペーパー自体のデザイン。で、これがwebのデザイン。
その企画の中で生まれた、木のお皿をこどもにずっと使ってもらいたいということで生まれたプロダクトです。

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セキさんオリジナルブランド
「サルビア」のお仕事

(スライド)
いままでのは、会社「エア」としての仕事ですが、次に会社「エア」の中で運営している「サルビア」の活動について紹介したいと思います。多分、みなさん、こちらの方がよく目にされているかな。

(スライド)
「サルビア」は、5年ぐらい前に始めました。最初は、私が書きためていた図案を、マッチや、缶バッチなど、小さな身につけるものとしてつくって、友だちに配っていたんです。マッチは私の名前と連絡先が書いてあって、名刺代わりに配っていました。お蕎麦屋さんなんかに行くとマッチって置いてあるじゃないですか。“ご用命は○○まで”とか。そういう自己紹介ツールをつくったのが「サルビア」のきっかけです。そういうものがたまってきたので、ギャラリーで発表会をしました。

(スライド)
そのときの様子です。このときは、自分の仕事部屋を、そのままギャラリーに持って行こうという企画があったので、家具を全部、時計とか、カレンダーまで持ち込んで自分の机を再現しました。
この展覧会が終わったあとに、いろいろな企業から「お仕事しませんか」というお声をかけていただきました。

(スライド)
これがいちばん最初で、服飾雑貨ブランド「ノジェス」で缶バッジを繋げたようなアクセサリーをつくってみようと言われてつくったのがこれです。同じ企画で、ポーチやランチョンマットもつくりました。

(スライド)
さきほどの「dictionary」のマザーという企画で、「親子向けのTシャツをつくりましょう」ということでつくりました。

(スライド)
ある帽子屋さんから「オリジナルの帽子をつくりましょう」と言われて、パッチワークでつくったフワフワ帽子です。

(スライド)
ヘルメットです。このヘルメットは一点物で、私が毎日使っています。

(スライド)
バッグブランド「エフィ」から「一緒につくってください」と言われてつくったトランクとバッグと財布です。トランクは、なかなか自分ではつくれないアイテムなので嬉しかったです。

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(スライド)
これは、同じ柄なんですけど、ウール。秋冬用に表現した色で、こっちは、コットン素材で春夏用にデザインした色ですね。同じ柄でも色や素材によって、全然見え方が違ったりすることが、テキスタイルデザインの魅力だと思います。

(スライド)
これは、ポストカードブック。「サルビア」にとっては、とても大事な本です。それまで書きためていた柄を、ポストカード24枚入りの本にまとめました。

(スライド)
これは、その流れのシリーズでポストカードではなくて、サルビア柄の付箋がついている本をつくってみました。

(スライド)
もうちょっとグラフィックだけじゃない本がつくってみたいなと思い始め、サルビアなりに古き良き東京を紹介した、こんな感じの東京ガイドブックをつくりました。「サルビア東京案内」(ピエ・ブックス)といいます。

(スライド)
「エア」に所属する家具の作家、デザイナーと一緒につくったスツール。私がテキスタイルデザインを担当しています。

(スライド)
ゆかたもデザインしています。

(スライド)
クッションです。これは私のトレードマークの“鳥”。今日お配りしたハガキの切手のところにも書いてあるんですけど“うぐいす”です。それをクッションにしたものです。

フェリシモ:
最初に見せていただいた、アートディレクターとしてつくられた作品と、「サルビア」というブランドで何かをつくろうと思うとき、何か切り替わる瞬間はありますか?

セキさん:
「サルビア」として、つくっているものは、より自由というか、制約がないことが多いですね。お仕事だと、クライアントさんのお願いがあって、その制約の中でつくります。でも、それはそれで、おもしろいんですよ。

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自然のモチーフを多く取り入れた
セキユリヲのモチーフ

フェリシモ:
続いて、セキさんがいままでつくった柄の一覧をアニメーション的にお見せします。

(スライド)
さきほどの「つなぎ」柄の初期につくったものです。

(スライド)
ランチョマットにした形ですね。このあたりは、ワークショップの参考になると思います。こういうもの、こういうテーマを、こういう抽象的なものにするんだとかっていうのを、なんとなく見といていただけると、と思います。

(スライド)
これは、風ですね。春の風に葉っぱとかお花が吹かれている様子を形にしました。こういうのは、余白の取り方が大事。ひとつのパーツ、パーツを緊張感のある構図でまとめていくというのは、デザインにとってすごく大事です。

(スライド)
さっき、風と言っていた柄を、ハンドで起こした、色えんぴつで、表現した柄です。色えんぴつ、なかなかきれいに塗れないので、ザクザクと粗く塗っていくのをおすすめします。

(スライド)
ハスの柄です。水に浮かぶハスの葉っぱを上から見たところですね。物を真上から、真フカンで見たり、斜フカンで見たり、真横から見たりすることによって、見え方が違うんですよね。

(スライド)
京都で「十三夜」というお月見イベントをしたときにつくった柄です。お月さまのなかにウサギがいっぱいいます。

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(スライド)
似たような柄なんですけど、これはプリントごっこを使って、シルクスクリーンで刷ったもの。葉っぱの部分とか、インクがいっぱい溜まってたりして、逆にそれがおもしろいなあと思っています。

(スライド)
本ですね。古本街、神田に行き、思いついた柄。本を横から見たときに、しおりとか束の感じが見える様子を柄にしました。

(スライド)
東京の神楽坂にある、石畳をテーマにした柄です。石畳、すごい好きなんです。

(スライド)
これは、特にテーマもなく、ボーダーをつくってみたのですが、色が違うとこんなに違うという例を、ちょっと、いまから見せます。(同じ柄の色違いの映像をくり返し切り替えながら)こんなに違う、こんなに違う……、こうやって同じ色のところをくり返し見ているだけで、おもしろかったりするんですね。

フェリシモ:
いま見せていただいた柄は、すべてテキスタイル、布になっていますか?

セキさん:
なっていないものもあります。私は柄をつくったあとに、紙の印刷物にするときと、布にプリントする、染物にするときもあって、その最終形態は、わりとなんでもいいというか……。

フェリシモ:
柄を起こすときには「ぜひ洋服をつくってやろう」とか考えないでつくっていますか?

セキさん:
基本的には、何にでもなるようにはつくっていますね。

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セキさんの柄パターンが
できあがるまでを種明かし

京都のお月見イベントでつくった柄がつくられている過程をまとめてみました。

(スライド)
まず、こうやって何年も自分の毎日使っているノートに落書きをしていきます。このときは、お月さまの中にウサギを入れたいなって思って、いろいろなことを書いていますね。
耳がいっぱいになっていたりね。「十三夜」というイベントの名前だったんですけど、そのロゴを一緒に考えましたね。

(スライド)
ラフを見ながら、清書していく過程です。清書するときは、まあ、きれいには書くんだけど、あんまりきれいに書こうと思いすぎると線がかたくなってしまうので、「はみ出してもいいや」ぐらいに書くのがポイントだと思います。

(スライド)
私の場合は、最後コンピュータのデータにしてしまうので、この時点でスキャニングします。で、画面上で、もう一度トレースをしていきます。この赤い線がトレースの部分。手で書いた線を生かすために、あんまりツルッとした線じゃなくて、ハンド感というか、手で書いた感じを、コンピュータの線にも残すことがポイントです。

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(スライド)
モノクロでプリントアウトしたものにまた、えんぴつで修正点を書き加えていきます。

(スライド)
カラーリングをやっているところ。色の組み合わせは、いくらでも考えられますですが、なるべく色数を押さえながら、全体のバランスを整えていくという作業ですね。

(スライド)
また、カラーでプリントして、最終チェック。左が、結局、決まった紺色のバックのもので、右側がグレーバックで見えてますね。布、紙に印刷するときに、必ず、色チップで指定をします。

(スライド)
出力したものにチップを貼り付けて、書き込んでいきます。これは、アガリ。布にプリントされてきたところで、色チップと違いがないかチェックしているところです。

(スライド)
京都の清河寺でやったイベント。すごい人が集まりました。こんな仏像の前で、映像を流したり、歌を歌う人がいたり、トークをしたり、ワークショップもしました。そのウサギ柄は生地を使って、一緒にみんなで、ショッピングバッグをつくりました。お寺のお堂でやった雰囲気が、すごいよかったですね。

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お客さまと一緒にワークショップ
「十五夜」をテーマにポストカードを
つくりました

今日のワークショップの大きな流れを説明しましょう。

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① ススキをよく観察し、えんぴつでスケッチ
② 同じものを、くり返し書き、パターン化
③ トリミングする
④ ハガキに清書
⑤ 色えんぴつで色を塗る

では最初に、手元にあるススキを、よーく見て、どの部分を抽出して、パターンにするかを考えてみましょう。で、パーツを書いたら、それをくり返し書いてパターン化してみるということをやってみましょう。
その次に、どの画面で、というか、どの構図を使うかというトリミングという作業になりますが、くり返し書いたものを(○をいくつかくり返し書く)、こうやって(いくつかの○を四角に囲んで)使ったら、また全然違う見え方になりますね。これがトリミングという作業です。その後に、お手持ちのハガキ3枚のどれか1枚を使って清書をしてください。
最後に、色えんぴつで、塗っていただきます。
では、やってみましょうか。

はい、ススキをお持ちください。自然界にあるものって、美しくおもしろい形をしていますよね。これをよ~く見て、じゃあ、穂先を書いてみようと思ったするじゃない? まあ、リアルにスケッチしょうと思ったら、こういうことになりますね。もちろん、これが正解じゃないとは言いませんが、自分らしさを出してみよう。ススキに見えないかもしれないけど、こんな形、いいなあと思ったりする……。もしくは、このススキ全体の葉っぱの形の方がおもしろいなあとか。穂の1本1本を見ていると、なんかちょっと毛が生えたみたいで、こう見えたりしなくもない……。っていう、自分の好きなところ、気になるところをまずは、パーツとして紙に描いてみてください。
1個のパーツを書いたら、どういう方向でもよいので、同じようなものをくり返し書いてみましょう。そして、それをトリミングするという作業をしてみましょう。ハガキを見て、比率を頭に入れてほしいんですけど、例えば、今回はこういうトリミングをして、ちょっとここに文字を入れてみたいな、手紙はここに書いてみたいなというトリミングをすることに、私はしましょう。トリミングのポイントは、だいたい、紙の下の方に絵がくる場合は安定感がある。重心が、バランスがとれたものになる。上の方にくると、ちょっと不安定な感じだけど軽やかになります。もちろん、こういうところに置いても構いませんが(上下ではなく、右側、タテに)、ちょっと、余白を生かすデザインというのに挑戦してみてはいかがかなと思います。

フェリシモ:
絵っていつ終わればいいのか、いつもわからなくなりますけど。

セキさん:
そう、終わりのない旅だからね。ああ、いま、勢いがあって……、でもその一歩手前で止めることが好き。思ったより、みなさん早いので、色をぬる工程に入りましょうか。

フェリシモ:
では、セキさんに色えんぴつならではの色の表現というものを教えていただきたいと思います。

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セキさん:
きっと、最初、迷われると思うので、紙の端っことかで、色を試し塗りして始めるといいと思います。いま、淡めのパステルトーンを色としては選びつつ、それを補う色としてグレーとか茶色を選んでみました。
(試しぬりをしながら)ちょっと春っぽいけど、黄色、ピンク、グレーでいくことにしようかな。
(ハガキを出して)色えんぴつって、きれいなベタ面をぬるには適していないので、わりとムラをわざと残して、それもえんぴつ書きの線をはみ出るくらいに塗ってしまった方が、味わいが出ます。
(ススキの絵に対して、少しずらして色をぬりながら)この辺は白い部分を残してこっちだけ塗りました。この辺も、わざとはみ出して塗っています。これを版ズレ効果といいます。そんなふうに、わざとムラをつけて、塗っていくといいのではないかしら。いま、黄色とピンクを塗りましたが、黄色とピンクだけだとちょっとファンシーになりすぎなので、ちょっと渋くというか、シャープにしたいなと思ったときに、グレーで……、押さえの色として効かせちゃいましょう。そうすると画面にシマリが出ますね。黒い面と白い面のバランスを見ながら、塗っていくといいかなと思います。

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<第2部>

ワークショップでの作品のミニ発表会

(順番に作品を紹介し、セキさんにコメントをいただきました)

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お客さまとのQ&A

お客さま:
デザインの仕事をしています。デザインで行き詰ったとき、リフレッシュの方法とか、こうしたら次に新しいものが浮かびあがるとかようなアドバイスをいただけますか?

セキさん:
うーん、私はわりと散歩するかな。歩くペースが、物を考えるペースに近いと私は考えているんです。行き詰まると、近所を散歩して、アイデアを練り直すときがあります。

お客さま:
そこで自然のものを見て、新しいものを?

セキさん:
よくありますね。「ああ今日、タンポポが咲き始めたな」とか思ったりすることが、糧になったりしますね。

お客さま:
セキさんの毎日の生活で、しあわせな瞬間はどんなときですか? あと、こういうことを大事にして毎日、生活していきたいなと思うことがあったら教えてください。

セキさん:
まはね、漬物を漬けるのに凝っている(笑)。ぬか漬け、漬けているんだけど、毎日、こう、かき回さないと死んじゃうんですよね。そういう、いまは毎日何かしないととか、こっちから何かしてあげないとダメっていうものが、自分の中でいくつか流行っています。第1はぬか漬け、第2はカスピ海ヨーグルトです(笑)。あと植物育てるのもそう。毎日お水あげないと死んじゃうからね。そういう、生活のワンシーンを大事にしています。

お客さま:
色彩について学んでいます。でも色を楽しむというより縛られる感じがしています。セキさんの作品は色に縛られる感じがなくて、ステキだなと思います。色の勉強をされていたのでしょうか? 色の名前とかをたくさん知っていて、よかったことや、色のおもしろさに気づいたことがありますか?

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セキさん:
普通に美大で勉強した程度なので、たいしたことはないんですけど……。ここ何年かで、色をテーマにした本というのはよく読むようになりました。最近すごいなと思ったのは、日本で平安時代から続く十二単。半襟の色の重ね方だけで、季節とか花の名前を表現しているんですよ。そのルールが、百何十種類にもわたってあるんですね。例えば、すごく粋だなと思うのが“氷”。冷たい氷の、氷っていう色の組み合わせを、ほとんど真っ白と、ちょっとだけグレーがかったような色を組み合わせるの。それを真夏に着るというのが、すごく粋。そういったことに、すごく魅かれます。

お客さま:
ふだん絵を描くことがなかったのに、姪の誕生で、去年ぐらいから、絵を描くようになりました。でも、あまりに下手すぎて、姪がその下手な絵を真似するのがイヤなのですが、何かよい方法はありますか?

セキさん:
あまりね、下手とか思わなくてもいいのではと思います。私も実はそんなにデッサンの勉強とかしたことがなく、リアルなものを忠実に描くということは、そんなに得意ではないんです。うまい下手ではなくて、楽しめるかどうかがポイントかなと思います。

フェリシモ:
デザインの背後に日本の伝統や自然の中からのモチーフといったさまざまな思いを込めて、日常を彩りながら、私たちの小さなスイッチを次々にONにしていくのが、セキさんのデザインだと思います。セキさんにとって、デザインとはどういう存在ですか? デザイナーとしてと、1生活者としてのふたつのお答えをいただけますか?

セキさん:
デザインという言葉には、辞書には、“企画する”とか“計画する”という意味があります。一般的にデザインっていうと、絵を書いて、色をつけたりってことだと考えられがち。その一面もあるが、それだけではなく“考えること”もデザインだと私は思っています。
だから、ひとつの物をつくりあげるときに“仕上げること”は、ほんの些細なことで、この図案にしようと“考えること”が実はいちばん大事なことなのではないかなと、デザイナーとして思っています。生活者としてのデザインも同じく、「今日帰ったら、何食べよう。そのためには、どんな食材を買って、どんな彩りにしようか」って考えることとか、「今日泊まったホテルのカーペットは、こっちの色の方がいいかも」とか、「器は、こんな材質だったらいいかも」と、“考えること”がデザインだと思っています。
気がついたら、私はそれを24時間しているような気がします。

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Profile

セキユリヲさん<デザイナー>

セキユリヲさん
<デザイナー>
*プロフィールは、ご講演当時のものです。
やわらかくあたたかく、独特の色彩感を持つ図案を考えるデザイナー。
「サルビア」では「ささやかだけれど、生活をたのしくするもの」をテーマに、その図案を使った洋服やインテリア雑貨、本づくりなどを手がける。伝統工芸の職人と組んで、沖縄の紅型染めや、新潟の抜染染め、江戸更紗染めなどの布づくりのほか、陶器のボタンづくりなどのクラフトワークを通じて、古き良き伝統を現代の視点で解釈したものづくりを心がけている。ほかに、雑誌『みづゑ』やエフティ資生堂のパッケージデザイン、CDジャケットなどの仕事等多数。03年には京都・誓願寺でイベント「十三夜」を催した。http://www.salvia.jp

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