神戸学校

神戸学校はフェリシモが主催する「神戸発 生活デザイン学校」です。

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「心も身体もキラリ!」



<第1部>

文章も絵もどちらも好き。
最初は漫画家を目指してました。
奥田 民生さんに会いたかったから(笑)

フェリシモ:
まず、今日のファッションについてアピールしていただいてもいいですか?

うにさん:
はい。今日はみなさんに見ていただくということで華やかな色合いのものにしました。これは古着屋で買ったメキシコっぽいスカートなんですけどウサギがついてたり、ブタがついてたりします。それに、古着のパーカーを合わせて、あとはアクセサリーは安いものを適当につけただけです。

フェリシモ:
すごく、大きなピアスですよね。

うにさん:
そうなんです。これは、2,000円くらいです。

フェリシモ:
スカートは、絵が描かれてそのままスカートになったような不思議なデザインですね。『うにっき』(幻冬舎)は、うにさんを有名にした1冊だと思うんですが、この日記スタイルの作品を始めようと思ったきっかけはありますか?

うにさん:
もともとは文章を書きたかったんですよ。ですが、バイト気分でやっていたイラストレーターの方でだんだんお金が入ってくるようになったんです。けど、やっぱりどこかで文章を書きたいなーって思っていました。絵がそんなにうまくないので、やっぱり文章がついている形態じゃないと自分でそこまでいかないだろうって思って。ホームページもみんなに「やれやれ」って言われたんですけど、ああいうのが苦手なので、もしやるんだったら、ホームページが始まる前に日記を書いて出版していただく形にしようと思って。出版していただくんだったら、うにの日記だから『うにっき』だなって。

フェリシモ:
イラストレーターより、文章を書いたりする方が好きだったのですか?

うにさん:
はい。奥田 民生さんがすごい大好きで、高校生のときに、本気で民生さんと友だちになりたいと思ってたんですけど、有名な方と知り合いになるには自分が同じレベルのところまで行かなければいけないから。何でもない状態でお会いしてもただの1ファンでしかないだろうと思って。そうなったら民生さんと会うには漫画家になるしかないと思ったんですよ。漫画家の方には民生さんと仲がいい方が多くって……。それで、「民生に会うために漫画家になる」って言ってやったんです。私は、3度やってダメなことをあきらめるようにしていて、結局漫画は3回やってもお金にならなかったんです。『マーガレット』(集英社)とかに送ったんですけど、ダメだったから、向いてないって思って。それで、民生さんのことも忘れました(笑)。就職活動の大学4年のときに「漫画家になる」って親に言ったら「漫画で食っていけるわけないから小説にしろ」って言われたんですよ。「じゃあ、小説にしよう」と思って、小説を書いて送ってみたんですね。そしたら、ちょっとだけお金が出たんですよ。それで「いける!」と思ったんですけど、結局はいけなかったんです。

フェリシモ:
小説家や漫画家は才能が必要とされる職業じゃないですか? そういうのに娘が向かっていくのに対してご両親の反対は?

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うにさん:
親に言ったら「ダメダメ。とりあえず就職活動しなさい」って言われたんです。「ギャルソンのスーツを買ってくれなきゃやらない」って言ったら買ってくれちゃったんですよ。だからやらざるを得なくなって、2社だけ受けに行ったんです。それで、免罪符で小説で賞を獲っちゃえば許されるだろうと思って、その日その足で本屋に行って公募ガイドを見て、いちばん締め切りの早いものに応募したんですよ。そこでOKがでたから「じゃあ1年か2年くらいがんばってみれば」みたいな感じでしたね。

フェリシモ:
賞がもらえるだなんて、やっぱり才能がおありだったんでしょうね。こどものときから絵や文章はずっと書いてらしたんですか?

うにさん:
絵を描くのは好きだったんです。でも、イラストレーターでお金が稼げるようになるっていうのがよくわからなかったんですよ。だからずっと無理だろうなーって思って。本が出てもまだ、なんか、名刺にイラストレーターって書けなかったんですよ。ここ最近、イラストレーターですって言えるようになった感じです。

フェリシモ:
中学生とか高校生くらいのときはどういう学生さんでしたか?

うにさん:
絵がうまい人って、本当に自由で素敵な絵を描くじゃないですか? こどものときから、多分のびのびと描いてらっしゃる方が多いと思うんです。私はちょっと耳年増で、「こうすると評価されるよ」っていう情報が入って来ちゃってるんだけど、描くときにその実力が伴わないんです。やりたいことと、人の言ってることが全部混じって出てきてるので、そういうアーティスト的な絵画を描くっていう感じじゃなかったから。なんか、人のまねがうまくできるというか、好きな漫画家さんの、例えばキャンディキャンディの絵が何となくうまく描けるとか、その程度の絵のうまさだったので。それが小学校時代で、中学に入ってもそんな感じ。紡木 たくさんがすごいはやってて、みんながそのまねをしてる感じだったんです。
で、高校1年の終わりぐらいまで洋服とかに全く興味なくて、地元のヤンキーと遊んでて、その子たちが施設などに行ってしまい、それでやることがなくなって、「あ、洋服だ!」って思ったんですよ。

フェリシモ:
遊び友だちがいなくなって「暇になったし洋服でも着るか」と……?

うにさん:
それまで、地元の小さい町を出なかったので、人からどう見られてるかって意識したことがほとんどなかったんですけど、洋服を着て初めて横浜に行ったときに、「あ、私、人から見られてる」って思って。高校2年になるぐらいまで、人から自分が客観的に見られているっていうことに気づかない感じだったので……。

フェリシモ:
いまみたいに東京に買い物とかも行くようになってたんですか?

うにさん:
全然。あの、お金がなかったので……。お小遣いをあんまりもらえない家だったんですよ。だから2,000円とかのなかでやりくりをしなければいけなくって。で、素敵な服を安く買うにはフリーマーケットに行くしかなくて……。

フェリシモ:
そのあたりから古着好きみたいなところも?

うにさん:
まだ洋服に興味がないころから映画とか、60年代のものが好きだったので、そういうニュアンスは好きでしたね。

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フリーペーパーに応募したことがきっかけで
イラストレーターの道に……

フェリシモ:
イラストレーターになったきっかけは?

うにさん:
20歳くらいのとき、浪人をして駿台予備校に行ってたんですけど、そこの予備校にフリーペーパーがあったんですよ。そのフリーペーパーの質問に答えると、なんと5,000円もらえたんですよ。当時の5,000円っていったらもう破格の値段。まだバブルの残り香が漂っているときだったの。応募していたら、担当さんがおもしろいと思ったみたいで、「おおたさんは将来何したいの?」って聞かれたので、「お絵かきかなぁ」って言ったら「じゃあ、作品持って来てよ」って言われたんです。作品って言われても描いたことがないので、美術学科の人たちに「作品って何?」って聞いて「イラスト描きゃいいんだよ」って言われて。わからないから、幼稚園児とかがやる、クレヨンでわーっといろんな色を描いて、上を黒で塗って、釘でこうやってこすったりすると花火とかってできるじゃないですか。あれをつくって持っていったんですよ。そしたら、「連載しましょう」って言われて……。いまだに何をもってあれで連載しようと思ったのか分かんないんですよね。

フェリシモ:
人柄が気に入られたとか。そういうことがあったんでしょうかね。

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うにさん:
その当時ほんとに何も知らなかったので、仕事をもらったら、ペラペラの紙の裏に、ボールペンでワーッと描いて、「はい、できました」っていう感じで、それを見た担当さんや周りの方々が「うにちゃん、ここんとこはこういうふうに塗るんだよ」とか、「紙はもうちょっと厚紙にして上にトレペを貼ってください」っていうのを、「トレペってなんですか?」って聞くと、「トレーシングペーパー。持ってっていいから」って言ってもらったりするような感じ。育ててもらったっていうような感じですかね。

フェリシモ:
こう、行くところ行くところ、うにさんを助けてくれる人がいる……。

うにさん:
できないことはできないって言うんです。今回もそうじゃないですか。本来ならみなさんの前でお話しするような立場にいないので、「私はできないので助けてください」って言うんです。無理はしない。ストレスになるので。

フェリシモ:
周りの人を巻き込むような力があるんじゃないかなと思います。

うにさん:
でも、みんなが持ってることなんだと思うんですよ。自分が別に損しても得取れみたいな感じ。とりあえず、会ったらガーッとほめる。そうするとその人がすごく気分がよくなって、「私のこの格好、かわいかったんだ」って思ったりすると、いろんなとこに種を蒔くみたいにお花が散らばっていくんですよ。最終的にいい匂いがこっちに返ってくるみたいな感じのスタンスですね。

フェリシモ:
そういうことって、何歳くらいから意識されるようになったんですか?

うにさん:
結構最近ですよ。

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チャンスがいつ訪れても
それをつかめるようウォーミングアップしておくこと!
フルイで落とされないように
感度を高めておくこと!

フェリシモ:
イラストレーターのお仕事について次は聞こうかなと思います。今日この会場にも、うにさんの仕事のやり方とか、イラストレーターっていう職業にあこがれている方がたくさんいらっしゃると思うのですが。うにさんの思うイラストレーターとは、どんな職業でしょうか?

うにさん:
この業界の仕事の人たちはみんなよくわかると思うんですけど、ほんとに体力勝負の商売。こういう横文字の職業はかっこよくもなく、素敵なわけでもなくて……。私たちみたいなのは何かができないからこの仕事をやっていると思うんですよ。やりたいこととできることっていうのが、昔は無限の可能性があったような感じだけど、だんだん大人になるにつれて、小さくなってくるじゃないですか。でも、ここの接点だけを保ち続けてて、やりたいこととできることが小さくなってきたときに、ここのついている部分を選んだのが私にとってはイラストや文章を書くことなんです。

フェリシモ:
他を全部切り捨てて書くことだけをやるっていうことも、勇気がいることじゃないかなと思うんです。切り捨てる怖さはなかったですか?

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うにさん:
何もできないんです。もともと持ってないんですよ。切り捨てるっていう概念がないっていうか……。ゼロのところに立っているから、そこからイチイチ開拓していかなきゃいけないんですけど……。
会社に勤めている方たちは、ある程度の保証がある中で生きてらっしゃるんですけど、その分、上の人と折り合いがつかなかったときに感じるストレスや、お金が努力の分だけ見合ったものが返ってこない不満などがあるわけですよね。でも、その分保証があって、外に出てもその会社がある限りは生活をしていけると思います。フリーランスは、すべて自分で交渉できたり、自由である分、明日になったら仕事がないかもしれないし、この先一生仕事がないかもしれないんですよ。だから一長一短。だからどっちが怖いっていうのがないんですよ。
私たちが25歳になったときに、会社に勤めた女の子たちとか見てて、「まだこんなこと言ってんのか」って思ったことがあって……。「私たちが23、4歳で気づいてることをこの子たちは27、8歳にならないと気づかないんだ」って思って。そのときは、フリーでやってるっていうことに対してちょっともう、こういう(天狗になる)感じだったんですよ。特に男の子たちっていうのは同期で「いっせーのせ」で走り出すんですけど、女の人って何かしながら別のことができるんです。例えば同じフリーでカメラマンになったとしてもカメラマンやりながらいろんなところに旅行に行ったり、人と遊んだりとか。親睦を深めていったりすることかできるんですけど、それをひと通りやって、そのときに私たちに足りないものを彼女たちは見ていて、例えば、OLさんはきちっと上司とやる方法だったりとか、他の試験を受けたりっていう……。私たちにそれをできるのかって言われたら全くできないんですよ。だから、お互いの足並みがそろってくるのが28、9歳くらい。どっちにいても結局たどり着くところっていうのは同じなんだなあって思いました。

フェリシモ:
結局、戻ってくるところは一緒?

うにさん:
そうですね。だから、登山の別ルートを選んだだけ。フリーランスの方が険しそうに見えるけど、そんなことは全然ないんです。ビジネスマンやOLさんは会社に用意されてる道じゃんって思ったけど、そんなことはなんです。山の途中の峠の茶屋みたいなとこで出会ったりして……。でも、フルイには常にかけられているんです。例えば19、20歳のときにすごく目の細かいフルイにかけられるとすれば、その次にガっとフルイの目が大きくなる瞬間があるんですよ。そのときに、目が大きくなったって自分で認識していられる状態にしといた方がいいなーと思います。

フェリシモ:
フルイが大きくなる瞬間っていうのは、例えばどういうこと? 時代の流れとかですか?

うにさん:
っていうか、自分の心の持ち方だと思うんです。

フェリシモ:
そのフルイを感じる感度みたいなものを、常に高めておかないといけない?

うにさん:
常にウォーミングアップをしている状態に自分をおいておかないと「向こうの方で好みのものが落ちてきた。チャンスが落ちてきた」っていうときにダッシュが効かない。そこをきたえるようにした方がいいよなーって思います。そうやってると目が大きくなる瞬間がわかるんですよ。研ぎ澄まされてるから。完全に止まっちゃって座っていると、向こうの方で何かがパカッと開いていても、「あー、開いた」としか思わないですけど。開きそうって思ったらそっちに向かってガーッと走ればいいから。そういうコントロールができるようになってくるのが、成長していくことなのかなって思います。

フェリシモ:
その辺のうにさんの哲学は、高いところにあるなーって思います。

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うにさん:
自分が果たしてそうなのかって言われたら全然そうじゃないんですけど。

フェリシモ:
でもそうやって、理想だなーって思ったことを書きつけたり、語ったりすることが大事なんですかね?

うにさん:
あと、本を出していろんな方たちに読んでいただけるようになると、最初のころってすごいんですよ。もう、何かっていうと吠えてて、ギャーギャー怒ってて。さすがに読者の方から怒られて……(笑)。それはだんだん丸くなっていったりするんですけど。そうすると、怒ることに対しても、あ、悪いこと書いちゃいけないんじゃないかなーとか、嫌われちゃうんじゃないかなって思うようになって……。でも、それじゃあ、いけないと思って。

フェリシモ:
こびたら、自分が見えなくなる?

うにさん:
いま、『チェリーコーク』っていう連載をやってるんですけど、これは、私にとっていちばん最初の雑誌の連載だったんですよ。すごく思い出深いし、読者の方もあれがきっかけで読んでくださるようになった方が多いんですけど、最近、なんかいろんな仕事をやってると、映画のことはここにかけばいい、ファッション、古着のことはここにかけばいい、着物はこっちってなっていって、おおもとの『チェリーコーク』に書くことがなくなっちゃったんですよ。さぁ、どうしようって思って。何回か悩んでいたんですけど、そうすると読者さんにすぐバレるんですよ。「絵が荒れてる」とか、「最近やる気ないでしょ」とか言われるようになって……。そのときに「私何がしたかったんだ?」って思って。かわいい洋服着たかわいい女の子を描きたかっただけなんだ、だったらそのことをかけばいいじゃないかって思い直して、私ができるだけかわいいと思う女の子の顔を描いて送ったら、担当さんから速攻電話がかかってきて、「うにちゃん今回のヤツすごくいいよ」って言われたんですよ。あ、こんなに簡単なことだったんだと思って。

フェリシモ:
そうなんですね、連載の途中に行く道がずれたりすることもあったけど、でもまた自分の本心に返っていったらすごくいい反応があった?

うにさん:
最初友だちとFAX通信をしていて、今日買った洋服とか雑誌のお気に入りのページの絵とかを描きなぐって送ってたんです。それが連載になったっていうだけで、今日買ったもの通信みたいなものを1ヵ月に1回、その仕事しかないから、1ヵ月にあったものを心の限りぶつけられるわけですよ。ところがだんだん間に合わなくなってきて、私は一体何を描きたかったんだ? 洋服なんて好きじゃないし、別にどうでもいいじゃんってなってくるんですよね。そういう意味で、モチベーションが下がったらダメなんだなーって。

フェリシモ:
描きたいっていうことに対してはモチベーションが下がることはないって言われてましたけど、それは、描いている瞬間が楽しいっていう実感があるからですか?

うにさん:
だと思いますね。よく、気づくとニヤニヤしながら描いてるんですよ。だから、好きなんだなー、楽しいんだなーって思うんですけど。
うちの大学って芸術学部って名前がついてるからみんなちょっと鳴り物入りで入ってくるんですよ。それで、ゼミの先生が「あいつらみんな勘違いしてんだよ。感性っていうのは基本の上に成り立つから感性っていうんだよ。何の勉強もしてないのに、あいつら感性、感性っていうだろ。見てな、あいつらは何にもなんないから」って言ったんです。「いいこと言うなー」って思って。みんな感性さえあれば、才能さえあればって思うんですけど。そんなのは関係ないというか、私も絵は全然下手ですけど、続けていくとうまくできるようになるというか……。

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この間の『夢みるおしゃレシピ』(メディアファクトリー)を書いてたときに、表現ってこういうことだって思ったできごとがあったんです。服のシワが思った通りに描けたんですよ。私の服のシワって見ていただけるとわかると思うんですけど、メチャメチャなんですよ。人間を曲げたらこうシワになるっていうのがイメージだけで描いているので、ほとんど服にシワがないんですよ。だから、流れるようなシワ、ドレープが描けたときに、「あ、表現だ!」って思って。私が描きたいものがそのまま手で描けるっていうことが表現するということであって、思いの丈をキャンバスにぶつけるのが表現っていうわけじゃないんだって思って。そのときにその感性っていうのが、基礎の上にしか成り立たないよっていう先生の言葉を理解できたと思います。

フェリシモ:
続けてきたということで、うにさんの中の基礎が確立されて、で、ある日それをちょっとフッて超えたときに、描きたいものが描けるようになった?

うにさん:
「10分間だけだったら誰でも有名になれる」ってある人が言ってたけど、そういうことなんですよね。チョロっと仕事するのは簡単だけど、続けていくってどれだけ大変かって思うんですよ。続けていくだけの根性とかいろんなものがある人が残っていくだけで、才能は関係ないと思う。やる気と、根性と努力です(笑)。

フェリシモ:
結構汗臭い……

うにさん:
そうですね、泥臭いと思います。すべての仕事、みんなそうですよね。営業の人たちもみんなそう。「あいつ営業トークうまいよね」でも、営業の人として素晴らしいのかってそうではなく、コツコツ誠意を尽くして努力している人の方が最終的に人間的にも上に行くんだろうなって思います。

フェリシモ:
今日は、ホワイトボードをご用意しましたので、うにさんにちょっと絵を描いていただこうかな思います。最近うにさん自身が気になっているものとか、なんかカワイイもののイラスト描いていただけますか?

うにさん:
じゃあ、私が神戸で買った物を描きます。
(うにさん:ホワイトボードにイラストを描く)

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等身大で楽しくかわいく
小さなことにもていねいに……
それが私らしい!

フェリシモ:
うにさんの好奇心は貪欲な感じがします。それは、こどものときにみんなが持っているものをそのまま持ちながら大人になって、でも、いまも大人としての遊びもすごく楽しまれている。みんながあこがれる理想的な大人ですね。

うにさん:
少年の心を忘れないって言うようなやつ?

フェリシモ:
少年の心も持ちながら、大人の甘い蜜も吸って(笑)。そういううにさんの生き方は、みんながうらやましいんじゃないかと思います。

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うにさん:
そう言ってくださるのはうれしいのですが、ほとんど、いろんなことには興味はないです。その興味がないというのも、余計な欲を持たないというか。行定 勲監督の『GO』という映画のなかで、ボクサーのお父さんが「右手を前に突き出してみろ。それで1周回ってみろ。いま描いた円がお前の世界だ」って言うんですけど。「それだ!」って思って。 私が抱えられることとか興味があるところって、円を描いたこの内側にあるものだけなんですよ。その外側は申し訳ないけど全くタッチができない、で、もしかしたらみんなが思っている私の描くものって、この外側に向かって描いているのかもしれないです。で、本を読んでくださっている方、今日来てくださっている方が、メールをくださったりとかするときに、それが内側にムニョって入っている状態っていうか……。 そこの境があんまりはっきりしないんですけど、だから、すごくいろんなことに興味があって……っていうのは、私からするところの外側のことに興味があるっていう感じ。できる範囲のことしか興味がないし、同じ友だちといつも同じようにしか遊んでないし、いつも同じこと言ってるんですよ。4年とか5年とか「ちょっとどうやったら彼氏できんの? 意味わかんないんだけど」って言ってるんですけど、そういうことの繰り返し。

フェリシモ:
じゃあ、自分の手の円で描ける中だけだけれど、自分もちょっとずつ動いているから……?

うにさん:
それってほんの数ミリしか違わないんです。落ち込んでる人によく言うんですけど、ずっと目線がこう(下向き)なってるじゃないですか。そうすると空とか見えないんですよ。でも、ほんの2度角度を上げただけで、視界が扇形に広がって、人の顔も見えるし空も見えるんですよ。見えてくることが全く違うから、その2度を上げる努力をするとか、まつげをこう上げればいいっていう……。この縮こまってる手を伸ばせばいいとか。合わせればものすごいものの量が手に入ってくることになるから、そういう小さいことに対してていねいに努力ができればいいなって思います。今日神戸に来て、神戸の女の人たちを見てると、みんながすごく小さいことにていねいな感じがして、「学ばねば!」と思いましたね。例えばお花一輪に対してすごくていねいだったりとか……。

フェリシモ:
そうやって少しずつ見たり、描いたりしているうちに自分の位置が少しずつ変わっていることを認識しないといけないんですね。

うにさん:
大切にしていけばいいんじゃないかな。欲をかいて急に何かになりたいと思ってもなれないから。周りにいる人の顔をよく見て、大事に思っていると、自然とていねいになるから。そうすると、自分が何もしなくても勝手に何か起こるんじゃないかな。私以上のものはどうがんばっても出てこないから。もっと過剰に評価されたがったりとか、親にかわいがられたいとか。だったら、かわいがられるためにどうしたらいいかって、考えることが策略でも嫌なことでも何でもないので、それを常にちゃんと考えて、自分のことを大切にして、周りの友だちとずっと手をつないでいられるように。すると、自分たちでは全然変わっているように思えないですけど「素敵な人が周りにいていいですね」って言われるようになると思います。

フェリシモ:
うにさんは、よくそういうふうに言われるんですか?

うにさん:
そうですね。「いい友だちがいていいですね」って言われます。ちょっと前までは「当たり前じゃん、私たちだってがんばってるんだから」って思っていました。

フェリシモ:
それじゃ、楽して、うまくいこうとか思っちゃいけないっていうか……。

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うにさん:
楽できる分には楽したらいいんじゃないですかね。特に女の子はニコニコしてたらいいんじゃないかって思うし。ニコニコして手に入るんだったらそれにこしたことはないし、女の人はお花だからニコニコかわいくする。例えば、女の子がかわいくしてここに来たっていうのって、彼女たちにとって努力じゃないじゃないですか。きれいな格好してここに来るだけで、周りの人が「あの人かわいいなー。お花が咲いているみたい」って思うから。それだけで周りの色がどれだけ違うのかっていうことを、もっとみんなが認識すると……。

フェリシモ:
よく見なさいってことですね。

うにさん:
楽しんだ方がいい。自分に生まれたことを楽しんで、もっと自分に恋をして生きろって感じです。

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<第2部>

お客さまとのQ&A

お客さま:
例えば今年何がはやっているとかそういう情報が雑誌とかテレビとかいろんなところから発信されると思うんですけど、うにさんは、それをどのようにファッションとかにいかされますか?

うにさん:
東京って流行がすごく具体的にあるんですよ。それで、それにのっとってないと商売が成り立たないんです。神戸の街ってすごく小さくて素敵なセレクトショップみたいなのがいっぱいあって「これで商売成り立ってんのかな?」って感じだったんですよね。東京はゴリゴリした味の悪いものが常に混じっている文化で、そういうところで生きてると、渋谷を歩いてる女の子や男の子ってみんな同じ格好してるんですよ。果たしてそれがファッショナブルかって言ったらどうかなーと思って。好き嫌いだと思うんですけど、そのシーズン、シーズンの服を追っかけていくっていうのが、私はあんまり素敵だとは思わない。楽しいとは思うんですけど、必死になるじゃないですか。で、遅れるとものすごい焦燥感を味わったり、何から遅れてるって思うのは、全く無駄なことだと思う。はやってるって言ってそこに飛びつくってことはないし、あとはやりの洋服が自分の体形に合わないと自分の体形が悲しくなったりするじゃないですか? そういうことは無駄なので考えない方がいい。自分に合ったのを着るのがいちばん美しいし、自分の中でのはやりがあればいいんじゃないかなって思います。

お客さま:
『うにっき』見てて、すごく友だちが素敵だなーっていつも思っています。私もいま大事な友達がたくさんいるんですね。でもその友だちってここ何年かでできた友だちがほとんどで、その子たちとはすごく楽しく過ごせるんですけど、それ以前に知りあった人たちとはどう接していったらいのかわからなくて、向こうから連絡取ってくれたり、誘ってくれたりするのを無下に断ったりしてもどうなんだろーとか。でもそこでは、いつもの自分じゃなくなったりとかって……。そういうのって、ありますか?

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うにさん:
あります、あります。そのときはすごい必要だったから一緒にいたんだと思う。でも、お互いの道などにおいて違いが出てきたりていうのは普通のことなので、必要なかったら離れるのは当たり前のことなんですよ。だから、昔は仲良かったのに申し訳ないって思う必要はないと思うんですよね。「今度気が向いたら遊ぼうよ」っていうくらいで、無理に切る必要もないし、体もひとつしかないし、時間もないし、心もひとつしかないんだから。自分がそのとき一緒にいたい人といるっていうのは全然悪いことではないと思います。

お客さま:
ときどき自分の感情がうまくコントロールできなくなって、パニックになることがあるんですけど、うにさんはそういうときどんなふうに気分転換しますか?

うにさん:
モデムをね、床に置きっぱなしにしてるんですよ。コンセントが短いから。机、Mac、コンセントの間にモデムがあるんですよ。それを1日に3回蹴とばして、あるのがわかっているのに3回目のときにキーッ! てなってたんですけど、窓とか開いてるからやばいと思うよ。「ギャー」っていきなり女が叫ぶわけじゃないですか(笑)。だけど、パニックになっちゃうとか周りの人に変な目で見られちゃうとかは考えないで野放しにやっていくと、なんかあんまりしなくなりますよ。
あと、ひと呼吸を置くこと。息を1回吸ってみて「そんなになることかな」って思うと、あんまりなくなるので。あと、白いお花を買うといいんですって。白いお花っていうのは全部の感情を吸収してくれるから、嫌な気持ちがあったときにお花を生けておくといいですよ。あと、海を見に行く。海の波はこうリセットをずっと繰り返しているところだから、そういうところに触れるといいそうです。あと「草花が良く枯れるんです」って言ったら、「それはあなたの代わりに枯れてくれてるから、気にしないでぽいっと捨てて新しいのを買いなさい」って。そんなことをヒーラーの方に言われました。そういうことを小さくやってると、小さくやってる自分とかもおもしろくなってくるから。うーん、だからひとつひとつ落ち着いてやることですね。そうすると、感情もなだらかになってくるから、そういうのを大事に……。

フェリシモ:
今日より明日、明日よりあさってと、よりキラリとした生活を送るために、うにさんが心がけている日々の生活を楽しくするような工夫があったら教えてください。

うにさん:
最近になってわかったことなんですけど。お肌とかで悩んでる人がいたら、ぜひともやっていただきたいんですけど。お水、水分バランスをとるっていうのが大事なんですって。お水をいっぱい飲んで、代謝をあげるっていうこと。あと、冷水を、顔の下半分10回、上半分10回バシャバシャっていうのをどんな寒いときでもやるんですよ。それをやるだけで肌質が変わってくるので、やってみてください。そういう小さいことをやるようになったんですよ。いままで、なんか上からたすことばかりをずーっと繰り返してたんですけど、そうじゃなくて、自分のなかから引き算をするとか、自分のものをシンプルにしていくっていうことをやっていくと、日々の小さなこともうれしいなーと思ったり愛しいなーと思ったりするようになるので、そういうふうに、生きていきたいな。

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Profile

おおたうにさん<イラストレーター>

おおたうにさん
<イラストレーター>
*プロフィールは、ご講演当時のものです。
1974年、東京都生まれ。日本大学芸術学部に在学中、アルバイトでフリーペーパーにイラストを描き始める。大学卒業後のアルバイト時代に、雑誌『ビーズアップ』編集部に転職した、前出のフリーペーパーの編集担当者からの依頼で、'97年より自身で買った洋服をイラストとともに紹介する連載「チェリーコーク」をスタートし、現在に至る。
著書に『チェリコーク』『うにっき1』『~2』『~3』『very berry cherry coke』『見た目診断』など。

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