神戸学校

神戸学校はフェリシモが主催する「神戸発 生活デザイン学校」です。

  • 藤沢 久美さん(シンクタンク・ソフィアバンク副代表)
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「私も社会も豊かになる!経済のはなし」



ソフィアバンクとはどんなものですか?

フェリシモ:
まず最初に、藤沢さんの現在のお仕事はどういうものか教えていただけますか?

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藤沢さん:
それ、聞かれるのが一番困る……(笑)。いろいろなことをしているので。
世間一般の常識でいう「シンクタンク」は、いろいろな調査をして分析をして、その結果、さまざまな提言、提案を社会や国に発信したり、もしくは企業に提案したり。どちらかというと、企業や、国から仕事の依頼を受けて、調査して提案するという仕事が多いんです。私たちはそういうのじゃなくて、新しい「知恵のバンクを作ろう」という考え方なんです。
調査して知識をためるのが「シンクタンク」だけど、もう知識をためる時代じゃないんじゃない? インターネットもあるし、知識ってもうたくさん世の中にあって、いくらでも共有できるようになってきたから、知識ではなくて、更に、知識を使った知恵を交流させることが「シンクタンク」の進化形じゃないかって……。だから、「シンク」「タンク」から、「ソフィア」「バンク」、で、シンクが知恵になって「ソフィア」で、「タンク」がためるだけでなくて「バンク」つまり流通させようってことで、「ソフィアバンク」って名前をつけたんですよ。従って、一般的な「シンクタンク」みたいな、たくさんの調査研究員が会社にいるんじゃなくて、世の中すべての人が調査研究員であり、提案者であるっていうのが、私たちの考え方なんですよね。そうは言ってもみなさんの意見をいちどに集めることはできないので、パートナーという形をとっています。私たちの考えに共鳴している9人のメンバーがいま、ソフィアバンクのパートナーとして、ともに、世界のいろいろな出来事を交換し合っています。そういったところから、それぞれが、いろいろなアイデアを持ってそれぞれのフィールドで発信をしていく。そしたら、そこに共感してくれた方が集まってくださいます。そういう人たちと、ブログやネットを通じて意見交換して、それを私たちが発信していくってことをやっているんです。

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投資とは?

フェリシモ:
今日のテーマ「社会も私も豊かになる経済の話」ということで、お話いただきます。生活の中でお金は、貯蓄であったり財布の中のお金であったり、いろいろな形で存在すると思います。藤沢さんがずっと関わってらっしゃる投資もそのひとつの形だと思います。そもそも、投資というのはどういうものなんでしょうか?

藤沢さん:
投資は漢字で書くと「投げる」に資本金の「資」って書きますよね。だから、資本金を出します。じゃ、資本金って何ですかって考えると、例えば会社で考えれば、会社を立ち上げようとするとき、そのために、最初に資本金というのが必要です。それを、みんなに出してもらう。そのとき、みんなはどういう気持ちで出すかって言うと、ふたつの気持ちがあると思うんです。ひとつは、「この会社に出したら、儲かるだろうな」という考え方、もうひとつは、「『みんなをしあわせにしたい』、その思いで何かビジネスを始めてくださるんなら、ぜひ応援したい、だからお金を出そう。結果は後からついてくればいいや」という考え方、このふたつ、どちらも結果的には、その会社が成長していくことを応援するんだけど、ひとつはお金の見返りを、もうひとつはお金は結果であって、まず、世の中をよくして欲しいって思うことだと思うんです。私は、本来の投資は、後者であって欲しいと思っています。
どちらにしろ、投資というのは何か大きな目標、ビジョンがあって、それを達成するために走っていく人、もしくは、会社を金銭の形で応援していくというもの。でも、実は、お金を出すと同時に、消費者としてお手伝いすることもできるし、応援団としていろんな人に「あの会社はいい会社だよ」って伝えていくこともできる。なので投資って言うのは、社会を作っていくためのいろんなプレーヤーを応援する、ひとつの方法だとも思っています。

フェリシモ:
少し前になりますが、ライブドアの事件とか、サブプライムローンとか、どうしても、経済とかお金を取り扱うところには大きな危険があって、一般の人には怖いなと思う方もいると思うのですが、危険な目に合わない投資をするためには、どうすればいいですか?

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藤沢さん:
そうですね、「投資を始めると、損しますよ」って言うと怒られちゃいますけど(笑)。わたしは、よくこんなふうに言います「投資って子育てに似てますよ」って。さっきも申し上げたように、投資っていうのは、成長するものを応援するんですね。結果として。こどもを育てるのだって、こどもが成長するのをずっと応援し続けるわけですよね。自分の稼いできたお金を投じるだろうし、自分の時間も投じるし、自分の心の精神力もこどもに投資をするんです。で、そのこどもが、じゃあ、順調に右肩上がりに成長して、すぐに「お父さん、お母さん、ありがとう。はい、1000万円」って言う、そういう世界じゃないわけで、やはり、途中で反抗期があって言うことを聞かなかったり。私はそれを「元本割れ(がんぽんわれ)」というんですけれど……。でもね、成長って必ずするんですよ。ちゃんと生きていれば、成長する。会社だって、実は本当に世の中のためと思ってがんばっている企業は長い目で見れば成長する。短期で見れば、損するかもしれない。でも、5年とか10年とか20年とか、長い目で見れば、私は、結果として損をしている確率っていうのは、非常に低いんじゃないかって思っているんですよね。
どうしても、投資って聞くと、何かすぐに大きく儲かるって言うイメージがあるんで、それは投資じゃなくて、「投機」って言うもので。「機会」の「機」って、「マシーン」じゃなくて「チャンス」って言う意味ね。なので、チャンスにお金を投げるのは、確かにだめだ。サブプライムで大騒ぎしたから、いま、あの会社買っとこう、みたいな。そしたら、下げすぎたものは、必ず戻りますから、ここで儲けるってとか言うのは、これは当たり外れがあって、大きく損をするとかってあるけど。長い目で見て、成長が待てると考えれば、そんなに大きな損はしないし、ひとつの企業だけにしとけば損をする可能性は大きくなるけど、日本全体とか、もしくは世界全体に分散して投資をすると、結果として大きく下げることは無いだろうと。大きく上げることも無いんですけれどね。

フェリシモ:
目の前だけでなく、もっと先を見て大きな心で待ちましょうって感じですか?

藤沢さん:
「自己投資」って言葉がありますよね。英会話学校に行っても、一日でペラペラにはならないじゃないですか。結局、時間をかけないと、成長っていうのはなかなか……。投資とはそういうことなんです。短期で結果を出そうというのは私は、投資ではないと思います。いま、日本全体が短期思考になっていることが、この投資ブームの中で、傷ついてしまったという人を増やしているんだと思うんですよ。ライブドアも、みんなが悪いわけではないけれども、短期で大きく儲けるっていう、多くの人の気持ちがそこに集まっちゃったところに、残念な結果を生み出したんだと思います。

フェリシモ:
藤沢さんが、著書「美人の財布~幸せをつかむマネー術」(ソフトバンク クリエイティブ)の中で、“何にお金を使うのかが未来を左右する、大きな意思表示である”というふうに書かれていて、そのフレーズにハッとさせられました。

藤沢さん:
私は、消費も投資だと思っているんですよ。消費をするってことが、意思表示。だから、私は「こどもたちとできるだけスーパーに一緒に行ってくださいね」って、お母さま、お父さまにお願いするんです。例えばスーパーに行って、マヨネーズがいっぱい並んでいたら、どれを買うのか、その理由をこどもに伝えてくださいって言うんですね。
低カロリーマヨネーズを買うお母さんがいらして、「何でこれを買うの?」って聞いたら、「お父さんがメタボになりつつあるから、これがいいのよ」って。家では、「お父さんは、家でゴロゴロばっかりしてる」「お父さんは、邪魔だ」とか言ってるけれど、でも実は、結構お父さんのことを考えている、本当はお父さんを大事にしているんだって。これもひとつの、こどもへの意思表示だと思うんです。
健康のために、もっとそういう商品を作ってくださいという意思表示でもある。だから、その商品が売れれば、結果として、その品はもっと安くなったり、もっと増えるかもしれない。カロリーが高くて売れないものは、消えていくんですから……。やっぱり、どうして、これを買うかってことを考えながら、買い物していくだけでも、世の中は変わっていくんじゃないかなーとか思います。

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「テーブル フォー ツー」について

フェリシモ:
貧困地域への支援も、私たちひとりひとりでもできるんだって思えた、素敵な提案「テーブル フォー ツー」のお話をお聞かせください。

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藤沢さん:
これは、本当に広げたいと思っていて、ぜひみなさんのご協力もいただきたいんですけれど……。
「テーブル フォー ツー」っていうのは、“ふたつのモノのためのテーブル”という意味なんです。先進国は、すごく豊かで、食べる物もいっぱいあって……。そこで何が起きてるかって言うと、いっぱい食べる物があり、メタボリックとかいって食べ過ぎていて、食べ過ぎたものをどうやって消化していくか? からだに負担かけないようにするかってことを考えているのが先進国なんです。その一方で、発展途上国では、食べる物が無く、子供たちが生きていけないという状況なんです。 なぜこんなにギャップがあるの? このギャップを上手く埋められないか? ということで、社員食堂やレストランと、コンビニなんかにテーブル フォー ツー」のオーガニックメニューを作ってもらうということを提案しました。
それは、カロリーが700kcal以下の、メタボリックになりにくいメニューで、日本だと20円、アメリカだと20セント、値段を高くするんですね。お客さまに20円高く払っていただくことになるんですけど、その高く払ってもらった分を、恵まれない国のこどもたちの給食代に使うんですよ。20円払うと、もう何百人というこどもたちの給食になるんですね。オーガニックメニューを食べることによって先進国の人はメタボリックを防ぐことができるし、発展途上国のこどもたちはご飯を食べることができる。という、こういう取り組みなんです。
これを、できるだけ多くの企業の社食とかレストランとか、そういうところで取り入れていただけないかな、というのを提案しています。
毎年スイスで「ダボス会議」というのをやっているんですけれど、その会議の中に、「ヤング・グローバル・リーダー」といって、世界の若い人たちで、2020~2030年にかけての世界の問題を解決して行こうということで、いろんなプログラム作りをしてるんですが、これが、その中のひとつなんです。日本から生まれたプログラムなので、まず、より多くの日本人に参加してもらいたいなと思っています。

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藤沢さんにとってのお金とは?

フェリシモ:
いま、プロの藤沢さんのお金の見方をうかがいましたが、個人の、藤沢さんのお金のやりくりはいかがでしょうか? 私生活でも、バリバリ運用していらっしゃるかなと……。

藤沢さん:
ええ、私は、将来の保障は何もないので、毎月相当、投資信託を積み立ててますよ。「素敵な会社だな」って思う会社の社長さんにお会いしたりすると、その会社の株をコツコツ買ってます。サブプライムみたいなことがあると、「ああ、あの会社の株、買っとこう」みたいな感じで、もうほとんど売らない、買いっぱなし。なので、私のお金は、三割くらいが現金で、あとは株式といろんな国の投資信託です。忙しいと見てられないんですよね。

フェリシモ:
細かい変動を見続けるのは無理ってことですか?

藤沢さん:
そうですね、忙しくて、ちょっと目を放している隙に、大変なことになってたりするんです。やっぱり長い目で置いとこうかなと。あとね、不思議なもんなんですよ、そういう、「お金を儲けてやろう!」って言う気持ちになってるときって、大体、本業の仕事で、何かマイナスが起きているんですよね。だから、やっぱり、自分だけがしあわせになろうと言いう精神は、よろしくないんだなっていうのが、私の教訓です。何かが歪むんですよね。

フェリシモ:
藤沢さんの「子供に聞かせる『お金』の話」(PHP研究所)という本がありますが、お金についてどのようにこどもたちにお話してますか?

藤沢さん:
私がこどもたちに教えるお金の話のひとつの方法は、まずハンバーガーを用意するんですね。例えば、マクドナルドとかのハンバーガーをいっぱい用意して、ビッグマックについて調べるんです。「上にゴマがのっているね、このゴマ、どこから来てるんだろう?」ってみんなで調べるんですよね。「グアテマラから来てるね」「じゃ、グアテマラってどんな国?」って調べると、とてもまだ貧しい人がいっぱいて、1日1ドル以下で生活している人が3分の1もいて、多くの女の子がまだ学校に行けなくて…。そういう子たちがいる国だとわかるんです。「じゃ、私たちがハンバーガーを1個買うことによって、そういう国の子たちの生活にもつながっているんだね」とか。そういうことをこどもたちにわかってもらえる。
(略)

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物を買うことを通じて、社会を良くしていくことができる。私たちは、「お金を使うとき、自分がハンバーガー食べてしあわせっていうのと同時に、誰をしあわせにしてるのかってことを考えようね、地球をしあわせにしている、グアテマラのこどもたちをしあわせにしている、お店で働く人をしあわせにしている。そのこと、考えようね」って話をするんです。
でも、この間は、小学生の男の子から「先生、お金を使ってしあわせにするって言うことは分かったけど、僕はまだこどもです。僕はお金を使わないで、たくさんの人をしあわせにしたい。どうしたらいいですか?」って言われて、「うわっ、深すぎる、どうしよう」って……(笑)。

フェリシモ:
ピュアそのものですね。こういう広い捉え方で、お金について話してあげると、きっとすんなり入っていけるのかも知れないですね。

藤沢さん:
そうですね。そうすると、無駄遣いはなかなかできないと……。

フェリシモ:
漠然とした質問ですが、藤沢さんにとってお金とはどういうものなのでしょうか?

藤沢さん:
私にとってお金は、「鏡」みたいなものかな。使っているときって、心の鏡みたいになっています。私が大切にしてるのは、「自分っていろんな人のお陰で生きているんだ」っていう気持ちなんです。だから、すべての自分のこれからの仕事は、社会に対しての感謝であり、社会からいただいた投資をお返しすることだと思っているんです。けれど、その心を忘れて「儲けちゃおう」と思ってやっているときは、違う姿が鏡に写っていて……。自分のそのときの心の状態を表す、心の鏡だなーと思っています。

(中略)

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最後に

フェリシモ:
生活者が、それぞれ唯一無二の生活、唯一無二の社会を、より良くしていくためのお金について、藤沢さんからメッセージをお願いします。

藤沢さん:
はい。お金って言うのは本当に自分のひとつの道具だし鏡だし、何が大切なのかって言うとやっぱり自分なんですね。そして自分の心がいちばん大切なので、ぜひ自分と対話していただきたい。自分の心に「いま、自分は快適かい?」って。心が「何か違う!」と思ってるときは、実は自分が次の新しい一歩に向かうチャンス。心を痛めている相手、会社、社会に対して「ありがとう」という気持ちを持って、自分にできることは何なのかな? と考え、もしお金が道具として生きるのであれば、ぜひお金を使ってもらいたいと思います。
(略)

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誰かのために、まわりの縁のある人たちのためにまず何ができるかなっていうことを考えることが、実は結果的にお金を上手に使うことであり、お金と上手に仲良くなる方法じゃないかなと思います。ただ、ひとつだけ申し上げておくと、そうやってピュアに生きていくこともすごく大事なんですけれども、ピュアだけでは生きていけないことも事実だとお伝えしておきたいと思います。世の中にはピュアな人ばかりじゃないんですよね。やっぱり、悲しい、悪いことを考える方もいっぱいいらっしゃるんです。なので、そういう現実は知っておかないといけないし、悪いこともたくさん知っておくこともまた大切なことだと思います。悪いことを知っていて悪いことをしないという人が一番強い人だと思うんです。なので悪いことから目をそむけることはなく、それは正面から受け止めながら強い自分を作っていくということが、お金と上手に付き合っていくことなのかなあと思っています。

     

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Profile

藤沢 久美(ふじさわ くみ)さん<シンクタンク・ソフィアバンク副代表>

藤沢 久美(ふじさわ くみ)さん
<シンクタンク・ソフィアバンク副代表>
*プロフィールは、ご講演当時のものです。
1989年大阪市立大学卒業後、国内外の投資信託会社に勤務した後1996年日本初の投資信託評価会社、アイフィスを企業、代表取締役を務める。2000年にはシンクタンク・ソフィアバンクの設立に参画し、取締役を務める。2004年に副代表に就任。その間、企業活動を通じて社会的な問題を解決する起業家-ソーシャル・アントレプレナ(社会的企業家)を支援する「社会企業家フォーラム」を設立。2005年法政大学ビジネススクール イノベーションマネジメント研究科 客員教授に就任。NHK教育テレビ「21世紀ビジネス塾」のキャスターを3年間務めその間、全国の中小企業やベンチャー企業の取材を行う。同時に様々なテレビ・ラジオ・雑誌等を通じて、500社を超える企業を取材。現在も、全国の元気な企業の経営者のインタビューと現場の取材を続け、メディアを通じて発信している。著書に「美人の財布~幸せをつかむマネー術」(ソフトバンククリエイティブ)「なぜ、御用聞きビジネスが伸びているのか~顧客が自然に集まる10の発想転換」(ダイヤモンド社)、「子供に聞かせる『お金』の話」(PHP研究所)などがあり、著書はアジアの各国にも紹介されている。

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