神戸学校

神戸学校はフェリシモが主催する「神戸発 生活デザイン学校」です。

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「子育てしながら手づくりのすすめ」



<第1部>

芸能活動とご家族、
ご主人と息子さんのお話。

フェリシモ:
まず、はじめに芸能活動とご家族のお話なんですけれども、写真を見ながらお話をいただきたいと思います。

奥山さん:
とっておきの写真をいっぱい用意しました。これ、私のデビュー当時の写真です。私は、『喜多郎の十五少女漂流記』という映画でデビューさせていただきました。この映画のオーディションでグランプリをいただいて、主演でこの世界でデビューさせていただきました。

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現地での写真。友だちが撮った普段の普通の撮影中の私です。この映画、ちなみにちょっとした後日談的なことがありまして……。素人の女の子15人を撮影していく漂流ものだから、順番に撮っていくんです。業界でいうと「順撮り」っていう、台本通り順序立てて撮っていくっていう方法なんですね。漂流した15人の女の子たちがどんどん痩せていかなきゃいけないんですが、私は初めての撮影で慣れなかったせいもあって、食べることしか楽しみがなく、もうみるみる太っていったんです。これ、シーン的には「お腹が空いた」って言っているようなところだったんですが、もう丸々としているころの写真ですね。最高記録で朝ご飯にトースト8枚とか食べていました。そんなに食べれるもんですね。本当、楽しみが食べることしかなかったっていう証拠写真ですね。

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私のだんなさんです。あだ名が「パンジー」って言います。なぜ「パンジー」かと言いますと、去年かな? ある日の朝、唐突に、「僕のこと『パンジー』と呼んでいいよ」って。「ええっ。どうしちゃったんだろう」って思ったんですけど。「パンジー」と言うと「お花かなあ」と連想したんですが「パンが好きなおじいちゃんだから、パンジーがいい」って。その日から「パンジー」と呼んでいます。これは、去年の地域の運動会で、パン食い競争に出た時の「パンジー」の勇姿です。

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奥山さん:
後ろ姿ですけれど、私のこどもです。今年の春で小学校2年生、もうすぐ8歳になります。で、この「In a BAR」って言うのは、パンジーがやらせていただいているサロンです。ちなみにパンジーの名前が「稲葉」って言うんです。で、サロン名を「INABA」で「In a BAR」って。わかりますか? ダジャレなんですよ。どこまで自分が好きなんだっていう。「すごくかっこいいね、『In a BAR』なんて」って言って、実際書いてみたら「稲葉」だってわかったらちょっと愕然としました。
(会場:笑)

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息子はその主人のサロンワークにあこがれていて……。私がこうやって、お仕事で髪の毛をつくっていただくじゃないですか。で、そのままで家に帰ると、息子が「僕がピンを取ってあげる」って言って取ってくれて、ブラッシングまでしてくれるんですよ。「ミニIn a BAR」が自宅でできるんですよね。もう本当にふたりの男子にモテモテな、そんな生活をしてます。

フェリシモ:
いま息子さんが7歳ですよね。とてもユニーク、想像力豊かなその自由な創造性が遺憾なく発揮されていますよね。

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奥山さん:
去年のクリスマスに、息子が「サンタさんに何もらいたい?」って聞いたら「マグロ」って言い出しまして……(笑)。それが、息子の好物だったらいいんですけど、マグロなんて高級なもの、彼の口から出る言葉ではなかったんです。ですが、なぜかマグロがどうしてもいいって言うんです。この写真は渋谷の魚市場で買ったそのときの、最高級のマグロです。3400円ですよ。初めて買いました、そんなマグロ。どうやって渡そうかなって思って考えたあげく、保冷バックに保冷剤を入れて前の日ぎりぎりまで冷やしておいて。25日の朝、むにゃむにゃっと息子が起きたときに、慌てて冷蔵庫に行って取り出して、冷え冷えのマグロを枕元に置きました。もう大喜びでした。

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フェリシモ:
そういう自由なおもしろい息子さんに育つのは、ご主人が大変ユニークで、自由な方だからと思うのですが、そのことをうかがわせるようなお写真があります。

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奥山さん:
家の中でも、創作というかいろいろなことを仕掛けてくれるんですね。例えば、テーブルにバナナとかみかんとか、置いておきますよね、あと冷蔵庫に卵とか。こういうふうに落書きするんですよ。バナナは「バナオ」っていうキャラクターがあるんですね、私が大好きなキャラクターなんですけど、唐突にバナナが「バナオ」になってたりします。この卵はガンダムのキャラクター。すごい上手なんです。「本当にうちのだんなは、働いているのかな?」っていうくらい日々の労力を、こういう卵にガンダムとかそういうところに費やしている、おもしろい人。そういうところが魅力でもあります。

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奥山 佳恵さんの
ハンドメイド&リメイク作品をご紹介

フェリシモ:
一家揃って創作活動がお好きな奥山家ですけれど、今日は奥山さんが普段おうちで作られている作品をお持ちいただいております。

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奥山さん:
今日はたくさん私がいままで作ったものを持ってきました。まず、この大作から。マントコートですね。ダッフルになっていまして、かわいいでしょ?
あとこどもが小さかったときに、「こんなのどうかな」と思ったのが、これ。よだれかけですが、表が女の子用のフリルで、裏が男の子の蝶ネクタイ。正装用のよだれかけです。よだれかけをなぜこんなにつくっているかというと、うちの息子がすごい「よだれ大臣」だったんです。からだの中全部よだれなんじゃないかっていうくらいすごかったんです。

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これはキャスケットです。
この4つはリメイク品としてつくりました。これ(スカートをリメイクしたバッグ)ちょっとレトロな感じがしますよね。これは元々女の子のスカート、フリーマーケットで50円で売ってたんです。「かわいいな」と思い、バックにしました。これすごく簡単なリメイクだなぁと思いました。
これが、こどものズボン1本で作ったふたつ。ひとつがブックカバー。もうひとつがランチョンマット。ズボンのポッケをそのまま生かして、フォークとかを入れたりして……。このポケットがあると結構便利なんですよ。こどものお椀を置いたりするのの下にフォークやスプーンをセットしてそのままお食事をいただく。元は履けなくなったズボン、っていうのがおもしろいかなあと思いました。
(中略)

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思い悩んだ子育てについて。
不器用ママを助けてくれたのは、
「手づくり」と「友だちの一言」

フェリシモ:
素敵な笑顔で明るい奥山さんですが、出産直後ちょっと気持ちが落ち込んでしまったことがあったとお聞きしました。

奥山さん:
落ち込みましたね。私はこういった性格なので「楽しく子育ていつもしてるんでしょう?」ってよく言われてたんです。私もこどもが生まれるまでは「明るく楽しい生活が私を待ってるんだろうな」ってあまり深く考えずに思ってたんですけど、いざこどもが生まれたら本当に戸惑ったんです。こどもが生まれて改めて思ったんですけど、私あまり器用じゃないんですよ。肩の力がうまく抜けないというか、一所懸命にやりすぎて……。一所懸命やることがこどもにとって楽しいかとかラッキーかっていうと、イコールじゃなかったみたいなんですよね。私自身が子育てをしていて、楽しめていないっていうことに気がついたんです。
思えば、こどもが生まれて3ヵ月くらい経って笑っていない自分に気がついたんです。もう一所懸命になりすぎて……。育児書などに載ってるそのとおりにやらなきゃいけない、そのとおりにやらなきゃママ失格だ、とか、なんかがんじがらめになりすぎちゃって、楽しもうってことを一切忘れちゃってたんですよね。そうすると悪循環でこどももどんどん神経質になってきてしまってなかなか寝ない。なかなか寝ないと私も疲れが取れない。疲れが取れないとどこに発散していいかわからない……。

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うちの子が生まれて翌月が七夕だったんです。家庭内は私のせいで常にキリキリしていました。そんな中、七夕だったので主人が笹の葉を持って帰ってきたんです。主人なりに、キリキリしてしまった家庭を和ませようと思って「ふたりで一緒に七夕の願い事を書こう」ってニコニコしながら笹の葉を持ってきてくれたんですけど、もう家から一歩も外に出ていない私としては、その主人の余裕にもうキーッとなりまして……。「やってられるか! こっちは寝てないんだー」って、笹の葉を床に叩きつけたんですよね(笑)。なんかもう本当にいっぱいいっぱいだったんです。
そんな状況を自分でも何とかしなくちゃなあって思ってたんです。でも解決策が見つからなくて……。で、助けてくれたのがこの「手づくり」と「友だちの一言」だったんです。こどもが生まれるまでは、1日24時間をフルで私だけのために使えてたんですよね。だけど、こどもが生まれると、多分23時間50分くらいはこどものために費やして、寝る、食べる以外の自分だけのプライベートタイムって残りの10分くらいしかなくって、そこにうまく楽しみを見出せなかった、うまく切り替えられなかったんです。あまりにも瞬く間に過ぎていく時間を形にしたいと思ったんです。それで、こどもが寝ているわずかな時間で初めて作ったのが、このよだれかけ。タオルを切ってパイピングしただけです。5分くらい、もうあっという間にできます。これがすっごく私の心に効いたんです。これが目の前に完成した時に「私は今日も生きたんだなあ」って思ったんです。大げさかもしれないですけれど、それくらい早く過ぎていってしまう時間の中で、私がその時間を生きた証、時間が形になったっていうことを私自身が見て感動したんですね。で、これを息子がつけますよね。そうするとこどもまでかわいく見えるんです。「ああ、じゃあもっといろいろ作ろう」。で、どんどん、身につけたり実際に使うものを作って……。だから私が作るものって実用的なものが多いんです。自分の目にいっぱい入ってくる実用的なものを作ることで、私が生きた時間を形にしてるってことを実感できたんですね。忙しい人ほどこそ、物を作る喜びをどうか味わってほしいなって、このときすごく思いました。

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あともうひとつ、友だちの言葉。私は子育てで「あんまり楽しくない」とか人に言いにくいんですよね。だってこどもが生まれたら私は絶対にハッピーだと思ってたし、実際ハッピーなことじゃないですか。ママになれて、こどもを授かったということはうれしいことだからこそ、あんまり自分の苦しい胸のうちを言える場がなかったんです。もしかしたら、本屋さんに行ったら、私の思いを代弁している本が売っているかもしれないと思って、探しに行ったこともあります。「子育て鬱を打破するには」とか、同じ思いをしてる人はいないかなと思ったんですが、そのときに並んでいたのは全部「子育てママはやっぱりハッピー」っていう本ばかりで、逆にまた落ち込んだり……。まわりからも「がんばれ」「ファイト」っていう言葉をたくさんいただいて……。それでも自分の手づくり以外で打破できる道が見つからなかったんですが、ある日、友だちに一言「がんばってるよね」って言われたんです。「がんばれ」じゃなくて「がんばってるね」。もう泣きそうになりました。私は「がんばってるね」って言って欲しかったんだなあ。その一言で救われました。
子育てって、本当に孤独。いまの世の中、ママが孤立してしまいがちな家庭の形になっているんですって。私もこどもが生まれてから主人と3人の核家族だったんですね。主人が仕事に行ったら、主人が帰ってくるまではこどもとふたりきり。で、何ヵ月も一歩も外に出ないで、こどもとふたりきり。そりゃあもう家庭の空気も悪くなるし、下手したらからだの中の空気も淀みます。やっぱり外に出たり、人と喋ったり交流をしていかないと、孤立になりがちなんだってことを認識して、どんどん積極的に外に出て、家の空気もからだの中の空気も変えることで、初めていろいろなことがまわっていくんだなあって思いました。そんな経験も踏まえた本が『眠れる森の育児』(主婦の友社)。

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帯に「私かなり重度の産後ブルーでした」ってあるんですけれど、最初から「本当に泣いてばっかりでした」「もう大変でした」っていうことがいっぱい書いてあります。そして、どんなことに救われたか、どんなことをすれば子育てを始めたばかりのときに楽しい毎日を見つけられるか、っていうことを書かせてもらったんですね。カミングアウト本です。「壮絶育児サバイバル」って書いてあります。本当に生きるか死ぬか、明日はどうなるかわからないようなサバイバル育児だったので、こんなタイトルにさせていただきました。最初からハッピーのお母さんばっかりじゃなくって、こんなふうに不器用なママもいて、1日1日こどもと一緒に、そしてこどもに育ててもらっているっていうママっていうパターンもあるんじゃないかなっていう本です。

フェリシモ:
悪循環から抜け出すのに「手づくり」と「友だちの言葉」が役割を果たした。さらに一旦好転した後に、さらによい循環をまわすために何かしら心掛けていらっしゃることはあるんですか。

奥山さん:
そうですね。こどもが転んだときのファーストリアクションが大事って聞きまして……。こどもが転んで泣いたときに「わあ大変ね。どうしたの?」って駆け寄ってしまうと、こどもがその次からそのリアクションを期待するんですって。と、同時にこどもが「転んだことは大変なことだ」っていうふうに認識するらしいんです。それよりも、こどもが転んだときには「ワハハハハハ」って笑う。こちらが笑うリアクションをすると「これは大変なことではなく、おもしろいこと」ってこどもが認識して、次転んだ後も泣かないんですって。それを、テレビ番組をやらせていただいたときに教えていただいて「それはいい」と実践したら本当にそういうふうになりました。

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子育てを通じて
「HAPPY TOYS PROJECT」にも参加!

フェリシモ:
子育てを楽しまれている以外に、いまは地域の方々ととても仲よくされていられるそうですね。実際その方たちに呼びかけていただいて、弊社の「HAPPY TOYS PROJECT」に参加していただきました。

奥山さん:
去年の春くらいに、この「HAPPY TOYS PROJECT」のお話をいただいて「これはもうぜひやりたい」って思ったんですね。私は独身のころから「こどもたちを笑顔にするにはどうしたらいいんだろう」「世界中のこどもたちが笑っていられる世の中になればいいのになあ」って漠然と思っていたんです。で、実際に結婚してこどもが自分にできて、子育てサバイバル時期はありましたけど、こどもが周りにいるような環境になり、もうよその子も自分の子もみんなかわいい。改めて「世界中のこどもたちが笑顔になればいいのに」という思いを再び思い描いていたころに、このお話をいただいたんです。私にとっては本当にありがたい夢のようなお話でした。

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このプロジェクトをご存知ない方もいらっしゃるかもしれないので、簡単にご説明します。ひとつの共通の型紙、これ毎年動物のキャラクターが変わり、今年は「ぞうさん」です。その共通の型紙を使って、好きな生地を使ってぞうさんを手づくりするんですね。作るパターンは生地を使ったパッチワーク、布を使ったぞうさんと毛糸を使ったあみぐるみのぞうさんの2種類。そのぞうさんを日本中から募集し、日本はもちろん世界中のこどもたちにプレゼントするという企画なんです。日本にいる親御さんを亡くされたこどもさんとか、難病に苦しんでいるお子さんとか、世界中のとても貧しくてぬいぐるみを手にすることができないこどもたちにプレゼントする、すごくいいですよね。これはぜひ私ひとりじゃなくって、学校も巻き込みたいと思い、PTAの会長さんに企画書をFAXしたんです。人生初企画書ですよ。「PTA会長様 こんなプロジェクトがあります。すごくいいと思うので、小学校でやりませんか。」って、3、4枚書いて出したんです。そしたら、お返事いただいて「すごくいい。奥山さんが特別活動委員長になってくださるんだったら、いいですよ」って私の息子が通っている小学校のPTA活動の一環として学校を動かすことになったんです。そして学校以外の地域のママ友も集めて、そこでもやりました。で、計55体のぞうさんのぬいぐるみが集まったんです。感動です。やっぱり人の心を温めるのは人なんだなって思いましたね。こうやってこのぬいぐるみもあったかいし、この企画もあったかい。このひとつひとつのぬいぐるみを作ってくれた人もやさしい。

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これ、全部ぞうさん。一体一体、そのいろいろな人の思いがこもってて、その思いがこうやって形になっている。手づくりって時間も気持ちも形にすることができるんですよね。で、その気持ちを、やさしさとして届けることができる。私やっぱり人の手が作ってるってところが、すごく意味深いのかなって思います。ひとりでできることって限られてきますけど、みんなでやろうって言ってみたら、いろいろな人のお力添えをいただいて、湘南地区では50体のぬいぐるみを作ることができて、その人々の気持ちのやさしさも、私は感じることができたし、そのぬいぐるみを受け取ってくれたこどもたちにもきっと、その思いは通じてくれるんじゃないかなって。ひとりの力ではできないことでも多くの方だと達成できることっていうのもたくさんあるんだなあって、このプロジェクトで改めて思いました。
ぞうのぬいぐるみはひとりで作ってもいいし、好きな生地を寄り集めて「じゃあ私は耳」「あなたは鼻」って言ってみんなで作って、みんなのパーツがひとつになると、またちょっとね、感動するんですよ。いろいろな作り方があるなって思いました。うちのこどもも作ったんですよ。小学1年生ですけど、針を持たせたら意外と上手。多少粗くても、玉結びが手前に出てても、まあいいかって。自由にやらせたら結構上手で、こどもも一体つくりました。あとこどもにね、生地を選んでもらったり、そういうこともできますね。
「HAPPY TOYS PROJECT」は、「みんなでやるのが楽しそうだからしたい」「みんなで分けてやろうよ」っていう、あまり無理をしないで自分が楽しみたいから楽しむっていう姿勢がやっぱり根本にあるのかなって思ってます。

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気負わずにしていることが
知らず知らずに地球にいいこと

フェリシモ:
このように自然な形、無理のない形で、そういう社会貢献活動をされているんですけど、そのほかにも湘南のビーチをきれいに保つ活動をされているとお聞きしました。

奥山さん:
そんな大げさなことではなくって……。私は湘南の海岸沿いに住んでいるんです。海から歩いて1分ぐらい。海が近くにある環境なんで、こどもと散歩するのは、やっぱり海岸。こどもが生まれるまでは気づかなかったんですが、よちよち歩きぐらいのこどもを、ポーンとビーチに置くと、小さい子って何でも手に持って食べちゃったり、あと、スタタタタって歩いて行っちゃったりするんです。こどもが歩く先にガラスの破片とか、タバコの吸殻とかがあったりするので、何となく自然に拾っていってたんですね。で、散歩のときにはちょっとしたごみ袋を持って行くようになってたんです。

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だんだんこどもも大きくなり、ごみを口に入れることはなくなりました。でも、私の中でごみを拾うってことの気持ちよさが記憶が残り、ごみ拾いは海に行ったら必ずするっていう習慣ができました。それは「地球にすごくいいことをしよう」とか「エコが好きだから」「環境を大事にしたいから」と思っているわけではなく、本当にただごみを拾いたいから拾っていたら、結果的に地球にいいことをしてたんですよね。来たときはごみが散らかっていた海岸も、ぱっと拾って見渡してみると本当にすっきり。ごみを拾うとすごくいい運動になっているんです。拾い方なんかも工夫してきて、膝を曲げずに拾うと、柔軟体操、ストレッチにもなるんですよ。体にも心にもこれはいいぞ、と。いまではこどもと一緒にビーチに行くときは当たり前のようにごみ袋を持っていき、おしゃべりしながらごみを拾って帰っています。

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奥山さん:
息子もウキウキですね。「いいごみ見つけた」って言いながら競争するようにビーチクリーンしてます。これをやって、息子にとってよかったなぁと思うことは、息子はこのビーチクリーンという経験を多分忘れないと、私は思ってるんですね。息子はずっと大人になっても、拾うってことはもしかしたら忘れちゃうかもしれないけど、捨てる子にはならないと思います。これが大きいかなって思います。

(リサイクルハンドメードコーナー)
ここでは、奥山さんの呼びかけで「愛着があって、なかなか捨てられないけれど、使われずにお家にそのままになっているもの」をお客さまにお持ちいただいて、奥山さんにリサイクルのアイデアをいただきました。

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<第2部>

お客さまとのQ&A

お客さま:
とても物を大切にする方とお見受けしました。どんなご両親に育てられましたか。

奥山さん:
私の両親は中華料理店を営んでいて、いまでも現役で働いています。私が生まれる前からもう中華屋だったんですよね。ちなみに私が3代目。私は、40年ぐらい続いている中華屋の娘で、4人兄弟のいちばん上です。
両親は忙しかったので、ほとんど実は親子の関係っていうのがなかったんですよね。だけどとても仲がいいんです。これは母はうまかったなぁって、親になって改めて思うんですけれど、こどもと親の接する時間イコールそのこどもと親の思い出ではないんですよね。時間イコールじゃく、質なんですよね。お店を営んでいるため、親子間での日中の会話がほとんどないんですよ。例えば私が学校に朝8時に行くときには、まだ親は寝ているんです。で、両親が朝10時から出勤、お店が始まって。私の学校が終わるのが夕方。そのとき、まだまだ両親は働いて、帰ってくるのは夜の12時。そうするともうほとんど会わないんですよね。じゃあ、我々4人兄弟はどうやって育ったかというと、母方のおばあちゃんに育ててもらいました。私たちはほとんど祖母のごはんで大きくなりました。
どうやって親とコミュニケーション取っていたかというと、私の母はすごく少ない時間を使って濃厚なコミュニケーションをしていました。もうすごいですよ!「佳恵~」って、わしゃわしゃわしゃわしゃって抱きしめてくれたり「大好きだ」って言ってくれたり。あとは交換日記をしました。普通は家庭では夕飯の時間とか、お風呂に入りながら話すことを日記に書くんですね。それを置いて寝ると、返事を書いてくれるんです。それも全部否定しないで、肯定してくれるんです。私はもっとお母さんが喜ぶことをしたい、もっといい子になろう、もっと勉強しようっていうふうになり、少しも寂しいって思わなかったんですよね。だからいま、私の母を見習って子育てをしています。そんな明るい朗らかな両親に育ててもらいました。

お客さま:
うちにも小さいこどもがいて、日々手を焼いています。何かこれを教えようとするけれどもうまくいかないというようなものはありますか。

奥山さん:
そうですよね。こどもってなんでこう、やってほしくないことをやるんでしょうね。そういう生き物なんですかね。
質問の答えにならないかもしれないですけど、やってほしくないことをやらないようにする方法はお聞きして、実践して、本当にそうだなあって思ったことがあります。例えばですけど、こどもが言葉を覚える前、たいてい歩き始めたらいろいろなものに興味を持って、たいていさわってほしくないものをさわりたがるんですよね。それは親がしょっちゅうさわっているものだから興味があるんでしょう。例えばガスコンロのスイッチとか、コンセントとかさわってほしくないですよね。そういう所に、指を入れたりするんですよ。それをやめてほしいときの対処法として、こどもに言葉で説明するんです。「やめて」「さわらないで」だけじゃなく、言葉で大人に接するみたいにちゃんとした日本語で語るんです。「このコンセントに指を入れて、もし電流が流れたら、あなたの体はビリビリビリってなって、すごく衝撃を受けるよ」と。その「衝撃」なんて言葉はわからなくても説明する。そうすると言葉の意味を汲み取るんじゃなく、それが何だかよく意味はわからないけれど、一所懸命「こうなると、こうなるよ」って説明しているお母さんの顔を読むんですって。「お母さんが何の日本語言ってるのかわからないけれど、ヤバイらしい」ってわかるんですって。それでさわらなくなるんです。この方法がすごく効きました。「このコンロをね、ピピッと押すと火がついて、もしこの火にあなたがさわると火傷をして。そうね、全治だいたい1週間から悪くて1ヵ月くらいになるかもしれない。救急車を呼んで、あなたここに一生痕が残るかもしれない。だからママはさわってほしくないと思う」っていうことを説明するんです。顔を読むんです。で、その異様な空気というんですか?(笑)何事かわからない、それで通じる。

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それはこどもが日本語がわかる前からも有効で、わかってからも大丈夫で、3歳くらいになってよその子のおもちゃを取って「わーっ」とかいう喧嘩ってよく見られるんですけど、そのときも「ちょっと来て」って言って説明するんです。「あなたは今●●ちゃんのおもちゃを取ったけど、●●ちゃんの気持ちになってみたらどう? きっと悲しいと思うよ」ってことを言うと、なんだかわからないけれどやめる。よく公園で「やめて」「やめなさい」って言ったり、あとはその「もう帰るわよ」ってついつい言ってしまうんです。けど、これも教えていただいて「わあ」って思ったのは「やめるわよ」だけじゃやっぱりわからないんです。なんで「やめるわよ」なのかっていう説明も含めて言うとわかる。で、あとは「帰るわよ」って言ったら本当に帰らなくちゃいけないんです。なめられるそうなんです。実践する場面がありました。ファミリーレストランで食事してて、こどもがわーって騒いで、そういうときに「静かにして」「やめて」って言っても聞いてくれなかったんです。で、説明をした。「ほかの方に迷惑だから、いまここで騒ぐのやめようね」。でもやめてくれなかった。で「ここでちょっと実践するときが来たな。チャンスだな」っていうのもあって「次にほかのお客さまの迷惑になるようなことをしたら帰るよ」って言ったんです。でも、騒いだんです。だから、本当に帰ったんです。もうすごい泣きました。まさか本当に帰るなんて思ってなかったんでしょうね。「でもさっき約束したし、帰るって言ったからもう帰る」って言って。本当は私も、心で泣いてたんですよ。だってお腹ペコペコで、もうごはんが運ばれてくるところだし、お店の方にも迷惑だし、お会計もして、お店の方もビックリですよね。だけど「この子の教育のためだ」って心で思って……。もうぎゃんぎゃん泣き喚くこどもを抱えながら、お金だけ払ってお店を出て、こどもに「帰るって言ったから本当に帰ったんだよ」って……。それから「もうやめて」「騒がないで」って言ったらちゃんと聞いてくれるようになるんですね。だから「こどもって言ってもわかんない」じゃなくって「言うとわかるんだなあ」っていうのが私の得た経験でした。「やってほしいことをやってもらう方法」じゃないけれども「やめてもらいたいことはやめてもらえる方法」かなと思います。
やって欲しいことをやってもらうためには、褒めることなのかなと思います。母と私の交換日記で、母に褒められたくて一所懸命やっていたことを振り返って思うと、母は褒め上手なんですよね。ちょっとしたこともすごくいいように捉えてくれる。そうすると、もっともっといい子になろうと思うんですよね。ただ褒めるってすごくテクニックがいることなんですよね。いいところを見つけて、それをいかに褒められるか。これはいまの私の課題でもあります。そうすることで、絶対生活って楽しくなるんですよね。だからそういうところを、自分でどんどん見つけていこうっていうのはあります。そうすることで、楽しい家庭になるんじゃないかなって思うんですよね。

フェリシモ:
何か具体的にこういうことをやれる子になってほしいな、みたいなことはありますか。

奥山さん:
やっぱり人の気持ちをちゃんとわかってくれる子になってほしいですね。

お客さま:
奥山さんは、すごくイキイキとして美しいなって、かわいいい方だなって思いました。ご自身のその美しさを保っておられる方法がございましたら、教えてください。

奥山さん:
光栄です。私は特に日常で何かこれをやっているということはないんですけれど、多分ノーストレスですね。胸に抱えている心配事とか不安が多分ほぼないです。というのは寝たら忘れてしまうという、お得体質もあります。多分私はそんなに器用じゃないんですよね。子育ても、家庭でのお仕事も、こうしてみなさまとお会いできるこういった機会とか、テレビに出させていただくお仕事とかいろいろあるから、いろいろ楽しめるからお得だったりするんです。いろいろな世界の楽しみを私は得ることができるから、本当に得しているんですよね。逆にこどもだけを育てるとか、家事だけをするっていうことの方が苦手なんじゃないかな? いろいろ体験できて、いろいろな楽しみをそれぞれの現場でいただけるからこそ、人生5倍も6倍も楽しめているような気がします。なので、毎日がしあわせだし、いろいろなところで元気もエネルギーも楽しさもいただけるからこそ、逆に多少失敗とか反省すべき点とかがあっても、帳消しにできる。元気の体力が蓄積される、その楽しいバイタリティーがすごくあります。だから多分頑丈ですね。それは主人のお陰だったり、こどものお陰だったり、友だちに恵まれたり、みなさまにこうやってお会いできる機会があって、いますごく楽しいんですね。
あと、これはちょっと2年位前から実践していることなんですけど。やっぱりどうしても凹むときってあるじゃないですか。いちばんつらいのは空腹時ですね。
(会場:笑)

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私が後ろ向きなことを言うときはたいていお腹が空いているときなんです。なので、そういうときは、食べて……。それで95%くらいはなんとかなるんですけど。それでもやっぱり蓄積していってしまう負のパワーっていうんですかね。どうもなんかうまく回らないっていうときってやっぱりあります。そういうときは、マイナスな物にばっかり目を向けちゃってるからなんですよね。というのは、実はさっき私が言ったみたいに、いつも身の回りには、楽しいこととか、ツイてることとか、ラッキーなことって実はいっぱいあるんです。それを数えるんですよ。数えていくと、初日は3つだとしたら、次の日は絶対3つ以上なんです。これすっごいおもしろいんです。自分でラッキーを見つけることができると増えるんですよ。数えて書いていくんです。例えば、こんなこと書き留めていいのかな? くらいのことでいいんですよ。「エレベーターがすぐ来た」とか超ラッキーです。あとは「コンビニでお財布の小銭が全部出せた」とか、ってたまにあるんですけど、あとは「信号が歩いていて自然に青になった」とか、またコンビニですけど「777円になった」とか、ありますよね? 気持ちがいいとき、それを書き留める、結構これが増えていく。で、楽しいんです。手帳にちょっと書いていく。そうするとどんどん増えて「私の日常ってこんなに楽しいことだらけだったんだ」ってなると、今度は見つけるのが得意になってくるんです。「木もれ日がきれい」とか「すんなり電車に乗れた」とか。こうするともう完全なラッキー体質になって……。ラッキーって絶対数えれば増える。で、実はそういうツイてる毎日の中で生活しているということを、みんなにもっと気づいてもらえたら、みんなもっと楽になれるなあって思っています。

フェリシモ:
最後に神戸学校事務局からの質問です。今年のテーマは「あこがれのあの人とともにかなえる夢」です。奥山さんの周りには、そのお考え、人柄に惹かれて多くの人々が集うと思います。地域でのご活動「HAPPY TOYS PROJECT」の活動にも多くの方々が集ってくださいました。さきほどのお話の中でも「世界中のこどもたちが笑顔でいられるようにしたい」とおっしゃっていました。では、この世界中のこどもたちを笑顔にするために、私たちひとりひとりが、どのようなことを心がければよいのでしょうか。

奥山さん:
ゆくゆくはひとりの思いとか、ひとりが思った形が世界中に広がっていくといいなって思うんですよね。でもそれはやはり、ひとつひとつのことかなって思うんです。小学校のPTAさんに企画書を出して、小学校全体でぬいぐるみを作ることができて、ぬいぐるみのひとつひとつの顔が違うぞうさんを見ながら、これを作ってくれた方の気持ちを想像したりとか、そのぬいぐるみが、世界中のこどもに渡ることを想像したり、そして胸があったかくなったり、そのあったかい心のうまい循環の中にいさせていただいて、その体験をさせていただくことができて……。そんなこどもをやっぱり笑顔にするには、やはりママがまず笑顔であることが必要なんだなって思いました。世界中のこどもをいっぺんに笑わせることはもしかしたらむずかしいし、不可能かもしれないけれども、例えば、ひとりでも多くのお母さんが笑顔でぬいぐるみを作って、その笑顔で作ったぬいぐるみが、こどもたちの笑顔に繋がっていくのと同じように、ぬいぐるみも、自分の気持ちが滅入っていたら作れないと思うんですよ。心に笑顔があるから、実際にニコニコとしていられるから、そういったやさしい気持ちが芽生えて、ぬいぐるみが作れると思うの。私たち大人、私たち親がまず笑顔で世の中を過ごしていること、それが多くのこどもたちの、ゆくゆくは世界中のこどもたちの笑顔へと繋がっていくのかなと思いますので。私たちおとな、ママ、パパがまず楽しもうと思っています。そういった世の中になっていってもらうといいなと思うし、まずはその世の中の一員である私が、毎日を思う存分楽しもうと思っています。これがこどもたちにも伝わることを願っています。

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Profile

奥山 佳恵(おくやまよしえ)さん<女優・タレント>

奥山 佳恵(おくやまよしえ)さん
<女優・タレント>
*プロフィールは、ご講演当時のものです。
1992年、映画「喜多郎の十五少女漂流記」で主役スクリーンデビュー。その後、数々のドラマ、バラエティ番組、舞台などで幅広く活躍。2001年に結婚、2002年に長男を出産。現在は、東海テレビ「ぴーかんテレビ」、NHK「生中継 ふるさと一番!」 、TOKYO FM「あぐりずむ」などに出演中。2007年初エッセイ集「眠れぬ森の育児」(主婦の友社)を発表。ブログでは自身のイラストも披露している。
http://ameblo.jp/okuyama-yoshie/

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