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神戸学校はフェリシモが主催する「神戸発 生活デザイン学校」です。

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「心のリミッターをはずしてみよう ~面白いことをやってもいいんじゃない?」



<第1部>

荒井 良二です。名刺は持っていません。
絵本作家と言われていますが、ワークショップ、ライブペインディングで大きなキャンバスに手で絵を描いたりもします。

(荒井さん:ドアを開けるジェスチャー)

荒井良二さん講演風景

疲れたな、今日も。疲れた、疲れた。まあ、ちょっと、誰も見てないし、のんびりしようかな。ひとりっていいな。あとでゆっくり洗濯物をたたもう。狭いながらも楽しい我が家。窓をあけようかな、ちょっと待てよ、こっちの窓を開けよう。ガラガラガラ。ああ、いい気持ち。こっちも開けようかな。待てよ、その前に、ぐびぐびと何か飲もう。誰も見てないし、鼻ほじっても誰も見てないし。ねー。ひとりっていいなあ。寂しい時もありますが……。

(荒井さん:飲み物を飲む)

お酒だ! そんなわけないか。独り言っていいなあ。さあ、そろそろ窓を開けようかな。ガラガラガラ。「わー」って感じだね。

荒井 良二と申します。

(会場:拍手)

長い前ふりでしたね。こんな予定はなかったんですけど、そんな感じかなあと。改めまして、どうぞよろしくお願いします。
絵本作家と紹介されることが多く、何も問題ありませんが、「絵本作家なのかな」って自分でも思ってて、職業というのはなかなかむずかしいなと考えておりまして、ひとつのことだけをやり通すんじゃなくていろいろなことをやりながら、絵本をつくるというスタイルをとってきたんですが、何年も同じことをやっていると、「お前絵本作家だろう」というふうに言われて、絵本作家っていうふうになっていますが、僕としてはなんでもいいんです。僕、名刺つくったことないんですけど、紙だけ買って来て名刺代わりに……。
なぜかイラストレーターという職業になってしまって、打ち合わせに行くと、コピーライターとかADとか10人くらいいらっしゃって……。その時に渡す名刺がなくて、なぜ名刺がないかというと、肩書きを決められなかったので、名刺を印刷できなくて、じゃあ書けばいいだろうということで、その場で書いていたんです。10人もいると大変なんですよ。もう打ち合わせの話なんて聞いてられないんですよ。喜ばれるかなと思って、1個1個絵柄も変えて、描いていたんです。だんだん忙しくなり、それもままならず、打ち合わせの前夜に名刺をたくさん書いて持っていったという、それが僕の名刺なんです。だから、一度も印刷したことがないんです。

なので、これ(映像)が名刺代わりということで……。NHKの連続テレビ小説『純と愛』というのをやったんですよ。タイトルバックをつくっていたので、流していただけますか。

(映像)
『純と愛』オープニングタイトルロングバージョン

なつかかしいね。おもしろい? よかった、持って来て。見たことある? ない? 毎日見た? これ、当然脚本ができあがっていない状態のころにつくって仕上げているんです。ドラマの結末を全然知らすにつくっています。ディレクターの人と打ち合わせをしながら「こういうふうになるはずだ」と言ってつくりました。

あとはライブペインティングも多くやっています。大きなキャンバスに手で描きます。先週も、静岡県三島の美術館で、ライブペインティングをやってきました。その前は黒田 征太郎さんという大御所とふたりで東京でダブルライブペインティングということでステージにキャンパスを貼ってやってきましたけれど、黒田さんとさせていただくのは初めてだったので、とてもうれしかったです。そういうライブペインティングをどんなふうにやっているのかを紹介します。森山 直太朗くんの曲のプロモーションビデオ用に撮影したもので、森山 直太朗くんの歌をバックに私が描いています。これは森山 直太朗くんから依頼されたんです。「荒井さん、お願いできないですか?」って。だから「いいよ。出る出る」って言って、役者で出るのかなと思ったら、「絵描いて」って言われてがっくりしたんですけど。スタジオに大きなキャンパスを組んで、森山 直太朗くんの歌をバックに、ライブペインティング3時間続けたやつを、パラパラパラっていう早回しでやってるんであっというまに終わるんですけど、それも名刺代わりにご覧いただきたいと思います。

(映像)
「花鳥風月」森山 直太朗

ほらほらほら、こんな早いんだよ、俺。これは、みんなこちら側に森山 直太朗さんやスタッフがいて、やんややんや声かけてやってんです、実は。最初の絵に戻ったところです。最初、ここから始めたんです。3時間も描いています。

荒井良二さん講演風景

大概大きなものはこういうふうに手で描いています。子どもたちとワークショップをやって塗るというワークショップをやったんですけど、最大10メートルの大きさのキャンバスでやったことがあります。さすがに、絵描いてるどころじゃなくて、もうなんか年末の大掃除って感じですね。ぞうきんやモップでゴシゴシやったり……。だんだん疲れてくるので、缶に絵の具を溶いてばしゃんばしゃんとやるわけですよね。そうすると子どもたちが「僕もやりたい!」「私もやりたい!」ってみんなでやるわけです。なかなかこういうこともやれないだろうし、まあいいだろうと思って、やらせたりしますが、缶に絵の具を溶いてやっています。あれって意外にぶつけられないんですよね。「ぶつけるぞ~」って気持ちは大きいんですけど、「ぽしゃん」みたいな感じなんです。やってみるとわかると思うんですけど、やるチャンスはなかなかないと思いますが……。そんなふうに子どもたちとのワークショップもたくさんやっています。

僕の日常というのは、ライブペインティングをやりながらワークショップやって、ほかのテレビの仕事とか、ポスターの仕事とか、イラストレーションの仕事をやりながら、絵本に戻ってくるというサイクルがあります。だからひとつのところにずっと、じっとして仕事をするというタイプじゃなくて、いろいろなところで仕事をしながら、どこかで休む。休むというか……、休む時が絵本というのも変ですけど、何かそういうサイクルになっていまして、そういうサイクルで絵本を捉えています。だから絵本のことばかりを考えて、生活しているかというと、絵本のことなんか何も考えずに、ほかの仕事をしていまして、絵本のアイデアは何も考えていないです。生きているとか生活しているとか、僕が一所懸命動かなくても世の中がぐるぐる動いているということに気がつくと、世の中とコンタクトをとることでいつのまにかインスパイアされたり、影響を受けたり、怒ったり、笑ったり、悲しんだり、最近は怒ることばかりですが、そういうものをいただいて咀嚼してそれが僕の絵本に注ぎ込まれて行きます。それを、絵本の真ん中にいる人たちから見ると「そういうやり方はどうか」というふうに言われることもあるんですが、僕は絵本作家として絵本をつくってわけでもなくて、まあ、モノをつくる荒井 良二っていう人が絵本をつくるとこうなるよという……。今、荒井 良二が絵本をつくるとこうなりますということを提示しているだけであって、もしかするとプロの絵本をつくるっていうやり方じゃないのかもしれません。
プロの仕事というのは「答える」仕事だと思います。答えなきゃならないんです。きちんと応えるのがプロだと思います。俺のやり方で絵本をつくっていると「答える」というよりは、「問いかける」というスタイルになってしまっていて、答えが状態で、答えを考えてくださいという、考える絵本になってしまっていて、それが苦手だという方もたくさんいらっしゃって、いろいろなご意見をいただくんですが僕はそのスタイルを壊すことなく、問いかけながら絵本をつくりたいなと思っています。だから、冒頭に言った絵本作家であるかどうかの判断は、プロとしてきちんと答えるという絵本は僕はつくってないですよね。もちろん、出版社の人には、答えるべく力を注いでいると思ってますが。どちらかというと僕の方が問いかける、答えを探してくださいと投げかけているようです、どうやら。それで、まあいろいろな仕事をしていますが、こういう展覧会の様子も見てください。

(スライド)
これは山形の山形市立第一小学校の旧校舎です。2年に一度やっている展示です。ここは、重要な建物らしく、ピンもテープもダメ。それで、展示してくださいというお願いがありました。すごいですよね。答えますよ、僕は。「いいですよ~。ピンも打ちません、テープも貼りませんよ」、で、こうなるんです。キャンバスの絵は小学校の小さないすや、段ボール、ブロック塀の上に置いて、こんな感じで展示しています。それで、またご意見もいろいろいただいて……。美術品というか絵画というものをこんなふうに扱っていいのかというご意見もいただきまして……(苦笑)。ありがたく拝聴させていただきまして、僕の展示はこういうふうに意図的にやっていますのでと説明しています。

(スライド)
これは小学校で子どもたちとやったワークショップです。これも作品なんですが、NHKのセットを手でつくりました。小学生のみんなで、展示しているところに自分の作品をつくって置いてくるというワークショップをやりました。僕の作品の隣に置いたり、キャンバスの裏に置いたり、とかしました。

(スライド)
これは山形県の北国の小学校なので、冬のストーブのために地下に、石炭貯蔵庫があったんです。そこを真っ暗な状態にして懐中電灯を持って歩いてもらうという展示なんです。ここをビニールとか布とか、ぶよぶよしたやつとかいろいろな素材で大きなのれんをつくって、そこになぜかそこに接続詞が書いてあって、「ところが」とか「それから」とか、ずっと接続詞ののれんをくぐっていくわけですよ。20メートル近くある廊下を歩きます。
去年はバージョンアップして、クマの乗り物をつくりました。石炭だから、トロッコをつくりました。トロッコに乗って、クマのクウくんがまあチャンに会いに行くという設定で、懐中電灯を持ってのれんをくぐっていくと、本当のクマの剥製が待っているという、本当に怖くて……。お化け屋敷をつくろうと思ってやってるわけじゃなくて、ちゃんとホテルのロビーみたいにスポーツ新聞を置いたり、花笠音頭の花笠飾ったり、なんちゃってホテルのロビーみたいな感じで、クマの剥製なんかを置いてあるところあるじゃないですか。そういうディスプレイをしました。

荒井良二さん講演風景

(スライド)
これは、小学校の廊下が非常に立派な廊下だったので、「これボウリング場だとう」ということで、ボウリング場にしたんです。竹職人の方に大中小のボウルを編んでもらって、僕がなんちゃってボウリングのピンを木でつくりまして……。絶対倒れないんです。相当でかいんですよ。職人さんに木を削ってつくっていただいて、ペイントしました。すべて展覧会をつくるワークショップということになっていまして、ここに、関わる学生、ボランティアを募りまして手伝ってもらって、一緒に展覧会場をつくり上げる、展覧会をつくるワークショップというのも同時にやっていると思います。「ここがボウリング場だよ」と言わなくても、子どもたちももうボウルに触っています。

(スライド)
これは、砂場オルガン。教室に砂場があってもいいだろうということで、教室を砂場にしたんですけど、もっと大きな砂場をつくる予定でしたが、いろいろな予算が限られていまして……。それでも、これ結構大量に砂を使っています。抗菌の砂を買ってきました。大スピーカーがあるんですけど、これも小学校の備品で使えるスピーカーは残っていて、使えるものは使っちゃおうということで俺がオルガン弾いた音が1日じゅう大音量で流れているんですけど、子どもたちは平気で遊んでいます。
というふうに、「山形ジャーニー」という展覧会、去年は街の中に出て、カメラを持って映像ワークショップというのをやったりしました。また来年も「山形ジャーニー」をやります。山形だけのものですから、なかなか「見に行ってください」とは言いにくいのですが、こんなこともやっているということもお知らせしておきたいと思います。

参加型と言えば、参加型ですよね。去年は表にすごく大きなすごろくをつくったんです。「山形すごろく」。山の稜線がひいてあってそれが黄色、ピンクなど6色くらいに別れていて、大きなサイコロも6色に別れていて、子どもたちは自分でルールをつくって遊んでいました。驚きますね。大人は、「どういう意味があるんだろう?」あるいは「これをやったらどうなるの?」効果を知りたがり、聞かれるんですが、子どもたちには、そういう意味っていうのが見えてるんだと思いますけど、子どもたちは、意味に至るプロセスを非常に豊かに広げられる才能を持っている時なんだと思います。大人はそのプロセスをはしょって、意味、結論を求めたがる。「これをやるとどうなる?」「やってどうなんですか?」と言うわけ。「わかんない」とか言うんですよね。でも、子どもたちは「わかんない」というところに到達する前に、自分たちで遊びを発見し、遊びの領域をどんどん広げていく力がありますよね。結論とか意味とか、それは二の次、そんなふうに遊んでいるような気がします。大人はなんだか急いでいますからね、早く知りたい、でも、その知るまでのプロセスが相当おもしろいのに、それを見ずにまっすぐ直進してゴールしたい、その気持ちはわかりますが、おもしろいのはプロセスですね。

荒井良二さん講演風景

絵本のワークショップもいろいろやっています。NHK教育テレビででもやるんですよ。10、11月に放送されます。タイトルが『趣味doラク』という番組です。昨日も夜11時までスタジオで収録していました。生徒さん2人がいらっしゃって、「こうやったら絵本をつくれるんじゃないか」というプロ向けのノウハウじゃなくて、まったくの一般の人、絵なんか描けない、だけど絵本つくりたいという人のための講座にしました。それで、画期的だと言われましたが、新しいことをやらないとおもしろくないんで……。誰でも到達できる絵本の入り口、タイトルは『荒井良二の絵本ジャーニー』。最近はなんでも「ジャーニー」つければいいかあってな感じなんですよ。テキストも販売されるみたいなので、興味のある方は……。ただ、手づくり絵本とは違います。「こういうふうにしたら製本がきれいになります」とかそういうのではないです。どういうふうにしたら、絵本ってつくれるんだろうかということを9週に渡って、ワークショップ形式で、生徒さんにやってもらう、で、僕も一緒につくる番組にしました。そうしたら、俺の負担も結構大きくて(苦笑)。つくってるとしゃべんなくなるじゃないですか、そしたら「荒井さん、つくんないでください」とか言われて……。3人でシーンってなってつくっています。
おふたりが毎回つくって発表して終わる、そして2ヵ月という短い期間ですが、最後に卒業制作を発表して終わります。プロのつくり方ではないけれど、プロになりたい人にも通用する番組になっています。本のつくり方って、プロの絵の教え方と一般の方への教え方と、さほど違いがないんですよ。だから、アマチュア的な入り口を通過していただいて、誰でもつくれる絵本のつくり方をお教えするんです。本当にプロになりたい人が見ても、なんら不思議はないワークショップになっています。気がつかれる人は気がついてくれると思います。
プロになりたい方もそうでない方も楽しめる番組、絵本に近づける番組になっていると思います。

荒井良二さん講演風景

さきほど、「絵描くの苦手だ」って声が客席から聞こえましたが、いいよね。幼稚園の先生に「今の子どもたち、絵を描かなくて困る。どうしたらいいですか」って相談されたんですが、「描きたくないなら描かせなくていいじゃん」って返したんです。「徹底的に描かせなきゃいいじゃん」って(笑)。そうすると描きたくなるかもしれないし……。後半で、絵というものに近づくワークショップをやってみたいと思います。
今日初めてやります。今日来て、今日決めました。現場に来てみて「会社の備品とか、ないですか?」と聞いたら、布がたくさんあったので、布を使ってやってみたいなあと思います。初めての試みでちょっと不安ですけど、楽しみです。ワークッショプに参加するみなさまを募集しています。お気軽にご参加ください。
あと、今日お渡しした紙に、「子どものころに好きだったもの」を書いてください。子どもたちは今好きなものを書いてください。休憩時間に集めたいと思います。意外なものが出てくるので、ご協力いただけるとうれしいです。

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<第2部>

荒井 良二さんワークショップ。
たくさんの布を使って、「絵本みたいなもの」を!

あ~疲れた。ガシャガシャガシャ。「ただいま」なんて。

(荒井さん:ドアを開けるジェスチャー)

えーっと、まあ、何かやってみたいと思います。布がたくさんあるので運んでもらえますか? 反物もある? いいですね。

荒井良二さん講演風景

この布で、「絵みたいなもの」をつくりたいなと思います。「絵、みたいなもの」比重は「みたいなもの」に置いています。絵本も、「絵本みたいなもの」が俺、好きなんです。これで、「絵みたいなもの」をつくりたいと思います。子どもたち、大人も「もう入っていいよ」と言ったら、来てください。誰もいなかったりして(笑)。考えているヒマないなあ。みんなでつくるか? みんなで、とにかくいっぱい布の上に広げよう!

(荒井さん:紐状の布をどんどん広げていく)

これすごいなあ。大人も子どももよかったら上がって来てください。

(会場の子どもたち、大人のみなさん:壇上に上がって、布の紐を触っている)

みんな、グレイのところを隠そうよ。で、真ん中に大きな船をつくろうよ。で、海をつくろう。船の先端はここね。こっちが空だね。こっち宇宙だな。これかっこいいね。あんまり具体的にするのはやめよ。もうちょっと伸ばせない? 黒いのかっこいい。これしまって。これはアクセントにしよう。これエントツなんだよ。煙が風になびくんだよ。おお、いいね。最後はグレイを隠してね。

荒井良二さん講演風景

(しばらくみなさんでワークショップに夢中!)

あと、カモメとかサカナ? あと、海の中は、あまちゃん!? 全部が海で全部が宇宙ね。宇宙だから青いの? つまんないなー。そういうのやめような。ボリュームほしいね。これはもったいない使い方だね。ここは、結ばなくていいよ。いいね、このマル。その赤大事にしたいなあ。俺、最後に使いたい。下、ほどいて。

はい、ありがとう。あとは俺が仕上げます。

フェリシモ:
たくさんのみなさん、ご協力ありがとうございました。

荒井さん:
ごめん、俺描き直すね。

(荒井さん:仕上げに取りかかる)

終わりました。

(会場:拍手)

いやいやいやいや。時間かかりました。ここ置いたの誰? すごくかっこいい。短い時間でしたが……。「船をつくろ」って言った時に、やっぱり、水色が海、ブルーが海って当然ですよね。間違いない、ただ絵を描く時にはその保有色が邪魔になったりします。水色はこの作品の中にはこれ(青い布)しかなくて、これがしかもタテに置いてある。「これ、どうしたらいいの?」という感じなんです。で、「海と宇宙を一緒につくってくれ」って言ったんだけど、子どもたちは、「ここは青いから宇宙にしよう」って言ったんです。それはなんの問題もないんです。でも、どうしても保有色にとらわれてしまうんです。木は緑、土は茶色、それはそれで常識ある人間に育つには必要な情報かもしれませんが、絵を描く段階に置いて、その保有色をちゃらにするんです。解体するんです。水の色が水色でなくてもいいとなってくるんです。いろいろな理由で、いろいろな色の海があったり、黄色い宇宙だってありだよなというふうに考えていくのが、絵を描く、モノをつくる人の考え方なんです。だから保有色が悪いんではなくて、そこを一回解体して再構築するのがモノをつくる人の考え方ですよね。だから海の色は水色というのは、モノをつくる人の中には、ないわけです。ありますが、一回解体されているから集めて集めてつくったら、「今日は銀色だよ」っていうふうな感覚ですよね。でもどうしてもモノが持つ形、後ろにハンガーをかけるものがありますが、ものの見事に四角になっているという、ね、おもしろいね。それを線を1本引くことによって何か空間を支配できないかと思って、糸をぐるぐる巻いてみました。これをもっと進化させると、おもしろいかなと思います。

荒井良二さん講演風景

福岡のアジア美術館というところで、子どものワークショップをやったんですけど、そこにロープがたくさんあるっていうので、ロープを使ったワークショップをやったんですよ。天井からいっぱいロープを吊って、今日みたいにハンガーを吊って、そこにロープをかけていく、リボンをかけていくというワークショップです、ただ、それだけのことを彼らに伝えたら、彼らはロープをひとまとめにしたんです。そしたら、ロープが木の幹みたいになったんです。でもそれは、「ロープの木」をつくるワークショップではなく、ロープで遊んでいたら木になった。つまり何かつくる目的があって作業するのではなくて、作業しながら目的物に到達するというそういうワークショップなんです。
往々にして俺のワークショップはそんなものなんです。だから最初から何かをつくろうというのが、俺のワークショップです。今日は時間ないから「船」って言っちゃったんですけど……。まあ、こんな感じで遊んでみました。ありがとうございました。

(会場:拍手)

フェリシモ:
カードもたくさん集まってきました。

荒井さん:
失礼だから靴脱ごうかな。あ、最初に戻った(笑)。あー疲れた。ガシャガシャガシャ。

(荒井さん:ドアを開けるジェスチャー)

相変わらず、うち散らかってるなあ。なんか、洗濯物増えたなあ。よし、まあ、ひとりでゆっくりこたつに入って……。(笑)じゃあ、ひとりだから音楽でも聞こうかな。

子どものころ好きだったもの……。
(荒井さん:カードを読み上げる)

絵本、リカちゃん人形、庭の木に実るグミ、パンダのマスコット、布、暖炉、シール、ひまわり、もんちっちモンチッチ、マスカット、おばあちゃんの手づくりのランドセル、白いネコのぬいぐるみ、みーちゃん、おたまじゃくし、プリンセスプリンスプリン、あんぱん、田舎でする花火、ファミコン、裏が白いちらし、コマ、リンゴ、ブドウ、人形

コアラ、ちくわ、オーバーオール、釣り針、塗り絵、百科事典のサカナのページ

スノードーム、屋根の上で寝転ぶこと、石、箱、水玉模様の三角フルーツ牛乳

虫、ミニカー、川、おもちゃの電車、チキンラーメン、お父さんお母さんのひじ

自分の部屋、ウサギのミミちゃん、キリンパン、小人、ポプラの葉、おはじき

ピンクのリフビのクマ、おはぎ、折り紙、うさぎのぬいぐるみ、光っているもの、マミの母が子どもの時につくった人形、人形、ネコ、ガソリンの匂い、小石、盆栽、ウルトラマン、祖父母の家、ドキドキ、晩ご飯のできる直前にごろんと寝転んで見上げた月、銀のサジ、お絵描き人形、竹のカゴ、消しゴム、ウルトラアイ、UFO、虹、雪ウサギ、クッキー、お菓子の空箱、キャンディキャンディの人形

紙芝居、スーパーボール、トッポジージョの人形、チョーク、本、ミクちゃん人形とそのアクセサリーたち達、ペンギン、浮き輪、悪魔君、ストロー、毛布のはしっこ、レゴ、着せ替え人形、犬のぬいぐるみ、ベルサイユのバラ、ピカピカの泥団子、動物のタオル、ひよこのマスカット、犬、犬、エレクトーン、うさぎのぬいぐるみ、もんちっち、斜め向かいのともちゃん、3年2組の仲間たち達、粘土、バッタ、グリコのキャラメル、トッポジージョのタオルケット、ブランコ、本、紙芝居、マッチ棒、運動靴、バイオリン、ジュース、着せ替え人形、ビビ、ファミコン、くたくたのタオルケット、少女漫画リボン、漫画、ワニ、叔母のつくったワンピース


ブランコ、落書き帳、アヒル、トミカ、切り出しナイフ、砂の団子、イチゴ、お祭りで買う十字架のネックレス、ひみつのアッコちゃんのコンパクト、リボン、フルーツの模様のスカート、ビー玉、大好きなキューピー人形、宝石箱、古本屋

リカちゃん人形、ムーミンもどきの人形、ダンボ、消しゴム、UFO、白いクマ

アニメ、半ズボン、学研『科学』の付録、小さいもの、虹、ズボン、ピアノ、イチゴケーキ、かかとがピカピカ光る靴、キリンのぬいぐるみ、スイカ、シール、コマ

ウサギ、串カツ、オジギソウ、星、アメの包み紙、外国製100色クレパス、おもちゃの日本刀、こん棒、まつぼっくり、ダンゴムシ、ウサギのぬいぐるみ、星の砂、野球のビール、シルバニアファミリー、妹、黄色いバラの花模様のビスケットの缶、百科事典の動物の巻、カモメのタマゴ。

え?

……ネコのぬいぐるみ、粘土、青虫、カメラ、石、セーラームーン、ベッタン

ピンバッジ、お父さんが新幹線で買ってきたリカちゃん人形双子の弟の人形、キャット、絵、丸いもの、トランプ、イチゴ、ナマゴ? ぽぽちゃん、5歳の時買ってもらった赤い靴、風船ガム、たんぽぽ、ジェットコースター、サンダーバード2号、ローラースケート、自動車、マジンガーゼットの基地に組み立てたタンバリン、花、レゴ、ソフトクリーム、フラミンゴ、アイスクリーム、クマのぬいぐるみ、ビックリマンシール、イルカ、原っぱ、空、電池を入れたらワンワン吠える犬のおもちゃ、梅吉、犬のぬいぐるみ、カーペットのふさふさ、とうもろこし、ぬいぐるみのみーちゃん、錆びたヘアピン、ぬりえ、漫画の本、シルバニア人形の家具、ガーゼのブランケット、お母さんの首のほくろ、ニンジン、ドラえもん、ミニーちゃんの人形の花、シルバニアファミリー、シルバニア、かっぽれ、だんごむし、ホットケーキのシロップ入れ、カメ、食器のおもちゃ、ファミコン

ベロアのワンピース、ビー玉、カチューシャ、ドラえもん、荒井良二さん、ラジオカセット、かわいい貯金箱、レゴ、ふわふわがパッケージ、レモン、10個セットのおもちゃの指輪、アポロ宇宙船、クリスマスケーキに乗っているサンタ、1つだけ宝物を入れたバッグ、メロンパン、草野球に使用するソフトボール、タイガーマスク人形、どんぐり、キラキラしたネックレスとか石、犬、枕カバー、ティモテ、着せ替え人形のお洋服、光っているもの、石とかガラスとか。
子どものころころ好きだったもの。

箱、石、屋根の上で寝転ぶこと、スノードーム。
子どものころ好きだったもの。

キリンパン、叔母のつくったワンピース、枕カバー、お母さんの首のほくろ。

子どものころ好きだったもの。
錆びたペアピン、空、まあるいもの、ピアノ、小さいもの、古本屋、3年2組の仲間たちー!
子どものころ好きだったもの。

荒井良二さん講演風景

斜め向かいのともちゃん。ともちゃーん!(笑)

子どものころ好きだったもの。

消しゴム。

子どものころ好きだったもの。

銀のさじ。

子どものころ好きだったもの。

毛布の端っこ。

子どものころ好きだったもの。

カーペットのふさふさ。

子どものころ好きだったもの。

お母さんの首のほくろ。

おしまい。

(会場:拍手)

こうやって書いていただいて、具体的なもの抽象的なもの、自分に関わることでもあるんだろうけど…。「3年2組の仲間たち」っていうのもよかったし、最後に読んだ「お母さんの首のほくろ」それもかなりやられました、よかったです。距離感なんですよね、抱かれている時なんでしょうね。顔は見えないけれど、首とか耳とかうなじとか、そういうところが鮮明に記憶されているんでしょうね。すごく大事な記憶だなって思います、においとかも。そういうものって、思い出しはしないけれど忘れもしないものですよね。そういう豊かなものを僕らは子どものころにたくさんもらっていて、大事に大事に、箱に入っているような気がします。それを時々、開いてみたい、開かせたいみたいな、そんな気持ちもあるものですから、ワークショップやってみたり、絵本にちりばめたりするんですが、直接的に声高に言うんじゃなくて、気がつく人だけ気がつけばいいなと思っています。そんなつもりでものをつくったり考えたりしています。子どものころのにおいとか、そういうものはどうやって表現したらいいんだろうっていうのをいつも考えています。今日はありがとうございました。

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Profile

荒井 良二(あらい りょうじ)さん<絵本作家>

荒井 良二(あらい りょうじ)さん
<絵本作家>
*プロフィールは、ご講演当時のものです。
1956年山形県生まれ。絵本の制作を中心に、イラストレーション、小説の装画、挿絵、広告、舞台美術、アニメーションなど幅広く活躍中。NHK連続テレビ小説「純と愛」のオープニングイラストも手がける。
『ルフランルフラン』で日本絵本賞を、『たいようオルガン』でJBBY賞を、『あさになったので まどをあけますよ』で産経児童出版文化賞・大賞を受賞するなど受賞多数。
2005年には日本人として初めてアストリッ ド・リンドグレーン記念文学賞を受賞。

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