神戸学校

神戸学校はフェリシモが主催する「神戸発 生活デザイン学校」です。

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「いかに考えるか? イノベーションのための思考方法」



<第1部>

(スライド)
「80minits」

みなさま、よろしくお願いします。せっかくの機会なので、僕の持っているナレッジをできるだけダウンロードしていただきたいと思います。183枚のスライドを用意しました。多分、神戸学校始まって以来のスライドの数の記録だと思います。

(スライド)
「40me work life /40innovation」

前半は僕の仕事とどういう人生を歩んできて、そこの乗り切り方、後半は僕の得意のイノベーションのやり方をお話します。僕にとっては今回自分のことをしゃべるということは初めてのチャレンジです。前半はドキドキしていますが後半はスムーズにいくと思います。僕の仕事の紹介、ここはよくやっているので大丈夫なんですが、キャリア、どんなふうにしてこんなことに付き合ったのかということ、それからいちばん最大のむずかしいところの生き方の説明をしていこうと思います。

(スライド)
「shift →」

「僕の仕事」ですが、いろいろな説明があるんですが、ひと言でいうと「shift →」です。←(矢印)です。で、どんな←(矢印)の方向かと言うと、普通の人が考える方向だとか、普通の人のやり方とちょっと違った方向に、ある物事を動かしていく、これが僕の仕事です。←(矢印)が大きすぎるとお客さんが「大き過ぎる、怖い」と言うし、小さ過ぎると「そんなに小さいの?」と言って喜んでもらえないので、ある程度のいい大きさに調整して違った方向にずらしていく、これが僕の仕事です。日本語で言うと「ずらす、変える」ということです。ただあるおもしろい方法で、適度な大きさでずらします。

7つの事例で説明します。

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(スライド)
1つめがUSBのフラッシュドライブ。これは1999年に僕が考えた、まったくないところからつくったものです。当時は「こんなのいらないよ」と言われたんです。インターネットがどんどんのびている時、ネットワークで接続して、情報をやりとりする時代。だから、こんなものに入れてデータをちょうだいとかあげるとか、「こんなものはいらない」というみんなの考えだったところをずらして、手に持ってデータをやり取りする、こういうふうに変える、これが「shift」ですね。

(スライド)
これもさきほどお話したんですが、もうひとつの「shift」。企業に勤めておられる方は毎日使っていると思うんですがイントラネットと言います。それはインターネットと違っていて、企業の中の情報をインターネットを使って交換する。こういう手法を、1993年につくりました。1993年というと、インターネット大好きで、大騒ぎしていた時なんですね。オープンでみんなでただで使う、これがインターネットのすごさだという時に、そうではなくて限られた人間でクローズで使ったらおもしろいんじゃないか、こういう発想でつくったのがイントラネットです。これはいまは世界的になっています。

(スライド)
3つめはヘアドライアー。これもかなり「shift」しています。いちばん最初のマイナスイオンドライアーは水タンクがついているんです。水のタンクがついてイオン化された水が飛ぶことによって髪の毛を守る、これが最初の商品です。これ、かなりむちゃくちゃですよね。髪の毛を乾かすものに水を入れて飛ばす、電気製品に水を入れる、これはかなり「shift」ですよね。これがうまく当たって、猫も杓子もマイナスイオンドライアーの時代です。

(スライド)
これはトリッキーなケース。キャンプ用品のメーカーがある時、アメリカで「火災報知器をつくりたい」と言い出したんです。ほとんどありえない、絶対に成功しないんです。ところが実際にどういうふうになったかというと、1年目にマーケットの40%のシェアを取りました。ビジネスに詳しい方が見られると「ありえない、新規参入で全然関係ない人たちが40%のシェアを取るなんてありえないよ」と。しかしこれを成し遂げたんです。これも「shift 」があって、ライバルがたくさんいる中で、こんな機能、あんなデザインがやってる中で、全然違った発想で商品開発したんです。それは、例えば部屋別のコンセプト、この煙探知機は廊下用、寝室用、キッチン用など部屋別の火災報知器をつくりました。そうすることで引っ越した人が、私の家は3ベットルームでキッチンがひとつで、廊下は長い、寝室の探知機が壊れた、赤ちゃんが産まれたから守りたい……。これで一気に40%になりました。これも大きな「shift 」でアメリアでは有名になっています。

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全然違う商品なんですが、特にアメリカのアニメーションスタジオでいま必須の商品にされているタブレットです。僕の企画で、去年から発売されています。何が大きな特徴かというと、大きな画面に手で操作しながら、アニメをつくっていくんです。すごく大きな画面なので動きにくいんです。動くわけがないという人もいるんです。これをものすごく大きな動き、極端な話、寝転びながら書きものができるというぐらい大きな画面がこれが必須の商品に変わったんですね。これも「shift 」ですね。

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(スライド)
これは商品とは違う銀行の話です。アメリカの銀行なのですが、こちらが売り上げ高が、2,4倍になりました。銀行界では大きな衝撃になっています。で何をやったかというと、銀行はとにかく早く早くとファーストバンクは特にですね。ところがここはコミュニティバンクなので、まったく逆のスローバンクなんですね。お店の中でゆっくりと楽しむコミニュティと交わる、こういうコンセプトにすることによって、一気に銀行の体系を変えて、売り上げを上げたんです。これも「shift 」です。

このようなことをしています。すごくバラエティがあることを理解してください。

(スライド)
「shift=イノベーション」

で、この「shift 」なんですが、みなさんは「イノベーション」と言います。当時僕は「イノベーション」という言葉は使ってなくて頭の中で「shift 」、「shift 」と言っていたんですが、この5年くらい「それはイノベーションだよ」と言われるようになりました。

(スライド)
「shift120+」

こういうものを「イノベーション」だとすると、僕は120くらい、やってきています。かなりの多くの数をやってきています。多分1人の人間がやった数では、世界でも多いと思います。

(スライド)
「とにかく 様々な分野で新しいものを 生み出しています」

見ていただいたように、それは商品、サービス、いろいろなところでやっています。

さて僕は天才でしょうか?
答えはノー。見てのとおり普通の人です。全然天才ではありません。
なぜできるかというと、やり方があります。このやり方を後半でお話します。
で、僕のことをしゃべらないといけないので、いま仕事をしている場所を紹介したいと思います。

(スライド)
「ziba」

いま「ziba」という会社に勤めていますアメリカのデザイン会社です。ペルシア後で「美しい」という意味の会社名です。アメリカのポートランド、シアトルの少し南です。クライアントは主にアメリカです。ああいう感じの「イノベーション」をつくっています。チームメンバーは120名。22国籍の人がいる多国籍企業です。それから職能がデザイン会社というんですが、48職能、例えば心理学者とか、エンジニアとか、48職の人が、ここで働いています。オフィスもチャンスがあれば来ていただければ……。すごくおもしろくて、素敵な環境の中で働いています。女性も多い職場です。

(スライド)
ここにいるのが僕。背中を丸めて何かを考えている、これが僕の姿です。

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「デザイン会社」

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デザイン会社は世界中に五万とあります。普通のデザイン会社というのは何かかっこいいものをつくる、美しいものをつくる、天才、アートティスがかっこいいものをつくるのがデザイン会社ですね。ところが「ziba」は違っていて、まったく対極にあって、アーティストがいないんです。何十人という別の職能が集まって、まったく違う専門職が集まって何か方法を使いながら、そして物の形ではなくて、例えば先ほどの銀行の体系をつくったり、何かルールを変えたり、そういうことをやる会社なんです。もちろんデザインをする力はあるんで形にできるんですが狙っているところは新しさです。新しいソリューションで、それも天才ではなくて、みんなで総力戦でする。こういうカルチャーの会社です。それが「ziba」です。
僕の生活はどうなっているかというと、世界中のクライアントさんと仕事をしています。
飛行機の上に住んでいるのと一緒です。移動が非常に多いです。去年は地球14周くらいしています。毎月地球を1周するペースです。
最近は日本の仕事が多いので昨年、東京の某ホテルでは、宿泊数1位になりました。
デザイン会社に勤めているのに、たったひとり絵が描けない。まったく絵が描けないんです。ドイツのレッドットというデザイン賞で審査委員になっているんですが絵が描けないんです。

絵が描けない、でもイノベーションを毎日するそういう日々です。
なぜこうなったのかという、いままでの道のりをお話します。

(スライド)
「Panasonic」「ziba」「LUWARR」
勤めた会社はこの3つです。

1つめが「Panasonic」。テレビとかではなくて床、キッチン、トイレとかもつくっているPana Homeも含まれている会社で照明器具とか、ヘヤドライヤーとかマッサージ機とか、22万品くらい品番がある、おもしろい会社なんです。そこで自分のビジネスをスタートさせました。その後、「ziba」を行ったり来たりしたんです。経験としては大きな会社、中くらいの「ziba」という会社、大中小、それぞれのサイズの会社で体験しています。それが僕のビジネスの体験です。

「Panasonic」
まず「Panasonic」に入った時の話をしたいと思います。それがほとんどビジネスの方向性を決めてしまいます。

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「研究(材料開発)」
最初に配属されたのが研究所です。研究職はやりたくなかったんです、僕は企画をやりたくて……。それも車会社に入ると車だけ、とかなので、もう少しバラエティがある方がいいと思ってこの会社に入りました。ところが出身が理科系だったので研究所に放り込まれたんです。何をしていたかというと、瓦の開発です。毎日、瓦からアスベストを抜く実験をしていました。同期からは「瓦職人」と言われていた1年目です。
ただ、ずっとこれをやりながら、僕の上司が「君の興味はほかにあるんだろう。空いている時間でいろいろやっていいから」と言われ、いろいろな会議に出ていろいろな観察をしたんです。会社として何が起きているのか、つかみたかったんです。例えば研究開発会議に出たり、議事録の会議に出たり。役員のみなさんと話をしながら何かきっかけをつかもうと思ったんです。

(スライド)
「concept、decision、direction、excrution」

いまから紹介するスタートがちょっとややこしいんですが、僕の第1のスタートなんです。
まずconcept。こんなものをつくったらいい、と考えると、「どうやってつくる?」、「自分たちでつくるの?」、「他人にまかせるの?」、「どこでつくるの?」、「日本から売り出すの?」というような戦略をつくるんですね。
decisionというのは戦力をつくった時、よさげなプランが出てきた時、どれで行こうか悩むわけです。その中で選ぶことがすごくむずかしい作業なんですが、選んでいく作業があって、最後に実行、これが会社じゅうで起きていると思います。
で、この4つを眺めていると、すごくおもしろいことに気づきました。2つ軸があって、縦軸がまず自由度、どれだけ好きなことをしてもいいという自由度は、このチャート上では右下がりなんです。これは、簡単で最初コンセプトをつくってという時は自由度は高いんです。例えば、照明。最初のコンセプトは自由、新しい照明器具をつくってもいいし、流通の仕方を変えてもいいし、ビジネスモデルを変えてもいいし、何をやってもいいわけです。自由度は高いんです。コンセプトを作り終わった時には自由度は落ちている。当然ですね。こんなものをつくりたいと決まったら自由度は落ちているんです。で、次に戦略をつくるともっと落ちて、戦略から選ぶともっと落ちて、実行していくとどんどん落ちていく。これはすごくあたり前でビジネスというのは自由度を下げていく活動です。最後に実行してもらう時に「よきに計らえ」と投げたら何も起きないわけで、必ずそうやって自由度を下げていくんです。これが当たり前です。
もうひとつ、変なことに気がついたんです。何かというと、力の配分。会社の中でどれだけがんばっても、お金かけても、これが若いころには、こう見えたんです。何かというと実行段階ではすごくがんばっているのに、実は意思決定、決定会議では勘と経験で決めたり、戦略と言っているんだけどむずかしすぎてわからなかったり、コンセプトつくり、例えば他社の機能チャートを並べて、「うちこれが抜けてるやん」という、これがコンセプトづくりだったんです。そんなコンセプトづくりでは新しいものができないじゃないですか。これが僕が最初に書いたチャートで、これはむちゃくちゃ問題だと思うんです。何かというと、自由度があって何を考えてもいい時にがんばらなくて、決まってからがんばっている。

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これを見て、「バカじゃねえか」と思ったんです。ところがひとりひとりの方はよくわかって考えられているんです。バカじゃなくて起きている、これが僕の結論です。じゃあ、なぜ起きるのか、これが僕の人生を決めているところです。
方法がないということです。例えば、実行段階で、例えばフェリシモでやられているような会社の「カスタマーサポートシステムをつくってください」と言ったら、無限に時間を使います。本屋に行って勉強していろいろなベンダーとお話をして……。
ところが前半の方にいって、コンセプト、例えば「ペットボトルを考えてください」と言って僕のチームメンバーに投げます。5分渡すと、5分間はすごく考えるんです。これを1週間の時間を与えると、失速し始めるんです。1年間渡されると、もう考え続けられないんです。なぜなら、やり方がないから失速するんです。僕の仮説は、やり方があるからいっぱい力が使えて、本当は時間をかけないといけないのに、やり方がないから失速するということ。で、何をしたかというと、そのやり方をつくっていこうと、入社3年目に決めて攻めていったんです。で、意思決定に関わること、戦略に関わること、コンセプトに関わること、こういうふうに攻めていきました。

(スライド)
「戦略投資分析」

最初、投資案件の分析をやる時、意思決定をやる時、これは方法論があってよかったんです。勉強できたんです。
次が戦略づくり。いろいろやりながら自分も編み出したりしながら、出来ました。
で、いちばん川上のコンセプトづくり。これがかなり苦労しました。チャート上で制約がないんです。自由度が高すぎるんです。世の中でいう、ものすごいアイデアなんかは、天才しか思いつかないと思うんです。

(スライド)
「凄いコンセプトを作りたい!」
でも、僕はこの中ですごいコンセプトをつくりたいと思いました。結論から言うと、ある方法を思いついています。

(スライド)
「方法の探求(天才じゃない)
リアルビジネス(学者には向かない)
アウトプット重視(評論家には向かない)」

僕の20年近い仕事ですが、この3つに集約されています。チャートから来ている方法論の探求ですね。天才じゃないので何か方法で戦いたいと……。これがまずひとつめ。で、すべてリアルビジネスです。さきほど120と言いましたが、500以上のビジネスを経験しています。僕は学者ではありませんので、ビジネスでリアルに体験しています。で、3つめがアウトプット重視。評論するのが仕事ではなく、常に何か答えを出すという、常に何かつくっていく、これが僕の人生で、さきほどの表の左側から右にあがっていくプロセスの中で、これを実現しています。

約20年以上、こういうことをやっています。

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「生き方」

生き方です。これはかなりむずかしいお題です。

3つのルールにまとめようと思います。

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「頭、体、心」

僕を頭、体、心に分解してみます。

1つめが、常に逆らうということです。僕は逆いがちです。自分の考えにも、「おかしいんじゃないか」と思ったり、人の考えに対しても「逆さがあるんじゃないか」とか、常に逆らうという習性があります。
2つめが心に従う。頭の中では逆らおうとするんですが、自分の心が「それはええ」と思ったものには素直に従います。最後に体。とにかく「やってみる」という体質です。この3つのルールで生きてきています。すごく単純です。

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「先入観や常識を疑う→考えに逆らう」

まず、先入観や常識を疑うということなんですが、例えばこういう発想が僕の頭の中にあります。

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「常識=非常識」

常識は非常識と一緒です。誰かが常識だと言っていることは、もしかしたら非常識かもしれないということを常に考えています。これのおもしろい例が、「逆さメガネ」って知ってますか? これをかけると上下逆さまに見えるんです。それで歩けと言われると吐きそうになるんです。でも、2日めにくらいには慣れてくるんです。で、2週間後には自転車に乗れるようになれるんです。それぐらい人間の脳っていうのは、おかしくなっていることでも受け入れるんです。で、2週間後に逆さメガネをはずすと、今度「うおお」ってなるんです。これぐらい人の脳は、間違っていることも正しいと認知するという生き物なんです。だから、人が正しいと言っても、もしかしたら根本的に間違っているかもしれないんです。というのが僕の頭の中にあります。ですから、できるだけ違う方法で歩もうとしています。

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「絶対価値観に従う→心に従う」

2つめが絶対価値感に従うということ。心の問題です。これ、結構、僕にとって重要です。

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「相対価値/絶対価値」

絶対価値観という単語はどこからきているかと言うと、相対価値、絶対価値という2つの発想から来ています。人間が生きていく時に何がええと思っているかです。相対価値観は比較に生まれるものです。例えば「僕の方が、お金持ちである、僕の方がえらい、僕の方が大きな家に住んでいる」こういう何か比較することによって生まれる気持ちよさです。かたや絶対価値観は比較しようがないものなんです。例えば僕が水を飲んで「うまい」って思います。で、シアトルでビルゲイツがワインを飲んで「うまい」と言っている。ビルゲイツのうまさと僕のうまさは比較しようがないんです。もしかしたら僕の方が気持ちいいかもしれない、という2つの価値観があるんです。2つの価値観があるのに、みんなの頭の中は、ほとんど「相対価値」なんです。

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「50/50」

2つの価値観があるなら「50/50」くらいで考えたらいいじゃないかなというのが僕の考えです。相対価値観は非常に怖いです。相対価値は妥協しか生まれないから、怖いんです。例えば、彼よりも上、あの人よりも上、最後に満足しようと思ったらビルゲイツに勝たないといけない、でも勝てないですよね。勝てない時にどう思うかというと「ビルゲイツには勝てないけれども、あいつには勝った」と……。これ、妥協ですよね。これって心理的に全然よくないんです。ところが、絶対価値観は自分が「おもろー」と思うだけ。全然ストレスないんです。そこに注目している方が、楽しいし判断を間違えません。それが「心に従う」ということなんです。自分がおもろい、その方が楽しいんです。

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「体験から学ぶ←→やってみる」

3つめが、とにかくやってみること。つべこべ考えて立ち止まっていたら、何も生まれないんです。さきほど言ったように、何か違う考えに抗って、でも自分の心がいいと思うことをやってみないと前進しないという考えです。で、いろいろな勉強できるんですが、体験から学ぶ勉強は大きいので、これが僕の重要なコアです。

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「真面目/真剣」

体験をする時に重要なのは真剣にすることです。大企業に勤めていて、僕が見たのは、真面目だけれども真剣じゃない人がいっぱい。小さい企業ではみんな真剣で不真面目。で、体験の中から学ぼうと思うと絶対真剣にならないといけないので、真剣にやる、これが僕のやり方です。どういう仕事でも真剣にやります。

この3つだけで生きてきています。

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「前進中」

で、いまも前進中です。

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「40 innovation」

残り40分間で、イノベーションの話をします。イノベーションをどうやって起こすのか、そのコツをお話します。

ここで簡単な実験をしましょう。

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30秒間で1から99まで順番に数字を目で追ってください。
番号は分散してあります。順番を飛ばしてはいけません。

上に「1」とあります。次の画面には1から99までの数字がランダム散らされています。それを1から順に目で追ってください。スキップしては駄目です。では、スタート!

(スライド)
はい。ストップ。20超えた人はいますか? いないですね。1000人に3人くらい、20を超える人がいます。実は、このランダムな数字の配置にはルールがあります。4つの枠に分かれていて、1番目の数字は左上、2番目の数字は右上、3番目は左下、次は右下とZ型に1、2、3、4となって、5はまた左上ゾーンにあります。Z、Z、Z……M単純なルール。このルールを理解した上でもう1回やりましょう。では、スタート。

(スライド)
はい。いくつまで行きましたか? 20超えた方いますか? 一回目より落ちた人はいないですよね。なんとなくコツを知っているとむちゃくちゃ有利ってことです。こういう感じのコツを、新しい発想をする時に持っているかどうかです。「持っているよ俺は」という感覚を持っている人はつくれるはずなんです。いま頭の中に発想する時にこういう感覚がない人はつくれないんです。このルールを知っているか知っていないかの違いです。なぜこれをやったかと言うと、これから話すたったひとつのことが、これに近いすごく重要なことです。

(スライド)
「コツを知っているとお得」

結論はコツを知っているとお得です、ということです。

(スライド)
「イノベーションとは?」

イノベーションとは何なのかをお話しします。本を見ると、いろいろな単語が出てきます。新しい技術革新だとか、すごくむずかしいことが書いてあります。たくさん書いています。僕の500以上のプロジェクトの経験から、イノベーティブなもの、イノベーションに近いものは、簡単に見分けることができます。すごくシンプルな3つのルールがあります。1つめが、「見たこと、聞いたことがない」というのが重要です。相手に見せた時に「それ見たことがある」と言われたその時点でゲームオーバーです。2つめのルールは「実行可能である」ということ。「できる」ということです。3つめがちょっと変なんですけど、「議論を生む(反対/賛成)」ということです。僕が何かを言った時に「お、それ見たことないぞ」、「でも、実行可能だぞ」、「しかし俺は嫌いや」、でも何人かの人は「大好き、おもしろいかも」など、意見が分かれることがイノベーションの本質です。全員が賛成というのはイノベーションじゃないですし、全員が反対というのもイノベーションじゃないんです。まず「見たこと、聞いたことがないものを一体誰が考えるんですか?」という質問です。それは脳みそが言うんだと思います。僕の脳みそが言ったり、ライバルの脳みそが言ったり、チームメンバーが言ったり、お客さんが言ったり……。「見たこと、聞いたことないぜ」というふうに脳みそが思うんです。すごくおもしろいんですけど、脳みその中に実は常に先入観があります。それを「bias」と読んでいます。

(スライド)
「bias」

こうだ、こうあるべきだと思っている考えが頭の中にいっぱいあります。その考えに近いところにアイデアをポーンと放ると「それ見たことあるよ」と。なぜかというと、自分の頭がわかるから、「知ってるよ」という反応をするんですね。この時点でイノベーションじゃないんです。でも違う方向、自分の先入観と違う方向に投げられると「何それ」「そんなんありえないよ」と思いますね、これが目新しさです。これはすごく重要なチャートで、何を意味しているかというと先入観が見えたら反対側とか角度を変えることができるんです。見えなければ触れないけれど、見えていたら変えられるというのが、これがヒントです。で、先入観に対抗したアイデアがあるから、「俺、知らん世界が来たよ」と思うわけです。俺の常識はこうなのに、お前は違うことを言おうとしているから、常識が通用しないと……。そうすると「どれくらい売れるか」とか、「お客さんがどんな反応をするか」とか、「どうやってつくるか」とか、わからなくなってくるわけです。だから、実は先入観に対向すればするほど、どんどん議論が生まれます。これがこのメカニズムです。

(スライド)
「最大のコツ ひとつだけ」

(スライド)
「Break the bias」

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世界中で言ってるんですが、自分の持っている、他人が持っている先入観を破壊するという行為をしない限り、絶対イノベーションは生まれません。先入観を見つけて壊せばいいんです。これがコツです。

(スライド)
「bias」

「bias」というのは我々のまわりに常にあります。例えば、僕がトヨタで仕事をした時に、「トヨタのライバルはどこですか?」となったら、「マツダ」とか「日産」とか、みなさん即答しますよね。わざわざ「待てよ。ファミリーマートは?ユニクロは?」とは言わないですよね。これを言い出すと、本当に効率悪いです。「bias」があるということは、効率的に議論できるし、共有概念をシェアすることができるということ。でも本当に何か新しいことを考えようと思うと、もしかして敵は違うかもしれないと思わないといけない。だから人間が効率的に物事を考えるには「bias」は重要なんです。

(スライド)
「+bias-
+改革を助ける
―変革を妨げる」

ただ、その整理方法がみんな同じなので、そこから出てきたアイデアはなんにもおもしろくないんです。だから、イノベーションを起こそうと思うと、改革を起こそうと思うとそれを壊さないといけない。この2つの活動があるので注意しないといけない。いまは、効率を上げることなのか、それとも破壊することなのか、どちらかを決めて、頭を動かさないといけない、これがむずかしいところ。ポイントは「bias」にはいい点と悪い点があるというところ。いい点は効率を助けるし、悪い点は、そこに捕われていると絶対変革を起こせない。

(スライド)
「break the bias」

「bias」を壊さないといけないのに、「bias」が見えないんです。
桃太郎って昔話あるじゃないですか、新しい「桃太郎」の話を書いてくれと言われたらどうしますか?先入観、見えない先入観は壊せない。構造化されていないと壊せないです。

(スライド)
「見えないものは破壊できない
構造なきものは大きく破壊できない」

ある「bias」、先入観は形にすると壊せるということです。イノベーションをする時にもっとも重要なのがここです。いま我々が捕われている先入観っていったい何なのかということを何か形にして表現すること。僕は絵に描いたり、「2×2」で書いたりします。何か表現して、それを壊していく、この作業がどこかにないと絶対にイノベーションにはならないです。

(スライド)
「まずバイアスを視覚化する
パターンを壊す
強制発想をする」

テクニカルですが、まず「bias」を視覚化する。次にパターンを壊す。強制発想って何かと言うと、「信じる」ということです。壊れているものを。壊れたものを見つけた時に、「えーそんなんあり得ないわ」っていうふうに思っちゃうんで、自分もバイアスに生きているから。それをいったん踏みとどまって、無理矢理考えるということです。これが重要です。だから、みなさんがされているビジネス、もしくは活動の中でもこれと同じことをしないといけない。「私は何にしばられているんだろう」「普通どうやって考えるんだろう」と「一般的にどう考えるんだろう」、「賢い人はどう考えるんだろう」と考えて、それをノートの上に書いて、それと違うパターンをつくって、無理矢理もう一度考え直す、これが重要になります。決してアイデアを次々に考えるっていうことはしない方がいいです。それをやっても自分が先入観に捕われていたら、100回やっても200回やっても新しいアイデアは生まれません。重要なのはアイデアの点ではなく、アイデアを生み出している背後の考え方、これをなんとかしてつかむというのがコツです。

(スライド)
「バイアスを壊す 自分を信じる」

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脳の中で何をやっているかというと「バイアスを壊す」ということです。心では「自分を信じる」ということです。頼れるのは自分だけです。で、この図の左で壊れているものを「壊れているからチャンスがあるはずだ」と思うことです。

(スライド)
「バイアスを壊す 仲間を作る 自分を信じる」

体としてはとにかくかけあって仲間をつくることです。これがないとイノベーションは生まれないです。今日書きながら気がついたんですが、自分の最初に言った生き方にかなり似ているんです。

(スライド)
「バイアスを壊す―考えに逆らう
仲間を作る―やってみる
自分を信じる―心に従う」

一般的に言われていることに、とにかく逆らう。それから心はとにかく自分がおもろいと思う絶対価値、「いける!」とか「これ、楽しいわ」というところに従う。それから、体はとにかくやってみる。これ、連動してるなあというふうに納得しながら、いちばん最初に重要なバイアスを壊すということ、これができてなかったら仲間つくっても、やってみてもダメで、これができてなければ、自分を信じても心に従ってもダメです。だから、もっとも重要なのは、このバイアスを壊すということ、これがカギであるということが今日の結論です。ありがとうございます。

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<第2部>

お客さまとのQ&A

お客さま:
「バイアスを壊す」ということにとても興味を持ちました。そのバイアスの見つけ方をより具体的に教えてください。特に「2×2」でのバイアスの見つけ方を教えてください。

濱口さん:
まず、「2×2」であることはないと思います。僕もノートにはぐちゃぐちゃに書いています。ただ、「2×2」のいいところは、「2×2」だと、仕事仲間とコミュニケーションを取りやすいんです。すごい簡単じゃないですか。それから、AさんがAとBという切り口を出して、BさんがCとDという切り口を出したら、それを組み合わせてみようっていうのが「2×2」だと取り扱いしやすいので、最初に練習される時は「2×2」がよいと思います。すごい「2×2」をどうやって見つけるか、1つめは練習するしかないんです。やり方は、アイデアを思いつく瞬間とこんな軸どうやろと軸を思いつく瞬間があります。で、よくないのは、アイデアばかり考える、これでは絶対バイアスが見つけられないからダメです。アイデアだけだとダメなんです。次に軸ばかり考えると、それが、いいアイデアかどうか全然わからなくなるんです。コツはどこにあるかと言うと、その間です。ここを行き来すること。例えば軸を書いてみて、それがいいか悪いか、軸を見ててもわからないから、具体的にそこに入るアイデアは何なのか、を考えてみる、もしくはなんか自分が「おもろいな」というアイデアを思いついたら「おもろい」「おもろい」と言ってないで、それがなぜおもしろいのかを軸に書き直してみる、これを両方をやると、実はその「2×2」がおもしろいとかおもしろくないとか、ハンドリングをしやすくなります。練習のコツとしては、アイデアと軸は、両方ちゃんと行ったり来たりするというのがコツです。
で、3つめにすごく深いポイントとして、正しい「2×2」、すごい「2×2」は存在しないんです。これ、神様に聞いても何が正しいかわからないです。僕が、書いてるものが正しいかどうかわからないです。もっと言うと「正しいですか?」と確認しようとした瞬間に、プロセス止まります。行動止まります。重要なことは、つくってアイデアを出してつくってアイデアを出して、続けていくことです。みなさん、これをずーっとやらないから、さきほど言っているコンセプトをつくるところの時間が小さくなっちゃうんです。これが、どんどんどんどん1年間続けられるっていうのは、プロセスがまわらないといけないんです。止まるような要素を入れたらダメ。いちばん止まる要素は、頭の中で「これはアイデアはおもしろいんだろうか」と思ったり、「このダイヤグラムは、バイアスを崩しているんだろうか」ということを確定しようとした瞬間にプロセスは止まります。そうじゃなくても頭の中で、常に「これはおもしろいだろうか?」とか、「これはいい切り口だろうか?」と自動的に考えるんで、それで十分ということですね。

お客さま:
そこでできあがったアイデアが、消費者に受け入れられているかどうかというのはどのように判断されますか?

濱口さん:
常に僕が最終的にアイデアを思いついた時に、商品化をする手前で使う、整理のためのダイヤグラムです。英語で「NEW BEHAVIOR(ニュービヘイビア)」。新しい行動をお客さんに要求するかどうか。「こんな新しいことをしてください」と要求するか、「EXISTING BEHAVIOR(イグジスティングビヘイビア)」、「その商品はいままで通りの行動でいいですよ」という「EXISTING VALUE(イグジスティングバリュー)」と、「NEW VALUE(ニューバリュー)」「いままでと同じ価値です」というのと「いや、新しい価値です」で、ここ(左下ゾーン)は、既存の商品です。行動も変わらないし、価値も一緒。おもしろいのは、この3カ所あるということです。通常すごいイノベーションと思うのは、ここ(右上ゾーン)です。「行動を変えたら、価値も変える」。例えばアイフォンが最初出た時に、「タッチしてください。そしたらいろいろなことができますよ」これはここ(右上ゾーン)です。忘れていはいけないのは、ここ(左上ゾーン)とここ(右下ゾーン)で、左上は「行動は変わらないけれども価値がある」。たとえば、テレビは高解像度4Kのテレビが出て来ています。これってテレビの買い方も電源の入れ方も、見方もまったく変わらないですよね。ただ、見たら「めっちゃきれい」と価値が上がっています。こういうこともあります。それから右下ゾーンに、「行動は変わるけれど価値は変わらない」。例えばアマゾンは、「ワンクリック」があります。いままでは注文するのに、いっぱいクリックしていろいろな情報を入れておくのを登録しておいてワンクリックで注文できるようになる。これって、注文できるということはまったく変わらない、プロセスが変わっている。3通りあります。これ、逆さに考えないといけなくて、実は一般の消費者は、そんな新しい行動や新しい価値はほしくないんですよ。怖くてめんどくさいから。だから、ものすごい説明がいるんです。新しい行動で新しい価値があるんですよ。結論を言うと、僕がアイデアを考えたら、それがどのゾーンに当てはまるかを考えて、段階を踏んで持って行くという戦略をつくります。 USBのフラッシュドライブは、そんなに新しくもないし、価値としても変わらないから、実は浸透しやすいと思ったんです。ところが、彼らにとってはここ(右上ゾーン)なんです。新しい行動、価値に対して説明が必要なんです。
だから、ここで売るのであれば、説明してくれる人に売るしかないじゃないですか。すごいアイデアを考えたら、このマップの上にのせて、どういうふうに投入していくかということを考えます。重要なマップです。

お客さま:
バイアス自体のみつけ方は? どのようなトレーニングが必要ですか?

濱口さん:
やっぱり時間はかかりますね。重要なことは、バイアスがあると信じていること、そう信じておくことは重要です。見つけるトレーニングは特にないんです。多分いちばん重要なのは当たり前なんですけど意識ですね。自分が騙されてるとかバイアスがあると、1日のうちに何時間思っているかどうか。多分、普通に生活していたら1分も思ってないです。そうじゃないと怖くて生きていけませんから。ただ、業務上、仕事上、研究上、生活上、新しいことをしようと思う時に、その状態でバイアスという言葉は浮かんでいないと思うんです。でも、今日の僕のダウンロードでみなさんは「バイアスを壊す」という言葉を覚えられたと思うので、それを考えている時間を物理的に増やすというのがいちばん近い方法だと思います。
具体的に言うと、僕仕事をしている時には、半分以上それを考えています。逆に言うと、ふだん暮らしている時はあまり考えてないです。仕事の時だけ電源オンで、とにかくバイアスをトラッキングしてる、非常におもしろいのは、僕、ブレストやるんですけど、例えばミーティングしますよね。アイデアそのものをまったく聞いていないです。1人1人の発言を聞いて、パターンニングを考えて、そこから切り出してどう軸をつくるか、という目でしか見ていないです。そこに時間をかけないとダメだと思っているので、時間をかけること、意識を持つこと。

お客さま:
日本の大企業では、合議性、みんなが納得してGOサインを出せる企画しか実行にうつせない文化があると思います。またバイアスを壊すということは、ロジカルに物事をとらえることと一見反する考え方のように思われるため、社会でなかなか受け入れられないように思うのですが……。

濱口さん:
合議性からイノベーションは生まれにくいですね。さきほど話していた「議論を生む」ということは不確実性が上がるということです。みんなが議論をすることによって不確実性が上がるんです。そこに合議制を取り込むのは無理で、リスクを取って決めていく社風の方がイノベーションは生みやすいと思います。ただ、それだとどの会社もカリスマがいないと、イノベーティブにならないという結論になるので、そこが課題ですね。さきほどロジカルシンキングという言葉が出ましたが、ロジカルシンキング、かたや直感。僕の理論の根幹にあるのが思考パターンがあった時に、クリエイティビティが高いのは、ロジカルと直感の真ん中に来るんです。超論理的だけでもすごいものは生まれないし、超めちゃくちゃでも生まれないんです。構造的混沌がいいんです。この瞬間が創造性が高くてイノベーションが生まれやすい。これ、すごい大きな問題が起こるんです。組織図を書いた時に、構造的、論理敵に考える人と、直感で考える人、社内で人口分布はどうなっていると思いますか? 実は、経験上、フタコブラクダみたいになっているんです。
構造的だけど混沌で考えられる人っていうのは、人口密度低いんです。かと言ってコンピュータみたいに考える人も少ないし、なんとなく論理的に考えた人となんとなく直感で考えた人が、存在している、これが普通なんです。右側がクリエイティブ層で、左側がマネージャー層の人が多いです。左側は、ロジカル側だから計測して計って、数字とかローミュラだとか公式だとか、そういうものを取り扱いたいし、こっち側はきれいな絵だとか直感的なことを取り扱いという、この2つ。

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よくあるのは、右側から左側の人に「おもしろい企画があるんですけど」と言ったら、「それ、いくら儲かるの?」と返事をする、噛み合わないんです。で、イノベーティブなアイデアというのは右側の人たちが放り込みますよね。それを左側の人達は本質的に数字で押さえたいんです。もっと言うと、確実なものがほしいんです。イノベーションというのは絶対確実じゃないんで、不確実性が2個いちでぴったりついてくるんです。だから数字で判断できない不確実なものをどうやって意思決定するかという、新しいマネージメントの仕組みがこれからできないとうまくいかないという時代に変わってきています。
答えにはなっていないです、まだ解決されていないから。で、提案側はどうするかというと、なんとなくストーリーで話すとか、いちばんいいのは騙すこと。勝手にやっちゃうこと。それでもダメな場合の正攻法は3つです。この手の人たちの前を通っていく方法は3つです。
1番め、パッション。パッションがなかったら絶対話通らないです。「素敵なアイデアがあるのですがどうでしょうか」と言っても誰も聞いてくれないです。次にアイデアそのものです。アイデアがおもしろいこと。よくあるんですが「うちの会社のマネージメント層は、こういうイノベーションに対してはすごいい消極的なんで、すごいアイデアを聞いてくれないんです」と言う人がいるんですが、たいがいアイデアがおもしろくないんです。

(会場:笑)

でもアイデアをおもしろくする方法は、今日お話しているんで、バイアスを壊しておもしろくすればいいんです。ただ論理的な人たちなので、数字では語れないけれど、論理性はほしいと言われるんです。何が来るかというとロジックです。パッションがあって、アイデアがあって、ロジックで通さないといけないんですが、ロジックは、数字がない状態でも通せるロジックがないといけないんです。これが重要なポイント。
さきほどのプロセスのおいしいところは、これ繰り返していると(バイアスを壊していくと)アイデアはいっぱいありますよね、残骸はたくさんあるので……。「こういうふうにみんな考えるんだけど、こうなります」とか、「ライバルはこういうふうになっているけど、うちはこうなります」とか、数字とか関係ないんだけど、ロジカルな会話が埋め込めるんです。正攻法で進める時は効き目があります。これが知的な攻め方です。
感覚的に攻める方法もあります。例えば、プロトタイプ。人間だから、紙の上でこんなん書いてもわからないけれども、実際につくって見せると、。人間だから「おもしろいな」って思ったりするんです。だから、もうひとつは紙の上の世界、コンセプチャルな世界から離れて、リアリティを持って説得すると……。こういう方法があります。

お客さま:
濱口さんが、「shift」に至った流れはなんですか?

濱口さん:
かなりむずかしいですね。さきほど言ったように、ちょっと違ったことをするのが好きだっていうのと、もうひとつは、おもしろいことが好きなんですよね。いたずらも含めて。それは僕の頭の中では「shift」だと思います。同じことをやってもおもしろくないんで、意外性もないし。「shift=おもしろい」という自分の価値観ですね。ときどき言うのが、僕と同じような仕事をしようと思うとすごく重要なことを身につけないといけなくて。ひとつは「おもしろがる力」です。これは必要です。そして、おもしろいことを人に説明する「おもしろがらせる力」も必要。最後に「おもしろくする力」も必要です。

フェリシモ:
そのモチーベーションはどこから来ていますか?

濱口さん:
さきほどお話した絶対価値観に近いと思います。何がいいかって言うと、アドレナリンが上がる瞬間がいいんですね。新しいことを思いついた瞬間とかアドレナリンが上がるじゃないですか、これって、相対価値観でもなんでもないですよね。あと、人に言ったときに反対されたりすると「あとで見とけ」ってなったり……。そのアドレナリンがベースになっているからだと思います。

フェリシモ:
最後に、会場のみなさまにメッセージをお願いします。イノベーションはきっと1人ではできないと思うのですが、どのように他者を巻き込み、継続したイノベーションを行えるのか、そのコツを教えてください。

濱口さん:
他者巻き込みは、やはりパッションがないとダメですね。プロ同士であればアイデアとロジックが必要です。2人の人間がいてパッションだけでできないわけで、プロなんで「俺のアイデアはこれ」、「私のアイデアはこれ」と、こういう理由でっていう状態でやらないと、人を巻き込んだり、徒党は組めないですね。

最後のメッセージとして、ちょっと違った切り口で言うと、絶対価値観も含めて、「これから自分は何をするか」。ちょっとした原理原則があって……。まず自分が好きなこと、好きなゾーンってありますよね、次に自分ができるゾーンがありますよね。重なってるのは好きでできるゾーン。できるけれど好きじゃない、そういうゾーンもありますよね。3つめが、自分のほかの人が役に立つ、「ありがとう。価値生んでるよ」この3つの重なりが大事です。若い人は最初重なりが小さいんですが、キャリアを積んでいくとだんだん大きくなっていきます。途中、自分が何が好きかわからなくなってきたり、仕事をしているうちに忘れてきたり、また勘違いすると、自分がやっていることが本当に役に立っているのかわからなくなったりするし、ときどきやっていることがほんとに役に立っているのかどうか見直すことが大切です。こうするとひとりひとりが健全で、加えてそういう人たちが徒党を組んだらいろいろなことができると思います。

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Profile

濱口 秀司

(はまぐち ひでし)さん<ビジネスデザイナー>

濱口 秀司(はまぐち ひでし)さん
<ビジネスデザイナー>
*プロフィールは、ご講演当時のものです。
京都大学卒業後、松下電工に入社。研究開発に従事した後、松下グループ初の戦略投資案件の意思決定分析担当となる。1994年 、日本で初めてのイントラネットを高須賀宣(サイボウズ創業者)とともに考案・構築。1998年米国のデザイン・イノベーションのコンサルティ ング会社Zibaに参画。世界初のUSBフラッシュメモリをはじめとする数々のコンセプトづくりをリード。IDEA金賞など数々のデザイン賞を受賞。そ の後、松下電工(株)新事業企画部長、パナソニック電工米国研究所(株)上席副社長、米国ソフトウエアベンチャーのCOOを歴任。2009年Zibaに リジョイン。コンセプト立案、戦略構築について独自の理論と方法論を持ち、数多くのクライアントのイノベーションに関わっている。ドイツ RedDotデザイン賞審査委員。

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