神戸学校

神戸学校はフェリシモが主催する「神戸発 生活デザイン学校」です。

  • 谷 英子さん(ウォーキングインストラクター・骨格姿勢インストラクター・健康運動指導士)
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「『歩き』を楽しもう!~歩くことで世界は広がる~」



<第1部>

谷英子さん講演風景

谷さん:
みなさん、こんにちは。今日はどうぞよろしくお願いいたします。
突然ですがみなさん、いつも姿勢、歩き方、意識していらっしゃいますか?
ふと気づくと背中を丸めて歩いていたりとか、お腹を突き出して立っていたりとか、なかなか自分の姿を客観的に見ることってむずかしいですよね。でも、身近な姿勢、歩き方を変えることには、さまざまな効果があるんです。私はいつも自分の姿勢や歩き方が変わることで4つのベネフィット=価値があるとお話させていただいています。4つのベネフィット、みなさんも一緒に考えてみていただけますか?
(お客様に対して)
ご自分の姿勢や歩き方が変わると何が変わると思われますか?

お客さま:
より健康になるのではないでしょうか?

谷さん:
その通り「健康」です。私たちの姿勢がよいというのは、体がまっすぐということ。体がまっすぐだと呼吸が深くなり酸素の摂取量が増えます。今、姿勢が悪いせいで呼吸が浅くなっている方が増えています。呼吸を深くして酸素を取り込む量が増えれば、毛細血管のすみずみまで栄養素が運ばれ、そして、肌の色つやも違ってくるんです。体の疲労物質をきちっと回収してくれて、外に出してくれる、こういう働きが姿勢の善し悪しで変わるんです。
そして、2つめ。「印象」です。姿勢のいい人って、若々しく見えますよね。ファッションの着こなしも洗練されて見え、知的に見えます。姿勢、佇まいというのはその人の雰囲気、印象をがらっと変えると思います。
3つめは「プロポーション」です。気になりますよね。男性の方も最近ではメタボ健診なんてありますから、プロポーションが気になっている人も多いんじゃないでしょうか。みなさん、目方、体重ばかり気にしていませんか? 毎日体重計に乗って、500グラム増えたとか1キロ痩せたとか……。正直隣の人が1キロ痩せても気づかないですよね? 今日からは、目方ではなくシルエットを気にしてください。姿勢はシルエットなんです。胸よりもお腹を出して立っている姿、これボディラインが雪崩を起こしているようなものですね。胸もお尻も垂れますし、お腹は出てくる……。抗重力筋という言葉を聞いたことありますか? 重力に対して姿勢を保つ時に使われる筋肉すべてを抗重力筋って言うんです。これがダラリと立っていると、ほとんどさぼっている状態。胸よりも腰を引いて立つ。最初はもちろん苦しいです。そうしてあげることによって抗重力筋のスイッチがしっかり入って、代謝が上がりますから、プロポーションが引き締まりますよ。今日からどうぞシルエットで考えてみてください。
4つめは「メンタル」。姿勢や歩き方が変わるとやはり自信が持てますよね。身近な歩き方や姿勢から自信を持つというのは、実はものすごく効果があるんです。気持ちがポジティブだと成功へのチャンスがつかみやすくなる、やってみようかな、できるかも……といった心構えも得られます。また、医学的にもよい姿勢を保つといいんです。大脳と姿勢の関係って実は深いんです。いい姿勢を取ると大脳の働きが活発になる、顔に活力が出てくるんですね。最近では認知症の予防などでも、姿勢の働きが注目されています。

スライド(4つのベネフィット)
健康力UP、
印象力UP、
プロポーションUP、
メンタル力UP。

身近なものを見直すだけで、これだけ効果があるなら、やらない手はないですよね。今日は、姿勢や歩き方を見直す方法を実践しながら、歩き方の魅力とともにお伝えしていきたいと思います。

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「現在の仕事について」

フェリシモ:
さっそくですが、谷さんのウォーキングインストラクターというお仕事について教えてください。ふだんはどのようなお仕事をされていますか?

谷さん:
ふだんは東京を拠点にウォーキングスクールを主宰しています。姿勢と歩き方、ゆがみ改善のエクササイズ、美しい立ち居振る舞い、そういったレッスンを提供しているスクールです。あとは、全国各地で健康や美に関わるお話をさせていただいたり、企業研修なども担当しています。

フェリシモ:
スクールに来られる方はどんな方が多いですか?

谷さん:
ウォーキングスクールは女性向けのプログラムが多いので、主婦の方、会社員の方、年齢はさまざま、女性の方が少し多いです。個人レッスンは男性の方も教えています。

フェリシモ:
年々姿勢に対する意識が高まってきているように感じるのですが。

谷さん:
歩くということは、私たちにとって基本動作ですよね。産まれて二足歩行をはじめて、そして寿命をまっとうするまで自分の足で一生涯歩くというのが、ひとつの理想だと思うんです。その年代年代、歩きの質って変わるものなんですね。例えば、子どもの発育発達。実は今しゃがめない子どもが増えています。ロコモティブシンドロームって聞いたことありますか? 立ったり歩いたり、体が動く時に使われる関節、骨、筋肉、靭帯、これらを運動器と言いますが、この運動器に子どものうちから、問題があるんです。本来であれば、老化による筋力の衰えなどによって運動器が上手に使えなくなるのですが、これが子どもに増えている。ですので、子どものうちから歩きの質を高めるというサポートもやっています。また成人の方、中高年の方は、メタボリックやメンタルヘルスの問題、高齢者では転倒予防など、歩きの質はさまざまな悩み、そして願いに関わっています。私の仕事はそういったものを姿勢と歩き方からサポートすること。その身近なものに問いかける意味はすごく大きいと思っています。

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骨盤のゆがみと「骨盤ウォーキング® 」

谷英子さん講演風景

フェリシモ:
先生が考案された骨盤ウォーキング®についても教えていただけますか? 骨盤の大切さに気づかれたきっかけは?

谷さん:
私は身長が174センチあるんですね。幼稚園の時からいつも後ろ。姿勢も悪くて、長身コンプレックスを持ったまま大人になり、20代半ばで骨格矯正のクリニックに、カウンセラーとして入社しました。その時、解剖学という、いわゆる骨、筋肉についての勉強をする授業があったんです。大学病院の先生が、いろいろと体の仕組みについて教えてくださったのですが、そこで、体を意識して使うことに気づかされたんです。私、ただ歩いていたし、ただ立っていたなって……。そこで日常の動きに対して、座る時、立つ時、歩く時、「こう歩くといいんだ」、「こうやって立つといいんだ」というものを実践したら、ものすごく変わったんです。毎日していることに意識を向けただけで、こんなに変われるんだったら、カウンセラーとして、もっと違う役割があるんじゃないかと、こういう学びだけじゃなく、実践を伴ってみなさんを変えることができるんじゃないか、そう思って、実践方法として「骨盤ウォーキング®」というメソッドを考案しました。

フェリシモ:
こちらの骨盤の模型を使っていただいて、骨盤の大切さを教えていただけますか?

谷さん:
「骨盤ウォーキング®」は、骨盤を意識して、日常の座る、立つ、歩くというものをレッスンします。なぜ骨盤なのか? とよく質問されますが、実は今お話した日常の動作に意識を向けるポイント、肝となるのが骨盤なんです。体の仕組みにおいても、体を動かすということにおいても、この骨盤を意識していただくだけで日常の動作がぐっと変わります。

骨盤模型をつかって解説

骨盤についてご説明します。骨盤と姿勢がどう関係しているのか? 骨盤というのは、ひとつの骨ではなく、腰部の総称を言います。女性と男性では骨盤の大きさが違うのはご存知ですか? 人間の骨で、いちばん男女の差があると言われています。女性は特に、妊娠、出産の働きのために日常の姿勢においてクセがつきやすいんです。
骨盤のクセは3つあります。1つは「開き」、2つめは「ねじれ」、3つめは「傾き」です。
まず、「開き」。外側重心で立っていたり、ぺしゃんこ座りでいると、この股関節の部分がちょっと外側に張り出してくるんです。歪みは、すごく大きく目に見えるものではなくて、数ミリ程度なんですが、筋肉のバランスがくずれるのが厄介なんです。このタイプの人は、腰回りから太ももの外側に脂肪がつきます。外側の筋膜が張って血流が悪くなって、むくみと冷えで、セルライトができて、下半身太り。去年はけていたスカートやパンツが腰骨で引っかかるという方、これは女性に多い歪みです。O脚なんかもこのタイプですね。
2つめの「ねじれ」。仙骨という三角形の骨の両側を仙腸関節というんですが、これがずれる、ちょっと回旋した歪みを伴います。このタイプは足を組む、横座りするとか……。背骨の基底部である仙骨が傾けば、上の背骨の配列もねじれて、左右でインナーの見え方が違うとか、ペンダントヘッドがどちらかに偏るとか、上半身の歪みにも影響します。
そして最後は「傾き」。じつはこの骨盤の傾きというのが、いちばん姿勢や歩き方に関係しています。いい姿勢をとろうと胸を張ると、腰は反るので骨盤は前に傾きます。これ一見いい姿勢だと思っている方、すごく多いのですが、腰のカーブが強く、腰痛や前太ももが張ります。そして下っ腹がぽっこり出る。反り腰で前に傾くクセがつくことによって、骨盤低筋が下に引っぱり下げられて、内蔵も下へ……。それでぽっこりお腹に。この悩みが女性の方に増えています。あとは、前に傾くだけじゃなく、後ろに傾く。これは猫背です。楽な姿勢で胸がすぼまると、呼吸は浅くなる、見た目も老けて見えるだけでなく本当に体の年齢も老けさせてるということをぜひ今日知って、骨盤をあるべき位置に保って、座る、立つ、歩くという実践を、日常に役立てていただきたいと思います。

谷英子さん講演風景
(座り姿勢の実践)

では、さっそくですが、ここで実践してみましょう。みなさん座っていらっしゃいますので、骨盤を意識した理想的な座り方からご紹介したいと思います。
みなさん、いつもの座り方を再現してもらっていいですか? どうですか? 尾骨に体重がのっていませんか? これでは骨盤が後ろに傾き、背中は丸くなります。これでいい姿勢とは思わないですよね。「姿勢正して?」というとどうしますか? 背筋を伸ばすと思います。苦しくありませんか? 意識を向けることは大切ですが、一所懸命な姿勢って、相手にも緊張を与えますし、自分も疲れてしまいます。ここで、コツがあります。太腿のつけ根に体重を置いて、骨盤を立てて座る。両手を太腿のつけ根に軽く置いて、両足を折り畳んで、体を前傾して立ちます。少しだけ腰を浮かせてみましょう。で、座った直後、ここでストップです。体重は太腿のつけ根にかかっていますよね? ここに足裏を合わせてください。あとはお鼻つまんでまっすぐ、肩の力を抜いてリラックスして、すっと体を起こしてください。どうですか? すっと腰が伸びて、比較的楽じゃないですか? どうしてもみなさん尾骨の方に体重を預ける。そうすると骨盤が後ろに傾いてくる。この座り方のスライドでも一目瞭然ですよね? 骨盤が後ろに傾くと股が開くんですよ。がんばりすぎず、緩めるべきところは緩んでいるというのが理想の姿勢。ぜひ、太腿のつけ根で座る、というのを実践で取り入れていただければと思います。

谷英子さん講演風景
(立ち姿勢の実践)

では続いて、立ち姿に行きたいと思います。スライドを見てください。みなさん正しい姿勢ってご存知ですか? 解剖学的には、横から見た時に、耳の穴、肩、腰骨、外くるぶしが、1直線上になっているのが理想的な姿勢です。これが、いい姿勢をしようと胸を張った反り腰でっちりタイプ。そしていちばん多いのが真ん中の姿勢。これは股関節に体重を預けて立っている。例えば、台所のシンクの前に離れて立っているんだけど、下っ腹がシンクに着いて濡れているとか……。これは股関節に負担がかかり、前太腿でブレーキをかけて立っているので、ここを過剰に働かせている状態にあります。同時に、このハムストリングス(太腿の裏側)の部分が縮んで、前屈がしにくくなる、体の柔軟性が失われます。それでは、実際に理想的な姿勢にするために、骨の配列をまっすぐにする美姿勢体操を伝授したいと思います。

谷英子さん講演風景
(美姿勢体操の実践)

「美姿勢体操」
まず両肘を軽く曲げ、肩の力をリラックスさせます。ここから頭の後ろに両手を組みます。ここで3つのお直しです。背中と後頭部がまっすぐなるように意識していただいて、顎の下に握りこぶし1個分が目安です。そして頭の位置はそのまま、肩甲骨を寄せて胸を開きましょう。最後は骨盤を立てる。ファスナーを上げるように、下っ腹を床と垂直にします。仕上げに両手を上げます。手のひら同士を内側にして手首を持って、深呼吸を1回、ストレッチです。息を吸って、そしてフーッと吐いて。じわじわっとお腹と背中伸びていますか? 手首を持ち替えてもう一度。次は手をねじりましょう、腹斜筋という横っ腹を伸ばしてあげるとぐっと伸びます。反対も。まっすぐ前を向いて、手をほどいてすっと降ろします。はい、どうでしょうか? 目線の位置が高く感じないですか? ふだん正しい姿勢を見極めるのはむずかしいと思いますが、この手順でやっていただくと、乱れた姿勢がまっすぐになります。ここから歩いたり、お辞儀をしたり。そういった基本動作に使えます。

谷英子さん講演風景
(骨盤ウォーキング®の実践)

では、ここから歩き方の実践に行きたいと思います。歩く時も骨盤を意識することがポイントです。実際にデモンストレーションを見ていただきたいと思います。何が違うのかを見てください。上半身の姿勢はまったく同じで、1回めは普通に。2回めは骨盤を意識して歩きます。

では、まず普通に歩きます。
(実践)

では骨盤を意識した骨盤ウォーキング®をしてみます。
(実践)

どうでしょうか?(フェリシモ司会者が感想をコメント)

では、もう一度歩きます。次は私の足がどこから足でしょうか? それを考えながら見てください。
(実践)

どうですか? 腰から足に見えますでしょう? これが骨盤ウォーキング®、膝で歩くのか、骨盤で歩くのかの違いです。私は、これまで8000人くらいの方の歩きを見させていただいてますが、日本人は膝で歩く人が非常に多い。それは、やはり文化、例えば相撲、日本舞踊など、重心を低くすることが多いですよね? 骨格や筋肉の影響もありますが、日本人は立つ時も重心の位置が低いんです。そして低いまま歩いている。膝で歩くとどうですか? ほとんど伸び切らないで歩いている、これが、骨盤ウォーキングで歩くといかがですか? しっかり曲げ伸ばしされてますでしょ? 筋肉ってひとつ以上の関節にまたがってついているので、関節を曲げて伸ばして繰り返し行なうことによって、きちんと使ってあげられるんです。ですので、膝で歩くのではなく、腰で歩くことを今日から実践していただきたいと思います。重心の位置をしっかり引き上げて、腰を使って歩くと、さきほどの4つのベネフィット、変わってきます。
では、せっかくですので、会場のみなさんにも体験していただきたいなと思います。よろしくお願いします。

(参加者壇上へ)

では、いつも通りに歩いてみてください。
それでは、ここから骨盤ウォーキング®をしていきますよ。1つ目のポイントは、さきほどの美姿勢エクササイズで重心の位置を引き上げます。これをすると目線の位置、高く感じませんか? それから2つ目のポイントは、胸下から足と思う事です。ここから足がはえていると思ってください。そして3つ目のポイント、目線は10m先。遠くを見ると、姿勢が保ちやすく、歩行も安定します。そして、最後は着地はかかとから。すっ、すっと歩いてみてください。いかがですか?

お客さま:
足の裏がちゃんと地面についている気がします。

お客さま:
足が軽く感じます。

谷さん:
ご協力ありがとうございました。歩く姿も素敵でしたよね。ちょっと意識していただくだけで、こんなにも違うということをわかっていただけたと思います。いきなり歩数を増やすことはむずかしいかもしれませんが、歩きの質を高めることで、みなさんの運動効果を上げる、健康作りに貢献できると思います。何げなく歩いていた日常に、こういったポイントをぜひ取り入れていただければと思います。

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「歩きを楽しむ」

谷英子さん講演風景

フェリシモ:
正しい姿勢、歩き方を教えていただいたところで、今回のテーマでもある「歩きを楽しむ」ことに伺っていきたいと思います。谷さんにとって、歩くということを、日常生活にはどのように取り入れられていますか?

谷さん:
いろいろありますが、私が実践しているのは、2つ。だいたい私は頭と心のリフレッシュ、リセットをしたい時に歩きます。
1つは、歩くことを目的として歩く。仕事で原稿を書いている時、結構行き詰まってくるんですね。そういった時にパソコンを閉じて歩くんです。ウェアもそのままの状態で、家の近所を30分くらいただ無心に歩きます。そうすると頭のリフレッシュになるんです。思考のリセットって言ったらいいんでしょうか? 実はこれは医学的にも根拠があって、リズム運動って聞いたことありますか? 要はリズム的に体を使ってあげるもの、例えば、走る、咀嚼、そういうこともリズム運動です。一定の早さでただ無心に歩くと、脳のリラックス物質セロトニンが分泌されます。気持ちの不安感などを取り除いて、心を穏やかにリフレッシュしてくれるというセロトニンが、歩き始めて5分くらいで出てきて、25分くらいでピークを迎えるということなんです。なので、ちょうど30分以内のウォーキングというのは、脳と心のリフレッシュにはすごくいいと思います。なんかモヤモヤするなとか、考えごとで煮詰まった時、日常的にウォーキングを取り入れてみてください。運動として歩かなきゃいけないんじゃないかって思う人がすごく多いと思うんですが、私は音楽を30分聞く感覚で歩いています。企業の社長さまとかも実際に活用している方が多いですよ。朝のミーティング前に30分のウォーキング法を活用していらっしゃる、仕事の一部になっているんですね。
もう1つは歩くことを目的とするわけじゃなく、散策。知らない土地、町で歩くということを取り入れています。日常の中に非日常を取り入れることによって自分の気持ちをリセットするって言うんですかね。私、自分から話しかけるとか得意じゃないんですけれど、知らない町を歩いていると自分が違うキャラになれるというか、知らない方にあいさつをしたりとか、入ったことのないお店に入ってお話したりとか、そういったことが自分のインスピレーションを高めてくれる、見聞録を深めることによって気持ちをリフレッシュするという効果を最近すごく感じて、積極的に取り入れています。
どちらも頭と心のリセットなんですけど、歩くことを目的とするものとしないものという感じです。

フェリシモ:
人によって教える内容はかなり違いますか?

谷さん:
男性の方などビジネスマンで増えているのが自分の演出です。「プレゼンス」って聞いたことありますか? 存在感という意味です。最近、エグゼクティブプレゼンスと言って、企業の社長であったり、そういった方たちが戦略的にビジネス、社交において、自分をどう見せるか、人前でどう立ち居振る舞うかというトレーニングをする方が増えていて、私もそういった専門指導をしています。先日、オバマさんが来日しましたよね。オバマさんは、タラップを降りる時に、いつも軽快に降りてくるんです。あれも、若々しいイメージ、一国の主として敏速に対応するとか、そういうイメージを戦略的に表現していると思うんですね。せっかちな方、なよなよした方など、性格って歩き方に出るんですよ。そこをビジネスシーンにおいて、ここぞと言う時に、この人はプレッシャーに強そうだなとか、決定権限をする時に堂々と見せるとか……。そういったプレゼンスとして人前で自分をどう表現していくかをトレーニングするのもいいと思います。

フェリシモ:
立ち居振る舞いで見方って変わったりしますよね。先生が歩くことを伝えたいと思う、その原動力って何ですか?

谷さん:
私たちにとって歩くことというのは、学校で習うわけでもなく、ただ当たり前のようにしていますが、健康のために歩くとか、体脂肪を減らすとか、ステキに見えるように歩くとか、一生涯で歩きの質が変わりながらも、歩きが活躍してくれることって、思っている以上にたくさんあると思うんです。私の原動力は、みなさんの人生において、歩きをどのように役立てていくかというところにやりがいを感じています。それが、私の原動力です。

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<第2部>

お客さまとのQ&A

お客さま:
今日、姿勢を正す方法を教えていただいたのですが、姿勢のキープ方法を教えてください。

谷さん:
今日は立ち方や歩き方の理想のかたちをお伝えしましたが、長時間続けるのはなかなかむずかしいですよね。そういった時には、身の回りの小道具を、ゆがみ予防の意味でも取り入れていただくのがいいと思います。例えば、2パターンありましたよね。1つは、反り腰タイプの人。このタイプの人は、500枚入りのコピー用紙1,2冊分くらいの厚みのものを足下に置いて、足をのせ、踏み台にしてください。そうすると腰が反らないので腰痛予防にもなります。
もう1つは、骨盤が後ろに傾くタイプ。椅子の背によりかかったりすると骨盤の仙骨が後ろに落ち込んでしまい、背骨の配列も崩れます。そういう場合は、バスタオルを丸太状に丸め、仙骨が後ろに倒れないように腰の裏側と背もたれの間に置くんです。車を運転する場合にもおすすめです。

谷英子さん講演風景

お客さま:
面接で印象よく見える立ち居振る舞いを教えてください。

谷さん:
姿勢と歩き方がいいと武器になりますよね。あとはお辞儀。お辞儀は入ってきたところから面接官が見ています。あいさつはどんな職業の方でもするので、美しいお辞儀を実践してみたいと思います。


ではさっそく(フェリシモ司会の方)、お辞儀をしてみてください。
自分はまっすぐだと思っていても、頭でお辞儀をしちゃうとか、肩から入ってしまうとかなり不格好です。お辞儀の秘訣は、股関節からグッと引いてほかは何も動かさないこと。みなさんのお家にもある傘で練習してみてください。傘を腰のところに当てて両端を持ちます。まっすぐ前を見たままグッと後ろに引くときれいなお辞儀ができますよ。
お辞儀はあいさつですから気持ちを込めて、あげる時もゆっくり……。形から心を整える効果もありますから、面接での緊張をリラックスさせてくれると思います。

お客さま:
荷物を肩にかけると、重心が傾いてしまいます。何か改善方法はないでしょうか?

谷さん:
バランスよく美しく見える持ち方をご紹介したいと思います。ふだんはどうでしょう? こういう状態で前にバックを持つと肩が内側に入って、背中が丸まっていませんか?
ポイントはバックを体の脇より前に出さないこと。ストラップのつけ根に手を安定させて、脇をしめて体と一体化させる。そうすると体の軸が安定するので、見た目もスマートで歩きも安定します。

谷英子さん講演風景

お客さま:
先生自身が落ち込んだ時のリフレッシュ方法はありますか?

谷さん:
行き詰ったときは、セロトニンの分泌を促す、30分以内のウォーキングでリフレッシュします。さらにテンションを上げたい時は、スケールの大きな曲を聞きながら歩きます。曲の効果はリズムを引き出す効果もあるので、おすすめですね。

フェリシモ:
今回のテーマ「歩きを楽しもう」ですが、谷さんにとって、歩くってどういうことですか?

谷さん:
歩くって実用として歩くだけでなく、学んでいくことで、心を豊かにしてくれるもの。自分の個性を美しく表現する手段のひとつになるんじゃないかなって思います。

フェリシモ:
最後に、美しい姿勢、歩き方をキープするための、やる気スイッチを押し続けられるメッセージをお願いします。

谷さん:
美姿勢や歩きっぷりというのは、人に伝わると思うんですね。それはみなさんが思っている以上に大きなパワーで伝わると思うんです。私もふだん、姿勢を伸ばしてエスカレーターに乗ったり、歩いたりしてますでしょ? そうすると、対向してくる方の背筋がすっと伸びるんです。その瞬間「今日も伝えられたかな」ってうれしく思います。美姿勢伝心は本当に感じます。今度は会場にいるみなさまが美姿勢の伝道師として発信していただき、美姿勢や歩き方の美しい人が一人でも増えたらいいなと思います。
最近は、残念ながら歩きスマートファンなど、人からの視線に疎くなっていると思うんです。見られる意識が低くなるから姿勢も崩れてしまう。今日から見られる意識をもって、姿勢を正して歩くことを楽しんでください。

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Profile

谷 英子(たに えいこ)さん<ウォーキングインストラクター・骨格姿勢インストラクター・健康運動指導士>

谷 英子(たに えいこ)さん
<ウォーキングインストラクター・骨格姿勢インストラクター・健康運動指導士>
*プロフィールは、ご講演当時のものです。
骨格矯正の専門クリニックで解剖学や運動学を学び、主任カウンセラーとして務める。
体のゆがみ改善に関わる生活習慣やエクササイズ指導を多くの人に行うなかで、美と健康の原点は“日常の姿勢や歩きの質を高めることにある”ということを痛感。10年の経験をもとに、体のゆがみ改善からおこなう独自のウォーキングメソッド「骨盤ウォーキング®」を考案。 
独立後、さらに多くの人に学びと実践を通じて変わる喜びを伝えたいという思いから、ウォーキングスクール「eiko walk(エイコウォーク)」を設立。現在、TV・雑誌等のメディア出演、健康や美容に関する連載コラムの執筆を担当するほか、各地イベント・講演・セミナーなどにて、年齢や性別を問わず幅広いテーマで活動を行っている。美と健康づくりとしてだけでなく、学習していくことで自分の個性を美しく表現できるメソッドは、モデルや女優だけでなく、企業研修や教育機関の育成プログラムにも取り入れられ、高い評価を受けている。
また近年では、数多くの商品プロデュースを手掛け、監修本の『はくだけ!スリッパダイエット・美姿勢スリッパ付き』(成美堂出版)は、23万部以上を売り上げ、オリコン2013年度「美容・ダイエット部門」年間1位を獲得し、ダイエットの新ブームをつくる。

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