神戸学校

神戸学校はフェリシモが主催する「神戸発 生活デザイン学校」です。

  • 七江 亜紀さん(色のひと® /カラーキュレーター®)
  • 七江 亜紀さん(色のひと® /カラーキュレーター®)

プロフィールを読む

現在表示しているページ
フェリシモ
> 神戸学校
> 七江 亜紀さん(色のひと® /カラーキュレーター®)レポート

「色を味方につける ~心の音色に耳を傾けよう~」



<第1部>

七江さん:
本日はどうぞよろしくお願いいたします。

フェリシモ:
色のひととして活躍されている七江さんですが、色のひとのお仕事の具体的な内容を教えていただけますか。

七江さん:
私は個人のお客さまと企業のお客さまと仕事をしています。個人のお客さまには、実際に似合う色だったり、どのような形の洋服がきれいに見えるかなどを、直接コンサルティングします。実際にお家に伺ってクローゼットチェックをして、そのあと一緒にお買い物に行ったりもよくしています。企業の場合は、社員研修でカラー研修を行なったり、営業の方々向けに「どのようなネクタイがよい」など色を使ったお話をしています。あとは、商品開発に携わったり、監修もしています。パッケージの色を考えたりなどです。先日もある電機メーカーさんから子ども向けの空気清浄機が発売されたのですが、その色を決めるというところから、携わらせていただきました。

フェリシモ:
カラーコーディネーターではなく「色のひと®」とご自分のことをおっしゃっている七江さんですが、その名前に込められた意味を教えていただけますか?

七江さん:
私は10代の時、カラーに出会います。まだカラーコーディネーターという言葉が日本に入って来たばかりのころでした。けれど、当時の私には日本のカタカナが合わないと思ったんです。カタカナってかっこいいじゃないですか。私らしくないなと思って、どうしようと思った時に、私はひらがなっぽいなって思ったんです。なんとなく自分の肩書きをつくってみようと思って、1年くらいかかって「色のひと」を商標登録しました。これだと、おばあちゃんになっても使えるなって思ったんです。考えたのは20代でしたが、おばあちゃんになった時にも……と思って、それで「色のひと」という名前にしました。

PHOTO

フェリシモ:
色というのは、近くにあるからこそ、なんとなく無難なものを選びがちなのですが、色を使うことでどんなことが可能性として開けていくと思われますか?

七江さん:
色って普通に生活していると、無意識にまわりにあるものなので、まず意識することが、みなさん出来ていないんですね。普通に信号も青で進む、赤で止まるとか習慣になってしまっていて、色っていうものが存在していることを大抵の人が意識していないんです。なので、まず意識をして見ることが大切です。そうしてくると、普通の平凡な生活の中にこんなに色の変化があるんだっていうことに気づきます。例えば、今は紅葉がきれいですよね。桜もそうですが、満開になると誰もがすごくきれいだって思うんですが、ちょっとずつ色づいてくるところとか、そういうところに関心を持てるようになると、心が豊かになって、やさしくなれるんですよね。そうすると大抵のことに怒ったりなどしなくなります。自分がおだやかな気持ちになるし、自然を一緒に味わっている気がして、心が豊かになるのがポイントかなと思います。

フェリシモ:
誰もが自分が好きな色というのがあると思いますが、好きな色というのはどうやって決まっていくものでしょうか?

七江さん:
例えばサッカーが好きとか、野球が好きとか、寿司が好きっていうような好みとほとんど一緒です。でも好きな色は、生まれて死んでいくまでに変わらないっていう人もいらっしゃると思うんですけど、基本的に好きな色は変わるもの。今日まで好きだったけれど明日から嫌いになるっていうのもあるし、急に好きになるっていうこともあります。

フェリシモ:
七江さんが、色に興味を持たれたのはいつごろからですか?

七江さん:
2歳からピアノを習っていたんですけど、小学校の6年生くらいまでプロを目指してコンクールに出たり無我夢中でやっていた時に、やりきった感があって……。手が小さかったので、左手でオクターブが全然届かず、むずかしい課題曲がひけなくなっていったのが辛くなって、なんとなく自分の中で音楽の世界はここでやめようかなと思ったんですね。 同時に病気をしたりとかもあったので、もういいかなって思ったころ、そこでわざわざ色に興味を持つとかではなかったのですが、中1の時だったかな、原宿の竹下通りに友だちと行った時に、みんなはピンクの洋服とかを見ているんですけど、私1人地味なモスグリーンや、オリーブグリーンの色の洋服に感激していたんです「何、亜紀、おばあちゃんみたい」ってみんなに笑われて……。でもその時、自分に似合う、似合わないに関わらず、色を意識したように思います。音楽をやっていたというのもあるので、「音色」って言うように、音もずれるとすごく耳障りな音になるじゃないですか。色もきれいに並んでいないとうるさいなって思ったのが、その原宿に行った時。がちゃがちゃしているので、ちょっと疲れちゃった、楽しいんだけどずっといられないなと思った時、なんとなく音と色って似ているなって思ったことを覚えています。

フェリシモ:
ピアノをしていた経験からそういう考えに結びつくきっかけになったのですか?

七江さん:
そこから自分が色を仕事にするとは思わないんですけど、音をやめたことで、色にスイッチしたのをよく覚えています。高校生のころのこと、友だちが洋服が組み合わせられないって、私に頼んで来ました。アドバイスしているうちに「亜紀は、色合わせはうまいね」と言われ、色が甦ったんです。その友だちに「色を組み合わせるとか、色の仕事をすればいいのに」って言われたんです。「そうなんだ」って思って気になって、それくらいから図書館に行って、「色」とつく本を片っ端から読んで勉強しました。今みたいにインターネットもない時代でした。

フェリシモ:
今回「心の音色に耳を傾けよう」というテーマですが、「心の音色」というのは、気持ちの変化を表しているのでしょうか?

七江さん:
私の考える「心の音色」は、心の声、心のリズムかな。自分の気持ちが、リズム、音になって、それが表情になってくる、しあわせでないと笑えないし、顔色も悪くなってきたりするじゃないですか。なので、「心の音色」っていうのは、自分の気持ちに素直になって向き合って、それを洋服に生かしてみたりとか、ライフスタイルに取り入れてみたりとか、心で意識しているというのが「心の音色」です。色って目で見るものだと思っていると思うのですが、目を通して脳に刺激を与えるので、五感をフル活用しないとその音色にも気づけません。例えば、疲れている時ってラベンダーの香りに癒されるとかあるじゃないですか、それも嗅覚の部分がちゃんとしていないと何でもよくなったり、ただ単に「これいいよ」って言われて無意識に塗って「ところで何の匂いだったの?」みたいな。そういう時って多分疲れている時。自分の心の声に耳を傾けていないですし、生活のリズムが狂ってきている時だと思います。

フェリシモ:
色のひととして、個人、企業セミナーなどもされている七江さんですが、ファッション、インテリア、食に関してもアドバイスをされていますよね。どの分野においても共通するポイントはあるのでしょうか?

七江さん:
私は、ファッション、インテリア、食とトータルでコンサルティングしています。お客さまから、どんな洋服を着ているのか、どんな生活をしていて、どんなものを食べているのか、そういう生活だからこういう服の色を選ぶんだなとか……、出てくるんです。3つ全部一緒に見ないと、本当の状態に戻らなかったり、本質が見つけられないんじゃないかなと、だんだん気づいてきました。スマートフォンもアップデートしていかないとダメなように、ファッション、インテリア、フードもアップデートしないといけないと思っています。どんなものにもトレンドというのがありますが、必ずしも追いかけなくてはいけないということはありません。ですがある程度は、今流行っているものことは、知っておかないといけないんですよ。今この色が流行っているとか、スムージーが人気とか……。常に意識をしておくといいと思います。セミナーに来られるお客さまには、1年先をどうやって意識するかをお話しています。トレンドを意識するということと、5W 1 Hという言葉を昔、英語でよくやりましたけど、どこでとか、誰ととか、を常に考えておくと、1つの色の共通点を見つけられると思います。 みなさん、単体で見ているんです。それで「うちのソファの色、こんななのですがどうしたらいいですか?」って。部屋全体ではなく、ソファの色しか見えていないんです。「僕のネクタイどう思う?」とかも同じです。どういう職場で働いているか、そういう家か、部屋の広さは、誰と過ごすのか、どれくらいそこで過ごすのかなどを共通して考えることが大切なんです。

PHOTO

フェリシモ:
その人のスタイルだとか、いろんなものを加味して、暮らしの中に取り入れていくということでしょうか?

七江さん:
目の前のことだけじゃなく、背景をすごく大事にするということですね。

フェリシモ:
すごく細やかにコンサルティングされていらっしゃるんですね。

七江さん:
そうですね。本当に、繊細だなって思います。色を通して、相手の方や商品をいかに素敵がということを伝えていくことをしたいんだなって思いました。ピアノにいかせなかった部分が色にいかせているので、天職だなって思っています。

フェリシモ:
色を選ぶ時に、決まった色が選びがちだと思うのですが、いかがでしょうか? 新しい色を取り入れるコツはありますか?

七江さん:
まず、洋服や部屋に何色がないか、ない色が多いかチェックして、ちょっと書き出してみてください。そこで、なんで青が少ないんだろうとか、振り返ってみるのも大事です。そして、黒いペンを青いペンに変えてみるとか、お鍋を青に変えるのもいいと思います。緑や赤なら食べ物で取り入れてみるとかでもいいと思います。

フェリシモ:
器などでも取り入れやすそうですね。

七江さん:
実は青は食欲減退の色でもあるので、ダイエットしたい時におすすめです。ランチョンマットとかに取り入れるのもいいかもしれません。オレンジは食欲増進、おいしそうに見える色なのでお客さまをもてなす時におすすめの色です。

フェリシモ:
色の持つ神秘的な効果はどういったものがあるのでしょうか。

七江さん:
基本の色の説明をしたいと思います。色にはプラスの意味とマイナスの意味があります。使い方を間違えると非常に嫌な気分に、自分も周囲の人もなります。 まず赤。赤は、どういう感じかというと情熱的、やる気、前向き、パッションあふれる色なので、リーダーシップのある色です。そういう意味で引っ張っていくような色です。一方で、マイナスのイメージになると、暑苦しい、威圧感があるんです。使う量を考えないと目立つ色です。ポストも赤いのですぐ見つかるじゃないですか。少量でも目につく色なので、量に気をつけてください。赤い洋服を着る時は、相手が赤が大丈夫がどうか事前に分かるといいかなって思います。次に青。青は、世界中にみんながいちばん好きな色です。青の人が赤の人と会うと真逆なので、引いちゃうんです。でも、この2人すごく仲良しなんです。どちらもナンバー1と2という感じの色です。冷静沈着、客観的に物事をとらえることができる、男性陣はお好きな色です。マイナスのイメージは、クールすぎる、冷たい、寂しいというイメージがあります。 よくある例で、政治家さんは立候補する時、演説している時には赤いネクタイをしていて、当選が決まったらブルーのネクタイに変えるんですよ。どうしてかと言うと、青には「私、もう大丈夫ですから安心してください」というメッセージを込められているんです。それまでは赤いネクタイで「こんなことができます!」、「聞いてください!」とアピールしていたのを、当選が決まると、青いネクタイにして「安心して私についてきてください」という状況になってくるので、よくこの使い方をしていらっしゃいます。実際に政治家さんに相談される時にも、提案しています。一方みんなとは逆を行くという方法もありますね。 あと黄色。黄色はいちばん目立つ、明るい色なのでクラスに1人いるムードメーカーみたいな色です。プラスなイメージだと明るくて元気、マイナスなイメージは、幼稚。幼稚園児の帽子とか黄色なんです。あと、お菓子のパッケージにも多いです、バターを使ったお菓子とか。甘いものを連想するので、甘えん坊みたいな連想もできちゃうんです。 色の連想ゲームをするといいです。すごく脳トレになるし、ボケ防止になります。 今、代表で3色説明しましたが、こういうふうに色を意識していくことで、今までに気に留めてなかった色が気になるようになるんですね。銀杏並木で黄色を感じたり、黄色は黄色でもマスタードっぽい色だなって感じたり……。

フェリシモ:
同じ色でもさまざまなニュアンスがありますね。

七江さん:
私がよく気をつけて見ているのは空の色。毎日見るようにしています。日本にはきれいな四季があるので、色を見る力をつけてほしいなって思います。

フェリシモ:
無難な色しか手にしていなかったのが、気にかけていくことで好きな色が増えていきそうですね。

七江さん:
色って一色じゃないんですよね。グラデーション、ちょっとずつ色が変わってくる、これは、自然界でいちばん味わえることなので……。紅葉もそうです、移り変わっていくところを見てあげると、いいと思います。

フェリシモ:
日ごろから色を気にすることはいいことですね。さきほどにも話に出ましたが、食事と色の関係は奥深いですね。調理師免許も取られたという話を伺いましたが。

七江さん:
ファッションで色を伝えようと思った10代の時に勉強を始めたんですが、なかなかファッションだけでは伝わらないなって思ったんです。そこで、食事だったらみんな食べるし、最初のころはお菓子や料理をつくって出したりして食べることから教えていました。 そうしているうちにどんどん料理に興味が出てきて、結婚して料理にますます興味を持つようになりました。

フェリシモ:
色と食の関係ってなかなか意識することがなかったのですが、食事の時に気をつけた方がいいアドバイスはありますか?

七江さん:
私は基本の赤、緑、黄色、白、黒、5色にプラス1色加えた6色を考えています。どういうことかと言うと、緑はレタス、ほうれん草、キャベツとかいろいろありますが、色によって栄養価が全然違うんです。緑は濃い緑と薄い緑の両方ってことで2色で。基本は濃い緑、そしてできればプラス薄い緑も考えてください。そうすると食卓も映えるんです。

PHOTO

フェリシモ:
全体の食卓の中で彩りを考えるということでしょうか?

七江さん:
そうです。忙しくて、5色、6色むずかしい時には、ランチョンマット、箸置き、器などで取り入れればいいんですよ。青が食事の中にはないので、青絵のお皿などを使ってみてください。

フェリシモ:
使う色、目にする色によって、自分の気持ちやまわりの人に与える印象も変わっていくものですね。七江先生が元気がない時に頼ってしまう色はありますか?

七江さん:
元気がない時っていろんな取り入れ方があるんですよね。例えば、7年前他界した父が、赤が大好きで、私も好きだったんですけど、死と直面した時に、抵抗があって、赤いネイルとかも1年以上できなかったんです。赤ってもともと元気づける色なんですけど、私にはダメだったんです。最近は大丈夫になりました。もともと私は黄色が好きなので、黄色の力も借りています。黄色は開放的になれる色、違う世界に連れてってくれるような色です。

フェリシモ:
その時々の自分の気持ち、内面で、色って変わっていくものなんですね。

七江さん:
これって意識しないと伸びないので、ぜひ7色くらい意識してみてください。疲れているなという時はグリーンを。安心感を得られる色なので、観葉植物を置いたり、野菜をいっぱい食べたり、温野菜を山盛り食べたり、目で見て体に取り入れたり。最近、女子力落ちたな……と言う時、ピンクとか。男性の方でも「女子社員の気持ちが分からない」という時には、ピンクのYシャツを着てみるとか、ちょこっと入れるだけで、いいんですよ。女性って「あ、ピンクのシャツ着てるな」っていうだけで話しやすくなるんですよ。ピンクは女性の代表みたいな色なので、話しやすくなるんですよ。逆に男性の多い職場で働いている女性は、ブルー、紺を取り入れるといいんです。お近づきの印になるという意味でもいいと思います。ピンクを着ていくと女性っていう感じになるので、ブルーを取り入れると距離が縮まり、印象のつけ方も変わります。

フェリシモ:
その時に持ってほしい印象も色によって変わっていきますか?私自身、色を使うのが苦手でして、なかなか色に手を出すのがおっくうなのですが、取り入れる時に取り入れやすいポイントはありますか?

七江さん:
洋服はハードルが高いので最初は洋服じゃない方がいいですね。最初は、パソコンまわりのもの、マウスパッドの色とか、付箋の色とか、蛍光ペンとか、そういうものからスタートしたらいいですよ。ファッションのどこかに取り入れたい時には、ネイルや靴、できるだけ顔回りに来ないようなものからチャレンジしてみるといいと思います。あとは、ハンカチとかでもいいですね。

フェリシモ:
好きな色と似合う色は違うっていうこともあるんでしょうか。

七江さん:
似合う色のことを私は「なじむ色」と言っているのですが、生まれ持った色素で決まるんですね。肌、髪の毛、瞳の色などで決まるんです。そういうのがメッセージになっていて、色素をベースにしながら似合う色を見つけるということもできます。

フェリシモ:
似合う色を選ぶのはむずかしいなと思います。第3者に見てもらう方がいいでしょうか?

七江さん:
自分の似合う色を知りたい時には、第3者に見てもらった方がいいと思います。色を見る時は、すっぴんで太陽の入って来る時間に、状態がいい状態の時に探してほしいです。徹底的にやるのはむずかしいですが、そうして初めて分かることもあるので。

フェリシモ:
年齢を重ねていくと、似合っていたと思っていた色や気に入っていた色が似合わなくなっていったり、どれを着ても若づくりになって心配になるというおたよりをいただくのですが、そんな時、どんなふうに見つめ直すといいでしょうか。

七江さん:
それは恐らく、自分と向き合っていないんですよ。私も過去にそういう経験があるのですごくよく分かるんですが、顔まわりばかり見ちゃうんです。そうではなくて体全体を見ることが大事なんです。なぜかというと、自分で自分のことを見ることができるのは鏡しかないんです。鏡でしっかり見ておくと、どこが悪いのかなとか、いろんなことが見えてきた時に、私ってこういう生き方をしてきたのかな、とか、食べ過ぎたかなとか、運動していないなとか振り返ってみると、いいですよ。私なんて毎日壁にぶつかっていますよ。20代で着ていた服を40代で着ると、当然若づくりになりますよね。そこで、フリルの量だったり、色を変えてみるとか……。1つ1つ見て行かないと出て来ないですよね。

フェリシモ:
それだけ自分と向き合うことが大切になってくるんですね。

七江さん:
そうなんです。大事なのは自分の体と顔、心が一致しているといいですね。生きてきた人生を否定するのはいやだなって思います。自分を受け入れるとイキイキしていけると思います。年齢を重ねて行くと輝くポイントって変わってくるし、内側から出てくる物だと思います。

PHOTO

フェリシモ:
ここで会場のお客さまに七江さんに直接ご指導してもらう時間をつくりたいと思います。七江さんとお話されたい方、いらっしゃいますか?

(女性のお客さまご登壇)

七江さん:
今日のファッションのポイントはどこですか?

お客さま:
今日は仕事途中であわてた状態で来ました。

七江さん:
ふだんはどんなお洋服をお召しになりますか?

お客さま:
落ち着いた色が多いです。でも、最近赤に興味を持っています。

七江さん:
今日のファッションですと、まとまっているのですがアクセントカラーがあってもいいかなって思います。コートは何色ですか?

お客さま:
グリーンです。

七江さん:
グリーンもステキだと思います。今日着ていらっしゃる色には、こういう鮮やかなグリーンも差し色になるので、コートに取り入れられてもいいんじゃないかなって思います。あと靴に持ってきてもいいと思います。赤ですと、グリーンと赤は補色の関係なので、お互いを引き立てるのですごく目立ってしまうんです。洋服に緑を使う時には赤は気をつけないといけません。少量だったらいいと思うので、赤を使いたい時にはバッグに使うといいと思います。あと、ピンクもお似合いになると思います。ピンクだと、グレー、黒のコートにもいいかなって思います。ピンクのストールとか。あまり高いもので買うと失敗したら嫌だから、安いもので挑戦してみてください。 (もうお1人、男性のお客さまご登壇)

(もうお1人、男性のお客さまご登壇)

七江さん:
赤い靴がおしゃれですね。

お客さま:
ありがとうございます。ピンクとか赤を入れるのが好きです。

七江さん:
すばらしい! 男性で足もとに明るい赤い色を取り入れるのってすばらしいことなんです。おしゃれは足もとからってよく言いますが、ぜひ男性陣は、靴に色があるものを取り入れるだけでパッと華やかになるのでおすすめです。ファッションは完成形のような感じですが、何かお悩みはありますか?

お客さま:
ふだんはスーツで仕事をしています。紺のスーツに赤いネクタイなど、同じパターンが多いのですが、印象を変えるにはどうしたらいいでしょうか。

七江さん:
肌の色が明るいので、赤だと強い印象になるので、薄めのピンクなどがおすすめです。青もお似合いですが、水色とか薄い色のYシャツの取り入れていただくと、顔色がよくなると思います。ピンクは赤とも相性がいいんですよ。こういう感じのパープル系のレジメンタルのネクタイとかもいいと思います。

お客さま:
いいですね。

七江さん:
ぜひやってみてください。混ざっているグラデーションもいいかなって思います。

フェリシモ:
色でみなさん印象が変わりましたね。

七江さん:
だんだん慣れて来たら足もとだけでなく、顔まわりにも取り入れてほしいですね。今の時期ならストールとか手袋などの小物でもいいと思います。あと、会社勤めだとなかなか出来ないですが、赤いベルトとかもステキですよ。差し色でピッと入っているとステキです。そういう差し色になる色は、2カ所に散らすと非常にバランスが取りやすいです。

(実演終了)

フェリシモ:
ここからは七江先生の生き方について伺っていきたいと思います。独自の色のスペシャリストとして、ファッションだけなく、ライフスタイルに関わるもので色をスタイリングされている七江さんですが、これからの夢は? これから先どのようなことをやっていきたいですか?

七江さん:
最近は社会貢献、社会に役立つことをしたいと思っています。そのためにはどうしたらいいんだろうと去年から、地域活性を目指した活動をしています。日本のいろいろなところに行って、仲間と一緒に町長さんにあって、町の良さを聞いて、それを色に起こせないか考えたり、商工会でセミナーをさせてもらったり、さらに「町の色をつくっていけたらいいですね」とアドバイスするなど始めています。町には、本当にいいところがいっぱいあるのですが、想像するだけで、なかなかその良さがわからなかったりします。田舎に行くと、こんなによいところがあるのに誰も知らない。それを伝えるためには、色って分かりやすいんです。1色では表現できないので、最初は言葉で落とすんです。色って言葉に落とせないと意味がないんですね。色ってみんな目で見るものだと思っているんですけど、耳で聴こえて想像できないとダメなんです。例えば「黄色」って言うと、みんなが同じ黄色を思い浮かべるかというとそうじゃない。なので、できるかぎりどんなふうな黄色なんだろうというのをみんなが考えられるような……。

フェリシモ:
五感で感じて?

七江さん:
そうですね。五感で感じていないと、言葉にできていないですね。「説明して」って言うと、「うーん、たまごの色」とかしか出てこなくて。そうじゃなくて、たまごでもスクランブルエッグみたいな、とか、何か表現をつけながらやっていくと、色のことが分かって来ると思います。

フェリシモ:
同じ黄色でもバリエーションはどんどん広がりますね。

七江さん:
みなさんもいろんなことをもっともっと知りたいとか、自分の頭の中に増やしたいと思うのであれば、見ることも大事だけれど、それを連想、イメージしていくことも大事ですね。

フェリシモ:
暮らしの中でいろんな色にふれあって、自分のものにしていくことが大切なんですね。外に出てみたら、見える季節が違っていそうですね。空を見てみてください。七江さんは童顔でご苦労されたとのことですが、今までに続けて来た理由はありますか?

七江さん:
色って元気をもらえるんです。落ち込んだ時、黒い服ばかり着ないで、ちょっと勇気を出して明るい服を着てみるとどうなるんだろうとか、それを体感していくと、こんなに変わるんだ、ということを1人でも多くの人に伝えたいという思いがずっと続いています。

フェリシモ:
高校の時の友だちのひと言から。

七江さん:
そうなんです。あのひと言があったから今こうしています。

PHOTO

ページのトップへ

<第2部>

お客さまとのQ&A

お客さま:
受験生はどんな色を着て試験に着て行くといいですか? また勉強中はどんな色を身の回りに置くといいですか?

七江さん:
子どもさんですよね、色の使い方ってすごく繊細です。勉強する時は集中力が大切です。勉強の集中力を高めたい時はブルー系に統一するのがベストです。全然やる気が出ない時には、少し赤系でやる気を出すのがいいと思います。仕事にも活かせます。あと、受験の机の上やまわりは、何色とかではなく、あまりいろんな色を置かないのもポイントです。集中力が散漫になるので、同じような系統の色を置くのがいいです。あともう1つ、いいのは、「夜眠いかな」という時の差し入れの飲み物は赤いマグカップで持っていくと目が覚めます。

お客さま:
子どもの時、きれいだなと思ったのは何色ですか?

七江さん:
さきほど、竹下通りでのショッピングの話をしましたが、その時、ターコイズブルーの袖なしの服を買ったんです。中1で、すごい色を選ぶでしょう。当時はすごく魅かれて、買ってからよく着ていました。あとは同級生の男の子のランドセルの色が緑だったんです。赤と黒しかなかった時代の緑のランドセルだったので、気になりますよね。目立つし優秀な方だったので人気者でした。その子にお母さんに「なんで緑なの?」って聞いたら、「選ばせた」って。記憶に残っていますね。 今は何十色もありますよね。「逆に選べない」ってお母さんから相談を受けます。「ランドセル何色選べばいいですか?」って。いちばんいいのは、子どもに好きな色を選ばせるのがいいと思います。「男の子でピンクを選んできた時はどうしたらいいですか?」というのはちょっと考えますが、女の子が水色、選ぶのはいいと思います。赤とかピンクを選ばない子は、もしかしたらいろんな可能性があるのかなって思います。親がいろんな可能性を潰さないようにしてあげるといいかなって思います。

お客さま:
洋服に使用する色は何色くらいするとオシャレに見えますか? あと色を分散するといいとのことでしたが、どのあたりに分けるといいですか?

お客さま:
洋服に使用する色は何色くらいするとオシャレに見えますか? あと色を分散するといいとのことでしたが、どのあたりに分けるといいですか?

七江さん:
ファッションに関して言うと、柄ものだと2色から5、6色といっぱいあると思います。柄ものってすごく便利なんです。無地がいちばんむずかしいんですよ。ベタ塗りってなるので、どこにアクセントを持ってくるかとか、肌のトラブルも目立ちやすいんです。何色を取り入れていいか分からないという人は柄物を取り入れてもいいかも知れないですね。 例えば白と黒だと、パキッとした感じになります。そこに、プラス1、青を入れてみるとか。あんまりたくさんではなく、少しだけ取り入れてみるといいと思います。黒いワンピース、白いジャケットとなった時に、青いハイヒールとか、この時、足もろの青だけ目立つので、例えばブレスレッドをするといいと思います。色が2ヵ所になることを、私は「色を散らす」と言っているんです。このバランスは、落ち着くんです。バランスよく、きれいに見ることができるんです。アクセントカラーは2ヵ所にするといいと思います。もう1色足したい時に、いちばん簡単なのは、黒だったら、グレーを入れたり、薄いブルーを入れるとか、グラデーションカラーを取り入れる、アクセントカラーのトーンを落とすのがやりやすいと思います。

お客さま:
今日のお洋服とてもステキです。どのようなお気持ちで選ばれましたか?

七江さん:
やはり色を扱う仕事をしているので、ベーシックな色の洋服でないと、色がかぶりますよね。なので、その時になじむ色だったり,初めてお会いする方の場合はできればトーンを落としたグレーで探すことが多いです。グレーはグレーでも、グレーってたくさんありますよね。チャコールグレー、ねずみ色など、グレー1つでも選び方がむずかしいです。グレーは意味で言うと、中途半端、白でもなく黒でもなく。プラスなイメージで言うと中立、みなさんとできるだけ近づいてお話したいと思ったので、何色にでも染まれるようなグレーにしようと思いました。

フェリシモ:
今まで見て来られた色の中で、思い出深い色はありますか?

七江さん:
3、4年前の父の墓参り、雨上がりの夕暮れ。空が紫のグラデーションになっていたんです。パープル、青、赤のような色の空がすごく印象的でした。

お客さま:
自分が嫌いな色を見ると、心が乱れます。どう向き合っていけばいいですか?

七江さん:
ある特定の色が嫌だという人もいると思います。それには、理由が必ずあると思います。好きな人にフラれた時に彼が着ていた服の色とか、多いのが小さいころ母親に無理矢理着せられた服の色とか、大人になっても嫌だと思っているとか……。完全に向き合うのはむずかしいので、その色に悩んでいる自分をハッピーにしてくれる色かもしれない、ちょっとずつ慣れるように練習するといいと思います。むずかしいけれど、近い色から慣れて行くといいと思います。お花とかいいですよね、花からトライをしてみるのもいいかも知れないです。 その理由と向き合うのも大事かも知れないです。色って無言で語りかけてくるんです。

お客さま:
私はきれいな明るい色が好きなんですけれど、膨張するじゃないですか? 暗い色を使わずにほっそり見せる方法を教えてください。

七江さん:
いいことですね!明るい色が好きっていうのはいいことですね。みなさんも今日講演会が終わったら、パプリカでも柿でもなんでもいいので、明るい色のものを買って帰ってほしいんですけど、明るい色って、ちょっと広がって見えるんです。 白と黒の同じ大きさの石があっても、白は膨張して見えるので、黒の方が大きくできてるんですね。そういうふうに実際に明るい色が膨らんで見えるんです。じゃあ、黒を着ればいいのかっていうとそうではなくて、大きなものに黒を着せると、小さくも見えるんですけど重い印象になるんです。膨らんでは見えないけれど、「この人重そう」ってなります。 例えば、赤い色のワンピースを着た時に、広がって見える場合はコントラストをつけるといいと思います。明るい色同士だと白とか、できるだけパキパキッとした色合わせにすると、いいと思います。中に入れる色を濃い色にしてあげると、中心が細く見えるので色があっても太って見えません。あとは、色の持っているもの自体が広がるっている特徴があるので、色で対処できない部分は形を変えていくといいと思います。単色のワンピースが多い場合は、ベタ塗りに注意してください。特に素材感、形。お腹を隠そうと思って、チュニックとかタイトじゃないものを選びやすいのですが、シルエットは重要。体にフィットしているものを選ぶだけでも、太って見えなくなります。色って形とセットだと考えてください。赤と青では全然違いますよね。若干太って見えそうだなと思ったときは、少しブルーとかの寒色系や、パープルを持ってくると落ち着くと思います。

フェリシモ:
最後に、今季の神戸学校のテーマは「ともにはぐくむともにつながる、ともにつたえる」というテーマなのですが、しめくくりとして、彩り豊かな生活や彩り豊かな心がみなさまの暮らしにあるように、そしてそこからまわりの方にそんな暮らしが伝わるようなメッセージをお願いいたします。

七江さん:
色のことっていうと、みなさんファッショのこと、洋服のことを思われることが多いと思うのですが、実は色って服だけではなく、生活の中、どこを見てもある身近な存在なんですね。ただそのことって忙しいと結構見落としてしまって、バタバタしていると色のことなんて忘れて前を向いて歩いていることたまにあります。私もそうですし、みなさんも一緒だと思うので、ぜひ毎日、ちょっとした瞬間を意識する、例えばここにある ペットボトルも、「黄緑のフタなんだな」と意識してみてください。何も考えていないと飲んで捨ててしまいますよね。そうじゃなくてペットボトル買う時も、買った時は自分の飲みたいものを買って、ちょっと落ち着いたら見てみて「あ、黄緑だった。黄緑ってどんな感じかな」というふうに意識をするということをぜひやってほしいと思います。1人が意識するとまわりの人にもどんどん伝染していきます。そうするとこれから寒い時期でも、まわりがポカポカしていきますので、今日いらしてくださったみなさんからスタートしていろんな明るい色を意識しながら取り入れていくということをしてもらいたいなと思います。それが、自分のためにもなるし、人のためにもなるし社会のためにもなるというふうに意識して、色を取り入れていきましょう。

ページのトップへ

Profile

七江 亜紀(ななえ あき)さん<色のひと® /カラーキュレーター®>

七江 亜紀(ななえ あき)さん
<色のひと® /カラーキュレーター®>
*プロフィールは、ご講演当時のものです。
企業やビジネスパーソンを対象とし、ファッション、食、インテリア等ライフスタイル全般のカラーコンサルティング、ブランディングを行う。「色」を視覚だけに頼らず五感全てを通してイメージできるように、さまざまなものの価値向上を図る。また多くのメディアにて監修、大学や講習会でも講師業を行う。クチコミで広まったサロン「Lustre(ラスタ)」には全国から多くの女性たちが訪れている。2009年の処女作『働く女性のための色とスタイル教室』(講談社)はロングセラーとなり、衣食住にまつわる色の本『知って役立つ色の事典』(宝島社)は発売後すぐに完売となる。他にも著書多数。2015年の春には文庫本と台湾にて共著本の刊行を予定している。

ページのトップへ

その他のゲスト

ページのトップへ