神戸学校

神戸学校はフェリシモが主催する「神戸発 生活デザイン学校」です。

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「既成概念をブチ壊せ! ~創造的であり続けるひみつ~」



<第1部>

(タナカカツキさんご紹介映像)

タナカさん:
みなさん、よろしくお願いします。

フェリシモ:
タナカさん、昨日は神戸サウナの方へ行かれたそうですね?

タナカさん:
サウナは僕たちサウナーにとっては、日本の宝ですからね。神戸サウナ&スパはすごいですよ。まず水風呂の温度が15度ですから。ちょっと素人は入りにくい温度なんです。体がピリピリします。だいたい設定温度が18~19度なんです。15度って玄人受けする温度なんです。お店としてはリスク高いんですよ。 一見さんはお断りみたいな雰囲気、出てきますよね。でも、水風呂、慣れてくるとじょじょに入れるようになるんですよ。最初冷たいんですけど、どんどん低い温度を求めてくるんです。こんな話でいいんですか? 最初から(笑)。

フェリシモ:
タナカさんは今お話にありましたように、「日本サウナ協会」公認のサウナ大使として活動されていて、「世界水草レイアウトコンテスト 世界ランカー」の実力をお持ちの「水中園芸家」でもいらっしゃいます。さらにお肩書きはカタカナの「マンガ家」とお伺いしていますが、このカタカナで表記していることについてお聞かせいただきますか?

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タナカさん:
僕はマンガ家として雑誌でデビューさせていただきました。僕たちの世代において、「マンガ」っていうのは、カタカナの「マンガ」なんですね。漢字の漫画家は僕らからしたら、昭和初期の漫画家なんです。総理大臣の似顔絵を描くとか、新聞で風刺画を描いているのが漢字の漫画家という認識がありまして、僕たちの世代は、手塚治虫さん以降のマンガ家にあたります。「手塚治虫さん以降、『漫画家』がひらがな、カタカナのマンガ家になったね」なんて、当時言われていたんですよ。なので、正式な肩書きとしては、カタカナが正しいんじゃないかなと思ったりしています。

フェリシモ:
今、コップのフチ子さんが人気ですね。最近では歌手の安室奈美恵さんや、ハローキティとコラボレーションしたり、かなり熱いですね。

タナカさん:
発売は2012年、発想自体は2011年にありました。今は700万個売れているそうです。今日からふなっしーコラボが、名古屋パルコで先行発売です。1人5個まで限定なんです。

フェリシモ:
このフチ子さんはどういったところから発想されたのですか?

タナカさん:
「ガチャガチャ」ってみなさんしますか? 子どものころ、やったと思うんですけど。最近「ガチャガチャ」がすごいことになっているなぁと思ったんです、何年か前に。キノコシリーズとか出ていて、すっごいリアルなキノコがフィギュアとかであったんです。本当にそっくり、質感もキノコ、違いは匂いがないことと食べられないこと、すごく精巧にできているんです。日本人のクリエーション、日本ならではのモノづくりだなあと感心していたんです。そのうちにいろいろなシリーズが出て、それで、「ガチャガチャ」をする大人たちが出てきて。その「ガチャガチャ」のメーカーさんから「『ガチャガチャ』をつくってみないか」というお話をいただいたことがきっかけでした。「ガチャガチャ」って、マグネットになって冷蔵庫につけたり、キーホルダーになって鞄につけたり、「ガチャガチャ」が何かにくっつく、というような宿命を帯びていて……。フチ子さんというのはOLのフィギアで、コップの縁に引っかかるんです。 そして2012年はフェイスブックやツイッターというものが一般化してきたころでした。「ガチャガチャ」には「シークレット」という種類があるんです。「ガチャガチャ」って何が出て来るか分からないんですよね。で、出て来たら、「あ! シークレット出た!」って友だちに自慢したりするんです。その時に「シークレット出た!」ってツイッターなんかでつぶやくわけですよね。つぶやかれて画像をアップしたら、全然シークレットじゃなくなるんですけど。そういうことがあって、「#フチ子」というハッシュタグワードが広がりまして、「ガチャガチャ」とSNSの時代が同時に来たんです。 ネットで何でも買える時代なのに、「ガチャガチャ」ってどこに置いているかよく分からないでしょ。商品もお目当ての「ガチャガチャ」に出会う確率って少ないですよね。回したとて、好きなのが出てこないでしょ。時代と逆行しているんですよね。好きなものが手に入らないというワンクッションが、ゲットした時の喜びみたいな。そんなものと繋がったのか……。みなさんフェイスブックやなんかで、ランチの画像をアップしたりしますよね。当時もOLがランチの画像をアップしていて、僕、なんかすごく腹が立って(笑)、見ても僕は食べられないし、「私はこんな豊かなランチをしてるんですよ」って、「そんなことを聞かされても、話としてもなんにもおもろしろくない画像がなんでアップされるんだろう」と思って。その画像をなんかおもしろく加工できないかなって。そこにフィギュアがちょこんと立っていたらなんかおもしろいかもしれん、みたいな思いがサウナで出てきたんです。サウナで妄想の「ガチャガチャ」をまわしていたんです(笑)。それをメーカーの方に、提案しまして、その中の1つがコップのフチコさんでした。

フェリシモ:
フチ子さんがいるとクスッという気持ちになりますね。

タナカさん:
ラテアートとかアップするじゃないですか? でもそのラテの横にちょこんといたりするとなんかかわいいかなと思いますよね。

フェリシモ:
フチ子さんのフォトコンテストもあるんですね。

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タナカさん:
はい。フチ子さんの画像が日々アップされるんですよ。傑作があったりするんです。フチ子さんがコーラの中に落ちちゃって、コーラの気泡がフチ子さんのまわりについているめっちゃ気持ち悪い画像とかアップされてて、「わ! これおもしろいわー」っていうものがたくさんあるんです。これは、コンテストを開いて、いろいろ募集して、盛り上げて、優秀賞をあげたいなと。感謝の気持ちをメーカーからも提案できたらな……と始まったんです。6000通来ましたね。全部見るのに1週間かかりました。小さいフィギュアなので、芸の細かいことをしてるんですよ。優秀賞の商品には大きな窓辺のフチ子さんをつくり、プレゼントしました。チャンピオンになった人に贈ったら「どうしよ」と言うてました(苦笑)。

フェリシモ:
ここまで盛り上がると思われていましたか?

タナカさん:
全然思ってなかったです。偶然じゃないですか。そういうSNSの時代がやってくる、テレビやラジオやメディアでは双方向のコミュニケーションの時代が来ますよ、とか「ハッシュタグでつぶやいて」みたいなことは始まってましたが、まさか700万個も売れるとは。

フェリシモ:
フチ子さんはもともとはカルチャー色が強い店で扱っていましたが、今、もうみなさんよくご存知ですよね。

タナカさん:
昨日から名古屋パルコでフチ子展をやっています。

フェリシモ:
本当に大人気ですが、最初見た時はこんなにかわいいけれど、パンツが見えていたり……。

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タナカさん:
あられもない格好をしてコップのフチにアクロバティックなポーズで引っかかってますからね。 コンテストの優勝賞の作品を見ていただけますか?

(スライド)
みなさん上手です。工夫もされています。本当にうれしいです。

フェリシモ:
今日はガチャガチャもロビーに用意していますので、よろしければみなさん、されてみてください。さきほどからちらちら出ているサウナの話に戻りたいと思います。

タナカさん:
「日本サウナスパ協会」という協会があるんです。その協会公認のサウナ大使を務めています。そもそもなんでかというと、僕はサウナがすごく苦手だったんです。あんな蒸し暑いところ、それで水風呂、なんか罰ゲームみたいでしょ。ああいうところには近寄りたくないなと思っていて温泉、健康ランドとかに行ってもサウナに入ってもすぐに出てきていました。あんまり好きじゃないし、来ている人たちも嫌だし……。裸のおっさんたちが汗かいてるでしょ、「そんなところでどうやってリフレッシュすんねん」言うてね。全然分からなかったです。ある日、40歳を越え、自分は完全おっさんや、おっさんやのにサウナの入り方も知らないとと。ある日、家の近くにジムができたんです。それで定期健診の身体検査の時に、プチメタボって言われて「ちょっと運動した方がいいですね」と言われてね、ジムの会員になったんですよ。「月1万2000円かあ、高いなあ」って思いながら、最初ランニングマシンとかやってたんですよ。そのうちやっぱり、あれやめますよね。風景変わらないから、おもんないし。でも、せっかく会員になったから、利用せんとと思って行ってたんです。新しくできたジムなので、サウナ室がきれいだったんですよ。日中ジムへ行くとほとんど誰もいないんですよ。老人が数名くらい。後期高齢者が数名と僕、みたいな感じだったんですよ。サウナ室も誰もいない。つくりたてだから木のいい香りがするんですよ、で、貸し切り状態、気持ちいい、でもやっぱり暑いですよね。汗をかくと、横に水風呂があるから足つけてみた、やっぱり冷たいんですよね。やっぱり入れない。最初は膝小僧まで。で、限界、上がって、またサウナ室に入った。汗をかく、そして水風呂。そしたら、さっきよりは入れるんです、体がほてっているから。で、腰くらいまで入ったんですね。水風呂の温度は18度、冷たいです。でも、ほてった体でちょっとじっとしていると、皮膚のまわりになんやうっすらと「温度のはごもろ」みたいなんができるんです、じっとしていたら。で、冷たくなくなるんです。お風呂もそうでしょ。最初熱いですよね。入ってじっとしてたら、熱くなくなりますよね。水風呂もそうなんですよね。冷たいんだけど冷たくなくなる瞬間があるんです。むしろ心地いいみたいな。「あれ? みんなこれやってるん?」、そのうち寒くなるんですよね。寒いなと思ったら横にちょうどサウナがあるじゃないですか。そこで、暖を取って……、なんて繰り返していたんですね。繰りかえすうちに、なんかめっちゃ気持ちいい成分が頭から何か出て来たんです。ふわーって、「あれ? 何これ?」と、ベンチがあったので休んでいたんです。「グラ~ン」とした大きな揺らぎみたいなんが来たんです。ドキドキしていて目をつむったら、ふわーっと広がっていくんですよ。なんか気持ちいい汁みたいなんがが出てるんですよね。「何これ? アドレナリン? セロトニン?」詳しい専門家やないから分からへんけど、なんか気持ちいい、もしかしてこれ、なんか気持ちいいとこに辿り着くんかなと思ったけど怖いから、いったん服着て家帰って、「サウナ、快楽」とか「サウナ、意識」とかインターネットで検索してみたんですね。そしたら、どうもそういうサウナの世界があり、サウナの本場はフィンランドやということを知り、サウナの語源は「生と死を同時に意味する」みたいなことを知り、フィンランド人はサウナに入る時に、教会に入るような気持ちで、神と語らうような意識でサウナを嗜んでいるというようなことなどいろんなことが分かってきたんですね。それで、自分の感覚、気持ちよかったということを頼りに、ジムでいろいろ水風呂、サウナ、今日は長く入ってみようとか、実験し始めたんです。あるポイントで、ぴたーっと気持ちいいトランスのような状態に来る時があったんです。なんやこれ。世のおっさんは、こんな気持ちいいことをしていたんかと。たまにちらちらと聞いていたんです、「サウナというものは、副作用のないドラッグや」とかね。そんなことをおっさんはしていたんか……と。ちょっと嗜みが分かるようになってきた。でも、サウナって中毒性があるんですよね。やっぱり気持ちいいんで、「サウナ=気持ちいい」という工程式ができあがってしまうと、サウナに行こうとする段階で、気持ちいいというのが始まるんです。「今日はサウナ行くで」というと、ほんま禁断症状です。で、行って、「やっぱり気持ちいい」ってなる。僕、バチッとハマったんですよ。で、いろいろやっているうちに。「水風呂ってどこまで入ったらええんやろ?」って分からないでしょ。書いてないんですよ。水風呂ってだいたい時計がないんです。サウナには12分時計というのがあるんです。水風呂には温度計しかないんです。だから時間が分からないんです。体に聞くしかないんですよね。気持ちよければ気持ちいいほど、集中力もアップするし、そこでいろいろなアイデアや発想が出てくるんです。「この仕事はこうやないか、その仕事の案件はこうやないか」と、異様に集中力が高まって、あれ今一体水風呂に何分入ってるの? ってなって、上がった瞬間、鏡を見たら、顔が真緑なんです。

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(会場:笑)

タナカさん:
今、自分がふわっと気持ちいいトランス状態に入って、気持ちよければ気持ちいい集中力が働いて、顔が真緑になって、「えー」ってなって、体も立てないんです。やばい、ドキドキが止まらないんです。俺今冷たいの? 寒いの? でも、顔は緑色みたいな。超バッドトリップになるんですよね。ほんとに大変でした。でもじーっとしているとじょじょに意識が戻ってきて、更衣室に辿り着いて、パンツを履いたら……。「パンツを履く」って安心しますよね。「そうか全裸やったから不安定やったんや」「全裸で倒れたら、どうしよう」と思っていた不安が、あったんでしょうね。パンツ履いてたらいつ倒れてもいいわ、って。倒れることは、ないんですけどね。それで意識が戻って来て、ああ、気をつけなあかんなって。でも、自分の体を使って、サウナ室の温度、水風呂の温度とか、いろいろ試したんです。そしたら最終的には耳が聴こえなくなって、朝起きたら、プールの中に潜っているような感じになって、ドキドキしながらインターネットで「耳、聴こえない」って調べて……。医者へ行って、でも、調べられているうちになんか治ってきたんですね。(中略)「別に悪いところないです。お仕事し過ぎじゃないですか?」って聞かれて、本当はサウナに行き過ぎたんやけど言わずに、お医者に「当ててみぃ」って思ったんです。「あなたサウナの行き過ぎですよ」って言うてほしい。でも言うてくれない。耳聴こえない、おかしい。って、やりとりしていたら、結局「うつ病」ってことになってね。違うのに、サウナに行き過ぎやのに……と思いながら、ね。(苦笑)

フェリシモ:
最初のきっかけから、病院に行かれるまでを話していただきまして、ありがとうございます。

タナカさん:
そういうことを1冊にまとめたのが「サ道」(パルコ出版)です。それが、日本サウナスパ協会の偉いさんに見ていただいて、「お前、サウナ大使になれ」言われてね、「ああそうですか。サウナ大使ってほかにいるんですか?」って聞いたら、長嶋茂雄さんがサウナ大使らしいんですよね。「すごいですね。サウナ大使はどんな特典があるんですか?」って聞いたら、「サウナがどこでも無料なんです」って。「えーっ! 絶対大使になりたいです」って言って、ゴールドカードみたいなのをいただいて、サウナに行って、カードを出したら受付では誰も知らないんです。(笑)。「変なおっさん来たで」ってなるんですよ。だから、最近ではふつうにお金を払って入っています(苦笑)。

フェリシモ:
サウナ大使の活動について教えてください。

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タナカさん:
こうやってサウナのことを話すことです。でも、まだ僕はサウナ界の新人なんです。サウナってこんなところなんだ! って気づいてまだ6年くらいなんです。サウナ界には重鎮がいますから。ずっとサウナ入り続けて何年、という先人がいますので……。サウナ大使としての仕事は、本場フィンランドに行かせていただいたり、今年はリトアニアに行きました。ドイツとかもサウナ大国です。日本もそうです。それぞれサウナの楽しみ方は違います。サウナ室にテレビがあるのは日本独特ですよね。ほかの国にはないです。サウナというのは、すごくリラックスする空間なので、あそこにテレビを置く、のは非常に違和感があるんですね。日本オリジナルじゃないですか。サウナというのは、おっさんが汗をかく場所というイメージも日本独特です。海外では、水風呂がメインです。もっと言うと、フィンランド人は水風呂には入らないんです。湖なんです。フィンランドには湖が約10万個あるんです。100万個やったかな? グーグルアースでフィンランド上から見てください。小さな穴ぼこだらけですよ。市内のヘルシンキでさえ、たくさんの湖があるんです。あの湖の中や湖畔で楽しんだり、ゲームしたり、バーベキューしたり、釣りしたり、ここを楽しむために、でも寒い、それで暖を取るためのサウナなんです。一時的に暖をとるためのサウナ、湖を冬でも楽しみたい、ということでのサウナなんです。サウナはメインじゃないんです。 実は日本でもそうなんですよ。水風呂がメイン。いいサウナ施設は、水風呂がいい、水質がいい、いい温度が低いです、なかなかないんです。神戸サウナスパは、水温15度、最高!トランスも深いわけなんです。 日本以外のサウナを楽しみ方ってね、ほとんど植物を使うんです。サウナって植物を使ってこそ、なんです。ヴィヒタという葉っぱを束ねたもので体を叩いたり、サウナ室を植物の香りで蒸してアロマセラピーですよね、非常にいい香りにするんです。あとは、殺菌作用、怪我が早く治ったりするんですね。フェトンチッドで、室内にもカビがはえないんです。植物が重要なんです。植物を蒸して香りを楽しみ、植物で体を叩いたり、植物に埋もれたり、そういうことをサウナって言うんですね。植物とか自然と調和することが中心としてサウナがあるんですね。だから日本は、非常に特殊なんです。僕がジムのサウナでトランス状態になったのは、新しいサウナだったということが影響しているんです。新しくて木の香りが豊かだったということが良かったんです。沈静効果があったんです。それでサウナと水風呂を行ったり来たりすることで血管が収縮し、意識は開くけれど、気持ちはリラックスという状態ですね。

フェリシモ:
タナカさんがもう一つタナカさんの名を世界にとどろかせている水草水槽のお話を聞かせてください。

タナカさん:
熱帯魚、金魚やったらみなさん飼われたことあると思うんですが、かわいいけれどメンテナンスが大変ですよね。部屋で水槽を持ち、管理維持するのは大変だと思うじゃないですか。あれは、魚だけ飼うから大変なんです。魚と植物、自然。魚の出す二酸化炭素と、糞の有機物を必要とするのが植物なんです。だからばんばん植物を入れたらいいんですよ。で、水槽の中で生態系をつくっていくんです。そしたら、水がとことんきれいになっていくんですね。魚だけを飼うと水がどんどん汚れていくんです。植物をふんだんに入れて、そこに自然をつくってあげたらいいんですね。

(スライド)
これは僕の自宅にある120センチくらいの水槽です。この中に植栽、植物をしつらえて、魚が住んでいる、これで生態系をまわしているんです。見ているだけで美しい水槽になるんです。こういうことが近年始まったんです。これは昔は大変だったんです。植物は太陽がたいせつです、近年LEDができて室内でも明るい照明器具なんかができて、自宅でもできるようになったんです。

フェリシモ:
タナカさんが、水草水槽に興味を持たれたきっかけは?

タナカさん:
金魚を夜店ですくってきたやつを飼っていたんですが、水槽の水がすぐ汚れるんです。「なんとかなれへんかな」って思って調べたんです。それで初めてバクテリアの存在を知るんです。バクテリアが水をきれいにしてるんだと。金魚の水槽の砂とフィルターは掃除をしたらだめなんです。あそこに水をきれいにしてくれるバクテリアがいるんです。僕は、水槽の掃除をする時、砂利もフィルターも洗ってたんですよ。いじっちゃダメなんです。あそこがバクテリアがふんだんに住み着いていることを知り、さらに、浮き草を入れるとどんどん浮き草が増えていったんですよ。そして、金魚の匂いがしなくなった、じょじょに生態系を室内で体験して、そこから調べ始めたんです。そこから水草水槽という世界があることを知りました。水草水槽というのは、魚がメインではなく草がメイン。草を上手に美しく、しつらえて、その中で生態系をつくって楽しむ世界を知ってから、自分もやろうと思って、今5年くらいです。

フェリシモ:
水草は水槽を彩る背景?

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タナカさん:
水草はメインですね。で、最終的に魚を取ってしまったんです。でも、魚を取ってしまうと、水草が育たないんです。不思議ですよ。植物が元気かどうかって陸上じゃ分かりにくいでしょ。観葉植物が元気かどうか分かりにくいじゃないですか? 水草は、光合成するんです。陸上の植物の光合成は目では見えないですが、水草の光合成は、元気のいい草はたくさん気泡を出すんですよ。できたての酸素ですよね。だから気泡のつき方で分かるんです。魚を取ってしまうと気泡が小さいですね。色もよくなくなってくるんです。そこに魚を入れると、また水草がイキイキとしてくるんです。部屋の中で体験するとちょっとおもしろいです。生態系を手応えで感じられるんです。手元で水がじょじょにきれいになっていく、これはおもしろかったですね。

(スライド)

フェリシモ:
今年のレイアウトコンテストに出された作品の制作過程のスライドをご覧ください。

タナカさん:
最初にデッサンするんです。完成するまでに6~8ヵ月かかっています。デッサンでは見た目の美しさを考えます。そこは生け花みたいな、植物をどうしつらえるか、構図を考えます。あとは植物の植性があるので、ライトを好む植物と、影のところでひっそりとしていたい植物などがあります。多少は知識を考えながら植栽します。田植えみたいな仕事です。あとはほっておくんです。最初のころは、汚れていきますが、交換していくとじょじょに水を交換しなくてもよくなってきます。水が美しくなっていく過程もすばらしいです。最初はただの水道水の匂いがしているんです、じょじょに森の香りになっていくんです。森の中で深呼吸しているみたいな匂いがします。やっぱり、バクテリアの匂いですね。原生生物とかプランクトンとか、バクテリアがいるのでその香りがしてきます。すごくいい香りですよ。

(スライド)

フェリシモ:
こちらが、今年タナカさんがレイアウトコンテストに出品されたものです。

タナカさん:
コンテストがあるというのも初耳でしょ。世界的なブームになっているんですよ。日本人は強いんです。やっぱり庭の文化、造園の文化があるので、日本人はすごいです。園芸をしている人っていうのは、 世界的規模で広がっていて、世界コンテストも開かれています。このコンテストにも2300くらいの応募があるんですね。

フェリシモ:
タナカさんの作品は世界で13番目だそうです。

タナカさん:
じょじょにがんばって来ています。深い世界ですが植物にとっては、好環境なんです。ほんまにマンガ家? て感じですよね?

フェリシモ:
タナカさんは最初のご紹介にもありましたようにマンガ家でいらっしゃいますが、サウナや水草水槽など、興味を持たれてから本にするまでの、好きなものに対して消化するエネルギー、表現するパワーはどういったところから?

タナカさん:
分からないですよねー。でも、そんなんありますよね。好きになったら、それに関わっているだけで楽しいですよね。好きになったら意欲が立ち上がりますよね。「意欲」っていうエンジンでコトコトって進んでいきますよね。だから興味のないことをずっとするのってしんどいですよね。だから自然に流れて興味あるところ興味あるところに、流れているんじゃないですかね。非常にぜいたくなことだと思います。楽しいですから!

フェリシモ:
もともとマンガ家という職業は、絵と物語で表現をすることだと思うんですが、タナカさんがマンガ家になりたいと思ったきっかけは? なりたいと思ったのはいつごろでしょうか?

タナカさん:
僕らの時ってマンガか野球か。あんまり選択肢がなかったんですよ。学校でも将来なりたい職業って聞かれて、プロ野球選手、学校の先生とか、ケーキ屋さんとか、その中の花形の職業がマンガ家だったんです。だから、僕もふつうに、マンガ読んでたんでね。テレビとマンガを見て育ったので、テレビのつくり方なんて子どもには分からないでしょ。でも、マンガは分かりやすいですよね。当時、マンガ家の入門書がたくさん出ていたんですよ。それを親に買ってもらって、最初僕「マンガいえ」って呼んでたんですけど、「マンガいえって何?」って聞いたら、「マンガを描いているプロのことや」と。「プロって何」って聞いたら、「プロって言うたら、例えばこれ今テレビで野球してるやん。野球をしている大人たちっていうのは、野球ばっかりしてんねんで」と言われて、すごいショックでね。「野球だけしている人生ってあるのか」って思って。僕はこのテレビで野球している人たちは、ふだん働いていると思ってたんです。「え? ずっと日中も野球してるの?」と。「それがプロやで」と言われて、じゃあ、日中も夜もずっとマンガ描いてていいのがマンガ家やと聞いて、即決です。8歳でした。「ずっとマンガ描いてていいの?」って。それでマンガ家入門、1ページからがーって読んで、この通りにしようと思って、その通りに生きてきましたね。

(スライド)

フェリシモ:
タナカさんの今後の夢、やりたいことを教えてください。

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タナカさん:
まず、水草コンテストで1位を取ることです。世界の壁すごいんですよね。この世界、すごくおもしろくて広めたいんですけど、なかなか取り扱ってくれないんですね。手元で生態系ができるなんて、本当におもしろくて……。こんな時代になってきたんやと……。ぜひとも体験していただきたいので、体験していただくためには、まず、この世界を知っていただくこと、この世界を知っていただくことは、その世界を伝える人に伝えること、だからメディアに伝えることですよね。 メディアが伝えるための条件は1位を取ること、1位を取れば、ニュースでもやってくれると思うんですよね。「こういうコンテストで久々に日本人が1位を取りました」、「水草水槽のコンテスト、何、そのコンテストー!?」そこから広まっていくような気がするんです。楽しいのでね、ぜひとも体験していただいたらなと思います。

フェリシモ:
ちなみに水草水槽コンテストの審査はどういったものですか?

タナカさん:
水草水槽の審査はどういうところを見ているのかというと、もちろん見た目の美しさもそうなんですが、作家性、構図とか、特殊だなと思うのが、その水槽の中に生態系ができ上がっているかどうか、美しい水ができ上がっているかというのを見るんですよ。どうやって見るかというと植物の葉っぱのつや、肉づき、形、色、そういうものでここの環境はいいかどうかが植物の姿で分かるんです。それを見て審査員の方は、この植物はこの枝葉を伸ばし、こんな葉っぱの肉づきでこんなつやをしている、これはいい環境だって。そういうところを見るんです、だから目で植物を見て、植物がイキイキと育っているか、それで環境を見るんです。それは水槽の中だけのことじゃないんです。街中を歩いていても、この木はこれだけ生い茂っていると、生い茂るにはそれなりの条件があるわけですよね。水質、空気など、環境がよければ、植物はふんだんに表現してくれるんです。 散歩が楽しくなりますよ。部屋の水槽のできごとが、外でもそのまま応用できるんです。世界をもう一度違う目線で認識できます。おもしろいですよ。都会に生まれた僕は自然と遠いところで育ったのですが、この年になって自然に自然へ向かうようになっちゃってるんです。でも僕は自然に対して素人なんですよ。森、山で育ってないので知らんことだらけなので新鮮なんです。年取ったんかなって思います。盆栽なんか全然興味なかったけれど、水草水槽は盆栽みたいなもんでしょ。それでサウナ行ってるでしょ? 俺おじいちゃんやん! いつのまに? って(笑)。コンピュータグラフィックスとかめちゃ好きやったのに。当時1992年くらい、メールアドレスを持っていたのは僕とおかんくらいでしたよ。母親にメールしてましたもんね。そういうところでずーっとやっていると、最終的になんか自然に……。あ、でもコンピュータって自然と似てるんです。 コンピュータも今ブラックボックス化しているでしょ。分からないでしょ。ネットワークはりめぐらして、巨大になっているでしょ。植物の在り方と非常に近いんですよね。結構、飼い慣らせない領域に行っているので、非常に似ているんです。そういうことを感じます。コンピュータの強いところというと記憶力や単純作業を繰り返すというところ、その計算が異様に速いというところ、コンピュータの本質、特徴ですよね。植物もそうなんです、ずっと繰り返す、おなじふうにやる、花が咲き、枯れ、また再生する、アホほどずっとおんなじことをするっていうね、人間の手に負えないぐらいな退屈な作業を永遠とするのが植物なんですね。

フェリシモ:
ほかに何か目標はありますか? 

タナカさん:
毎日おだやかな生活ができたらいいなあと思っています。僕はモノをつくる仕事をしているので、頭の中でアイデアとか、発想とか、考える、表現するという仕事をさせていただいてまして、それは非常に楽しいことなんです。でも、表現する気持ちになることをつくる、意欲。今日やらなあかんことある、今日しめきりの仕事がある、それをやらなきゃいけないですよね、その時に意欲が必要ですよね。この意欲をつくることっていうのが、仕事の大半なんです。朝起きて、「さあ、仕事するぞ」っていう気持ちになるこの気持ちをどうやってつくるかなんです。辿り着いたのがサウナなんですよ。それまでいろいろ試してたんですよね。マンガ家の先輩に「アイデアってどこでわきますか?」って聞いて「アイデアってどうやって出しますか?」、みなさん散歩するとか、お風呂場で思いつくとか、トイレで思いつくとか、いろいろあるんです。でも、それ、総合して言うと、気持ちがリラックスしていて脳が活性化している時なんですよね。それを自主的につくり出すっていうことが、僕たち表現者の仕事の大半なんです。でも、みなさん意欲ってたいせつでしょ。 意欲がなくなった時って、しんどいんですよね。今日やらなあかん、でもその意欲が立ち上がらない、どうやったら立ち上がる? ってなった時、その立ち上げるのでさえめんどくさいと、もうどうでもええってなって心を病んで行くんですよね。心が病むと、やる気も何も起こらないです。「やる気ってどうやってつくるんやったっけ?」みたいなことになるわけです。意欲っていうのは快適さから来ると思うんです。心地いいっていうことから、意欲は立ち上がってくるんですよね。意欲がない時に真っ先にしなあかんことは、自分が今、気持ちいいと思うことをやることなんです。お風呂に入ったり、おいしいものを食べたり、享楽的になる瞬間というのをつくらないと意欲は立ち上がってこないんですよね。それを、怠っているんじゃないかなと思います。 僕大学のデザイン学部で教えることがあるんです。でも、学生で、つくる気力がわかない、課題出さないという人もいます。ふだん気持ちいいことをしてないんですよ。気持ちいいと思えることをほんのちょっとでもいいんです。あと、それを見つけるということですよね。気持ちいいことなんて、そこらじゅうにあるわけですよね。喉乾いて、お水おいしい!でもいいんですよね。光が反射するキラキラ気持ちいいなあ~。もういろいろいろあるわけですよ。コーヒー1杯おいしいな、香りがいいな。自分をそういうところにどんどん持っていって、見つけないと意欲って立ち上がってこないんです。気持ちいいことをどんだけ、自分の体、心に持って行くかに全集中してね。気持ちいい生活というのがあって、意欲が立ち上がるんです。とにかく気持ちいいってことを見つけるってことを。テクニックがあると思うんですよね。そういうことを楽しみながら、意欲を立ち上げて表現していきたいなあと思います。 どうですか? なんかえらそうな話したでしょ。基本なんかおもしろい話して、笑っているといいかなって思います。

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<第2部>

お客さまとのQ&A

お客さま:
水槽コンテストは水槽をどこかに持っていくのですか? 

タナカさん:
なるほど。コンテストにもいろいろあるので、持って行く場合もあります。あのね、自宅に伺うっていうコンテストもあるんです。その人の水槽がインテリアにどれだけマッチしているのか、生活空間での調和を審査するみたいです。それはオランダのコンテストです。 僕が出しているのは、世界コンテストで大きいものは、世界から集めますから、写真なんです。ただ写真で分かるんです。審査員はみなさん目利きなので、写真をぱっと見て分かるんです。 写真で見て分かるんです。写真を見て水槽の生態系ができているかどうか分かる人がいるのがおもしろいでしょ。

お客さま:
岡本太郎さんとの出会い、交流、思いなどを教えてください。

タナカさん:
僕は東大阪生まれ、育ちなので、太陽の塔、PLの塔とか、なぜか塔が日常の風景でした。自分の家から見えるわけではないのですが、車で高速を通る時に見たり……。子どものころから、太陽の塔を日常的に見たり……。あれが岡本太郎の作品やということは大きくなってから知り、岡本太郎さんは僕が学生のころはテレビにちょくちょく出ていらっしゃいまして、あの……、結構頭のイカれた芸術おじさんみたいな、そんな感じの扱いで出ていましたよね。だから、僕は芸術家にはなりたくないなと思っていました。こんなに人にいじられる職業なんやーと思って。気のふれた芸術家になってはいけないなと思ったりしたもんですが、やっぱり。今でこそ、岡本太郎さんの本は本屋で売っていたりしますが、僕が大学生1年生のころは、本屋に岡本太郎さんの書籍はなかったんです。戦後の芸術家、なかった。80年代です。でも、美術大学の図書館に並んでいたんです、で、読んだらおもしろかったですね。「今日の芸術」という本でした。衝撃的なおもしろさでした。今の芸術観は西洋の芸術観や、っていうんですよ。「あんなガラスケースに収まって、芸術が偉そうな顔をしていて、なんや」ってね、そんな言い方もおもしろいんです。僕はやられまして。岡本太郎ってこんな洞察力、彼は思想家なんやと気づきまして、テレビで見る岡本太郎さんと全然違うなと思いました。そこから岡本太郎さんの書籍をむさぼり、非常に感化され、マンガにも勝手に登場させました(笑)。 それで、岡本太郎さんとずっと寄り添っていた、岡本敏子さん、嫁じゃないんですよね。養女という立場で。その敏子さんに僕が描いたマンガが見つかり、呼び出しをくらい「うわー怒られる」と思ったら、「あんたもっと描きなさいよ」って言われてね(笑)。非常にいい方でね、お元気で、そのころも70歳を過ぎてらしたんですが、階段1段飛ばしで上がっていってましたからね。岡本太郎さんが亡くなってから、「よっしゃー」みたいな感じで腕まくりして岡本太郎さんの書籍をばんばん再発行させて、今では岡本太郎さんのフィギュアが出たり、書籍もいっぱい出てますよね。岡本敏子さんの力すごいです。今思うに、「岡本太郎」というのは、岡本敏子さんと岡本太郎さんのユニットじゃなかったかなと思います。岡本太郎さんの言ったことを敏子さんが口述筆記して、で本ができた。だから岡本敏子さん単体の本ってあるんですが、岡本敏子口調ではなく岡本太郎口調なんです。だから書籍は岡本敏子さんなんだってことが分かりましたね。すごいいい理解者です。

お客さま:
好きな食べ物は何ですか? 

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タナカさん:
質問、そんなんがええわー。グルメでもなんでもないのでよく分からないんですけど。食べられないものは、納豆です。食卓に出たことがないんです。存在は好きなんですよ。あのうねるような曲線、ものはすごい好きなんです。僕はうねるものが好きなので「うどん」が好きです。「う・ど・ん」というひらがなは、うどんをそのまま表現してますよね。うどんをパッと落とした時、なんかうどんに見えますもんね。言葉とモノがスパークして、ちょうどいいんです。だからうどんが好きです。

お客さま:
朝ごはんは何を食べますか? 

タナカさん:
僕朝ごはんは食べないかもしれないです。コーヒーはよく飲みます。1日1食か2食です。 コーヒーをよく飲むので、コーヒーでお腹いっぱいになっちゃうんですよ。血がまわるんでしょうね。 1日1、2食でいいなと思います。うちの嫁は4食食べます。

お客さま:
フチ子さんはなんでパンツがちらっと見えているのですか? しかも白、柄パンツは嫌いですか? 

タナカさん:
柄パンツになると子ども買えないでしょう? ただでさえ、パンツ見えているということで撤去になったりするんですよ。家族連れで行くところの大型チェーン店は、全部撤去になったりしましたから。パンツ見えてたらあかんって、なんでしょうね、この風潮。昔は見えてましたよね。メルモちゃん、しずかちゃんでも。今しずかちゃんってお風呂のシーンもNGらしいんです。やらしいなと思うんですよ、僕それ。何禁止にしてるのよ。しずかちゃんをそんな目で見るなよって思います。パンツ見えててもいいじゃないですかね? フチ子さんに関しては、見えてるやつと見えてないやつがあるんです。もう、見えてて当たり前みたいなことになってるんで、コラボ商品とかは見せてくれって言われます。「見えてないとフチ子さんじゃない」って。 パンツが見えてるフィギュアをつくっている大人になってもうたか……とがっかり来たりもします(苦笑)。

お客さま:
コンリンザイセメコさまよりのご質問です。表現者にあこがれますが、表現したいことがありません。これが凡人としての定めなのでしょうか? これからの生き方に悩みます。どうしたらいいでしょうか?

タナカさん:
深刻ですよね……(苦笑)。そんな……コンリンザイセメコでしょ。十分表現してるじゃないですか。誰よりも表現力がありますよね。表現したいことがないなんて謙遜じゃないですか。決めちゃってるんですよね。あなたその、そのままの佇まいが表現してますって。鏡を見てください。コンリンザイセメコさん、あなたは表現しています、誰よりも。

フェリシモ:
今日のテーマが「既成概念をブチ壊せ」というテーマだったのですが、ここにいるみなさまが今日から表現することの楽しさや今まで知らなかった新たな世界が発見できるようなタナカさん流の生き方のヒント、メッセージをお願いします。

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タナカさん:
そうですね。そういう話もしてしまったかなと思うんですが……。「既成概念をブチ壊せ」というのは鈴木さん(司会者)が考えたテーマでしょ。僕、「既成概念をブチ壊せ」なんて思ってモノをつくったことないですから。「既成概念をブチ壊せ」って気持ちがどこからわき上がってくるのかなと思ったら、「既成概念」が縛られた人が思う、ことですよね。既成概念をそもそも感じていないとぶち壊せとは思わないので、既成概念って思ったことないし、ブチ壊せも思ったことがないんです。もっとモノづくりってシンプルなことだと思うんですよね。さきほども言いましたが「気持ちいい、心が安らぐ」とか、そういったところから、表現って生まれると思うんです。やっぱりこう僕たちって、ちゃんとまともな大人になろうとか、いろいろ教えられるんですけど、もうちょっと生活の中で気持ちいい、享楽的な時間をどうやってつくるか、さきほども言ったおいしい物を食べるとかゆっくり寝るとか……、そういったことを見つけながら、生活していくのがいいのかなと思ったりします。「既成概念」とかそういう言葉に振り回されない方がいいと思います。

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Profile

タナカカツキ(たなかかつき)さん<マンガ家>

タナカカツキ(たなかかつき)さん
<マンガ家>
*プロフィールは、ご講演当時のものです。
1966年大阪うまれ。著書には『オッス!トン子ちゃん』『サ道』『バカドリル』『水草水槽のせかい』など。その他映像作品等も多数手がけ、アーティスト、アートディレクターとして幅広いジャンルで活躍。近年大人気のカプセルトイ「コップのフチ子」の生みの親でもある。

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