神戸学校

神戸学校はフェリシモが主催する「神戸発 生活デザイン学校」です。

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「妄想を現実にする方法 ~変!の先にあるもの~」



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<第1部>

妄想工作の数々に、会場は大笑い

乙幡さん:
「妄想工作家」としか言いようのない仕事をしております。趣味じゃありません。一応仕事です。作る過程を記事にして、月1回、ニフティの「デイリーポータルZ」というWebサイトに連載しています。工作以外にも、鉄道ネタなどのライター業が半分。あとは、その過程でできたものとか、妄想の結果生まれた雑貨を売るレーベル「妄想工作所」を立ち上げて、ひとりでやっております。
こういった長い講演は初めてなので、時間が空いたらどうしようという恐怖から、スライドをものすごいいっぱい作ってきたんです。なので、どんどんいっちゃいますけど、唖然とせずに笑うところは笑ってください。

(スライド:「サーモグラフィ柄のセーターを編む」)
温泉などに入った後、サーモグラフィカメラで撮影すると、暖かいところ冷たいところが7色で表示されます。あの柄そのままのセーターを、Excelで編み図を書いて、7色つかって編んだら暖かく見えるんじゃないかと思って編みました。実際は100円の安い毛糸ばっかり使ったので、全然暖かくないんですよ。着てもなんか寒々しい感じになってしまいました。

(スライド:「CR乙幡啓子を作る」)
いろんなパチンコ台がはやった時に、私がパチンコ台になったらどうだろうと思ったら、楽しくてですね。自分のいろんな写真を合成・分解して貼り直して、自分主役のパチンコ台を作りました。ちなみにCRは「カードリーダー」って意味らしいんですけど、全然関係なくて、CRって言ってみたかっただけです。
役物とかも全部自分の顔で。役物というのはパチンコ用語で、イベントなんですよね……パチンコのことはよくわからないんですけど……はい。

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(スライドと実物:「ケルベロス風の赤べこ『ケルベコス』を作る」)
工作イベントで「合体」というお題が出た時なのですけれど。ロボットの合体シーンから、「三体合体」みたいなもので、なぜか「赤べこ」と「ケルベロス」(ギリシャ神話の、首が3つある地獄の番犬)が思い浮かんできて、「ケルベコス」を作りまして。
一番右は長男ですね、たぶん。次男、三男って感じで、たぶん性格が違うんだと思うんですけど。そう思うと非常にかわいい。
作り方は、3つの「小型赤べこ」と1つの「中型赤べこ」を福島から取り寄せまして。福島の職人さんが聞いたら怒られるかと思うんですが、分解して、大きい方の胴体の肩幅を広げて新聞紙などで補強して、アクリル絵の具で塗ったら結構うまく馴染んで、もとからこういう商品があるかのような。
なかなかがんばったと思うんですけど、まだ福島の方からは、なんのお声がけもないです。

(スライド:「餃子リバーシ(オセロ)を作る」)
これもある工作イベントで、パラダイス山元さんという、餃子を作る有名なマンボ奏者の方が「餃子」というお題を持ってきたのにあわせて。
餃子をひっくり返すの、楽しいじゃないですか。焼き色がついて。それで餃子の形の駒を64駒つくりました。盤面は、ふだん売ってないでっかい40センチ×40センチの鉄板を楽天で取り寄せて、64マス、鉄筆で削ってラインをつくってですね、餃子は樹脂で64個作りまして、中に磁石も埋め込んで。オセロっぽくするために、やんなくていいことをやっちゃったので、すごい大変だったんですけど。
これは焼き色側の方の人じゃないとおもしろくないんですよ。裏返してくのが気持ちいいのに白になっちゃうと、逆に「生に戻す」って感じなので、ちょっとどうしたものかなと。 焼き色は、アクリル絵の具で64個全部手書きです。

(スライド:「リュウグウノツカイマフラーを作る」)
リュウグウノツカイって長い深海魚がいますよね。釣り上げた人たちが何人かで持つという、よくある写真のようにやってみたくて、長いマフラーを作りました。
最初3メートルの長さの編み図を作って編んだんですが、作っていくうちにどんどん伸びてきちゃうんですね。細長いですから。作り終わったら4メートルになっていて。1メートル得したなあって思ってたら、展示とかいろんなとこに持っててる過程でまた伸びまして、今たぶん6メートルぐらいになっちゃってる。

フェリシモ:
縮まなくてよかったですね。

乙幡さん:
そうですね。洗えば縮むから、洗えばいいですね。今度洗います。

(スライド:「ハイヒールのかかとを邪鬼にする」)
仏像で四天王さんたち、持国天とか広目天とかが、足の下にいる邪鬼を憤怒の形相で踏みしだいている像があります。踏みしだくといえば邪鬼、踏みしだくといえばハイヒールということで、ハイヒールに石粉粘土で邪鬼をくっつけて彫って形を作りまして、一歩踏むごとに邪鬼を懲らしめているありがたいハイヒールにしてみました。

フェリシモ:
邪鬼とハイヒールっていう、ものすごく遠いところがくっつきましたね。

乙幡さん:
とにかくレディ・ガガ様にはいていただきたい。

フェリシモ:
木かと思うぐらい、質感もリアルでした。

乙幡さん:
ただ、木像風にしたくて茶色にしたのですけど、いろいろな人から、犬のふんを踏んでるみたいって言われて。

フェリシモ:
大事故じゃないですか。

乙幡さん:
そうとしか見えなくなってしまってですね、石像にすりゃよかったなって。

フェリシモ:
ハイヒールなので上の方から見下ろすと、ちょっとこのディテールが見づらくて……紙一重な作品ですね。

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初期の作品から

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乙幡さん:
2003、4年ごろからWebサイトで「とんち工作」を作って記事にすることを始めたのですが、初期のものからお見せしたいと思います。 だんだん精巧な感じになっていくさまも見ていただければと思います。

(スライド:「トタンでおしゃれスポット(六本木ヒルズ)を作る」)
当時、「六本木ヒルズ」というおしゃれスポットができたんですね。私、おしゃれスポットがすごい苦手なので、ちょっと歯がゆいというか、行きたくても行きづらい感じでいたところ、「トタン」というのはすごく庶民的な素材のようなイメージがあるんで、そのトタンで六本木ヒルズを作ったら溜飲が下がるのではという、それだけのことなんですけど。
自分のコンプレックスを工作にしたような。これがだいたいの始まりだったんです。
編集長に「乙幡さん、こういう工作おもしろいから、どんどん作ったらいいんじゃないか」と言われて、自分は美大こそ出ていないものの、工作とか作るのは好きだったので、「じゃあ、なんかネタ工作を作ってみようかな」ということで、ここからスタートしたって感じです。

(スライド:「ケータイの空き箱にご飯を詰める」)
(スライド:「チーズで(北海道の)地図を作る」)

(スライド:「鉄製のケーキ箱を作る」)
ケーキは守らなくてはいけない。ですから、鉄でこういったケーキの箱を作りました。

(スライド:「パールライスでネックレスを作る」)
お米を、申し訳ないんですがパール色で塗らせていただきまして、そのライスをぎっちぎちにくっつけて、はい「パールライスでネックレス」。

(スライド:「酔っ払いのおみやげが酔っ払う」)
漫画とかでよくある、酔っぱらいの持ってるおみやげ(折詰)。お寿司でしょうね。お父さんが「ウィー」って。その酔っぱらいのおみやげ自体が、よたよた酔っ払うように走る工作。

(会場:笑)

乙幡さん:
もう、本当に作らなくてもいいようなもので……。

フェリシモ:
パッケージに「乙はた」って書いてあるのが、それらしくて、にくい演出ですね。

(スライド:「捕らえられた宇宙人エコバックを作る」)
1954年の西ドイツの新聞に「アメリカでこういう写真が撮られた」と、軍服を着た影の組織風の2人に連れられた宇宙人の写真が載りました。最近、嘘だと認定されてしまったのですけどね。
その新聞の宇宙人を拡大コピーしてバッグにプリントして、(スライドで、男女2人が横に並んでバッグの提げ手を分けて持っている様子のように)「宇宙人を捉えて連行してる風の夫婦でお買い物」って感じのエコバックを。

(スライド:「日本の幽霊版ハロウィンかぼちゃを作る」)
ハロウィンのかぼちゃ、「ジャック・オ・ランタン」って楽しげじゃないですか? 三角の眼でね。「全然怖くないぞ」という怒りのあまり、日本の幽霊画の顔を参考に、身の毛もよだつハロウィンかぼちゃを彫りました。

フェリシモ:
これは、ジャパニーズホラーというか……。

乙幡さん:
そうですね。しめった感じの。アメリカでリメイクしてほしいですね。

(スライド:「家具転倒防止ポールを邪鬼にする」)
すみません、また邪鬼です。一応三部作があって、2番目です。家具転倒防止ポールのたたずまいって、味気ないというか日用品くさいじゃないですか。ですので、発泡スチロールを右上のように切りまして、彫って、塗って……お寺の屋根を支えている石像風の邪鬼にしました。

フェリシモ:
邪鬼に代わるモチーフがこれ以上ないかなって思うぐらい……。

乙幡さん:
そうですね、邪鬼か、西洋のガーゴイルみたいなね。ガーゴイルは天井支えないですかね。支えることなら邪鬼におまかせ、ということで。

(スライド:「タライでライトを作る」)
ドリフの世界では、罰ゲームで上からタライが落ちてきますね、そのタライで照明器具を作りたかった。というか、照明器具をつくると最先端のデザイナーっぽいじゃないですか。その感じで私もデザイナーのほうに紛れ込みたいなと思って。作ってみたら、すごくあったかい灯りなんですね。間接照明で、下に漏れないので。ただ、あったかい光なんだけど、上から落ちてきそうで、不安っていう二律背反な感じが、また現代美術っぽい感じで。

(スライド:「消しゴムはんこで般若心経を彫る」)
消しゴムはんこを初めてやろうと思った時に、トレーニングがてらネタにしたものなんです。自分は字が下手なので、はんこで押せば簡単に写経ができるのではと、般若心経を全部。重複して使っている漢字もあるので、百何十何文字かをWordで出力して、消しゴムはんこに写して、一個一個彫って、はんこで押して「写経」しました。
ただ、書くよりも大変で。反転してるし、バラバラだと全然見つからないんですよ。本当に、大変でした。

フェリシモ:
消しゴムはんこの作品は、他にもたくさん作ってらっしゃいますよね。商品として考えられているんですか? 

乙幡さん:
可愛いものはね、テディベアとか、彫る人いっぱいいますけど。ぜんぜん違う「バスの降りますボタン」とか、そういうのを彫るとおもしろいかなと思って、今もたまに彫ったり、ワークショップをしたりしております。

(スライド:「自分が糸通しのあの顔になる」)
糸通しの横顔の外国人になってみたくて、アルミに自分の横顔をパンチングしました。
横顔といえば、漫画家の富永一朗さんの、ちょっとくちびるが出たキャラクターのも作りました。

(スライド:「ぬいぐるみでマグロの解体ショーをやる」)
イベントで、ぬいぐるみでマグロの解体ショーをやることになって。技術的にかっちりした形にできなくて、もこもこになっちゃったのですけど。
マグロの解体ショーって、ちょっとやってみたかったんです。ただ、できないので、築地に縁がある人に連れてってもらって、朝早く仲卸さんの店先で、どうやって解体するか取材させてもらいました。頭と尻尾を先に落として、半身にして、中トロ大トロと全部わかれるようにして。

フェリシモ:
全部ミシンで縫って作られたんですか? 

乙幡さん:
そうですね、大量の綿が必要になって、泣きそうになりました。今も家にあるんですけど、中から綿を全部出して、ふとん圧縮袋で圧縮して、皮は全部丸めて、どこかにしまってあります。

(スライド:「吊り下げ式虫除け剤を新巻鮭風にする」)
最近消費者庁から「効果なし」と言われてしまった「虫除け」ですが、無味乾燥な感じで生活感がでちゃいますよね。だから、ぶらさげておくといえば「新巻鮭」かなと思って、また例の発泡スチロールでガワを作ってそこにはめ込んだら、(虫除け本体のプラスチックのケースの網目が)あばら骨のように見えてなじんだ。ぶらさげておくと、泥棒も「この家、鮭吊り下げてやばいな」と思って入ってこないんじゃないかと思って。

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(スライド:「クマムシをテディ“ベア”にする」)
「クマムシ」という地上最強の、ちっちゃい虫というか、生物がいるんです。名前を真に受けて、テディ「ベア」にしようと、クマムシのテディベアを作ってみたらキモかわいくなりました……足八本で。

フェリシモ:
これはすごい、しかもかわいい(タータンチェックの)生地を使っているところが……。

乙幡さん:
私の、昔着てたワンピースを解体して、かわいくしてみました。

(スライド:「オオサンショウウオ風のハンバーグを作る」)

(会場:笑)

反応いいですね。やっぱりオオサンショウウオ、みなさん好きなんですね。オオサンショウウオは見た目がハンバーグそっくりだなって、ハンバーグを作りました。1キロぐらいひき肉を買って、なるべく大きい物をと思ったのですが、家だと焼く鉄板の大きさも限られちゃいますので、ホットプレートの大きさに合う体長60センチぐらいのものを焼きました。焼き終わったら50センチぐらいになっちゃったんですよ。

フェリシモ:
オオサンショウウオがハンバーグに見えたことある人は、ほとんどいないんじゃないかなと思います。

乙幡さん:
いや、見えてても、なかなか口にできないんじゃないですかね。無意識で思ってると思うんですけどね。やるかやらないかの違いです。これ、たぶん今日の一貫したテーマになるんじゃないかと思います。やるかやらないか。
まあやったところでこうなるんですけど、いいんじゃないかなと。
ほんとにおいしかったです。一週間のおかずになりました。

(スライド:「植物細胞風の和菓子を作る」)
植物細胞の細胞壁からですね、液胞からミトコンドリア、核から何から全部。豆、小豆あん、紅芋あんとかで和菓子を作りましたっていう、まあそんな感じですね。
ただこれあんまりおいしくなかったんで、次行きましょうか。

(スライド:「3D飛び出し坊やを作る」)

(会場:笑)

あ、これもお分かりいただけますかね。滋賀県中心に、飛び出し坊やの産地は西日本ということで、多いと思うんです。街角に、坊やが飛び出しそうになっている立て看板があると思うんですけど。
飛び出すっていったら3Dだろうってことで。写真をソフトで赤・青に分解した後に、プリントアウトして、そのとおりに板に書いたんです。プリントすりゃいいものを、看板なので手描きかなって描いちゃったんですけど。 運転手が赤と青のメガネをかけていないと飛び出さないんです。しかも手書きで、色も見た目だけで選んじゃったために、あんまり飛び出さない。微妙な感じになってしまいましたが、インパクトはあるかと。

(スライド:「アイスの当たり棒にイタズラをする」)
すみません、小学生っぽいネタで。アイスの当たり棒を外して、ハンダゴテで「アタ」の次の文字をいろんな字(「アタタタ」「アダチユミの母」「アタイとアンタ」等)にしたっていうだけです。

(スライド:「きのこの山をまつたけの山にする」)
チョコレート菓子の「きのこの山」を分解して、頭を粘土で造形して松茸っぽくしてですね、型取りをしてチョコを流し込んで、筆でチョコをまた塗って、高級きのこの山「まつたけの山」にしました。香りはしませんけど、はい。

(スライド:「まんが日本昔ばなし風の抱き枕を作る」)
抱きまくらが欲しかったんです。まんが日本昔ばなしみたいに、龍に乗っかって夢見るのもかわいいかなと思ったので、長い龍風の抱きまくらをつくりました。

(スライド:「愛妻弁当をドカ弁でカモフラージュする」)
ちょっと技術を要したものです。ご飯を、のこぎり型というか山形に盛りまして、右側からみると日の丸弁当みたいに鮭と梅干しが見える。で、向こう側から見ると愛妻弁当でハートとか多用したラブラブ弁当に見える。 そういう印刷ありますよね、こっちから見るとAの画像が見えて、こっちから見るとBの画像が見える。

フェリシモ:
駅の広告とかで、たまにありますね。

乙幡さん:
その方式を愛妻弁当に利用して、気恥ずかしい時に、同僚からはドカ弁に見えて「お、鮭か」。

(会場:笑)

で、こっちからは愛妻弁当で「みよこ」みたいな。

(スライド:「漁師のボトルシップを作る」)
漁師がボトルシップを作ったら豪快に作るんじゃないかということで、まず4リットルの大五郎(焼酎)をネットで買いまして、中身を全部移しました。
次はアオシマだったかな、マグロ船のプラモを売ってるんですね。漁師とマグロ付き。大漁旗もいっぱい。デカールとか。それでマグロの漁船をつくっちゃいます。
で、ペットボトルなので、底のところをカッターで開けちゃいます。漁師なんで豪快にガーッと。

(会場:笑)

切断しちゃいます。
スカスカになったボトルの中に、作ったプラモを豪快にバーンと入れて、あとはテープで蓋をして、はいできたコノヤロウっていう。

フェリシモ:
注ぎ口からピンセットでパーツを入れて作る、ボトルシップの概念をくつがえしてますね。

(スライド:「ハイヒールのかかとを邪鬼にする」)

乙幡さん:
もう豪快に、悩まず。

(スライド:「スタバのカップでマトリョーシカを作る」)
スタバのカップにはスモール、ミディアム、ラージ、あとベンティってありますよね。フラペチーノ系は持ち帰りで頼むと、クリームが盛り上がってるので丸い蓋を付けてくれるのですけど、それでなんか作れるかもと思った時に、マトリョーシカを思いついて。無理して、ふだん頼まない一番大きなのを頼みました。
全部カラにしたところで、スタバのセイレーンの顔を、マトリョーシカの顔にしまして。マトリョーシカっぽくポスカで塗って重ねてみたんですけど……合わないんですよ、これ。蓋が、一番大きいのと二番目の大きさが同じだから、カパってはまらないんです。もったいない。
リベンジで、カップヌードルでマトリョーシカを作りました。コンビニだけで4種類揃うんですよ。ミニと普通とビックとキング。重ねたら気持ちよくピッタリおさまるんですね。ただ、これもキング・サイズを食べなきゃいけなかったので大変でした。

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(スライド:「モナカプラモを作る」)

フェリシモ:
(和菓子のもなかそっくりのスライドを見て)リアルですね。

乙幡さん:
たぶん男性で、ある程度の年齢の方ならわかるかもしれないのですけど、「モナカプラモ」っていう言葉があるんですって。パーツの数が少ない、AとB、表と裏だけかちっとはめればできあがりというプラモのことを揶揄してたらしいんです。じゃあモナカのプラモをつくろうと思って。
シリコンという型取り材で、皮とあんこの型をとりまして、そこに樹脂を流し込んで、プラモっぽく、ランナーというプラスチックの枠も全部つけてセットにして。これもAとBが裏と表で、中のあんこが別パーツで、パチンパチンパチン、「はい、もうできあがり」みたいな。

フェリシモ:
たった3パーツで。パッケージもちゃんと印刷して作られて。

乙幡さん:
あとは色を塗ればモナカだよというプラモです。

(スライド:「クンショウモで勲章を作る」)
クンショウモっていう藻の写真を元にして、透明素材で勲章を作ってつけてみました。結構これ、綺麗です。

フェリシモ:
理科っぽいモチーフが多いですね。

乙幡さん:
そうですね、かわいいものから逃げよう逃げようとしている感じがあるかもしれないですね。

(スライド:「針金ハンガーで人間の巣を作る」)
カラスの巣は、都市部だと針金ハンガーをとってきて、流用して作っちゃうんですね。同じように人間の入る巣が作れないかと思って、サイトの読者さんに声をかけたら650本集まっちゃって。当時住んでいたマンションに広いベランダがたまたまあったので、そこにハンガーで丸い物を作って、中で過ごそうと思ったのですけど。危なくて、あまり中で楽しんだりはしてませんけど。

フェリシモ:
素敵ですね、見た目が。

乙幡さん:
いろいろな色があるのが発見でしたね。ピンクとか青とか、白とか水色ってのは、見かけたりするのですけど、黒とか微妙な色のもあったりして。色の違いが全国的にあるんだなって社会学的な発見はありました。

(スライド:「胃の紙風船を作る」)
胃の紙風船を作って、薬のCMみたいにありますよね。

(会場:笑)

「二日酔いの重い胃が、こんなにふわふわ~」って胃が浮いてるじゃないですか。ああいう感じに風船をみんなでパーンて飛ばしあいすると、胃も軽くなるんじゃないかってことで。型を作って、新聞紙を貼って展開して。そうすると、すごい複雑な何枚かの紙になって、そのとおりに和紙を切って貼り合わせると、やっと胃の形に。

(スライド:「いろんな船でアルフォートを作る」)
アルフォートというチョコレート菓子。コンビニにも必ず一種類はあると思いますが、なんなんですかね。チョコレート表面の船の絵柄に、妙に躍動感があったりしてね。その描かれた船をいろいろ作りたいなと思って。マグロ漁船と潜水艦と南極観測船なんですよね。

フェリシモ:
マニアックなラインナップですね。

乙幡さん:

(スライド:「太陽フレアスカートを作る」)
太陽フレア(太陽で発生している爆発現象)を印刷してフレアスカートを作りました。これも工場に頼めばいいものを、自分ちのA4のプリンタで。印刷できる布がありますでしょ。それに印刷して縫い合わせて、三十何枚、つぎはぎして……。 でもこれ、公開した後に「フレアじゃなくてサーキュラースカートっていうんだよ」ってご指摘がありました。

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緩急と振り幅から生まれるアイデア

フェリシモ:
アイデアの出し方に、コツはあるのでしょうか?

乙幡さん:
よく聞かれるんですよね、こんな突拍子もないもの作っているので。今までは「当てずっぽうに近い形です」という感じで、「見聞きしたものの中から組み合わせて」とか、さっきの「ドリフみたいなネタから」とか、「経験したものの中から出してます」みたいなことを答えてはいたんです。
最近、やっぱり具体的なコツっていうのもみなさん知りたいだろうなって思って、よく考えるようにしたんですよ。そしたらわかってきたのは、机の上でも、行き詰ってもいいから、とにかくネタをいろいろ考えるわけです。「こういうのはどうか」「こういう組み合わせはどうか」とか。で、その時間が終わったら、いったん離れて食事したり、ちょっと違うことをする。一番いいのは、何もない部屋に入って何分かぼおっとする。私の場合は、お風呂ですね。お風呂になるべく物を置かないようにして、半身浴をします。
すると、ごちゃごちゃっとした中からぱっと、真っ白なところに出されて、なんか出てくることが多くなりました。緩急、メリハリをつけることが必要なんだなって思います。あんまり根を詰めずに、詰める時は詰めるんですけど、そこから一度極端なとこにいくというのが、すごく有効な気がしますね。
あとは……意外な違う材料で作ってみる。サーモグラフィをセーターにするように、デジタルなものを、あったかい手作りのものにするとか。極端なものを組み合わせるっていうのが、わかりやすいフックになるかと思うんです。あるいは、もともと小さいものをすごく大きくしたりとか、大きい物をすごい小さくしてみたり。振り幅を大きくもってきて、意外な組み合わせを試すことが、今の私の作品制作に、わりと多い気がします。
あとは、自分がなりきる。糸通しとか、CR乙幡とかも、自分がなってみると「あ、なるほど、なんかちょっとおもしろい」っていうことになるかもしれないですし。

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くだらないことでもちょっと真剣に考えてみる

フェリシモ:
いろんな情報をインプットするときに、どんな風に考えていらっしゃるんですか?

乙幡さん:
ふだん他の人が見ないようなところを見よう、とか。たとえば、音の反響を良くするための造作を見て、どうしてああなっているんだろうとか、理由を考えたりするんです。なんであの角度なんだろうとか。くだらないことでもちょっと真剣に考えてみる。
すると違うところにドアが開いたりするんですよ。「ここがこうだったら、あれはああすればおもしろいのかな」とか、行き着くときもあったりして。みんなが見ないところを見るというと変わり者みたいになっちゃうんですけど、別に、大人なんで変わり者扱いされてもいいやと。違うところを見ることはよく心がけてますね。
あとは、決め付けないこと。既成概念になるべくとらわれないようにしたい。たとえば、しばらく前に「アヒル口」ってはやったじゃないですか。アヒルっぽく、口をとがらせるとかわいいぞって。それがモデルだけでなく一般の子にも浸透していくのが面白いなって一歩引いたところから見ていました。
「みんながアヒル口をしたいんだったら、できない子はどうすればいいか。じゃあギプスをつくろう」と、プラスチックのアヒルっぽいくちばしの、上と下からぎゅっと挟む「アヒル口ギプス」を作ったことがあります。強制的にアヒル口にするっていう。

フェリシモ:
実際につけてみましたか?

乙幡さん:
つけたら腫れて、赤くなっちゃって……。ちょっと強めだったんですね。そんなこともありつつ、そういう風に考えるようにはしていますね。

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枯渇に任す

フェリシモ:
無尽蔵にアイデアが湧き出している印象を受けますが、アイデアが枯渇することはありますか?

乙幡さん:
ありますね。だいたい夏に枯渇するんですよ。今ですね。暑くなるとほんとにダラーッとしちゃって、エアコンつけてもなんか暑いじゃないですか。秋とは違う…。そういうときって、ほんとに枯れちゃって、連載もやめさせてくれって、夏になるたび言いそうになっちゃうのです。でもなんとかお茶を濁して作ってるんですけど。秋になって涼しくなるといきなり戻ってくるんですよ、感覚が。
あんまり参考にならないですね。そういうときどうしたらいいかって話ですよね。
枯渇する時には、枯渇に任すしかないということもあります。逆に、刺激が少ないから刺激をどんどんいれて、なんでもいいからごっちゃごちゃ考えるっていう……。でもそれも根性論みたいなことになりかねない。枯渇に任すっていうのは、次のステップになるのかもしれないですね。
知人は、行き詰まったとき、家でずっとゲームとか非生産的なことをやってます。それがある程度の期間が過ぎると急に、このままじゃいかんと。そういう目覚めを意識して作り出すための、一度下げてまた上げてというリズムが、もしかしたらあるわけです。それに任すっていうのもひとつの自然な手なのかなと思って、私も今、実験中ではあります。

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見る人の共感を掘り起こす

フェリシモ:
アイデアを揉んだり寝かす時間があったものと、見た瞬間に閃いたものはありますか?

乙幡さん:
ありますね。これ絶対おもしろいって最初から自信のあるものと、「大丈夫かなあ」と思うものが。最初から自信があるものは、みなさんが経験したり見聞きしてきたものや、謎に思ってたものを、私がうまく掘り起こせた時に「よし!」ってなるのです。さっきの捕えられたた宇宙人エコバックのように、共感というか、「あーなるほど」って思われるものです。
パチンコの「CR乙幡」とかもね。

フェリシモ:
「CR天童よしみ」とか「CRフランダースの犬」といったパチンコ台がありましたね。

乙幡さん:
そうです。当時、そういうパチンコのCMばっかり出てきたときは、私はパチンコをやらないものですから、「みんななんでパチンコになっていくの? パチンコ業界どうなってんだ」って、引き気味に見てたんです。
それを「待てよ、天童よしみもなるんだったら、私がなったっていいんだよな」って思ったら「そうか、CR乙幡かあ……いいな、こりゃいいわ」と、急にノリノリになっちゃったんですね。で、パチンコ屋にも見学に行って興味津々ですよ。「今、パチンコってこうなってるんだ」っていう視点を持てたんです。

フェリシモ:
今まで引いていたのに?

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乙幡さん:
イメージで、引いてたんですね。でもディテールにぐいっと寄ったときに、おもしろさをちょっとわかった気がして。自分でも褒めてあげたい、よくパチンコに気づいたって感じです。

フェリシモ:
乙幡さんの作品を拝見していると、「悔しい」って気持ちが湧いてくる時があります。なんでこんなおもしろいことを考えられるんだろうとか、なんで私はCRに気づかなかったんだろうとか。

乙幡さん:
ほんとですか。

フェリシモ:
アルフォートの船にしても、ずっと変わらぬこの船はなんだろうって、ちらっと意識する瞬間はあったと思うんです。そこで乙幡さんだけが立ち止まって、ざくざくアイデアを掘っていく感じが悔しくなります。

乙幡さん:
通過しちゃうけど、「船だなあ」って思ってるはずなんですよね。でもみんなが通り過ぎちゃったあとに、私だけ道端に落ちてるアルフォートを見つけて、よしよしって、そこを掘ってく。その感じは大切にしたいですね。

フェリシモ:
「これはなんでこうなんだろう」と、毎日見慣れたものにも疑問を持ったり理由を考えたりすることがトレーニングになっていくものでしょうか?

乙幡さん:
たぶんそうだと思いますね。「なんでだろ」って調べるのもいいのですけど、わからないまま「なんでだろ」って思い続けるだけでも。形になっているのは、なんか理由があるはずなんですよね。ここはなんでこうなんだろなとか、どうやって作ってるんだろなとか考えるだけでも、トレーニングになる気がします。

フェリシモ:
りんごをうさぎに見立てたり、日本庭園の枯山水が、水がないのに水がある風景を表してたりするのは、日本独特の文化というか視線だと思うのですが、乙幡さんの作品の中にも、これがこれに見えるという「見立て」がたくさんあるように思えました。

乙幡さん:
そうですね。入口に並べているホッケの形のペンケース「ほっケース」も、見立てのひとつかもしれません。枯山水と同列にしちゃう私もどうかと思うのですけど。
見立てっていうのも、みなさんもやってると思うんですよね。丸い郵便ポストがおまわりさんに見えたりとかね。 なんかさっきから(会場の)壁のあれ(凹凸)が気になって……おいしそうだなって。

フェリシモ:
お菓子っぽいですよね。

乙幡さん:
小麦のふすまで作ったクラッカーみたいで、チーズ乗っけて食べたいなとか、何か見てはそういう風に考えたりするのは、たぶん無意識にしてると思いますねえ。

フェリシモ:
視点が独特で、私が乙幡さんになって一日街を歩いたら見てる世界が違うんだろうなと思います。

乙幡さん:
どうなんですかね。意外とふつうかもしれない。

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妄想工作家までの道のり

フェリシモ:
現在はデイリーポータルZのライターであり、妄想工作所の商品を作るお仕事をしていらっしゃるのですが、どのような経緯でそのお仕事につかれたのでしょうか?

乙幡さん:
話すとちょっと長いんですが、いいですか。別に波瀾万丈でもないんですけれど。大卒で、就職氷河期に就職して、7年ぐらいふつうの会社員をやってたんです。その時に会社から、あるパソコンソフトを習え、業務に使うからと言われて、会社のお金でパソコンスクールに行ったんですよ。 そこにビデオ教材用のナレーションをボランティアでやってくれという募集があって。私、ナレーターにもあこがれてたんですね。夢をもう一度とやったところ、やっぱりいいなあと思い始めまして、いきなり会社を辞めてナレーター学校に入ったのが30歳。
で、学校に一年行ってそこから放り出されたときに、営業力が無いもんですから全然ナレーションの仕事を取れなくて、派遣社員をしながら食いつないでました。いろいろな職業の中で、フリーペーパーのライターをやったら「ライターっておもしろいじゃん」って、また同じ流れでライターの募集を探すようになったのが33歳ぐらいですかね。今連載させていただいているデイリーポータルZのライターとしてデビューして、それだけじゃ食べていけないから、「おもしろいことやるには仕方ない」と思ってIT会社でアルバイトするのがが36、7歳ぐらいまで続きました。
そこからは、バイトはだんだんフェードアウトしながら創作活動にどんどんシフトしていったという浮草のような……流れ流れて、こんな感じです。

フェリシモ:
今はもう理想とするところにたどりつけた感じですか?

乙幡さん:
そうですね……ほんと、だめな大人なのですけど、通勤の必要がなくなってよかったなって(笑)。すみません。朝早く通勤するのが苦手だったので。自宅ですべて仕事ができるという点でも、自由業になりたかったんですけどね。

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バカなことを、まじめに

フェリシモ:
現在の「妄想工作所所長」という役割にこめられた思いなどありますでしょうか?

乙幡さん:
もともと妄想工作は、本を5年前ぐらいに出したのがきっかけでした。妄想工作っていうといろんなものにあてはまる便利な言葉なので、レーベルの名前を妄想工作所にしたんです。
あの「ほっケース」が代表商品なんですけど、海外の方々にも気に入っていただいています。「日本でこういうバカなものを作ってる人がいるよ」みたいなことになれば世界も平和というか(笑)、余裕のある人、ひまのある人がおもしろいもの作ってくのが役割だろうなぁと思って。「私はそっちを守るから、みなさんは日本の経済、ダムを守ったり、インフラを守ったり……。バカ方面はこっちでやるよ、一所懸命やるから!」っていう感じで、気合でやってます。まじめに。

フェリシモ:
宇宙人のバックも、商品として妄想工作所から発売されてますよね。あれを買ってご夫婦で持っているのを街中で見た人も、「すごい国だな、いい国だな」って平和を噛みしめるというか(笑)。

乙幡さん:
平和だな、いい国だな(笑)という感じがまわっていけばね、マイナスにはならないと思うのですよね、少なくとも。そんな気持ちでやってます。

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尊敬する人

フェリシモ:
尊敬する人や、おもしろいという方がいたら、ぜひご紹介いただきたいのですが。

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乙幡さん:
身内で言えば、「デイリーポータルZ」というWebサイトの編集長、林雄司さんの視点には、すごく影響を受けました。今までお会いした中では、ひょっとこなものを作る大先輩の「現代美術二等兵」というユニット……大阪出身の方で京都の美大を出た方です。「コレジャナイロボ」という雑貨で、最近いろいろなところを賑わしている「ザリガニワークス」の方々とか。あとは工作番組のDVDで共演させていただいた、「ラーメンズ」っていうコントユニットの片桐さんの粘土細工がものすごく作りがよくて、ばかばかしくて、影響を受けました。明和電機さんとかも、いつもすごいなぁ、いろんなことやってるなぁと思いますし、お会いしたことないあこがれの方では、故・赤瀬川原平さん。最後の展覧会も行きましたけれども、大・大・大先輩で、昔からものすごい一歩、二歩先のことをやっていらした方というのですごく尊敬しています。

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もっと見てみたい、妄想工作

(スライド:「緩衝材で遺跡を作る」)

乙幡さん:
パソコンとか電子機器を買うとついてくる、圧縮紙の緩衝材。ひっくり返すと遺跡そっくりなんですよ。なので、遺跡を作りました。今度これのワークショップも青森でやります。

(スライド:「フリスクをお守り風にする」)
(スライド:「壮大な神話を小さいジオラマにする」)

(スライド:「みかんにウニの着ぐるみを着せる」)
愛媛で展覧会をした時に「愛媛の方々へ」って、こたつの上のかごだけじゃない、みかんの新しい置き台を作ろうと思って。ウニの形の置き台を作ったらウニそっくりになるだろうと思ったら、ウニそっくりになりました。

(スライド:「居酒屋風メニュー風 元素周期表を作る」)
大阪の新世界のふもとに串カツ屋とかいっぱいありますよね、そこの看板が、一挙掲載って感じでごちゃっとしてるんですけど、その一覧表を見るに、元素の周期表に見えてくるんですよね。そっくりだなーと思って、メニュー風の元素周期表を作りました。
「居酒屋 元そ」とか言っちゃって。個体、気体、液体とかに分けて、「全品112元素! まだまだ増えるよ!」って景気のいい感じで。

(スライド:「市販薬の豪華パッケージでアクセサリーを作る」)
これは紙ですね、パッケージなので。市販薬のパッケージが、最近、やたらキラキラしていると思いませんか。高機能な薬のだとすごく目を引く感じで。そのキラキラさがすごいなと思ったのでそのキラキラ部分を切り抜いて、パーツにしました。そのパーツに全部穴開けて、金属の輪っかを通して、トロイの遺跡から発掘されたりシルクロードを経て渡ってきたかのようなペンダントを作りました。
抗菌という文字のパーツ、これは目薬ですね。ホログラムの文字をそのまま使い回して。なかなかきれいです。

(スライド:「私のプリン食べちゃダメ!器」)
さっき言ったDVDで、お題に添って工作しました。冷蔵庫のプリンを人にとられない機械を作れって命令で。日本人の心に訴える「私のプリン食べちゃダメ! 器」です。

フェリシモ:
これは取れないですね。

乙幡さん:
ツバメの巣を、日本人は壊せないですから。しかも、ツバメの親子が目から涙を流しながらプリンを守ってる。

(会場:笑)

レジンで涙をつけまして。これは絶対取られないって……。

(スライド:「大名風おにぎりケース『御握携す(おにぎりけーす)』」)
これもDVDに収録されていて、食べるのも畏れ多いおにぎりケースを作ってほしい、というお題で。お弁当として、おにぎりをケースに入れて持っていくのがはやってるので、三角形の大名かごの中に保冷剤を貼ったおにぎりケース。

(スライド:「ラフレシア風アロマポット」)
これも、玄関に飾るものというお題でした。玄関に置く「香りの博多人形」とか、素焼きの人形で芳香剤の飾りをイメージして、ラフレシアっていう花を題材にアロマポットを作りました。
ラフレシアって世界一大きな花と言われて、1メートルぐらいあるんですけど、発する匂いがとてもくさいらしいですね。くさいというので、逆にその中にラベンダーとかの精油を入れて、いい匂いを発させてあげようと思って作りました。

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(スライド:「焼き鳥リングを作る」)
焼き鳥の盛り合わせとか頼むと、串から真っ先にはずしますよね。それがちょっとおもしろいなと思って。でも、はずそうとしてもはずせずに、勢いあまって飛んじゃったりするぐらい、しっかり串にくっついていることもあります。しっかりといえば、リングとして指にきゅっとはめて、婚約指輪のように愛をしっかり守るみたいな連想で。要は、指を串に見立てりゃおもしろいだろうっていう、ただそれだけなんですけど。
これも例によって焼き鳥からシリコンで型を取りました。もったいないんですけどね。で、樹脂で流し込んで、穴開けて、つくねとレバーとネギまの、焼き鳥リングを作りました。

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<第2部>

お客さまとのQ&A

お客さま:
乙幡さんにとって、妄想を現実にする、物を作るということは、どんなことですか?

乙幡さん:
今までいっぱい物を作ってきて、いろいろなことに気づいて、自分にとってとてもプラスになってきましたけど、私は職人とかではないわけですね。突然に工作をしだしたので、やり方はめちゃくちゃなんですよ、はっきり言って。いきなりシリコンを使ったり、いきなり樹脂に手を出したり。そんな中でも、物を作るのってこういう工程がちゃんとあって大変なんだなっていう、本当に単純なことがわかるようになりました。
ボールペンひとつをとっても、いろいろなことに気を使ってやってるんだろうなってことが、だんだんわかってくるんです。型取りして樹脂を流し込んで「はい、製品できた」で終わりじゃないんですよね、当然。頭の中ではそういう工程でできあがっちゃうんですけど、実際には、はみ出たところを削ったり磨いたりする手間がどうしてもかかる。納期がどうしても予定より1、2日遅れるとか、思ってもみなかったことがたくさんでてきて、物を作るってこんな大変なんだってことに思い至ります。
なので、いろいろな物を見ても「あ、これをこういう風に設計した人っていうのは、いろいろな失敗があって、こんな形になったんだろうな」とか、そういうことも少しわかるように、思いを巡らせられるようになってきたことが、妄想といえども工作をしてきて良い点でしたね。……どういう質問でしたっけ? 

(会場:笑)

フェリシモ:
お答えいただいたような内容でした(笑)。

お客さま:
今まで作ったものの中で、これはすごいと最も強く思ったものはなんですか?

乙幡さん:
一番の自信作ですよね。いろんな面で迷っちゃうんですよね。針金で巣を作ったのも、あれはあれで「おおー」って感じになりましたし、ケルベコスも完成度では気に入ってますし。
でもやっぱり、サーモグラフィセーターは、すごく大変でしたね。糸を変える手間がものすごくて。七色使ってますから。裏面が……川の中の石をひっくり返したときに、裏にいっぱいいるでしょう? ああいう裏になっちゃって、よっぽどいろんなところ省略しようかと思ったんですけど、「いやそんなことしてどうする」って、とにかく諦めずにやったんです。3週間ぐらいかかった大作でした。
そうですね、いろいろなもの……どんな質問でした?

フェリシモ:
お答えいただいたようなご質問でした(笑)。

(会場:笑)

お客さま:
これから作りたいものはなんですか? 作りたいけど作りあぐねているものはありますか?

乙幡さん:
作りたいけど作りあぐねているものから言いますと、ちょっと表現は悪いんですけど「モナリザつぶし」をやろうとしたことがあるんですよ。モナリザつぶしっていうと、レオナルド・ダヴィンチに悪いので「モナリザ道場破り」というか、そういうことをふわーっと考えたりしたことはありました。
企業が新製品を発表したり、記録に挑戦という時に、モナリザの顔を作ったりすることないですか? おむすびの新製品を並べてモナリザの顔にした、みたいなことが多い気がするので、私があらかじめそれを全部やってしまえば、企業が何をやっても私の二番煎じになるなってうっすら考えたけど、大変なのでやめました。

フェリシモ:
これから作りたいと構想していることはありますか?

乙幡さん:
具体的に2つありまして、ひとつは最近野球盤をそのために買ったんです。ここだけで言っちゃいますけど、おもちゃの野球盤で「あの頃の野球盤」、「ALWAYS 三丁目の野球盤」みたいなのをつくろうと思ってて、土管が3つ置いてあるような空き地っぽくして、選手とかも、メンバーが足りないときにたまに妹とかが入ってたりして、犬とか。有刺鉄線で囲って、ホームランは隣の家のガラス割った音。「こらーっ!」っていう。
ネットで野球盤を3000円で買ったところまでは、いってます。

フェリシモ:
楽しみにお待ちしています。

乙幡さん:
ありがとうございます。言ったからには作らないといけないので。デイリーポータルZで披露する予定ですので、チェックしていただければと思います。
もう一つありまして、舟盛りってありますよね。お刺身を盛る船。あの船って和船じゃないですか。バリエーションないかなと思って。
作りやすそうなのは、タンカーが作りやすそうだなと。

(会場:笑)

ベニヤ板をお湯でやわらかくして、タンカーを作って。やっぱり油を運んでいるので、揚げ物を(笑)山盛りにして。揚げ物舟盛りとか、いいのじゃないかなと(笑)。今言葉にしちゃったから、もう消化しちゃった気分になってます。

フェリシモ:
それは、ぜひ作りましょう。

乙幡さん:
わりとうけましたのでね。いやいや作らないと。作ってこそ。

お客さま:
お題はどこからくるのですか? 子どもの頃はどんな子どもでしたか?

乙幡さん:
お題ってね、イベントとかで設定されている時ってのがあって、それに沿って、みんな作ってくるんです。あとは適当に、自由にやってます。
季節ものを絡めると作りやすいので、クリスマスが近づいたら、クリスマスものを作ったり。さっきのハロウィンのかぼちゃもハロウィンの時期にぶつけたり。季節ものは基本ですね。
でも、だいたい魚が多いですね。やたらありましたよね、深海魚とか。あとは、かわいくないもの。仏像、邪鬼。そのへんが多いですね。
小さいころどんな子どもだったかというと、おとなしかったですけども、別にすごく変わってるってわけでもなかったし、すごく目立ってるわけでもない。
変わったものを作りがちな傾向は、幼稚園のころからあったのを思い出しました。折り紙大会で作ったのが、ノスリっていう猛禽類なんです。すごい地味な、とんびより地味なのを折ったんですよ。そんな感じで突発的に変なものを作ったことはありましたね。

フェリシモ:
幼稚園のころは、ノスリが好きだったからなんですかね?

乙幡さん:
好きでもなかったんです。あとは弟がいたせいもあるかもしれないんですけど、女の子的ではなかったですね。テディベアとかピンクとかの感じからはほど遠い、ロボットアニメ、特撮なんかが好きでしたね。

お客さま:
作品を作り終わって、自分で笑っちゃうことはありますか?

乙幡さん:
そうですね、でき上がった時に、あ、ケルベコスなんかそうでしたね。あっはっはって。揺らしてみると、かわいいんですよ。
あと新巻鮭型の防虫剤とかね。見た目がちょっとへんてこだけど、かわいいものができちゃった。サイズ感もちょうどよかったり、できもよかったりするとすごく、しあわせな笑いがでますね。

お客さま:
ご自身で作られた時にはイマイチかな思っても、発表してみると反応がよかった作品はありますか?

乙幡さん:
たくさんあります。どれだったかな。市販薬のパッケージのアクセサリーは、できあがりの写真はすごくよかったんですけど、イマイチ自信はなかったんですね。あんまり共感されないんじゃないかと思ったのです。でも、わりと反応はよかった感触ですね。
人の反応ってなかなか読めないので、自信を持ってたものがあんまり反響なかったり、自信ないものが反響あったりすると、世の中が信じられなくなっちゃいますね。「なんなの!」って思います。

お客さま:
わかり合えるものとわかり合えないものの、境界、違いを教えてください。共感が生まれるものと共感が生まれないものにどういう差があるのか。

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乙幡さん:
そこの境界も動かしがたいものでもない。パチンコの例がありますからね。
今は共感できないものというと、車とか。免許は持ってるけどペーパードライバーだし、電車のほうが好きなので興味ないのですけど、そこでね、興味ある事象が生まれれば、そこに寄ったものを作ることはあり得ると思いますね。
だから、境界はあるけれども、あいまいである、あいまいに敢えてしておく、ということですかね。

フェリシモ:
ご自身が経験されたことのほうが、共感できますか?

乙幡さん:
そうですね、経験したものから手を広げるしかないのはありますから。広げ過ぎると大やけどしますので、できるものから。
同じようなことでは、材料を選ぶ時もそうで、サーモグラフィをセーターにするなんていうのは成功例なんです。
逆の例で、あやつり吽形(うんぎょう)を作るというのがあったんですよ。吽形って狛犬の阿形吽形の口を閉じてる方ですね。それをあやつり人形とかけて、あやつり吽形として、「ん」ってやっている方の狛犬をあやつり人形にしたんですけど、材料選びを間違えたというか、あんまりできが良くなかったことがあります。ダジャレ出発のネタだいうのも弱かった原因なんですけども。材料選びは重要ですよね。

お客さま:
「デイリーポータルZ」の記事の「ウェルカムはんざき」を商品化、もしくは受注生産の予定はありませんか?

乙幡さん:
(笑)はんざきというのは、オオサンショウウオ。岡山などでは、はんざきというらしいんです。半分に裂いても生きている、あるいは口が裂けてるのでと、いろんな語源の説はあるんですけど。
以前、おふたりともはんざき好きの変わったご夫婦から私に、結婚するので自分たちの好きなはんざきで、披露宴の会場入口に置くウェルカムドールを作ってください、それを記事にしてもいいし謝礼も払いますというお話が来て。なんかおもしろそうだしお願いを聞こうと思って、ペアのはんざきくん、はんざきちゃんがタキシードと白いウェディングドレス着てる、そういうペアの人形を作ったことがありました。一工夫して、口パク人形にできるかわいいはんざきでした。
あれは意外と、オオサンショウウオのファンが多いせいもあって、評判良かったんですね。フェリシモさんいかがですか? 

(会場:笑)

ウェルカムドールってテディベアが定番になってますけど、あれを夫婦ゆかりのなんかおもしろいもので、という需要はあるかもしれないですね。

フェリシモ:
あ……検討させていただきます。商品企画をしておりますので、すぐにでも。

お客さま:
楽しいことが好きです。結婚式の時に最後のプチギフトに、オーレを配りました。お礼の意味を込めてです。お礼のオーレです。
2年前に祖母が亡くなった時は、ピースをしている写真を遺影にしました。「イエーイ」の遺影です。でも、解説しないと伝わっていませんでした。楽しいことを伝わるようにするには、どんな工夫をすればいいでしょうか。教えてください。

乙幡さん:
すごい極端な例ばっかりですね。遺影は説明しづらいですよね。説明文をどこに置くか。「ちなみに」とかどこか書いておかなくちゃいけないわけですよね。

フェリシモ:
読み上げるわけにもいかないですしね。

乙幡さん:
お香典返しのおみやげの海苔の缶にちょっと忍ばせておく? 言いづらいですよね。伝わらないですよね。

フェリシモ:
乙幡さんの作品は、伝わらなかったというか説明が必要なものもあるんですか?

乙幡さん:
あると思いますね。愛妻弁当とドカ弁を一緒にしたやつとか、ストレートに伝わらないような気はしてるのですけど。むずかしいですよね、ストレートに伝わるっていうのは、要はベタってことでもありますから。ただベタなものというのは、みんなの共感を得るし、本人はベタだなあと思っていても見る方はおもしろがってくれたりしますから。そこは一概に言えないと思うんです。遺影かあ。写真にプリクラみたいに、「イエーイ」って書いとくのも違いますよね。

フェリシモ:
遺影はきわどいですね。でも乙幡さんの場合は、ライターというお仕事ですから事情が違いますね。

乙幡さん:
文章で補えますからね。ただ、ちゃんと伝わるものであれば、文章が多少まずくても、ばんばん広がっていく写真の力がありますからね。でも「オーレ」は、上級者向けって気がしますよね。
意外と、人はもっとハードルを下げたほうが笑うっていうことです。人向けのものと、自分向けのものの、レベルを変えてみるといいのかもしれないですね。人向けには、卑近というか、笑いのハードルが低いものを。で、おもしろい人だねって言われる。そこで、自信のあるわかりにくいものを出す。そうするとおもしろいものというイメージがあるから、わからないなりに笑ってもらえる。

フェリシモ:
相手のレベルも引き上げていくようなイメージですね。

乙幡さん:
そういうのでもいいのかもしれないですね。責任は持てませんけども。

お客さま:
工具、道具でこれはすごかったなとか、これは欠かせないなというものがあれば教えてください。

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乙幡さん:
よく聞かれるんですよね。聞かれる度にすごく困るんですよ。というのは私、何かの職人じゃないですから、いろんなものを少しづつ使うので、なかなか工具に精通することが少ないんで。「こんな私なんかが」みたいな、遠慮もあるんですけど。
強いて言うなら、発泡スチロールを熱線で切る、ヒートカッターがすごくはかどったんですね。ふつうのカッターとかだと粉が散ってしまうので。最近ついに卓上型の発泡スチロールカッターを買いまして、ミシンのように型もついているので、そのとおりにキューっといけばまっすぐな線が切れる。パカっと割れる。快感。

(会場:笑)

切りまくってました。意外と安く、1、2万台かな。安いのかどうかわかんないですけど。一応それが重宝しています。
あとは、そうですね、電動ドリルは使うけど。ヨドバシカメラとかで、プラモ用の工具とかも見たりして、ちっちゃいのこぎりとかも使いますね。
道具を買って満足しちゃうこともあるので、あんまり偉そうなこといえないんですけど。また思い出したらいきなり言います。

お客さま:
うける年齢層や性別は意識しますか?

乙幡さん:
第二次ベビーブーマーで人数が多いので、そこに届くのを前提にしているところはあるかもしれません。そうじゃなきゃだめってこともなく、いろんな層に響くといいな、若者だけとかでもなく、古い人だけでもなく、いろんな人がわかるようなものを目指してはおります。

お客さま:
小学生とか、小さな子が見てうけるものはむずかしいですか?

乙幡さん:
私の場合、むずかしいのかな。意外とバカに徹することができない気がしてるんです。
小学生ってね、突拍子もないばかばかしいものが好きです。そこまではっちゃけたものを自分では作れてないような気がするので、そういう意味では難しいと思ってます。でも意外と、渋い小学生とかは見てくれている感じがします。
ヒカキンみたいなYouTuberとかはやっぱり強いんでしょうけどね。私もこれからはYouTuberとか目指して、「やってみた」とか言ってなんか爆発させたりしたほうがいいんですかね?

フェリシモ:
乙幡さんはそのままでいていただければいいと思います。

乙幡さん:
いいですかね。安心しました。

お客さま:
今一番気になっていること、興味をひくことを教えてください。

乙幡さん:
すばらしいご質問を。あるんですよ。最近お菓子のパッケージが気になっていて。たまたま買ったバーベキュー味のスナックがあるんですけども、何気なく袋を見ていたら、イメージの写真がありますよね、茶色で炎が燃え上がっていて、真ん中に網の上に分厚い焼き肉がどんっと置いてあって、おいしそうに焼けているその写真が、バーベキュー味だと当然のように載っているんですけど。あれを集めようかなと思って。いろんなスナックの焼き肉味とかバーベキュー味。それ見てちょっと変な気分になろうかなあと思っているんですよ。
というのは、料理スタジオとかで撮っていると思うんですけど、撮っている時のみなさんのテンションと、それがスナック味のパッケージになるっていう現象の差というか。なんかそれに引っかかっているところで。
それを何にしようかってのは、まだごにょごにょしてるんですけど。モビールかなんかにしようかなとか(笑)。「焼肉食べたいな」ポワンポワンって。それくらいしかないかな。

フェリシモ:
バーベキューの写真の下に「写真はイメージです」って。

乙幡さん:
そうそう(笑)。「写真はイメージだろ!」って思いますよね。

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お客さま:
日常の素材をパロディにする天才かなと思いました。「まつたけの山」などお菓子の作品を食品メーカーに持ちかけていただいて、私たちが「食べる乙幡作品」に接することはできないでしょうか?

乙幡さん:
できないですかね。ちょっと今やる気がでてきました。後押しありがとうございます。

お客さま:
最近、雨上がりに水たまりをみたら、ラコステのポロシャツのワニだけが水たまりに落ちてて、持ち主のポロシャツは今ごろ普通のポロシャツかとか、水たまりに浮いてるその現象自体すごく衝撃的だったんです。乙幡さんは、最近何か偶然に出会ってびっくりしたエピソードがありますか?

乙幡さん:
(笑)そんな例出されたら何も出せないっすよ。ラコステのワニですか。アーノルド・パーマーの傘が浮いていたらいいですね。ペンギンは? マンシング? その3つが浮いているといいですね。答えになってないのですが。
衝撃的な最近ですか。芸人さんとかには、そういうのに出会いがちな人っていますよね。私はあんまり出会ってないですね。昔、東京の中央線で車窓から何気なくお堀の水の流れ見ていたら、板に乗った死体が流れてきてて。死体じゃなくて人形だったんですけど。あれはびっくりしました。撮影だと思うんですけど。あんなものをね。いきなり遠くから見ることもあるわけじゃないですか。すみません。私、最後の質問に、戸板の上の死体の話をして今日の講演を終わらせることになっちゃうのですかね。

フェリシモ:
そうですね。最後の質問になってしまいます。

乙幡さん:
あなたのせいですからね。

(会場:笑)

お客さま:
ハプニングとかに遭遇されて、インスピレーションになってたりするのかなと思って。

乙幡さん:
ハプニングね。すごくあこがれるんですけどね。写真家でも、そういう場面に出くわした時に、パッて撮っておもしろい写真ばかり撮る人がいっぱいいるじゃないですか。ああいうのも才能ですよね。ただ単にハプニングに出くわすだけじゃなくて、そこに居合わせてそこに気づく能力ですもんね。
そのラコステもふつうに「ゴミだ」と思って通り過ぎる人が大半なんだけど、あなたは「なんか水たまりにラコステが落ちてる!」って思える人なんですよね。だからご自分の方が、そういうのに出くわす確率が多い、おもしろいことを発掘できるってことですから、私もがんばります。
よくまとまりました……よかった。

フェリシモ:
数々の妄想を現実にしてきた乙幡さんですが、会場のお客さまの中にも妄想を現実にしたい、何かを作ってみたいとふつふつと思い始めた方もいるかと思います。そんな方の背中を押してもらえるようなメッセージを、最後に何かいただけますでしょうか。

乙幡さん:
最後ということで本当に簡単にですが。
「作るのと思うのは大違い」ということですよね。Twitterその他で「これがこうだったらな」とつぶやく人はゴマンといるんですけど、それを形にする人はほんのわずかで、まだまだ少ないと思います。その少ない何人かに入るのは、「明日のあなただ!」ていう感じですよね。そうです、今のうちですよ、作るなら。
物を作るっていうのは、作った以上のことになりますからね。実物がここにあるというだけで、みんなそこに見にきますし。話題になったり、みんなに広がっていったり。本当に画像だけとかじゃなくて、物があるというのはすごく力になることなので、目の前に出現させることと、作らないこととの差はすごく大きかったなと私はしみじみ思っています。とにかくやってみましょう。

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Profile

乙幡 啓子(おつはた けいこ)さん<妄想工作所 所長>

乙幡 啓子(おつはた けいこ)さん
<妄想工作所 所長>
*プロフィールは、ご講演当時のものです。
1970 年群馬生まれ・東京在住。ニフティ「デイリーポータルZ」に脱力系工作記事等を連載中。nottv「また、つまらぬ物を作ってしまった」ではラーメンズ片桐氏とともに工作合戦を繰り広げ、番組はDVD化もされる。著書に『妄想工作』(廣済堂出版)『乙幡脳大博覧会』(アールズ出版)『笑う、消しゴムはんこ。』(世界文化社)がある。また妄想工作所名義で「ほっケース」「スペース・バッグ」などの雑貨製作・企画も行う。
http://mousou-kousaku.com/

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